段文凝 私が目指すのは日中友好。そのために、今日も発信する

段文凝(だんぶんぎょう)

■プロフィール

中国・天津市出身。大学卒業後、天津テレビ局アナを経て来日。2011年4月よりNHK教育テレビ『テレビで中国語』にレギュラー出演。(2017年3月卒業) 2014年早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース卒業。現在、早稲田大学非常勤講師。NHK WORLDの番組出演、著作家、MC、舞台や映画など、女優としても活躍している。

11年前に来日して以来、タレント、社長、講師など幅広いジャンルで活躍する段文凝さん。いまもなお「日本と中国の友好」をテーマに発信を続ける彼女に、日本に来た理由や活動の中でのやりがい、そして日中友好に対する熱い思いを伺った。

■内気だった子ども時代から一転、日本への留学を決意した大学時代

 いまの私を知っている人には信じられないかもしれませんが、小さい頃の私はとても内気でした。どれほど内気かというと、人前に出ると、顔が真っ赤になって話すことができなかったほど。そんな自分自身のことを、当時の私は好きではありませんでした。そこで内気な性格を克服するために、大学では人前で話すことを仕事とするアナウンサーコースに進学しました。その大学生活を通して私の性格は、内気から一転し、とても外交的になります。いま振り返ってみると、私にとってこの大学生活4年間は、大切な期間でしたね。
 性格が外交的になるにつれ、次第に外の世界を見てみたくなった私は、留学を決意します。どこに行くかを考えた際、頭に浮かんだのは日本でした。私の父が日本で仕事をしていた関係で、もともと幼少期から私は日本に親近感を持っていました。また、『ドラえもん』などのアニメが好きで日本の文化にも興味があったし、日本だと中国から距離が近くて家族が安心できるなどの理由もあり、私は日本への留学を決意しました。
 そうして日本に来た私ですが、来日当初はどこの大学院に通うかも決まっていない状態。さらに言うと、来日時は日本語の勉強をしていませんでした。学校も決まってないし、言葉もわからない。そんな状態で知らない地で一人生きていくことに、当然ながら多少の不安はありました。しかし、それを圧倒的に上回ったのが、経験したことのないことに出会えるワクワク感です。そのワクワク感のおかげで、不安はどこかへと吹っ飛び、留学中はホームシックになることもありませんでした。日本の生活で辛かったことはほとんどありませんが、唯一苦手だったのはゴキブリです(笑)。天津のゴキブリは小さいし飛ばないですが、日本のゴキブリは、大きいし飛ぶ!初めて見た時は本当にびっくりしました。

■「日中友好の架け橋」に私はなりたい

 中国と日本という二つの国が好きだからこそ、私はずっと日中友好をテーマに掲げて活動しています。そして、自分自身が日本人と中国人を繋ぐ架け橋になりたいと強く思っています。まだまだ目標の途中ですが、活動のなかで、自分が架け橋として役に立ったと感じる瞬間は、達成感がありとても嬉しいです。例えば、私は早稲田大学で短期留学の引率をすることがありますが、学生さんから「留学を経験して、もっと中国のことを知りたくなったので、中国に長期留学することを決めた」と言ってもらえた時は、大きな達成感を感じます。他にも、いま中国語を勉強している人たちから、「段さんが昔出演していた『テレビで中国語』は、とても勉強になりました」と言われた時も本当に嬉しかったです。
 日中友好をテーマに活動している私ですが、より深く日本と中国に関わりたいと考えた末、昨年6月に「Goodwill Pictures」という会社を設立しました。突然ですがみなさん、北海道のお土産と言われて何を思い浮かべますか?「パッと頭に浮かぶ有名なお菓子もたくさんあります。でも、北海道には他にも沢山の魅力的な商品があります。「Goodwill Pictures」では、日中友好の一環として、地方にある魅力的な商品を、中国と日本にネットで発信、販売しています。これからも日本のことを中国に、中国のことを日本に発信し、日中友好の架け橋になれるように活動を続けていきます!

■人のためではなく、自分のため

 仕事をしていく中で、大変だと思ったこともたくさんありました。それでも活動を続けられたのは、誰かのためではなく、私自身が本当にやりたいと思うことをやっているからだと思います。私の親は医者で、私が跡を継ぐことを望んでいました。でも、私は親の跡を継がずに、日本に来てタレントとして活動しています。いまの私があるのは、親のために医者になるという選択肢を取らず、自分がやりたいと思うことを続けた結果です。
 また、自分のやりたいことを続けることは、自分にとっての楽しみや続けるモチベーションへと繋がります。いま振り返れば、これまでの人生は「自分が楽しいかどうか」を基準に、仕事をしてきたようにも思います。そのおかげでいままで仕事を続けることができていると思いますし、いまやっている仕事も毎日とても楽しんでいます。

■何をするにもモチベーションを大切に

 生きていれば嫌なことが続く時もあります。そんな時は未来を信じ、諦めない心を忘れないでください。諦めたらそこで終わりです。いまがどんなにダメでも、自分のやりたいことを見つけ、やり続けること。そうすればいつか必ず報われる時は来るはずです。
 ここからは中国語を学んでいる方へのメッセージです。「中国語は日本語と漢字が似ているから簡単なのでは」という理由で、中国語の勉強を始める日本人の方は多いです。しかし、途中で挫折してしまう人が多いのも、また事実です。この挫折は学校の単位のためだけに中国語を学んでいる人に起こりやすい気がします。「授業のため」以外に勉強するモチベーションを探してみてください。「『三国志』が好き」「中国人の彼女を作りたい」「現地で生活していくため」でも、モチベーションは何でもいいです。モチベーションさえあれば、どんなことでも続けることができます。私も日本で生きていくために日本語の勉強を頑張りました。辛い時期を乗り越えたら本当にいい景色が見えるはずです。大学生のみなさん、頑張ってください!

学生新聞WEB 2021年2月16日 法政大学1年 鈴木悠介

法政大学1年 鈴木悠介 / 津田塾大学3年 川浪亜紀 / 津田塾大学2年 宮田紋子 / 共立女子大学3年 北之原真奈

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。