株式会社オークローンマーケティング 代表取締役会長兼社長 ロバート・W・ローチ
仕事を成功させるには 実力と運、そして高い志が必要
株式会社オークローンマーケティング 代表取締役会長兼社長
ロバート・W・ローチ
米国イリノイ州出身。1983年南山大学日本研究センターの交換留学生として来日し、1986年法学部の研究生として再来日。1985年、イリノイ州立大学で経済学、日本学の学士号を取得し、1988年、デンバー大学ロースクールで法学位を取得。1993年、中村規脩と株式会社オークローンマーケティングを共同設立し、現在に至る。
テレビ通販でおなじみの「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティング社。代表取締役会長兼社長のローチ氏は、交換留学生で来日した苦労人だった。しかし、持ち前の柔軟な思考とクリエイティブな発想で会社を大きくしていった。ローチ氏の成功哲学を聞いた。
私はアメリカの州立大学に通い、名古屋にある南山大学の交換留学生として来日しました。そして、州立大学を卒業したのち南山大学に再度来日し、法学の勉強をして、その後、デンバー大学ロースクールを卒業して弁護士になりました。今思えば結構大変な学生生活でした。学費も自分で払っており、大学生になった頃には、自分の力でビジネスを立ち上げることを目指していました。
オークローンマーケティング社は、25年前に創設し、現在は子会社を含め50社以上の企業に携わっています。しかし、ここまで順風満帆にきたわけではなく、初めは失敗も多かったのです。日本でビジネスをスタートしたばかりのころは、口座を持っていないことを理由に取引ができなかったという経験もあります。このようなさまざまな失敗を糧にしながら成長してきました。
私は昔から、日本の良いところとアメリカの良いところを伝える仕事をしたかったので、両者の良いところだけを取り入れ、悪いところは反映させない、ハイブリッド型の会社を築いています。たとえば、社員各自に決まった席はなく、自由にどこに座って仕事をしてもいいというフリーアドレス制を導入したり、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるように、ドメスティックな環境にはしないようにしています。
多様性を受け入れ 共感性を持つことが大切
私が社員として必要とし、一緒に働きたいと思う人は、多様性を認める人です。たとえば、海外への留学経験がある人や外国語が話せる人は、他の国の言葉を勉強することで共感性が高くなり、柔軟な思考の持ち主になります。また、自分の考えを持っており、何故そう思ったのか理由も明確に説明できる人(勘ではなくデータを照らし合わせる人)です。そして、ココぞ! というときに使える実力と運を持っている人が良いですね。成功というのは実力も必要だけれど、ときとして運もなければならない。運を掴むためには、共感性を持つことが大切だと思います。そのためには、日々のいろいろなことを吸収する必要があります。
人生は一度きりだから 自分に合う仕事を探す
若いうちから高い志、目標を持つことをお勧めします。どんな小さなことでも構いません。これは私の息子の話になりますが、彼も大学生の頃、将来の目標が定まっていませんでした。息子には弁護士資格を取れば好きなことをしてもいいと言っていました。それは、アメリカでは弁護士とビジネスが両立するからです。やりたいことが決まっていないのであれば、弁護士資格を持っていると後々ビジネスをする上で有利になると助言しました。
当社の社員には、本人が挑戦したいと思う仕事をできるだけ経験してもらいたいと思っています。当社には、多種多様な部署があり、同じ部署に在籍し続けることもできますが、部署の異動の機会もあります。新入社員の中には、入社後3年で3回部署移動したものもいて、自分に合ったキャリアを探すことができます。このような仕組みにしているのは、人生は一度きりしかないためで、今の仕事に違和感があったり別の仕事に挑戦したいと思ったら次のステージに進んでほしいと思うからです。生活と仕事は一緒ですよ!
今でも私は社内を周り、社員との距離を縮めています。毎年仕事始めに社員と一対一のミーティングをしています。話す内容はさまざまですが、個人のキャリアプランについてアドバイスをすることもあります。たとえば、起業したい人がいれば、私はいつでもアドバイスできる体勢を作っています。これからの時代は、最初に入った会社で生涯働くということ以外に、選択肢がどんどん広がっています。
大学生へのメッセージ
人生100年時代と言われる今、自分の好きなことをした方が良いです。仕事のためのシゴトはしなくていいと思います。そして、第一歩が大事です。これから就職活動をする学生の皆さんには、企業の業務や理念を研究して詳細を知り、入りたいなら全力でアピールをするべきです。人に頼らず、自分の力で自分を売る、ということです。私自身も新たなビジネス展開など、常にチャンレンジしていたいと思っています。
学生新聞2019年10月31日号より(駒沢大学3年 安齋英希/早稲田大学2年 森泉朝陽)
この記事へのコメントはありません。