株式会社ビーボ 代表取締役社長 武川 克己

効率を度外視したサポートで お客様の心をつかむ

株式会社ビーボ 代表取締役社長
武川 克己(たけがわ かつき)

1984年京都府生まれ。大学在学中、立ち上げ間もないファッション関係のフリーペーパーを発行する会社に参画。大学卒業後も約1年間経営に携わった後、上京し、ウェブマーケティング会社に就職する。2010年、株式会社ウェブタンクジャパン(株式会社ビーボの前身)を設立。現在はD2C事業やキャリア事業をはじめ女性のライフイベントを支援する事業に注力しながら海外展開にも力を入れている。

「顧客ファースト」の理念を組織全体で追及し続ける株式会社ビーボ。「自分の人生をどう世の中に使っていくのか、事業を通してどういう価値を世の中に提供していくのか…」、武川社長は自分に問い続ける。一冊の本との出会いが経営者の道を歩む大きなきっかけになったという社長に話を伺った。

大学に入ってから2年間は大学生らしく遊んで過ごしていました。毎日楽しくはあるのですが、それだけでしかなく、自分の人生についてあまり深く考えていませんでした。そんな中、大学2年の終わりに司馬遼太郎『竜馬がゆく』という小説を読んだことが大きな転換点になりました。『竜馬がゆく』は幕末の志士を描いた小説ですが、彼らは日本のために自分の人生をどう使うのか、いつ殺されてもおかしくない状況で一日を悔いなく生きているのです。その姿を目にしたときに「今の自分は何をやっているんだろう」と、100年ある自分の人生をどう世の中に使って いくのかを考えるようになりました。そういう自分の中で変化があった時期、世の中はちょうど学生起業がブーム。 起業家の活躍する姿と幕末の志士が重なったんです。それが今ビジネスの世界にどっぷりつかることになる最初の大きな出来事です。

決めたら即行動会社を立ち上げる

最初はNPO 法人の起業家支援先で知り合った人と一緒にファッション雑誌を作る会社を立ち上げました。決めたらすぐ動くタイプなので、『竜馬がゆく』を読んでから1〜2ヵ月後の出来事でした。その後、1年ちょっとその事業に携わり、23歳になったときに、「もっと世の中に大きな価値を提供したい。行くなら東京」と思い、大阪から上京しました。東京へ来て何をやろうかなと考えたときに、今後必要不可欠になってくるネットやデジタル分野を仕事にしていきたいと思い、デジタルマーケティングのコンサルティング会社で3年半の間サラリーマンをした後、26歳で現在の株式会社ビーボを設立しました。最初は一人でホームページの立ち上げやサイト集客に関するコンサルティングを1年半くらいやっていました。しかし、「世の中にどんな価値を作っていくか」とか、「自分の人生を使って何をやっていくか」ということを考えたときに、このままでは自分の目指すところに到達できないと思いました。これを機に仲間と一緒にどんなサービスを提供したらいいのかを考えながら、現在まで事業を多展開しています。

一番大切なのは顧客ファースト

苦労しても答えが出ないなと感じるのは人や組織作りです。ここ5〜6年、自分の時間の7割くらいは組織作りに費やしています。ビーボが目指している方向性にみんなが腹の底から共感し、一緒に走っていかなければ思うような結果は出ないし、サービスも生まれません。その方向性として一番大切にしていることは「顧客ファースト」です。対顧客に関しては効率を度外視してとことん追求していこうという姿勢は以前から大切にしていました。初めて作った商品がダイエット目的のドリンクだったのですが、それを販売していく中で、自分たちが提供すべきものはドリンクというモノではないんだということに気づいたのです。お客様はそのモノ自体が欲しいわけではなく、その先にある目的を達成させたいのです。極論を言えばそれが達成できればモノはいらないんです。お客様一人ひとりに担当が付くのですが、時にはお客様1人に3時間電話をしてサポートすることもあります。そういう効率を度外視して自分たちの大切にしていることを追及するという文化がビーボの魅力だと思います。

今後の新しいビジネス 展開について

会社としては現在、D2C事業をはじめ、メディアアプリの運営、キャリア支援、レンタル事業、医療サービスなどを多角的に展開しており、その顧客の半数を占めているのが妊活中、妊娠期間中の女性たちです。まずはその領域の人たちとの接点を大切にしていき、妊活から妊娠期間に留まらず、出産後も子どもの成長にあわせて必要なサービスを展開し、常にライフステージの隣にいる存在でありたいと考えています。そのためには、今後も新たなサービスの展開、サービスを変化させ続けていく必要があります。

*message*

目の前のことに1 2 0パーセントの結果で返すことを大切にしてほしいですね。5年後、10年後の将来を気にするよりも、常に目の前のことを120パーセントで返し続ける人の方が最終的に成長すると思っています。
成長したいという人ほど成長しないのは、成長が目的となってしまっているからだと思います。成長は目指すものではなく、いろいろ経験をした先にある結果です。よく「山の先に何があるのかは山を登ったことのある人にしかわからない」って言いますが、山の向こうに何があるのか先に教えられたら登らないじゃないですか。でも登った人でないと足腰が鍛えられないわけで、それが成長です。

学生新聞2020年4月20日号より(国際基督教大学3年 鈴木菜桜)

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