株式会社IBJ 代表取締役社長 石坂茂
世の中の「結婚したい」というニーズに応えたい
■プロフィール
1971年東京都浅草生まれ。株式会社日本興業銀行(現株式会社みずほ銀行)入行。2001年、株式会社ブライダルネット代表取締役社長に就任。2006年、株式会社IBJ代表取締役社長に就任。日本の深刻な人口減少問題に対して、IBJから成婚カップルを生み出すことで、直接的に人口増加へ寄与し、2027年までに日本の成婚組数の5%(25,000組)創出を目指す。
昨年、1万組を超えるカップルの結婚を導いた株式会社IBJ。お客様のニーズに応えることがやりがいと事業の拡大につながると語るのが、同社の石坂茂社長だ。コロナ禍でも減少することがなかった世の中の「結婚したい」というニーズに応え続ける、成婚数NO1*で業界トップを走るIBJを創るまでの過程とその思いに迫った。
■ラクロスを通じてチームワークを学んだ東大生時代
小さい頃から体を動かすことが好きで、学生時代は部活の毎日でした。大学入学後、ラクロス部に入部しました。ラクロスを選んだのは、当時ラクロスがまだ日本に入って間もない競技だったので、他の大学に勝てると思ったから。ラクロスはチーム競技。チームで目標を成し遂げることの大切さを学びあったからこそ、今でも仲間とは良い関係を保っています。部活ばかりで限られた人とだけ深く関わる生活だったので、もし、今あの頃に戻ったら、多くの人と交流しながらも、自分にしかできないことに積極的に取り組むと思います。あと、経済の勉強にもう少し力を入れておけば良かったですね。
■日本興業銀行に入行後、IT化に興味を持ち退職
新卒で就活をした際は多くの先輩に会って話を聞きました。まさに「人」で会社選びをしたと言っても過言ではありません。話を聞いた中でも、特に感銘を受けたのが「日本興業銀行」です。経済成長に大きく貢献し、社会や世の中に影響を与える会社の姿勢に胸を打たれ、入行を決めました。日本興業銀行には刺激を受ける魅力的な人が多く、居心地も良かったのですが、仕事を始めて五年ほど経った頃に日本でITやインターネットが急激に普及してきました。新たな技術を経験したい思いと新しいことに挑戦して自分を奮い立てたいとの思いから銀行を辞めることにしました。もともと実家は浅草の下町で商売をする家系だったので、その血が流れていたからこそ起業することに躊躇がなかったのかもしれません。
■ニッチな婚活市場を発掘。結婚情報サービスの提供を決意
起業するにあたり、将来的にインターネットと掛け合わせたサービスをやりたいと思っていました。ただ、実際にどんな事業にするべきか悩みましたね。物販だと既存の生産ラインの借入や在庫を持つリスクもある・・・それは嫌でした。なので、負債やリスクが比較的少ない情報課金ビジネスを、小さく始めて大きくしていきたいと思っていました。不動産や人材業などは、すでに大きな会社があり競合が多く負けてしまう可能性があると考え、ニッチな分野でNo1になる方が自分には向いていると思っていた矢先、結婚市場にたどり着きました。その頃、出会い系掲示板は存在していたのですが、「出会い」をサービスとしてきちんと提供している企業はありませんでした。そこで、結婚したい人にターゲットを絞ってインターネット結婚情報サービスを提供する会社を設立しようと決意しました。
■IT×結婚で、全く新しい婚活サービスを生む
当時行われていた結婚紹介は、紙のプロフィールをコピーして仲人さんが個人のネットワークで紹介を行うことが主流で、とても不便でした。今思えば、情報管理という点において怖いですよね(笑)。
そこで、インターネットを活用し、日本初の「結婚を目的とした人」のマッチングサイトを始めました。婚活にITを導入する事業ということ自体が画期的でしたが、情報交換が簡単になり、情報セキュリティレベルも確実に上がりました。また、お見合いパーティー事業では実際に店舗へ行かないとどんな人が参加しているのか分からないという問題があったので、事前にクレジットカード決済を行い、全員の本人確認をすることで、事前情報と実際のギャップが生まれないシステムを整えました。今となっては当たり前になったクレジットカード登録による本人確認ですが、日本で早くから導入したのは弊社だと思います。それによりお客様には、より安心感をもっていただけるサービスになりました。
■問題点を洗い出し、データ化で改善
しかし、今度は「出会いはするが、交際に繋がらない」という声を聞くようになり、結婚紹介のプロである仲人さんの力を借りようと考えました。実際にお話を伺うと、仲人さんは結婚までのお世話は得意でしたが、集客は苦手ということが分かりました。
そこで、仲人さんのお仕事をもっと効率化したいと考え、全国の結婚相談所を取りまとめるネットワークやシステムを作ることにしたのです。最初は、インターネットを使った結婚相談所のプラットフォームを作ると言っても全く理解されませんでした。仲人さんは高齢の方が多く、パソコンを使うという発想もなかったと思います。
そのため、サービスが出来上がるまでに何十人もの方に連絡を取って、会いに行き話を聞くことで理解を深めたり、仲人さん向けのパソコンの勉強会などを開催したり。その積み重ねで徐々にサービスが浸透し、加盟店を増やすことができました。お見合いパーティーだけで会社が成長しても、お客様の結婚というニーズが叶わないと意味がないと思いますし、真摯にお客様の声に向き合い、受け止めることこそ事業の発展に繋がっていくと感じました。 仕事のやりがいとしては、やはり結婚カップルが生まれることですね。IBJは売上だけではなく、成婚=結婚がどれだけ実現できるかを重視しています。また、現場にも定期的に行くようにし、スタッフから直接意見や要望をきくこともありますし、IBJの成婚メソッドを私自身が直接指導することもあります。できる限り、一つひとつの声に耳に傾けることを代表になった今でも大切にしています。
■message
私たちとお客様との関係は契約関係ではありますが、そこには信頼関係が必要で、お客様へ愛情のアウトプットをすることが大切だと考えています。そして、アウトプットのためにはインプットが必要です。だからこそ、周りから愛された経験がある人、誰に対しても興味関心があり、愛情深い人柄を持つ人と働けたらと考えています。そんな人でいるためには、ポジティブで明るく笑顔で過ごして欲しいですね。そうすれば、「なんかこの人面白そう」とか「明るくていいな」と思われる機会が増え、運を引き寄せることができると思います。また、そうして生まれる出会いを大切に、ぜひ新しい交流をしてください。
大学生の皆さんは、日常生活をただ繰り返しているだけだと限られた人としか会っていないと思います。自分がいつも生きている世界や人とは異なる出会いを面倒くさがらずに大事にして、自分が話したことのない人と接点を持ち、新たな思考を知って欲しいです。
*日本マーケティングリサーチ機構 2022年1月調べ_IBJ日本結婚相談所連盟登録会員に関する調査(成婚数:2021年実績、会員数:2021年12月末時点、大手結婚相談所・連盟を対象)
学生新聞オンライン取材2022年7月11日 東洋大学3年 濱穂乃香
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