HJ ホールディングス株式会社 代表取締役社長  於保浩之

先々に残るものをつくるために止まることなく進み続ける

HJ ホールディングス株式会社 代表取締役社長 
於保 浩之(おほ ひろゆき) 

■プロフィール

1985年青山学院大学卒業後、日本テレビ放送網(株)へ入社。営業局勤務を経て、1994年にスポーツ局でゴルフ中継等スポーツ番組制作を担当。その後は2001年人事局人事部、2004年に再び営業局、2007年編成局制作推進部に勤務。2011年から勤務した社長室企画部でHulu日本事業の買収を担当し、交渉成立の2014年からHJホールディングス勤務。

新型コロナウイルスによるステイホーム期間に、配信コンテンツの一部を無料開放したことでも話題になったHulu。日本テレビの社員として様々な経験を積み、Huluの社長となった於保社長だからこそ感じている、社長としてのあるべき姿とは。社長のこれまでの歩みや考え方、これからを語ってもらった。 

 学生時代はアルバイトに明け暮れていましたね。スーパーのチーズ売り場で働いていたころはチーズ屋さんに就職しようかと思っていたこともありました。しかし、アルバイトをする中で、偶然、日本テレビの方と縁があり、テレビ局でアルバイトを始めました。それが、この業界で働くようになったきっかけです。
 当初は、テレビ業界への興味はなかったのですが、スポーツ中継のアシスタントとして働くうちに、人に様々な影響を与えるテレビの面白さに目覚めて、日本テレビに就職することになりました。
 しかし、就職して最初に配属されたのは営業部でした。スポーツ中継がやりたくて入社したわけですから、不満がなかったわけではありません。ただ、人事部の方に「スポーツ部でアルバイトをして、このまま新入社員としてスポーツの担当になっても、アルバイトの延長になってしまう。ほかの仕事も経験してから担当した方がいい」と言われた ことは今でも覚えていますし、今考えてみると、とても良いアドバイスを言ってくださっ たと思います。 
 営業部でみっちり9年働いた後、スポーツの担当になりました。念願のスポーツ担当として働いた7年は本当に楽しかったですね。その後、人事部、営業部、管理部、社長室、と様々な部署で経験を積ませてもらったのち、放送した番組を外部に販売する部署と一緒に、当時アメリカ資本の Hulu と日本事業の譲渡を交渉することになりました。 無事、交渉が成立した後に、「交渉に携わったのだから」と大久保社長(現会長)に推されて、経営経験のない私が、気が付いたら社長として社員の前で挨拶していたわけです。 

■自分がいなくなってから評価される人でありたい

 私の根本にある思いは「先先に物を残したい」ということです。そのためには、短期的に考えた中で、今、一番いいことを選ぶのではなく、将来のことを考えて長い目で見たときに最も良い選択をするべきだと思っています。常にそれを意識して、先に何かが残るように考えて行動しています。それが結果になったときが一番うれしいですね。
 例えば、スポーツ担当だった際に、ゴルフトーナメントの運営をやる機会がありました。来場者のほとんどが大人 のゴルフだからこそ、一緒に来ている子供たちに楽しんでもらい、将来のゴルフ人口を増やしたいと考えて、練習グリーン上でのパター体験のゲームを子供専用にしたのです。 周りには猛反対されました。 しかし、「もしかしたら、参加した子供の中からゴルフの面白さを感じてプロになる選手が出てくるかもしれない、こ れは将来のための種蒔きだ」とやらせてもらいました。
 先を考えて行動をしているわけですから、今すぐの評価には繋がらないかもしれません。社員からの社長の評価は、私がいなくなってから数年後にわかるものだと思いますし、そうであってほしいです。私が社長でなくなってか ら社員が思い返してみたときに「あのときのあれが今につながったのだな、ありがたいな」と良い評価をされるような社長でありたいと考えています。

■めざすのは「とりあえずHulu」

 今の目標は Huluという会社を大きくし、Hulu のサービスを生活に人々の必要なもの、なくてはならないものにすることです。昔の子供が家に帰ったらまずテレビをつけていたり、大人がとりあえずビー ルを頼んだりするように、みなに「とりあえず Hulu」と思ってもらえるようにしたい。
 私たちが提供しているのは 「インターネットを通じた動画配信サービス」という形がない商品なので、売ってしまえば終わりではありません。 永遠に改良のできるものですから、常に止まることなく進み、改善が必要です。だからこそ、一緒に仕事をする人は現状に満足せず、常に向上心を持つ人や、改革心を持って変化できる人であってほしいと思います。私は、しつこくて熱い人、好きですよ!
 これからは、オリジナル作品を増やすなどして、他サービスとの差別化をはかり、契約してくださる人にとって、 月額933円(税別)を払う価値があると思っていただけるものに、また、Hulu を使ってハッピーになっていただけるものにしていきたいです。
 そして、いつか孫ができたら、「Hulu はおじいちゃんが大きくした会社だ」と自慢出来たらいいですね。

■message

 やりたいことに出会えないという人もいると思いますが、今はそれでもいいと思います。逆に様々なことをやれるチャンスがあると考えて、幅広く挑戦してみてほしいですね。
 今は就職が一生を決める時代ではないですし、いろんなことにチャレンジできます。 せっかくなので、それを生かしていってください。そうやって挑戦したことが次の目標に繋がるようないい勉強になっ たり、自分自身の財産になったりしていくのではないでしょうか。

学生新聞2020年10月号 東洋大学 1年 濱穂乃香

慶應義塾大学 1 年 伊東美優/麴町中学校 2 年 佐藤夢奏/東洋大学 1 年 濱穂乃香/明治学院大学 3 年 小嶋櫻子/津田塾大学 3年 北川明日真/中京大学 4年 梶間直人

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