キユーピー株式会社 代表取締役 社長執行役員   長南 収

マヨネーズだけじゃない!国民の健康にコミットする会社

キユーピー株式会社 代表取締役 社長執行役員
長南 収(ちょうなん おさむ)

プロフィール

長南 収(ちょうなん おさむ)

1956年山形県生まれ。1980 年鹿児島大学水産学部を卒業後、キユーピー株式会社に入社。工場、営業本部、営業セールスなどの部署を経て、2001年以降は仙台や大阪、東京などの支店長を歴任。2013年執行役員、翌年2014 年取締役に就任。2017年2月代表取締役社長執行役員に就任、現在に至る。

マヨネーズやドレッシングをはじめ、数々の国民的商品を展開するキユーピー株式会社。その信頼の根底には創始者から受け継いだ理念に誠実に向き合い続ける姿勢があった。2017年に就任した長南社長のエピソードにもその誠実さがにじみ出る。キユーピーの実態、そして今後の展望を伺った。

中学高校とサッカーに打ち込んでいたのですが、大学(水産学部)では先輩からの強い勧誘を受けてカッター部に入りました。入部生が27名だったのが最後には7名まで減るくらい過酷な部活で、手もお尻も血だらけになりながら毎日練習していました。辞めたくて仕方がなかったのですが、辞めると申し出る勇気もなく最後はキャプテンまで務めましたね。 

■たまたま進められた実習がきっかけで入社

水産学部で食品の加工技術を学んでいたので、このまま食品関係の仕事に携わりたいと考えていました。大学4年生になって、就職活動を考え始めていた中、大学の教授にキユーピーのアルバイト実習の紹介を受けました。今でいうインターンシップですね。調布にある研究所で一週間、茨城の五霞工場で一週間、その後本社で面接を受けました。その中でも工場は、非常にアットホームな雰囲気で、地域との繋がりを大切にしている所がとても魅力的でした。最終的に内定をいただいたので、他の企業は受けることなく、キユーピーに就職することになりました。

■豊富な現場経験を経て社長へ

念願だった工場では約6年間勤務しました。工場での人生設計を考えていたので、工場から本社の営業部に異動するように言われたときはショックでしたが、当然断ることもできず、マーケティング室で1年、商品部で1年間勤務しました。その後は前線の営業マンとして初めて大阪の地へ異動となり、その後営業一筋でやってきました。社長に就任したのは、サラダ・惣菜事業の責任者を1年間務めた後の2017年でした。

■日本初の商品を育てていく

キユーピーの強みは“人まねをしない”という所です。マヨネーズ、ドレッシングだけではなく、ミートソースや市販用介護食などといった商品も、国内で初めて製造・販売をスタートしました。お客様の不満があってそれを我々の技術で解決できる場合を除いて、基本的には人様が専業でされている世界に安易に土足で踏み入れないということが、創始者の教えとしてあります。

■伝統的且つユニークな社風

「肩書で仕事をしない」という創始者の言葉から、実は1990年まで社員の名刺に社長含め役職の記載がありませんでした。ですから、新入社員が私を呼ぶときも「長南さん」と呼びます。社長室もなくフリーデスクなので、同じフロアで一人ひとりが風通し良く働ける会社です。また、キユーピーの理念には、当社ならではの社訓もあります。「親を大切にする」という社訓ですが、これは、親が子を想う無償の愛に、当たり前に感謝することができる人であれば自ずと周りの仲間も増えていく、という考えです。

■誠実に物事に取り組み続けられる人と働きたい

学んできた知識がどうこうよりも、正直で誠実であるということがベースにあって、自分の軸をしっかり持って挑戦できる人と働きたいですね。私も学生時代に、辞めたかったカッター部を不器用ながらも愚直にやり遂げたことで、色々な景色を見ることができました。テクニックや上手くやりこなそうというよりは、正直に今ある環境の中で全力で取り組む誠実さがあれば助けてくれる人もいますし、そういう仲間づくりがキユーピーの理念にも通じます。目先の利益よりも、理念と照らし合わせて何が正しいのかを徹底して考える誠実さがキユーピーブランドの信頼ナンバーワンに繋がっているので、そういう姿勢を大切にできる人と働きたいですね。

■サラダと卵で人生の幸せをサポート

キユーピーというと90%の人がマヨネーズを想起するのですが、実はマヨネーズの売り上げは全体の12%くらいしかありません。キユーピーと言ったらマヨネーズ、ドレッシングといった「食卓の名脇役」というイメージがありますが、実は「主役」になれる商品もたくさんあります。業務用の商品には、調味料や調理品の他に、サラダ、お惣菜、タマゴ加工品など、「主役」になれる商品があり、それらを家庭用の世界へ広げることが社長就任以来の一つの夢です。もう一つはサラダと卵を通して世界中に笑顔を届けるということがあります。卵はヒヨコが生まれるのですから非常に栄養価が高く、入っていない食物繊維とビタミンCをサラダで補えば栄養バランスが良い食事となります。日本人の戦後の平均寿命が伸長した理由として、肉や魚、卵等の動物性食品の摂取量の増加が影響しており、卵も健康を支える重要な食材の1つであると言えます。ちなみに、日本人は世界で2番目に1人当たりの卵の消費量が多く、またキユーピーは日本国内の鶏卵生産量の10%も使用しています。だからこそ、サラダと卵で健康をサポートすることで、人生100年時代の高齢化社会を明るくすることが今後のキユーピーの使命なのではないかと思っています。

■大学生にむけてメッセージをお願いします

私の好きな言葉に「良樹細根」があります。良い木ほど、細かい根っこが地中深くまで張り巡らされている。根っこの部分は表面的には見えないけれど、全てはそこに支えられている。稲盛和夫さんが言っているように、「人生や仕事の結果は考え方×熱意×能力」なので、考え方や熱意といった見えない部分を磨くことで、能力を正しい方向へ最大限発揮できると思います。コロナの影響もあり、今は将来に不安があるかも知れませんが、情熱をもって立ち向かってください!

学生新聞WEB 2020年12月17日取材 国際基督教大学 4年 鈴木菜桜

中京大学 4年 梶間直人 / 国際基督教大学 4年 鈴木菜桜 / 日本大学 3年 大橋星南

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