株式会社エニグモ代表取締役CEO 須田将啓

ワンチームで世界に通用するブランドを作る!

株式会社エニグモ代表取締役CEO 須田将啓(すだしょうけい)

プロフィール

慶應義塾大学院コンピューターサイエンス修了後、博報堂の戦略プランナーを経て、2004年にエニグモを創業。2005年に「BUYMA」を開始。東証一部に上場。その後、英語版BUYMAを開始、グローバル事業展開。プライベートでは、水戸市活性化のための起業家支援事業・M-Workを設立。アマゾンジャングルマラソン、南極トライアスロン、サハラマラソンを完走。

学生時代から世の中に何かインパクトを残したいと考えていた須田社長。30歳までに起業するという目標を立て、目標どおり29歳で株式会社エニグモを創業した。戦後、日本の会社が世界で名をとどろかせたように、世界に通用するブランドを作って日本を明るくすることが夢だと語った。

 学生時代はサークル活動とアルバイトに明け暮れていまただけでも違和感を感じ取れ
した。20年以上続くイベントプロデュースサークルの10代代表として学園祭の企画運営をし、コンサートにアーティストを呼んだり、チケットを売ったりしていました。アルバイトでは泊りがけで1ヵ月間、漁師の仕事をしたり、ソ
ニーでバーチャル空間の管理人をしたりといろいろな種類の仕事を経験しました。
 研究室を決めるときに、将来どうなりたいかを初めて考え始め、何かしら世の中に爪痕を残したいと思いました。博士として新しい発明やテクノロジーを生み出すか、社長としてビジネスでインパクトを残すかのどちらかだと考え、まずその両方を追求できるコンピューターサイエンスの研究室に入りました。最終的に研究よりもビジネスをやった方が展開が早いと気づいたので、将来は起業することを目標に、ビジネスの道を歩む決断をしました。 

■30歳までに起業するという目標を立てる

 いきなりベンチャーを作るのではなく、マーケティングやユーザー思考をきちんと学んでから起業しようと思い、ビジネスが学べる就職先として博報堂に入社しました。大きな目標がないと、日々の業務に埋もれてしまうと思ったので、入社するときに30歳までに起業すると心に決め、同期にも公言していました。サラリーマン人生でなるべく多くのことを学ぼうと、上から言われたことは全部イエスと応え、がむしゃらに働きました。そのような中でのちに共同創業者となる田中と出会い、意気投合しました。将来の起業のために2人でアイデアを出し合ううちに、田中が今のBUYMA“バイマ“の原案を提案してきたのです。当時、ヤフオクなどでも海外の人からものを買うという取引を行っている人がいたので需要も明確にあると思い、これはいけるなと確信しました。最終的に29歳10ヵ月で株式会社エニグモを創業し、無事30歳までに起業という入社時の目標を達成することができました。 
 会社をやっていくうえでこだわったのは、料理だとクックパットやクラシルを思い浮かべるように、ブランドの服と聞いたらBUYMAと言ってもらえるように、人々のマインドシェアをとることです。最初は世界中のものがなんでも買えるようなサイトにしたいと思っていたのですが、売れる商品の傾向を分析すると、安いマスプロダクトではなく、服のような小ロットで多品種なものが売れることがわかりました。最初に売れた商品もアバクロの香水で、そういったニッチな分野でマッチングを作っていくうちに、今のようなブランドもののファッションへと特化していきました。とにかく海外という軸をずらさなかったことが、結果的に他社との差別化になっています。
 また、創業当時から海外で通用するブランドを作りたいと思っていました。子供の頃、トヨタやソニーが世界で活躍しているのがうれしくて、それが日本人としての誇りや自己肯定感につながつていました。しかし、ここ30年はそういった会社が出てこなかつたと感じています。夢は社員全員とタイムズスクエアで鐘を鳴らすことです。海外で上場するくらいの会社になって、日本を明るくしていきたいですね。最近では、ハーバード大学のビジネススクールで題材として取り上げられるなど、海外でも認知が広がってきています。まずは海外の売上比率を20パーセントにすることが目標です。今後はデジタル空間が浸透した生活を見据えて、VRを活用した新しいサービスなども積極的に模索していきたいです。

■社員一丸となってサービスを広げる

 やりがいは世界中の人がサービスを使ってくれることです。趣味で釣りに行ったときに、釣りの船で一緒になった人がBUYMAのことを知ってくれていたときは嬉しかったですね。あとは社員が笑っていることです。小さな違和感をおろそかにしないよう、社員のやり取りや雰囲気には気を配つています。以前、広告事業が上手くいかなかつたときに、ワンチームだった組織に軋轢が生じたことがありました。それからは”糸をピンと張る"ということを意識していて、少しものが当たっただけでも違和感を感じ取れるように、メールやSlackのやり取りも全部オープンに見られるようにしています。
 まだ会社もプロダクトも生ものの状態で、どうにでも変革できるので、新卒でも思いが強ければ意見を採用します。私利私欲がなく、会社やサービスを第一に考えて変革できる人や熱量の高い人と一緒に働きたいですね。頭の良さや経験ではなく、チャレンジ精神があって熱量が高い人は、たとえ失敗して回り道をしても、最終的に一番結果を出す人になると思っています。

■message

 熱量を高めることが大切です。熱量は行動しないと出てこないと思うので、アルバイトでもサークルでもインターンでも、何でもアクションを起こしてほしいですね。出来ないことは何もないと思うので、自分で高い目標を立ててがむしゃらに頑張ってください。

学生新聞2022年4月号 国際基督教大学4年鈴木菜桜

日本大学2年 石田耕司 / 国際基督教大学4年 鈴木菜桜 / 明治学院大学4年 小嶋櫻子

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