プロゴルファー 阿久津未来也
イメージ通りのショットを打てた瞬間が、一番楽しい

プロゴルファー 阿久津未来也 あくつみきや
■プロフィール
幼少期からゴルフに親しみ、作新学院高1で関東ジュニア、日大4年時に日本学生を制覇。16年にプロ宣言し、17年は日本プロゴルフ新人選手権で優勝。21年に初シードを獲得し、24年は横浜ミナト選手権で自己最高の2位など賞金ランク21位に躍進。25年のミズノオープンで初優勝を飾り、全英オープンにも出場。今季は選手会長を務める。
3歳からゴルフをはじめ、大学時代には「日本学生選手権」で優勝し、プロとなった阿久津未来也さん。2025年「ミズノオープン」でツアー初優勝を果たし、ジャパンゴルフツアー選手会の会長も務める。今回、阿久津さんにプロとしてのやりがい、気持ちの切り替え方、選手・選手会長としての今後の目標を伺った。
■「日本学生選手権」をきっかけに、さらにプロを意識
ゴルフをはじめたのは3歳です。ゴルフは身近にあり、小学生のときには試合で優勝したこともありました。小学校の卒業アルバムにも、将来の夢として「プロゴルファー」と書いていて、そのときから頭のどこかでプロを意識していたのだと思います。中学生のときには反抗期もあり、一度ゴルフから離れた時期もありました。それでも、高校そして日本大学へ進んだことが、最初の大きな分岐点だったと思います。
高校を選ぶ際、一緒に歩んでいたコーチから「高校まではしっかり勉強もした方がいいよね」と言われて腑に落ちたことから、受験をして大学進学コースに入りました。当時はゴルフと同じくらい勉強にも時間を費やしていましたね。
大学進学の際、日本大学から特待生のお声がけをいただきました。高校生の頃から「プロになりたい」という夢を持っていましたし、日本大学のゴルフ部には長い歴史があります。そこでプロを目指すことが、自分にとってメリットになると考え、迷わず進学しました。大学では4年間、寮生活を送りました。ゴルフ部の先輩や後輩と朝から晩まで同じ時間を過ごし、ゴルフだけでなく、集団生活を通しても、経験してよかった4年間だったと思います。
そして、大学4年生のとき、「日本学生選手権」で優勝できたことも、人生において大きな転機になりました。「もしかしたら、ゴルフで一番になれるかもしれない」と感じた瞬間でしたね。1位を取ることはうれしいですし、後輩やコーチ、監督からたたえてもらったときには達成感がありました。大学最後の年に日本タイトルを取れたことが、プロになるうえで決定的な出来事だったと思います。
■苦しい時間の先にある、プロとしてのやりがい
プロになった当初は、試合にほとんど出られませんでした。それだけに、2025年「ミズノオープン」で初優勝したときは、500通ものメッセージをいただきました。自分で目標を達成できた喜びだけでなく、「こんなにも周りの人が喜んでくれるんだ」と実感しました。応援してくださる方からメッセージをいただいたり、ジュニアの子どもたちに「かっこいい」と思ってもらえたりすることが、プロとして一番のやりがいです。
ゴルフをしていると、楽しい瞬間はたくさんあります。特に、自分のイメージ通りのショットが打てたときが一番楽しいです。プロ同士でプライベートラウンドをしているときやオフシーズンの練習中に「今までにない感覚かもしれない」という発見があると、とてもうれしいですね。一方で、ゴルフは4日間にわたって競う長いスポーツです。1日の中でも思い通りにいくことは数回しかなく、我慢しなければならない時間の方が長いと感じます。しかも、プレー中は静寂の中にいます。よいショットなら拍手が起こりますが、ミスしたときには気持ちを発散する場所がないので、気持ちをコントロールすることが大変ですね。僕の場合は、相手の邪魔にならないところで一度大きい声を出して、気持ちを切り替えることもあります。最近は「笑っておけばいいかな」と考えています。ゴルフは1週間ごとに試合の場所が変わるので、よい意味で毎週切り替えができます。予選落ちが続く時期もありましたが、その先に優勝がありました。いつチャンスが訪れるかわからないところも、いまだに不思議だと感じています。
■3世代で楽しめる、ゴルフならではの魅力
ゴルフは、ゴールのないスポーツです。プロ同士で話したり、先輩に「なにかアドバイスはありませんか」と聞いたりすることで、新たな発見があります。その中の一つが自分にあてはまり、できるようになる。その繰り返しです。ゴルフの競技人口は700~800万人おり、市場価値もある。これだけ大きな規模のスポーツは、他にはないと思います。また、3世代が一緒にできるスポーツで、競技寿命が長いことも特徴です。さらに、プロとアマチュアが一緒にできるスポーツというのもほとんどなく、さらに試合を見に来てくれる人たちとの距離感も圧倒的に近いです。
一方で、ゴルフを知らない人にとっては、「どのような服装、靴で行けばよいのかわからない」、「ゴルフウェアでなければいけない」などという難しいイメージもあるでしょう。でも、そうした理由で、ゴルフ場に足を運ぶハードルがあがってしまうのは、すごくもったいないので、ぜひ気軽に挑戦してみてほしいです。
■選手、そして選手会長としての今後の目標
選手としての目標は、まず一試合でも早く、二勝目を達成することです。大学時代に優勝して日本タイトルを獲得したことで、その重さを強く感じています。だからこそ、プロとしても日本タイトルメジャーを取りたいと思っています。二勝目がメジャーだったら最高ですね。
選手会長としては、初めてお会いする方にもゴルフのアピールをすることを心掛けています。スピーチやミーティングなどさまざまな場で、男子の思いをしっかり代弁して発信していきたいと思っています。
■大学生へのメッセージ
僕は幸いにも、大学でもゴルフを続け、そのままゴルフを職業にすることができました。大学生活の4年間のうち、1年生のときに「将来は職業をこれにしよう」と道筋を決めるのは、なかなか難しいと思います。焦らなくて大丈夫です。大学4年間のどこかで、人との出会いを通して、目標を持つときが来ると思います。そのときには、自分なりにテーマをたてて取り組んでみてほしいです。ただ、「自分が決めた道だから、そこに行かなければいけない」とプレッシャーに感じる必要はありません。一度挑戦した後に違う道を選び、第2のステップに進むことも、決して恥ずかししいことではありません。目標に向かって一生懸命取り組んだ経験は、その先のどこかで生きると思っています。学生の人たちはみんな口をそろえて「4年間はあっという間だった」と言いますが、4年間をあっという間に感じられるように、いろんなことに一生懸命になってほしいなと思います。
学生新聞オンライン2026年9月5日取材 東京薬科大学4年 庄司春菜

日本女子大学1年 大池絵万里/東京薬科大学4年 庄司春菜/城西国際大学3年 渡部優理絵/慶應義塾大学院1年 春木呼葉玖


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