サンマリノ共和国

日本の国柄と文化に魅せられて

マンリオ カデロ 閣下

■プロフィール

日本滞在歴約40年に渡り、神道に深く精通し、2014年6月サンマリノに日本の神社が建立された際には日本サンマリノ友好協会と共に尽力。
日本の良さ、文化を広く発信し、書籍も執筆されている。
『だから日本は世界から尊敬される』『世界が感動する日本の「当たり前」』(共に小学館新書)。最新刊に『良いマナーで良い人生を!』(勉誠出版)

イタリアの中東部に位置する、大自然に囲まれた面積61平方キロメートルの美しい国、サンマリノ共和国。そのサンマリノの駐日大使であり、各国の駐日大使の代表である駐日外交団長も兼ねるマンリオ・カデロ大使に、ご自身のこれまでの道のり、日本やサンマリノの魅力について語っていただいた。

■ジャーナリストから、大使、そして駐日外交団長へ

 私は、学生時代はあまり勉強熱心とはいえませんでした。数学が苦手で、好きな教科である歴史や言語ばかり勉強するマイペースな学生でした。子供の頃から「ワシントンってどういう意味なの?」「O Kやチャオ(イタリア語の挨拶)の語源はどこからきたの?」というようにさまざまな言葉のルーツに興味があり、大学では語源学を専攻しました。ドイツ語、ポルトガル語、フランス語など、いろいろな言語も勉強しました。当時、日本語はあまり勉強していませんでしたね。大学卒業後はジャーナリストになり、イタリア新聞社で日本特派員として仕事をし、日本に移住してキャリアを積みました。ジャーナリストの仕事は、ジャンルを問わず幅広くいろんな方を取材でき、とても面白かったです。ドイツ人のスパイや女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した日本人の登山家など、非常に興味深い方を取材する機会もありました。
 そうして26年間、ジャーナリストの活動を続けてきたのですが、記事の締め切りに追われる日々で、体力的にきついと感じるようになりました。そんな折、サンマリノに訪れた際に駐日本サンマリノ共和国の領事をしないかというお話をいただいたのです。私はジャーナリストも領事もそんなに変わらないだろうという気持ちで、このお話を引き受けました(笑)。それから10年以上領事をし、2002年に日本初のサンマリノの特命全権大使となりました。今では、最も駐在の長い大使として、日本に駐在する各国大使の代表、駐日外交団長も務めています。大使の最も重要な役割は、国と国を仲良くさせることです。自国のみを自慢したり、何か1つのことを主張し、強い意見を出したりしないよう、気を付けています。それぞれの国のバランスを取ることが必要なのです。

■日本の魅力

 私が日本に興味を持ったきっかけは、パリ大学で日本人の友人ができたことでした。彼は私のクラスメイトで、当時のオランダ最高裁判所の裁判官の息子でした。彼から日本のことを教えてもらい、昭和天皇の御生誕の祝日に日本の大使館に連れて行ってもらいました。着物を着た日本人がたくさんいて、美味しい和食と日本酒を頂きました。日本人は頻繁にお辞儀をし合っていて、マナーが良く真面目でとても魅力的に感じました。  
 日本の良いところは、日本人の人柄だけではなく文化にもあります。例えば、日本の宗教の1つである「神道」は素晴らしい日本の伝統文化です。実を言うと、私は神道を宗教とは捉えていません。私は神道には「エコロジー」と「平和」という素晴らしい日本の哲学が含まれていると考えます。女性神天照大御神が頂点となり世の中を平和にまとめ、八百万の神が空、海、魚など万物に宿ることで、自然は特別な意味を持つのです。現在、日本には外来の宗教であるキリスト教の教会がいくつもありますが、数年前までヨーロッパには神社は一つもありませんでした。ですから私は、2011年の東日本大震災の犠牲者を慰霊するためと、サンマリノに神道という大切な日本文化を残すために、日本サンマリノ友好協会と共に、2014年にサンマリノに神社を創建しました。ヨーロッパ初の神社がサンマリノに創建されたことは、今でも私の1番の自慢です。

■サンマリノ共和国の魅力

 サンマリノは世界で5番目に小さな国で面積は61㎢、世界最古の共和国です。街のほぼ全体が世界遺産に登録されており、街のいたるところに歴史的・文化的価値の高い史跡が残っている魅力あふれる国です。人口は約3万人と少なく、軍隊もないため、税金を多く課す必要がありません。料理も美味しいですし、治安も良く、消費税はゼロ、国民健康保険も100%保証され福祉も手厚いため生活しやすい、おまけに博物館が5つあって退屈もしません。私にとって、サンマリノは理想的な国です。
 また他国と比べて、政治の仕組みに特徴があります。サンマリノでは半年ごとに国のトップが二人ずつ交代します。政権が長期化することで不正が起こるのを防ぎ、国民により多くの政治参画のチャンスを与えるためです。政治家はそれぞれ本業を持っているのも面白い点ではないでしょうか。国民が国内問題を一番よく知っているというわけです。

■大学生へのメッセージ

 ぜひ日本文化をよく学んでください。自文化を学ぶと、今まで知らなかった自分たちのルーツの素晴らしい側面を知ることができ、とても驚かされることがあるでしょう。例えば、皆さんは今では世界中の国家になくてはならない「国旗」の起源をご存知ですか?実は、1300年以上前、日本の文武天皇が朝日の登る光景を見て、赤い太陽と白い空を「日の丸」として表現し作ったところから始まったのです。
 自文化を理解して、知識と教養を蓄えてください。そして、いつか自分が外国に行った時に、自分が驚かされた自文化の知識で、外国の皆さんをびっくりさせてみてください。

学生新聞オンライン2021年2月8日取材 津田塾大学 3年 脇山真悠

津田塾大学3年 脇山真悠 / 津田塾大学1年 佐藤心咲 / 津田塾大学2年 宮田紋子 / 早稲田大学3年 原田紘志

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