株式会社SBI証券 専務取締役 小川 裕之

お客様の喜びや安心のために、まず身近な人を幸せにする

株式会社SBI証券 専務取締役 小川 裕之(おがわ ひろゆき)

■プロフィール
1998年、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。NTTドコモに出向時、携帯電話を使った新たな決済サービスの立ち上げに携わる。2005年、伊藤忠商事入社。その後、GMOクリックホールディングスを経て、2013年SBI証券入社。経営企画部長、執行役員を経て、2017年に同社取締役就任。2020年に常務取締役に、2021年に現任である専務取締役に就任。

証券業界でトップの利用者数を誇る株式会社SBI証券。1999年の創業以来「顧客中心主義」を徹底し、多くの投資家から支持されている。「お客様の喜びや安心のために、まず身近な人を幸せにする」と語る小川専務取締役。自身のキャリアの変遷や仕事に向き合う姿勢についてお話を伺った。

大学時代は物理学を専攻しました。進級率の低い、厳しい学科だったので、勉学一筋で本当に苦労したことを覚えています。一方で、高校時代は課外活動に力を入れていて、生徒会長と応援団の団長を務めました。応援団では、ひたすら練習に打ち込む日々を送りました。応援団の練習は厳しくて大変でしたが、礼儀作法や胆力が身に付きました。
応援団の活動をしていく中で、同期のため、後輩のために何かを残したいという思いが募り、応援歌を作ったことが今のビジネススタイルにもつながる成功体験となっています。それまでにも応援歌はありましたが、しっかりと歌い継がれてはいませんでした。
そこでどうすれば後の代まで歌い継がれるのかと一生懸命に考えた結果、「自己満足だと未来に残らない。人を巻き込んで自分事にすれば未来につながる」という考えに至りました。

■大切なのは人と人のつながり

学生時代の一番の悩みは就職活動でした。自分のやりたいことが分からず、さまざまな業界を見るために、200社ほどの企業の方にお会いしました。最終的には高校時代に応援歌を作ったときのように、人と触れ合い、人を巻き込んで何かを作り上げていきたいと考えて営業職を選びました。中でも多くの企業と取引をする銀行業界で、さまざまな企業や人と出会いたいと考えて、ご縁もあって三和銀行(現、三菱UFJ銀行)に入行しました。3年経ったころに、当時iモードの立ち上げ期にあったNTTドコモに出向し、アライアンスで大きなビジネスの立ち上げに携わりました。三和銀行に戻った際も、新規ビジネスを担当し、携帯電話と金融を絡めて何かできないかと考えていました。
数年後、UFJ銀行と東京三菱銀行の合併により、自分の得意分野であった新規事業の立ち上げができなくなってしまいました。このことがきっかけで伊藤忠商事に転職をしたもののネットリテールに関わりたいという思いが募り、GMOクリック証券へ転職。その後、弊社社長の髙村と縁があり、今に至ります。人とのご縁でいろいろな経験ができたと思っています。

■素直で謙虚な姿勢で向き合う

会社の組織において最も状況を把握しているのは現場を一番分かっている若い人なので、正しい情報を上げてもらうための環境作りを心掛けています。役員室などは設けず、物理的にも距離を近づけ、話しやすい環境で仕事をしています。このような環境なので部下の成長が目に見え、部下の成長や成功が自分のことのように嬉しく、自分のやりがいにもなっています。また、彼らには常日頃から素直で謙虚な人を目指そうと伝えています。グループトップの北尾から出されるSBIグループとしての戦略や方向性のヒントに対してしっかり勉強してみることで、新しい分野の知識を吸収できればビジネスや自分の幅を広げることができます。それをチャンスと捉えて食らいついていくことで、そのビジネスの第一人者になることができます。素直さと謙虚さが仕事上のヒントやチャンスに直結し、会社全体としても成長できるのです。

■さまざまな方面にアンテナを張る

SBIグループは、新しいことに対しての感度が高く、若手の意見を聞き、積極的に取り入れることがカルチャーとなっています。私もさまざまな方面にアンテナを張っていますが、単にアンテナを張るだけでは意味がありません。得られた情報をいかに活用するかが価値の源泉となります。
とくにアライアンスにおいては、一般消費者だけでなくビジネスパートナーもお客様であり、お客様に何か付加価値を提供することができないかという観点から、得られた情報をどうアウトプットできるのかを常に考えています。
SBIグループでは、さまざまな業界の企業と提携しWin – Winの関係を築く「オープンアライアンス」を推進しています。顧客中心主義を掲げるSBI証券としては、お客様が喜ぶことはすべて提供したいと思っています。
これまでネットリテールビジネスに携わってきて、自分の考えたモノやサービスを身近な人が利用することも増えてきました。身近な人を幸せにできないと、より多くのお客様を幸せにすることはできないと考え、まずは身近な人を幸せにできるようなモノやサービスを届けていきたいです。

*message*

勉強しているときはもちろんのこと、趣味や遊びに時間を使うときにも自分の頭で一生懸命に考えることが大切です。学生のうちにさまざまなことを経験し、将来にどう活かすのかを考えれば、それは失敗したことも含めて人生の糧となります。何も考えずに学生生活を過ごすのは時間がもったいないです。自分の意見を持ちつつ、いろいろな人と関わることが大事です。自分を成長させ、将来につなげるために、学生のうちに何ができるのかを一生懸命に考えてください。

学生新聞2022年10月1日発刊号 明治大学4年 酒井躍

日本大学3年 石田耕司/関東鍼灸専門学校3年 竹原孔龍/明治大学4年 酒井躍/日本女子大学4年 神田理苑/津田塾大学4年 大川知

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