公明党衆議院議員 古屋範子

意志ある所に道はあり。志を持って動けば、社会は変わる

公明党衆議院議員 古屋範子 (ふるやのりこ)

■プロフィール

1956年 埼玉県浦和市(現在のさいたま市)生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
公明党副代表。同女性委員長。元厚生労働副大臣。元総務大臣政務官。
2003年 比例区南関東ブロックより初当選。現在6期目。高齢者虐待防止法、肝炎対策基本法などの成立に尽力。党女性委員長として、女性が輝くことのできる環境の整備に取り組んでいます。防災士。

声を上げて政策を打ち出していく議員が居なくなってしまうことや、政策が後退してしまうことはあってはならないと語る古屋範子さん。アレルギーや、貧困、ワクチン接種、認知症など多くの法律制定に尽力してきた経緯とお話を伺った。

■勉強意欲が人一倍あった学生時代

私は、早稲田大学の第一文学部英文学科を卒業しました。大学1,2年生の頃は第二外国語のフランス語に苦しんだ思い出があります。授業数がとても多いのに内容も難しい。特に苦労したのは、動詞の変化ですね。また、教員にも憧れがあったので、教職課程も履修をしていた上、語学研究所に行って授業も受けていました。勉強意欲は人一倍多い学生だったように思います。
大学1、2年生の頃は、全国を旅するサークルに入っていました。旅をすることで、各地の風情や、全国にある日本の良さを体感することができました。今でも全国各地にある美術館に立ち寄ったときには、絵を前にして「絵と向き合う時間」を作ります。その時間は自分にとって大切な「豊かな時間」ですね。
学生時代は政治家になろうとは、はっきりと考えていなかったです。ただ、「爪痕のようなものでも良いから、社会のために何かをしたい」という気持ちがとてもありました。そのため、よく社会問題について議論をしていた学生だったと思いますね。

■子育てや地域への活動から、議員の道へ

大学卒業後は、以前から興味を持っていた出版関係の仕事に就き、本の宣伝とかポスターを作ったり、本の作成に関わったりしながら社会人としての仕事をスタートしました。具体的に社会のために何かをするとまではいきませんでしたが、「仕事を一生懸命にやる!」と決め、取り組んだ20代でした。
その後20代の後半で結婚し、30代で出産。また、引っ越しなどにも直面し、生活にいろいろと変化がありました。そこで仕事をいったん辞め、地域での公明党の党員活動に取り組んでいくことになりました。自分にも子どもがいるため、子育てや子どもの健康、アレルギー疾患の問題などに関心を持ち、活動をしておりました。「2003年に衆議院の候補にならないか」というお話をいただきました。自分にとっては青天の霹靂でしたが、幸いにも夫の後押しもあり、決意をして政治の世界に飛び込むことができました。
政治家になって18年。あっという間でしたが、家族やスタッフの暖かな支えがあったからこそ、今までやってこられたなという思いがあります。

■現在、2人に1人がアレルギーに悩んでいる

当時、NPOをはじめとする民間の方や専門の方と14万人を対象にしたアレルギーに関する調査活動なども行っていたため、国会議員になってからすぐに取り組んだのが、アレルギー疾患対策です。そのときの調査では3人に1人が何かしらの疾患で悩んでいたことが分かりました。しかし、その状況は悪化しており、2人に1人に近い人々が、特に若い世代を中心にアレルギー疾患で悩んでいるという結果が出ていました。
そのため、まず学校や保育所でどうアレルギーについて対処したら良いかというガイドラインを作りました。さらに、アレルギーで怖いのが、アナフィラキシーショックを起こして死に至ることです。このアナフィラキシーショックを起こしてしまった際には、エピペンという薬を注射することが大事なので、エピペンの保険適用や舌下免疫療法の保険適用の政策を行いました。また、法律があれば永続的に実施されていくので、アレルギー対策疾患基本法の成立に向けて、4年を費やして粘り強く取り組み、成立させることができました。

■議員になってからずっと取り組み続けたワクチン政策

また、議員になってから十数年間ずっと取り組んできたのが、ワクチンの政策です。日本はワクチン行政の後進国だと言われており、先進国とのギャップは20年以上開いていました。

そこでまず、取り組んだのがワクチンの定期接種化です。任意接種の場合は自己負担となり、1回の予防接種に高額の費用がかかります。その金額を自己負担するとなると、子育て世代にはとても大きな額になり、金額が払えない家庭では子どもにワクチンを打たせたくても打たせられないという状況が生まれていました。
ですが、定期接種化すれば、自己負担なくみんなが接種できます。そこで、細菌性髄膜炎を防ぐため、子どもを守るためのヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化をできるようにしました。その後、水疱瘡、B型肝炎、高齢者の肺炎球菌ワクチンと定期接種化を可能にし、多くの方にとても喜んでいただけるようになりました。
また、教育も、私にとっては大きなテーマです。子育ての基礎になるのが教育です。だからこそ、より多くの人が自分の受けたい教育を受けられるようにするべきだと思っています。いま振り返ってみると、当時教員の勉強をしたことは、今の私にも非常に役に立っていますね。これまでにも誰もが希望する教育を受けることができるよう、子どもの貧困対策にも力を入れ、そして2013年に「子どもの貧困対策推進法」を成立させました。経済的な格差が教育の格差に繋がってはいけないし、貧困の連鎖は断ち切っていかなければならないと感じています。

■認知症問題は医療や介護だけの問題ではない

ここ5年は認知症の問題に取り組んでいます。認知症によって、毎年多くの行方不明者が出ています。認知症は、医療や介護の問題だけでありません。自分の預金が分からなくなってしまったり、お店に行って買い物ができなくなってしまったりと、生活全般に通じ深刻な問題です。駅に行って道が分からなくなってしまうとなれば交通機関の問題でありますし、小売店や自治体の課題もあるため、もはや、一省庁にとどまる話ではないし、警察や企業にも大きく関わってもらわなければなりません。
そこで、こうした総合的な政策が必要だということで、相当厚い提言を2度にわたって作り、政府に提出をいたしました。これにより銀行の窓口の取り扱いなどにも具体的な変化が生まれたりしました。また、認知症基本法の法律を作り、自民党に呼びかけて与党で国会に提出をしました。現在継続審議中で、今後、国会での成立を目指しています。少しずつでも社会が良い方向に変わってきていることを嬉しく思いますし、今後も、より良い共生社会を作るための法律制定に向けて、引き続き頑張っていきます。

■志を持ち続ければ、道は開ける

学生さんたちには、生涯にわたって志を持って欲しいです。前へ進むことを忘れないでください。もし、仮に志が果たせるような職業に就けなかったり、そういう立場でなかったりしても、大切なのはその中で前を向いて進んで行くことです。志を持ち続けてれば必ず道は開けると思います。「意志ある所に道はあり」という言葉を、ぜひ胸に刻んでください。

学生新聞オンライン2021年3月2日 取材 日本大学 3年 辻内海成

日本大学 3年 辻内海成 / 津田塾大学 1年 佐藤心咲 /津田塾大学 2年 宮田紋子 / 文教大学 2年 早乙女太一

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