株式会社QLSホールディングス 代表取締役社長 雨田武史

Quality of Life 全ての人に質の高い生活を‼

株式会社QLSホールディングス 代表取締役社長 雨田武史(あめだたけし)

■プロフィール

1977年、千葉県にて産声をあげる。大学時代から就職まで人生の荒波に揉まれながら自信の芯を磨きあげ、2005年に有限会社クオリス(現株式会社クオリス)を設立。その後、株式移転により株式会社QLSホールディングスを設立。時間の経過とともに事業は拡大し、仲間も増え、2023年6月には名古屋証券取引所への上場を果たす。46歳になった今も精力的に活動中。

5つの子会社の経営指導・管理を行う株式会社QLSホールディングス。事業内容は保育、介護・障がい福祉、人材派遣など多岐にわたり、そのベースを支えるのは地域貢献、社会問題の解決といった強い課題意識だ。代表取締役である雨田武史社長に、大学時代から就職、会社の立ち上げ、そして事業拡大までの経緯や想いを伺った。

高校卒業後は、法政大学夜間コースに入学しました。しかし、学べる内容が限られることが窮屈だったため、明治大学昼間コースへの編入を決意しました。その際、昼間コースの試験のためにおこなった勉強が、自分の将来に大きく役に立ちました。当時は、1日10冊のペースで様々な著者の幅広いジャンルの本を読みましたが、多角的な見方を身に付けられた上に、その後の起業や経営につながる基盤が形成され、すごくプラスになったと思います。

学生時代に行ったたくさんのアルバイトも良い経験になりましたね。飲食店のアルバイトではいろいろな背景を持つ人と接する中で、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力の重要性を感じました。私は介護や保育の分野で事業を展開しているので、アルバイトで得た「人との関わりの大切さ」という学びは、現在も役立っていると思います。

■ピンチでも諦めないで挑戦する

就職氷河期世代だったので就職活動にはかなり苦労しました。ご縁があった会社に入社したのですが、しばらく働いてみて、自分の求めている雰囲気とは異なることに気が付きました。会社を辞めようかどうか悩んでいた頃、社内で新規事業立ち上げのための社長募集が行われていたので、せっかくなら挑戦してみようと思い応募したところ、採用され、介護事業の立ち上げ・経営をさせていただくことになりました。ビルの小さな一角から事業を始めたのですが、介護事業に携わったことで地域社会毎に様々な問題やそれに伴うニーズが存在するのだと実感しました。

振り返ると「会社を辞める」のではなく、「社長募集に立候補する」というチャレンジをしてよかったと思っています。その後、会社を辞めて自分自身で起業することになりましたが、介護や保育といった業界を選択したのは、この時の気づきや経験があったからです。

■5つの子会社を軸に行う幅広い事業

QLSホールディングスは株式会社クオリス・株式会社エルサーブ・株式会社ダウイン・株式会社和み・株式会社ふれあいタウンという5つの子会社の経営指導、管理を行っている会社です。主な業務内容は、保育、介護・障がい福祉、人材派遣の3種類に分類されます。もともとは介護事業を中心に展開をしていたのですが、地域のニーズに応え、より充実したサービスを提供するために事業を拡大しました。手掛ける事業が増えたからこその苦労もありましたが、それぞれに共通点や関連性があるので全体としての利便性や柔軟性が高まったと考えています。

幅広い事業展開を行うメリットのひとつは、業界での生き残りに繋がる点です。利用してくださるお客様がいる以上、経営は常に安定させておく必要がある。これは、コロナ禍を通してひしひしと感じたことです。特に私たちのサービスは、人の生活に密着しているため「安定した経営」は非常に大切です。そのため、どの事業に関してもご利用者様の生活を充実させること・地域社会に貢献することを目標に掲げています。

■差別化が難しい中での工夫

実は、保育園や介護施設を差別化するのは、非常に難しいです。どちらも制度的な仕組み上、自由度が低いからです。これは施設の特性のためやむをえないことなので、できる範囲内で工夫することを心がけています。例えば、保育園では、地域によってニーズが異なるため、英語教育や美術の時間、小学校受験向けのプログラムなど独自のカリキュラムを用意しています。すべての子どもたちに質の高い教育を提供したいという想いから始めた取り組みですが、もちろん勝手に追加料金を設定することはできないので全額こちらが負担しています。こうした工夫が結果的に自社の強みになっていっていると思います。

また、私たちは“日本一の給食”を目指しています。味覚の幅は児童期にしか広がらないと言われています。そうした貴重な時期をお預かりしているので、できるだけの経験を提供したいと考えています。具体的には、産地にこだわった原材料の使用、親御さんにも情報が伝わるような仕組みの導入などがあります。自分自身が食の大切さを重要視している影響もあって、日本一の給食を目指すために始めました。これらの取り組みについては、利用者様からも高評価をいただいています。

■従業員の心身の状態にも気を配る

そのほか、私たちが力を注いでいるのは、従業員が働きやすい環境作りです。人様の健康を支える保育、介護の現場では、従業員が心身ともに健康であることが最も重要であると考えているからです。いろいろな取り組みを行っていますが、一例として「ビューティー補助」というものがあり、従業員の美容代の補填をしたりしています。美容に充てる時間を意識することで、自分のために割く時間を増やしてほしい、私生活でも幸せな気持ちになってほしいという想いから始めました。子どもは大人の感情を敏感に感じ取ってしまうものです。どれだけ社員教育を充実させても、従業員がポジティブな気持ちで仕事に取り組んでいなければ有意義な信頼関係は築けません。

■諦めずに挑戦し続ければ、どうにかなる

最後に、学生のみなさんに伝えたいことは、「諦めずに挑戦すること」です。私自身は決して優秀な学生だったわけではありません。就活は思い通りにいかないことの方が多く、会社に入ってからもたくさん悩みました。しかし、出会ったチャンスを逃さないこと、常にやり続けることを意識してきました。学生のみなさんも今後、大変な状況に置かれることがあるかもしれません。とにかくあきらめないでやっていればどうにかなります。その中で自分に何ができるか、よりよい方を目指して努力してみてほしいです。

学生新聞オンライン2023年8月23日取材 上智大学2年 池濱百花

上智大学2年 池濱百花 / 国際基督教大学1年 若生真衣 / 武蔵野大学4年 西山流生 / 専修大学4年 竹村結 / 立教大学4年 須藤覚斗
 

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