SWCC株式会社 代表取締役 CEO 社長執行役員 小又哲夫
声に出した挑戦が、仲間を集め、グローバルな未来を創る

SWCC株式会社 代表取締役 CEO 社長執行役員 小又哲夫(こまたてつお)
■プロフィール
芝浦工業大学工学部卒業後、1989年昭和電線電纜株式会社(現・SWCC株式会社)に入社。2018年、同社執行役員に就任。以降、常務執行役員、COO副社長執行役員などを歴任。2025年、代表取締役 CEO 社長執行役員に就任。
芝浦工業大学での学びや、若手時代の多忙な毎日、中国での工場立ち上げなど、数々の挑戦を経験してきたSWCC株式会社の小又哲夫社長。長きに渡り電力や通信インフラを支え、安心・安全な社会の実現に貢献してきた電線メーカーが、グローバルでの社会課題解決に挑む思いと、未来を担う学生たちへの熱いメッセージを伺いました。
私は芝浦工業大学で金属工学を学びました。学生時代は決して学業一筋というタイプではなく、1、2年の頃は必要最低限の授業を受けながら、アルバイトやサークルの友人との旅行など、大学生ならではの時間を楽しんでいました。しかし、4年生になると卒業論文が待っていました。卒業を目指して研究テーマに取り組む中で、実験を重ねながら一つの成果を導き出す面白さを感じました。研究には、あらかじめ答えが用意されているわけではありません。自ら実験を計画し、答えのない課題に向き合いながら、一つひとつ解決の糸口を見つけていく。その探求のプロセスは、大学生活の中でも特に印象に残る経験となりました。
卒業後は、学んだ金属工学の知識を活かせる電線業界に魅力を感じ、昭和電線電纜(現SWCC)に入社しました。電線は、電気や情報を社会の隅々まで届けるために欠かせない存在です。普段はあまり意識されることはありませんが、人々の暮らしや産業、社会インフラを支える重要な役割を果たしており、その一端を担えることにやりがいを感じました。
社会人としてのスタートは、思い描いていたイメージとの大きなギャップを感じるところから始まりました。私は社会インフラを支える電線の仕事に携わると思っていましたが、最初に配属されたのはワイヤーハーネスの製造部門でした。当時のワイヤーハーネス事業は、売上高が急伸しており、新人であっても即戦力として次々に仕事を任されました。1年目から売上目標を背負い、毎日遅くまで働く忙しい日々でしたが、「なんとか期待に応えたい」という思いで必死に仕事に向き合っていました。振り返ると、その経験を通じて学んだのは、一生懸命取り組む人には必ず周りの仲間が力を貸してくれるということです。自分一人では乗り越えられない場面でも、多くの上司や先輩に支えられました。当時は体力的にも精神的にも厳しい毎日でしたが、あの頃の経験が今の私の土台になっています。
■グローバルな挑戦は、人と人との信頼から始まる
入社から3年ほど経った頃、私は光ファイバー関連の技術部門へ異動しました。新しい技術を一から学びながら経験を積み、海外のお客様との仕事にも携わるようになりました。そんな中、私が30代を迎えた頃にITバブルが到来し、光デバイスへの需要が急速に拡大しました。大きな受注をいただく中で、「お客様の期待に応えるためには、中国に生産拠点が必要だ」と考え、上司に工場設立を提案しました。その結果、中国での工場立ち上げが決まり、私自身が責任者を務めるという大きな挑戦の機会をいただきました。中国での事業立ち上げは、私にとって視野を大きく広げる経験となりました。文化や価値観の違いに直面する中で実感したのは、日本のやり方をそのまま持ち込むのではなく、現地の仲間の考えや意見を尊重し、ともに課題を解決していくことの大切さです。相手を理解し、信頼関係を築きながら、同じ目標に向かって力を合わせること。その姿勢こそが、グローバルに仕事を進める上で最も大切なことだと学びました。
■エネルギーとデジタルの未来を創る、グローバルへの挑戦
SWCCは90年にわたり、電力や通信といった社会インフラを支え続けてきた総合電線メーカーです。電力ケーブルは社会の「血管」として電気を届け、通信ケーブルは社会の「神経」として情報をつなぐ役割を担っています。現在は「エネルギー・インフラ事業」と「通信・コンポーネンツ事業」を柱に、人々の暮らしや産業を支えるとともに、社会課題の解決にも取り組んでいます。エネルギー・インフラ事業では、電気を安全かつ安定的に届けるための製品や技術を提供しています。特に近年注力している電力機器用接続部品「SICONEX」は、環境負荷の低減に加え、工事時間の大幅な短縮を実現し、人手不足という社会課題の解決にも貢献しています。
また、通信・コンポーネンツ事業では、AIデータセンター向け光ファイバリボン「e-Ribbon」や半導体検査装置用「コンタクトプローブ」など、デジタル社会を支える製品を手掛けています。
現在、生成AIの普及によってデータセンターの建設が世界中で進んでいます。その基盤となる電力ケーブルや光ファイバーなど、私たちの技術はAI革命を支える重要な役割を担っています。私たちは今、総合電線メーカーにとどまらず、事業領域を広げ、お客様や社会が抱える課題を解決するグローバル・ソリューションカンパニーへの変革に挑戦しています。
私たちのありたい姿は、「エネルギーとデジタルの未来を創るグローバル・ソリューションカンパニー」です。これまで培ってきた技術や経験を生かし、グローバルでの社会課題解決に貢献することで、人々の暮らしをより豊かに支えられる企業へ成長していきたいと考えています。
■声に出した夢は、人を巻き込み、未来を創る
生成AIが進化し、一人でも効率よく仕事ができる時代になりつつあります。しかし、仲間と信頼関係を築き、力を合わせて挑戦することは、人間にしかできない大切な価値です。
皆さんもぜひ「やりたいこと」や「夢」を声に出してみてください。そして、実現に向けて一生懸命に取り組んでください。その情熱は人を巻き込み、挑戦を前へ進める大きな力になります。仲間とともに挑戦することで、一人では決してたどり着けない未来を切り拓くことができます。
学生新聞オンライン2026年9月15日取材 情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥

早稲田大学3年 谷島優一/武蔵野大学4年 吉松明優奈/情報経営イノベーション専門職大学 2 年 山田千遥/日本大学2年 原田達司


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