サントリーマーケティング&コマース株式会社 代表取締役社長       佐藤 隆之

与えられたミッションに精一杯取り組む、自分の可能性は自ら閉ざさない。

サントリーマーケティング&コマース株式会社 代表取締役社長
佐藤 隆之 (さとう たかゆき)

1963年東京都生まれ。1987年慶應義塾大学法学部を卒業後、サントリー株式会社入社。2003年神戸大学大学院経営学研究科にてM B Aを取得。入社後は、食品事業部、経営企画、宣伝などさまざまな部署を経て、2017年3月サントリーマーケティング&コマース株式会社代表取締役社長に就任。中小企業診断士、ソムリエの資格も持つ。

角瓶や金麦といった酒類や伊右衛門などの飲料においても人気商品を考案しているサントリーグループ。その一角を担うサントリーマーケティング&コマース株式会社の佐藤社長が、自分を見つめ直して出会った“ものを作る”という仕事。学生時代の不安や、入社後のさまざまな部署での経験を通して感じたことなど、今までの道のりを伺った。

学生時代の不安を経て

学生時代は、家庭教師のアルバイトに精を出していて、友人たちから必殺家庭教師人と呼ばれるほどでした。
家庭教師の日以外はほとんど、誰かとお酒を飲んでいました。バレーボールサークルの練習やゼミの後、そのメンバーや友人との飲み会に参加していました。
私自身、人と楽しく飲むことが好きなこともあり、お酒を飲みに行く機会がとにかく多かったです。お酒は一種のコミュニケーションツールであり、言い換えれば私と友人、仲間をつなぐ架け橋のようなものだったのかもしれません。
楽しい学生時代の一方で、就活を前に将来について不安に思うこともありました。当時、就活は4年生から始める時代で、現在のように大学1年生からインターンや職場見学に参加するということはありませんでした。そのため働くことの実感やイメージがわかず、大学1、2年生の時は「これでやっていけるのだろうか、将来大丈夫だろうか」と感じていました。
その頃、私には特別やりたい職業があるわけではなく、また、自身の力を生かせる仕事が何なのかということも全く分かりませんでした。
そのような不安を抱えながら始めた就活でしたが、当時、金融業や電力関係の仕事が安定していると言われていて、それらの業界のOB訪問を行っていました。しかしある時、そうした業界の仕事は自分のやりたいこととは違うのではないかと思い始めました。なぜかというと、活動を進めていくなかで“メーカー”、いわゆる製造業に魅力を感じ始めたためです。“メーカー”は、商品という実体のあるものを扱います。何かを作るというのは子どものころから好きなことでしたし、そういったこともあり、大きく方向転換し、結果としてサントリー株式会社(現、サントリーホールディングス株式会社)へ入社することとなりました。
サントリーでは、お酒や飲料をはじめ、食品関連の商品を幅広く扱っており、食べ歩きやお酒を飲むことが好きな私にとって、好きなものに接する仕事に関わることができ、やりがいを感じています。

新たなことへ取り組んでいく

サントリーに入社し、営業、秘書部、広報部、食品事業部などさまざまな部署に配属され、多種多様な仕事を経験してきました。仕事もそれぞれ全く違うため、異動する度に初めてやる仕事に必死に取り組みました。それは本当に大変で苦労しましたが、そうしたことを精一杯やってきた、という「達成感」と、それぞれの部署において成果を出してきた、という「自信」につながっているのだと思います。
食品事業部時代には、伊右衛門の商品開発や烏龍茶のブランドマネジメントに携わっていました。しかし、新しい商品を生み出すことが出来ても、売れるのは1000ある中の多くて3商品と言われています。僅かなヒット商品を生み出すためには、地道に良いものを作り続けるという強い意志が必要です。同業他社の商品も質が高いため、商品スペックのみで差別化を図ることは難しく、コンセプトメイクとそのコンセプトを伝えるコミュニケーションの統合を図り、ブランドを確立することが求められていると感じます。こうしたブランディングの支援として、今の会社では主にプロモーション領域で貢献しています。

最も重要な、“人と関わる”ということ

仕事に取り組む中で私は“信頼”という言葉を大切にしています。共に仕事に取り組む職場の仲間たちに対し、どのような仕事であったとしても自信をもって任せられる、言い換えれば一人一人を頼りにできる信頼関係の構築を重視していきたいと考えています。
仕事をしていて、「今後の目標などはありますか」と聞かれることがあります。明確な目標と言うより、強いて言うならば、その都度与えられたミッションとも言うべきでしょうか。目の前の与えられた仕事に、誠実に精一杯取り組み、より良い結果を出せるようにする。それが私にとってのモットーに近いのかもしれません。
現在、新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有の災禍に見舞われていますが、その状況においてもコミュニケーションは大切にしていきたいと思っています。信頼関係を築いていくために、人と関わることが重要です。在宅勤務などの理由で社員との関わりが例年よりも希薄になっているなかで、社員とオンライン飲み会を行う等、できるかぎり交流の機会を設けるように取り組んでいます。

大学生へのメッセージ

大学生の中には、就活に対しての不安や悩みを持つ人が少なからずいらっしゃると思います。悩みがなくて明確な夢がある人は、その夢にむかって突き進んでいって欲しいです。明確な目標がなくやりたいことが見つからない、というような人は、自分は何が好きなのか、それから自分は何が得意で、何が苦手なのかを見つめ直してみてください。一方で、単純に苦手だからという理由だけで諦めることはもったいないようにも思います。私も学生時代まではレポート等文章を書くことがとても苦痛でしたが、会社に入ってから広報部等で随分と鍛えられ、今では苦手意識はありません。受験勉強や学生時代までの経験は、限られたものです。皆さんは自分の知らない能力を秘めているかもしれない。社会に出て学べることはたくさんあるので、自分の可能性を自ら閉ざさないで欲しいと思います。

学生新聞WEB2020年10月28日取材 (明治大学 2年 山本真人)

駒澤大学4年 安齋英希 / 駒澤大学4年 如意太一 / 明治学院大学3年 小嶋櫻子 / 慶應義塾大学1年 伊東美優 / 明治大学2年 山本真人

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