テリー伊藤 コラムVol.91 ソックモンキー知っていますか?

昨日、仕事帰りに中目黒にある古着屋さん「ジャンテーク」に行った。オーナーの内田さん自らアメリカに買い付けに行っているので古着屋激戦区でもピカイチの人気を集め、いつもお客さんで混雑している。しかし店内でぽっかり空いているエリアが。そこにはセンス抜群の内田さんが買って来た人形が陳列されているのに、いつ行っても寂しそうに座っているお猿の人形「ソックモンキー」がいる。お客さんの中でソックモンキーの事を詳しく知っている人はほとんどいない。

1923年アメリカのネルソン社は作業用靴下を生産していたが、他社製品と区別する為に、かかと部分を赤くした通称「レッドヒールソックス」を発売。1930年代のアメリカは大不況で、おもちゃを買う余裕がない家庭のお母さん、おばあちゃんは古くなった靴下を利用して子供の人形を手作りしていた。ソックモンキーの赤い口はこのソックスのかかと部分。靴下を縫い合わせると胴体、手足、しっぽが出来、赤いかかとがちょうど笑った口になるように工夫されている。1950年代になると全米の人気者になり、ソックモンキーはアメリカの手作り玩具の代表格に。特許争いが起きるほど有名になり、最終的にはネルソン社が権利を獲得した。今では絵本、映画、ポスター、雑貨にも登場しアメリカ文化のアイコンとなっている。ちなみに「ソックモンキーを持っていると幸運が来る」と言う幸せ伝説があり、出産祝いや入院見舞い、卒業祝いに贈る人も少なくない。

そうなんです、こんなにメジャーなのに日本では残念ながら認知度が低いんです。日本の女性は可愛いが優先し、ミッキーマウスやスヌーピーやキティちゃんに目が行ってしまう傾向にある。そんな訳でお店のソックモンキーは売れ残っている。こうなったら私が買うしかない。それだけじゃつまらないので自分で赤いボタンとリボンを付けて更に可愛くした。

それでもお店にはまだ3体のソックモンキーが私を見つめている。この感情ってペットショップで売れ残っているワンちゃんを見ている気持ちと一緒じゃないですか。危険すぎる。ワンちゃんはさすがにその後の事を考えるとたやすく手にすることは出来ないが、人形なら・・・。これはまずい、このままでは家がモンキーセンターになってしまう。冷静にならないと。と言いながらお店のスタッフの値段交渉をしている。家に帰ればミッキーマウスもスヌーピーもトイストーリーのウッディもたくさん居る。彼らに何と説明すればいいのか。私の迷走は続く。

テリー伊藤(演出家)

1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

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