モデル・女優 嵐莉菜 自分のルーツを最大限に活かして、好きな仕事を突き詰めたい

モデル・女優 嵐莉菜(あらしりな)

■プロフィール

2004年5月3日生まれ、埼玉県出身。「ミスiD2020」でグランプリ&ViVi賞のW受賞。2020年よりViViで専属モデルとして活躍中。日本とドイツにルーツを持つ母親とイラン、イラク、ロシアのミックスで日本国籍を取得している父親がいる。本作が映画初出演にして初主演となる。

モデルとして活躍し、映画『マイスモールランド』で初めて本格的な演技に挑戦した女優・嵐莉菜さん。本作では初主演をつとめたが、その役柄は自身の想いと重なる部分も多かったそうです。繊細な心の動きが描写された本作に出演した感想や、現在に至るまでのキャリアなどを伺いました。

■モデルの道へのチャンス

小さい頃からキッズモデルをしていたため、再現ドラマなどに出演したことはありました。幼少期から可愛い服を着て写真に撮られる事が好きだったので、モデルに憧れを抱いていました。実際にモデルの仕事を始めたのは、中学2年生の時にTikTokの動画が500万回くらい再生されて、バズったのがきっかけです。その動画を観た現在のマネージャーさんが私を見つけてくれ、今の事務所に声を掛けていただきました。「モデルをやりたい」という気持ちが強かったので。それ以来、本格的に活動を始めました。

事務所の先輩には憧れの方である中条あやみさんもいて、毎日仕事への興味にあふれています。現在『ViVi』の専属モデルをやっているので、プロの方々のお仕事を見ながら、「もっと頑張ろう」と勉強する日々です。

■スタッフさんに支えられてこそ、成り立つモデル業の魅力

モデルをする上で最大のモチベーションとなるのは「可愛い」と言っていただけること。そして、私を支えてくれるスタッフさんへの感謝です。
マネージャーさんはもちろん、フォトグラファーさんやメイクさんなど多くの、いろんな方が撮影に携わってくれています。お世話になっているみなさんにいつか恩返しをしたいという想いが、モデル活動の原動力や生き甲斐になっています。
しかし、撮影などで上手くお洋服を着こなせないと、悔しくて、ネガティブ思考になってしまう事があります。そんな時は、家族と音楽に助けられています。家族は私の居場所であって、嫌なことを忘れられて心地よい空間なんです。本当に大事な存在ですね。また、悲しい時は音楽を聴くことで、誰かに寄り添ってもらっているように感じます。曲を聴くときは、「自分が後悔した事を今後どうしていけばいいのか」を考える時間にしています。ですが、大好きを詰め込んだお仕事なので乗り越えられます。

■初主演での映画『マイスモールランド』

今回主人公のサーリャ役を演じるにあたって、とてもプレッシャーを感じました。オーディションを受ける際に「絶対にこの役を演じたい」と思っていましたが、実際に合格した時は幸せの反面、心配もありました。ですが、私が今出せるものを精一杯出し尽くす事に集中して撮影に挑みました。
サーリャという人物への役作りでは意識することが沢山ありました。1つ目はルーツを隠す為に表情が顔に出ないようにする事。2つ目はサーリャが心を開いている聡太に対しては、表情を出すようにしたことです。モデルとしての役作りとは全然違うものだったので、一ヶ月前からワークショップに参加しました。クルド人の家族に話を聞いたり、トルコ語を習ったり。何度も監督と話し合って理解を深めて撮影に挑みました。
役になりきるのは初めてだったので、自分でサーリャになりきれたと感じたのは完成したものを観てからでした。クランクアップの時には、花束を頂いて涙が止まりませんでした。それは演じる事、そして作品に一緒に携わっていた家族のような皆さんとの時間が終わってしまう事への涙でした。

■葛藤の中にあった ’’サーリャ’’ と ’’私’’

この映画『マイスモールランド』は現代社会の複雑な矛盾がテーマとなっている作品です。全体的にはシリアスなトーンですが、恋愛、家族などの描写もありほっこりも出来ます。作品を通して色んな感情になる映画です。国籍関係なく、誰にとっても共通の問題で、誰しもが共感できると思います。
主人公サーリャと私には葛藤する共通点があります。それは『日本人』と言いたいという事です。見た目で判断されてなかなか言えないという経験は、幼少期の私自身にもありました。
サーリャとは立場は違うけど、私には5カ国のルーツがあります。日本に生まれ育っても「どこから来たの?」と言われる事があります。でも、その何気無い一言で悩む人もいるかもしれない。世の中には同じ人はいなくて、色んな捉え方があります。なので、相手の人の事を考えながら、言葉をかけることが大事だなと。
撮影期間中は演技の大先輩の方々に、自分から話しかけるなどして、たくさんの方々とかかわらせていただきました。先輩方は普段と本番とのギャップがおおきくて、とても勉強になり、「足を引っ張らないようにしなきゃ」と強く思いました。また、出番を待っている時にスタッフさんが日傘を持って来てくれるなど、皆さんの優しい支えがあったからこそ撮影できたと思います。
今後、私は進化し続けていきたいと思っています。リアルな自分と真逆の役も演じるなどして、新しい道を開いていきたいです。私自身の強みである5カ国のルーツを武器に、いろんなことに挑戦していきたいです。

■大学生へのメッセージ

私は芸能のお仕事と学業を行なっていますが、きっと皆さんもバイトなどとの学業の両立をしていると思います。その中で壁にぶつかる事もあるかもしれません。そんな時には、アニメや音楽、何でも良いですが、自分の居場所をひとつでも見つけてください。「勉強しなくちゃいけない」ではなく「頑張るために息抜きしなきゃ」というスタンスでいて欲しいなと思います。私は息抜きする時は戦闘系のゲームをしています(笑)。
自分ひとりの現実逃避の時間も大切にして、好きなものと一緒に楽しい時間を過ごしてください!

学生新聞オンライン2022年3月23日取材 国立音楽大学1年 岡部満里阿


©︎2022「マイスモールランド」製作委員会

「マイスモールランド」

5月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

出演:嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴、アラシ・カーフィザデー リリ・カーフィザデー リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズほか
監督・脚本:川和田恵真 
主題歌:ROTH BART BARON 「N e w M o r n i n g」
©︎2022「マイスモールランド」製作委員会
公式HP mysmallland.jp  
公式twitter @mysmallland


法政大学2年 鈴木悠介 / 国立音楽大学1年 岡部満里阿

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