嵐・二宮和也 スーツで魅せる圧巻の風格 二宮節で会場を虜に
俳優・嵐の二宮和也氏が11月13日、東京都内で行われた「SUITS OF THE YEAR 2024」受賞式に登壇。今年で7回目の開催となるアワードは、「五感を刺激する」がテーマ。二宮氏は、エンタテイメントで人々に感動を与えた人に贈られるアート&カルチャー部門を受賞し、頭の回転が速いトーク力と愛嬌で会場を沸かせた。
柔らかなグレーのスーツに身を包み、風格と色気を纏って颯爽と登場する二宮氏。「常にエンタテイメント界の先頭を走り、国内外の作品では卓越した演技力を発揮。SNSなどネットを駆使してファンの裾野を広げるなど、情報発信の可能性を模索し続ける“飽くなき探究心”」が讃えられた。
向けられるカメラとフラッシュにはさすがの対応力。Paul Stuartのスーツを着こなしつつ、LONGINESの時計がカメラに映るよう腕を組んでポージング。常に時計をつけた左手でマイクを持ったり、受賞トロフィーを胸に掲げるなど、意識か無意識か、“自分の魅せ方”を分かっている。これが「エンタテイメント界の先頭を走る」と称される理由なのだろう。
「この1年は、初めてのことも多くて試行錯誤しながら過ごしたのですが、このような賞をいただけてとても嬉しいです。来年もこの賞をいただけるような貪欲な気持ちを持って仕事をしていけたら」と語った。
その後のトークショーでは、五感にまつわるエピソードが飛び交った。
「ゲームで五感を研ぎ澄ませて没頭する瞬間はあるか」と問われた二宮氏は、「好きなことをやっている方が台詞が入ってきやすいので、没頭というより仕事と併用することが多い」と回答。“好きなことをやれている”というリラックスした状態で集中することや、次の仕事に切り替えるための“ゼロになる瞬間”として大切にしているという。
イノベーション部門で受賞した映画監督の山崎貴氏が「ゲームしながら台詞を覚えるの!?」と思わずマイクを取ると、「監督の作品は別ですよ(笑)」とおどけた様子。「(二宮を)使ってみてください!(笑)」とに逆オファーし、その鮮やかな切り返しに会場からは拍手が起こった。こうやって、業界人も”二宮ワールド”に巻き込まれていくのだろう。
また、ビジネス部門で受賞した株式会社Nature Architectsの須藤海氏や、スポーツ部門で受賞した高橋大輔氏らと和やかに絡む場面も。
須藤氏が「技術オタクなんですが…」と科学×五感の共通点を熱く語ると、「マニアですね~(笑)すっごい楽しそうに喋る」とコメントを挟んだり、名前を二度呼ばれて焦る高橋氏に「“高橋さん“は一人しかいないからね(笑)」と突っ込んだり。授賞式という公式的な場においても、臨機応変なリアクションやフォローを軽々とやってのけ、会場を明るい雰囲気に包んだ。
「テレビやYouTubeなど異なる場面で表現を使い分ける印象だが、その工夫はあるか」という質問に、「見て下さる方に最終的に委ねる」と二宮氏。
「例えば山崎監督の『ゴジラ-1.0』は、怖いものだけれど音を奪ってしまえば悲しく見える。環境音やゴジラの声、逃げている人たちの声がないと、『ゴジラは何のために吠えているんだろう』と思ってしまう。五感の一つを奪うとまた違った表現が届くことが面白いと感じるので、僕も見ている人によって届き方が異なるような表現方法の自由度を上げていきたい」と語った。二宮氏ならではの独特な感性と物事の捉え方に脱帽するばかりである。
これに対して山崎監督は、「さすがです。あるレベルに達した時、どれだけ引き算ができるかが重要なんですよね」と唸る。「作り手もレイヤーのある表現をしたいと思っているし、感性の鋭い人はそこに異なるものを見る。さすがの視点で感動しました」という言葉に、二宮氏は「(次作品)決まりました!!」とクレバーな返答で会場を笑わせた。
また、山崎氏からは「巨匠の演出の話を聞くのが好きで、クリント・イーストウッド監督の作品に出演した二宮くんに、先ほど個人インタビューをしていたんです。大好物の話が聞けてとても良い収獲でした」とステージ裏の仲睦まじいエピソードが語られた。「何かあったら断らないでくださいね(笑)」の山崎氏に「もちろんです、それはもう!(笑)」と返し、山崎氏と二宮氏のタッグが見られる機会が待ち遠しい。
そして、そんな二宮氏が逆に心を動かされる瞬間は、スポーツの力に触れた時だと言う。「スポーツは、同じ苦労や経験をしていなくてもその場所に連れて行ってくれる。例えば甲子園では、その高校に入学したことがないのに一緒に泣けちゃったりする。自分もその感動を共有できるのは、スポーツならではの力だと思います」と、野球少年だった一面も垣間見せた。
「この機会だからこそ、他の4名に聞いてみたいことは?」という取材陣の問いに、「それぞれのお得意な分野で、二宮をどう使ってみたいですか」と全員を話の渦へ誘う。「どんな分野でもぜひ(高野氏)」、「私は自動車の設計に携わることが多いので、車に乗ってカッコいい姿を(須藤氏)」、「ダークもライトもどんな役もできる方なので一緒の作品を(山崎氏)」、「俳優さんが氷の上でお芝居する機会を作ったりしているのでぜひ(高橋氏)」。二宮氏の”飽くなき探究心”が、いつの日かこのコラボレーションが実現し、また私たちの五感を刺激してくれることに期待が高まる。
学生新聞オンライン2024年11月13日取材(執筆・構成) 上智大学3年 吉川みなみ
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