山谷花純 続けた先に見える景色を楽しみに、今を頑張る
■プロフィール
1996年12月26日生まれ。宮城県仙台市出身。
2007年、エイベックス主催のオーディションに合格、翌年ドラマ「CHANGE」でデビュー。
映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(西浦正記監督/2018年)では末期がん患者役に丸刈りで臨み注目される。
主演映画『フェイクプラスティックプラネット』がマドリード国際映画祭2019最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。
映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』『さくら』や、舞台彩の国シェイクスピアシリーズ『ヘンリー八世』『終わりよければすべてよし』などに出演。
10月15日配信開始のFODオリジナルドラマ『私の正しいお兄ちゃん』にヒロインとして出演する。
宮城県仙台市からエイベックスの全国オーディションを勝ち抜き、そこから女優へと歩き出した山谷さん。学生の頃は、新幹線が仕事との切り替えスイッチだったという。「自分の心にも、演技にも嘘をつかない」ことを信条とする彼女のこれまでの軌跡の裏側と、ドラマ「私の正しいお兄ちゃん」の見どころに迫る。
■わからないことをわからないままにしない!
子どもの頃から、人前に出ることは躊躇しないタイプで、疑問を疑問のままにしておくのではなく答えを見つけようとする子でした。例えば、国語のテストで、「この物語を読んだ感想を書きなさい」と問題で回答がバツになったことがありました。感想に正解・不正解があることがどうしても納得いかず、先生に直談判して丸にしてもらったことがあります(笑)。大人相手でも物怖じせずに疑問があると聞きに行くタイプでしたね。
また昔からテレビが好きで、学校でもみんなの前で「テレビに出たい!」と言っていました。当時、テレビはすべて生放送だと思っていたので、出演者の方たちがCMで違う姿になることがすごく不思議でした。自分がテレビに出ればその謎が解けるのではないかと思い、テレビに出たいと興味を持ちました。そして、私の発言を覚えてくれていた担任の先生がエイベックスの全国オーディションのことを教えてくださり、合格をきっかけにこの業界に入りました。
このお仕事を始めた頃は、他の子役の子と上手くコミュニケーションがとれず、テレビの世界なんて知らなきゃよかった、早く仙台に帰りたいと泣いていたことがありました。しかし、その後、初めて親元を離れてロケに参加したことがきっかけで、共演者の方と仲良くなれるかもと思い、挨拶や台本の読み方などを教えてもらう中で、徐々にお芝居が面白いと思うようになりました。映画『告白』の現場では、初めて大人の人に子どもとしてではなく対等に扱ってくれた瞬間を感じ、とても嬉しくなりました。また年齢や立場に関係なく、ものづくりにおいて、良いものを作るという同じ目標を目指していることが輝いて見えて、もっとお芝居がうまくなりたい、勉強しなきゃと思いましたね。
■続けることで見えたもの
『劇場版コード・ブルー』も自分にとって大きな作品でした。21歳の頃、周りの友達が結婚や出産、就職など状況が変化していて、自分自身もこのままでよいのかとわからなくなっていました。最後にこれでだめだったらやめようと思い挑んだ作品でしたが、オーディションに受かることができました。撮影は大変でしたが本当に楽しくて、役と一緒に戦って、大人になった自分で再スタートできたような気がしました。物語を通して、人生には限りがあるということを教えてもらい、もう一回頑張ってみようと背中を押してもらえました。
このお仕事は本当に全部つながっているんですよね。続けないとわからないようなことがたくさんあります。10年前にオーディションで出会った人に「あの時よかったよ」と言ってもらうことがあって、続けていたからこそ、再会があり声をかけていただける。そういう嬉しいことがたくさん散りばめられている仕事だと思います。辞めるのは簡単。続けるのは大変だけど、そんな些細な嬉しい出来事がまだあるかもしれないという希望があります。
■目標にしていたドラマでのヒロインを演じた『私の正しいお兄ちゃん』
以前、「ヒロイン役は絶対にできない」と言われたことがあって(笑)。それが本当に悔しくて、いつか絶対にヒロインをやってやる!と思っていました。こういう負けん気は自分の中の一番の原動力かもしれません。
こうして念願のヒロインを演じる機会をいただき、とても嬉しかったです。
私が演じるヒロイン「理世」は、本当にまっすぐで優しい健気な子です。演じながら、自分自身が浄化されていくような気がしました。孤独と戦って誰よりも傷つきながらも乗り越えていく、そんな理世を濁りなく綺麗なまま伝えるにはどう表現したらいいのかということをすごく考えました。また漫画で読んでいることをいざ演じてみると恥ずかしかったりして、ラブストーリーの難しさも感じましたね。
この作品は「眠る」というキーワードあるのですが、主演の古川雄大さんと並んで寝るシーンがあります。寝ていて起きあがろうとした理世を古川さん演じる海利が引っ張って耳元で囁くというシーンがあるのですが、すごくドキドキして(笑)。これは私じゃなくて役に言っているんだ!と自分に言い聞かせました。この作品で1番ドキドキするシーンはここだ!と古川さんと話し合ったシーンでもあるので、ぜひ見ていただきたいなと思います。
王道のラブストーリーというだけではなく、サスペンス要素もあり、何気ない風景を自然に見せるような素敵なシーンもあり、親子で楽しめる作品だと思います。恋人との信頼関係や家族の大切さなど、みなさんと一緒に成長できる作品だと思うので、大学生のみなさんにもぜひ見ていただけたらと思います。
■今できることを一生懸命頑張る
演じるにあたり、「嘘をつかない」ということはどの作品でも大切にしています。台本はあくまでも教科書であって、何でこのセリフが出てきたのか、どうしてこういう行動になったのか、なんで泣いているのかなど考えるようにしています。セリフの語尾やセリフそのもの、言葉使いなど、疑問を持ったら早めに解決するようにしています。いろんな選択肢を用意して、でもカメラの前に立ったらそれらはすべて忘れて相手の前で思ったことを表現する。相手とのキャッチボール、その場で起きたリアリティを大切にしていきたいと思っています。
先日、吉田鋼太郎さんから「努力しなさい、天下取りなさい、俺も頑張るから。」と言葉をいただきました。演者はドラマの人、舞台の人、映画の人と出演している分野で分けられることが多いように思います。欲張りかもしれませんが一つの分野にこだわらず、全て平等に求められて、役を任せることに信頼してもらえる女優になりたいです。だからこそ、今は勉強して、努力を積み重ねていきたいと思います。
■大学生へのメッセージ
今はコロナ禍で友達と会えなかったり、行きたいところに行けなかったり、本当は乗り越えられる壁もすごく高く感じる時代だと思います。でも、今踏ん張れば夢って叶うかもしれないし、次のステップに行けるかもしれません。先のことは誰もわからないし、考えても不安になるだけです。今を頑張っていれば、自ずと結果がついてくるはずです。気負いすぎず今を楽しんでほしいです。
学生新聞オンライン2021年9月7日 津田塾大学 4年 川浪亜紀
「私の正しいお兄ちゃん」(全8話)
FODにて10月15日(金)より配信スタート
出演:古川雄大、山谷花純ほか
公式サイト:
https://www.fujitv.co.jp/tada-ani/
ストーリーが進む中で次々と明るみに出る真実!
愛すること…憎むこと…本当の幸せとは…
ジェットコースター・クライムサスペンス&ラブドラマ!
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