日本エンタープライズ株式会社 代表取締役社長 植田勝典

お客様と社会への貢献を第一とする経営理念

日本エンタープライズ株式会社 代表取締役社長 植田勝典 (うえだかつのり)

■プロフィール

1962年生まれ。大阪府立大学経済学部を卒業後、1985年にトヨタ自動車株式会社に入社。退社後、1989年に日本エンタープライズを設立。松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)を経て、1997年に日本エンタープライズで営業を開始し現職。

営業開始から24年経った今なお、安定的な経営と社会貢献を継続している日本エンタープライズ株式会社。しかし起業までの道のりは決して楽ではない、様々な障害があったと語る植田社長。そんな社長に、起業までの経緯から社内に根付く気風の要因、さらには社長の経営への考え方などを伺った。

小学生の頃からずっとサッカーに全力を注ぎ、大学でも体育会サッカー部に所属していました。同時に、高校時代からアルバイトも行い、学費は自分で稼いでいました。実は私が16歳の時に経営者だった父親が他界し、その日から自分の運命はガラリと変わりました。それまで恵まれた環境で育ちましたが、それ以降は経済面も含めかなり苦労の多い生活になりましたね。また幼少期から父親の影響もあり、経営にはずっと興味を持っていて、大学では会社法を学ぶゼミに所属していました。大学卒業後は新卒でトヨタ自動車に入社し、電算部という部署で、コンピューターを動かしながらIT関連の仕事を行なっていました。

■起業までの道のり

しかし、トヨタ自動車は家業に入社するため約3年半で退職する運びとなりました。その後家業を継ぐつもりだったのですが、紆余曲折あり最終的に私は無職となってしまったのです。職を失った私は、自分で商売を始めるべく、当社・日本エンタープライズという会社を登記したものの、精神的にも苦しい日々が続き、結局パナソニックへ応募しなんとか入社することができました。そこで7年間勤めましたが、やはり経営者の道を諦めきれず、私が34歳の時にパナソニックを退社し、休眠していた日本エンタープライズをもう一度起こしました。

■長年根付くベンチャー気質

当社の魅力は、会社設立から長い年月が経過し、東証一部に上場してからもなお、ベンチャー気質が社内に根付いている点です。この気風は、一つ目に社長である私が権威的にならず、社員にフランクに接していることが要因だと感じます。私自身決して驕らず、身の丈経営を念頭に置いています。社員の成長の足止めにならない程度にですが、社長室よりも各部署のフロアに足を運んで社員と共に話し合うことも多いですね。とにかく私自身と社員一人ひとりとの距離が近く、コミュニケーションも多いと思います。また二つ目に、毎年若い人材が入社するため、社内の新陳代謝が高まっていることも挙げられます。弊社が新卒採用の際に学生を選ぶポイントは、明るく元気な人、そしてポジティブな人間性です。もちろん知性はあったほうが良いと思いますし、技術面のスキルも評価に値します。しかしそれらよりも、どんな障害や苦労でも乗り越えられる前向きな人を採用したいですね。そして毎年このような若い人材が入社してくれることで、社内にはいつも活気があふれているのだと思います。

■「経営」に対する考え

弊社は人間として、そして経営者としても成長できる土台の整った会社だと自負しています。もちろん私も社長でありながら、社員の成長のために沢山のことを教えますし、社員にとっても意欲があれば何でも挑戦できる環境となっています。やはりビジネスは一朝一夕でできるものでも、センスがあればできるものでもないと思います。私も数えきれないほどの経営に関する本を読んで色々なことを学び、今では会社経営の全てが大好きになりました。経営において1番大切だと思うことが、モノの見方・考え方です。弊社を「スマホアプリを作る会社」と言ってしまえば、それはそれで正しいのですが、重要な点は他にあります。我々はお客様、そしてより良い社会のために日々努力しています。そしてその手法がアプリ制作なだけであって、その積み重ねに利益創出があります。したがって、エンターテインメントとしてのコンテンツに力を入れることも事業運営においては大切なのですが、弊社にとっては社会の動向を把握しながら、どんなサービスがお客様、そして社会に貢献できるだろうか、という視点が非常に重要です。同じ業種でも様々な企業があるように、会社によって経営理念も異なるため、弊社は弊社の掲げる理念に従って事業活動に取り組んでいます。こういった点で、やはりブレないモノの見方・考え方はビジネスにとって大切です。

■変化したマインドセット

私は学生時代から本当に色々な苦労をし、弊社の創業時から「自分は生きているのではなく生かされている。だから生きている間はとにかく“社会のために”」というマインドに変わりました。創業時から毎年欠かさず寄付活動を行なっていることも、根底には私自身の“社会のために”という精神があります。それは社会を担う一員である社員に対しても同じです。ビジネスの学びを通して人生が変わった、という若い社員からの一言は、私にとってお金には到底変えられない価値があるものです。これからも、より多くの若い人々に沢山の学びや経験を与えられる存在になっていきたいです。

■大学生へのメッセージ

学生の皆さん、「やりたいことが見つからない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。正直、やりたいことなんてそう簡単に見つけられるものではないと思います。けれども、「こんな自分になっていたい」、「こんな仕事がしたい」というある程度の方向感は学生の内に見つけておいたほうが良いです。そして、その後は何事にも恐れずやりたいことをやり尽くしてください!何かに恐れてしまい、やりたくてもやれなかったというのは非常にもったいないことです。可能性を最大限に広げられるこの期間を、大切に過ごしてください。

学生新聞オンライン2021年9月28日取材 慶應義塾大学 2年 伊東美優 

慶應義塾大学2年 伊東美優  / 神奈川歯科大学1年 上里眞由

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