衆議院議員 前経済産業大臣 萩生田光一
日本は資源が乏しく「人材力」が重要。人を育てるための給付金制度を確立
衆議院議員 前経済産業大臣 萩生田光一(はぎうだこういち)
■プロフィール
2021年10月に経済産業大臣に任命され、産業競争力担当大臣、ロシア経済協力担当大臣、原子力経済
被害担当、原子力損害賠償・廃炉等円滑化機構担当大臣を務めた。同年、自由民主党東京都支部連合会会長に就任。2003年の初当選から数えて現在6回目の当選で、これまで文部科学大臣、自由民主党幹事長代行、内閣官房副長官、内閣人事局長などを歴任。2022年8月、自由民主党政務調査会長に就任。
■転換点となった高校時代の困り事
私が政治に興味を持ち始めたのは高校生の頃でした。ある日、先生が社会の授業中に「家のトイレが汲み取り式の人いますか?」と生徒に問いかけました。汲み取り式トイレとは、便器とつながるタンクに汚物を一時的に貯め、汲み取り業者が定期的に汚物を回収するトイレのことを言います。八王子にある我が家のトイレは汲み取り式であったので、先生の問いかけに何の躊躇もなく手を挙げたのですが、驚くことに手を挙げたのは私一人だったのです。当時の私は、都心の家庭はほとんどが水洗トイレだと思い、恥ずかしく感じるようになりました。後日、我が家も下水を引いて水洗トイレにしてほしいと親に頼みました。しかし、無理だと言われ、自ら役所に問い合わせをしたものの、やはり役所の人からも下水が引かれるのは10年後だと言われ、ひどく落ち込んだものです。
そのとき、このような身近な問題や困り事を解決できるのは政治だと思ったのです。この出来事が私を政界へと導くきっかけになりました。
■日本に必要な人材力を補う
日本は資源が乏しく「人」で勝負するしかありません。
つまり、日本には人材力が必要なのです。だからこそ学生が学びに没頭できるように給付金制度の確立に尽力してきました。しかし、日本には人材の欠けている分野があります。たとえば、かつては日本のお家芸であった感染症の分野です。日本はコロナ禍において世界をリードするような感染症に対する研究成果を発表できませんでした。それは公衆衛生が整ったことで伝染病がなくなり、感染症の研究が減ったことが原因です。つまり、出番の少ない研究に力を注ぐ人材がいなくなってしまったのです。しかし、いついかなる時にその分野の人材が必要になるかわからず、欠けている分野に人が集まるように、奨学金を出すようにしています。これは国の施策ですが、学生にとっては人材が欠けている分野であればお金をかけずに学ぶことができ、その分野で輝ける可能性も高くなります。
■大学生へのメッセージをお願いします
大学は勉強をするところですが、人とのつながりを作るところでもあります。コロナウイルスの影響でオンライン授業になってしまい、人と関わる機会が少なくなってきています。対面授業が始まった際は、是非人と会ってつながりを大切にしてください。
学生新聞2022年10月1日発刊号 津田塾大学3年 佐藤心咲
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