長澤まさみ 演技には正解というものがない。それでも努力して真剣に向き合っていくことが大切。
<プロフィール>
長澤 まさみ (ながさわまさみ)
静岡県出身。1987年生まれ。2000年第5回東宝「シンデレラ」オーディションにおいて史上最年少の 12歳でグランプリ受賞。 同年公開の「クロスファイア」で映画デビューを果たす。 代表作には「ロボコン」「世界の中心で愛を叫ぶ」「涙そうそう」「ラストフレンズ」などがあり、日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞 話題賞など数々の賞を受賞。 映画のみならず、ドラマ、 CM、 声優など幅広く活動を行っている。現在、NHK大河ドラマ 「天地人」 に出演しており、11月21日には主演を務めた映画「曲がれ!スプーン」が公開される。
明るく元気。いつも笑顔で輝いている-長澤まさみさんにはそんなイメージがある。しかし、実際お会いしてみて印象は180度変わった。若くしてすでに女優としてのキャリア10年を誇る彼女は、まさに「仕事人」。彼女の中に秘められた俳優というキャリアに対する想いが取材をする我々にひしひしと伝わってきて、同年代として、人として、大いに触発される取材となった。
共演した人はお手本であり、憧れ
2000年第5回「東宝シンデレラ」で史上最年少の12歳でグランプリ受賞をした長澤まさみさん。だが、当初から彼女は俳優になりたいと思っていたわけではなかった。
「ファッション誌を見るのが好きで、モデルになることに憧れていました。その当時、受けたオーディションが女優業を中心とする事務所主催のもので、合格した時には作品に出られるという特典がついていたんです。興味本位で初めて映画に出て、『楽しい』という気持ちと『一度始めたら中途半端にできない』という気持ちから続けていこうと思いました」
一度経験してみて、この職業に惹きつけられた長澤さん。俳優という職業は魅力的だったのだろうか? 俳優という仕事の魅力について尋ねてみると……
「(俳優の魅力は)経験できないことを経験させてもらえることですね。やっぱり普段の生活ではできないことをお芝居の中では実現できるので、いろんな役柄や仕事に挑戦することができる。女優という仕事にはそういう魅力があります」
彼女のマルチな活躍ぶりも納得できる。俳優という仕事を通して、他では絶対にできないことを十分にやろうという気構えがうかがえる。また、演技を磨くうえで共演者から学ぶことも多いようだ。
「今までに共演した俳優さんには、年齢を間わず皆さんがお手本になることがあります。良いところを真似して伸びたいという気持ちが強いので、一緒に共演した人はお手本だし、憧れですね」
自分から行動を起こさないと社会は何もしてくれない。自分でやらなければならないことが増える分、自分で感じられることが多くなる。
これまでの発言で演技を磨くことに対して強い意志がうかがえる彼女。いくつもの作品に出演される中、演技以外にも学ぶことはたくさんあるという。
「人とのつながりを大切にするようになりました。周りの人に支えられているおかげで自分は演技ができるし、映画やドラマでは多くの人が協力して一つの作品を作っている。そのことから日々、家族や友人の大切さを学びました。若い頃から大人の中で生活していくと精神的に強くなります。普通だったら見えないやさしさや周りの人の助けをより直に感じられるようになりました。自分から行動を起こさないと社会は何もしてくれない。自分でやらなければならないことが増える分、自分で感じられることが多くなっています」
俳優としてはもちろん、人間的にも成長を続けている長澤さん。11月21日 (土)には自身が主演を務める映画『曲がれ!スプーン』が公開される。長澤さん扮する超常現象バラエティ番組のAD(桜井米)が、本物のエスパーを探しに全国を旅し、そこで偶然出会った正体を隠して暮らすエスパー達と繰り広げられる「シチュエーションコメディ」だ。長澤さんもこの映画について、「この映画には夢や希望がたくさん詰まっています。子どもには夢を持つきっかけになるといいし、大人にも夢を持ち続ける勇気や大切さを感じてもらいたい」と話す。
今後の目標については、「今まではいろいろなことを経験させてもらいましたが、やはり女優をこれからも続けていくことです。何度も同じ事を繰り返し長い時間をかけて一つの作品を一作り上げていきますが、それを何年も続けてゆくことは大変なこと。そうなれるよう、いつまでも真剣に演技を向き合っていきたいです」と話してくれた。
時間を有意義に使い、自分の興味のあることに突き進んでもらいたい
12歳から芸能界入りし、その後、親元を離れた生活を続けてきた長澤さん。「私は大学に行かなかったのでキャンパスライフに憧れました。学生の方には時間を有意義に使ってもらい、自分の興味のあることに突き進んでもらいたいですね。暇な時間をなるべく作らないようにして、いろいろと勉強してほしいです。私は行動に移す時間の方が多かったので、これからは自分の時間を勉強に当てたい。時間を無駄にせず有意義に過ごしてほしいですね」と学生に向けてのメッセージをくれた。
取材中は常に冷静、淡々とインタビューに応じてくれ、取材中、我々にまで気づかう姿勢を示した長澤さん。その堂々とした姿からは俳優として生半可ではない決意が見て取れる。人一倍、感謝と責任を感じ、演技という果てしないものに真剣に立ち向かっている彼女。笑顔とは対照的に心に秘められた演技への強い意志が感じられた。
学生新聞2009年10月号より
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