株式会社MCJ 代表取締役社長 安井 元康

若者は可能性の塊。 限界に挑戦して自分を知れ

株式会社MCJ 代表取締役社長 安井 元康(やすい もとやす)

■プロフィール

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、PC本体や周辺機器を製造販売するMCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に『非学歴エリート』(飛鳥新社)、『極端のすすめ』(草思社)等がある。

新卒で入社し、上場に携わったのちに退社、その後 10年の時を経て再入社し、 年で社長にまで上り詰めた安井氏。その圧倒的な結果は、人並外れたストイックさに裏打ちされたものだった。今回は、そのストイックさの原点である安井氏の学生時代も振り返りながら、働くことの意義を伺った。

 大学時代にやっていたことは大きく分けて3つ。バイト、勉強、人に会うこと、ですね。
 母子家庭であまり裕福ではなかったため、中学生のころからシャカリキに働いていました。勉強は英語、会計、PC関係の 分野を頑張っていました。特に英語に関しては、海外に行くことなく、ネイティブの方と卒なくコミュニケーションをとれるようにまでなりました。やると決めたことはとにかくやりきる性格なので、信号待ちの間も、夜道を歩いているときも勉強していました。「人に会う」に関しては、目上の働いている方とお会いしていました。母子家庭に育ち、働いている男性が身近におらず、働くとはどういうことなのかが全く想像つ かなかったんです。やっぱり目標、目指す姿がないと頑張れないじゃないですか。そのため、そういうロールモデルを見つけるためにたくさんの方とお会いしました。おかげで、何を目指すべきか悶悶としていた時期を抜け出し、「経営者になる」という明確な目標を見つけられました。

■いったん退職、同じ会社に再び入社

 初めからベンチャーに入りたくて、いわゆる王道の就活はせず、バイト雑誌から応募したりしていました。結果マウスコンピューターに入社したのですが、働き始めてからも就活をしていました。  入社してからも、シャカリキに働きました。1日18時間くらい働いていて血を吐いて倒れたこともありましたが、そのときは「やったー」と思いました(笑)。こんなに頑張っているのか、って。最終的には上場に関わるなどし、いったん退社。戦略コンサルタントとして働き、10年ほどおいて、取締役として再入社。  再入社した理由は、当時の私にとって一番チャレンジングな環境がMCJだったからです。当時、業績が横ばいで、そこから右肩上がりに成長させたかった。外から見ていて、一つのテーマというか、成長の方向性がなかったので、それを作ろうと入社しました。 最初の2ヵ月はそこに専念し、1年後に社長に就任。当時の会社になかった役割を持ち込み、それをしっかりと果たしたことが評価されました。

■ともに働く人に求めたいこと

 新卒の方なら、好奇心が旺盛な人ですね。あらゆる行動や努力の源は好奇心です。とりあえずやってみる、言ってみるというのが大事。行動と思考の足かせを外し、とりあえずやってみることが一番大事なんです。言ってくれないと、何がわからないかもわからない。間違ってもいいから、とりあえずやってみましょう。
 中途の方では、何かスペシャルな面がある方ですね。新規プロジェクトが立ち上がってメンバーを集めるときに、「営業はこの人に任せよう」「マネジメントはこの人に任せよう」といった感じで、プロジェクトに必要な能力を要素化して、人を集めていくんですね。そのときに、「あれ?この人は何ができるんだっけ」となったら終わりなんです。
 逆にエッジの効いた人、「この人といえばこれだよね」というものを持っている人にはもう一度会いたくなります。

■常に複数の選択肢を持ちたい

 ここまで頑張れる理由は、コンプレックスがあるからですね。家庭があまり裕福でなかったこともあって、若いころ、あまり選択肢を持てなかったんですよ。それがコンプレックスになったので、35歳までは、常に選択肢を複数持てるように努力し行動してきました。選択肢を一本に絞ってしまうと、苦しくなってくるんですよね。その選択肢が崩れると、どうしようもなくなってしまいます。「人生のプランB」を用意しておくことがとても大切だと思います。

■これからについて展望すること

 個人的には、自分の可能性の限界に挑戦したいですね。周りに対する影響力を強くするとともに、自分のクローンみたいな人も作りたいです。
 仕事面では、特徴のある会社を作りたい。産業という視点からは、この業界は成長産業ではないかもしれません。ですが、その中で特徴のある会社を作っていきたい。具体的には、0から10まで全部自社でやって、ファンを作りたいです。部品の製造や調達から始まり、アフターサポートに至るまで、すべてを自社にて完結させているのですが、これを継続していきたいです。

■message

 若者って、可能性の塊だと思うんですよ。その可能性をどこまで突き詰めていけるか。何かを100%やったという経験をして、初めて自分を知ることができます。そして、若いからこそ限界に挑戦できると思うんですね。
 また、可能性にあふれているからこそ、向かうべきところをしっかり定めないと、四方八方に発散してしまって、結局何にもならなくなってしまいます。明確な目標を一つきちんと定めて、持てる力を全てそこに投入して頑張っていただきたいです。

学生新聞2020年10月号 慶應義塾大学 4年 小川淑生

専修大学 4 年 石岡慶也/関西学院大学 4 年 前川友吾/慶應義塾大学 4 年 小川淑生

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