株式会社ブシロードミュージック 代表取締役社長 根本雄貴

感動のクオリティを追求し続け、ファンを魅了し続ける

株式会社ブシロードミュージック 代表取締役社長 根本雄貴 (ねもとゆうき)

「BanG Dream!(バンドリ!)」「カードファイト‼ヴァンガード」など、ブシロードグループが誇る作品を中心に音楽事業、ラジオCD販売、イベント事業等を手掛けるブシロードミュージック。高いクオリティでファンを感動させ続けるコンテンツへのこだわり、そして人並み外れた経歴を持つ根本社長の仕事への想いを取材しました。

■グループが誇る作品から生まれる音楽

当社の事業は、ブシロードが保持しているIP(知的財産)から音楽を制作することがメインになります。例えばアニメでしたら、シナリオを読んで作品に合ったオープニング、エンディングの楽曲制作を依頼します。そして上がってきたものをチェックし、キャラクターのレコーディング手配から音源のミックスという作業、CDにするためのマスタリングという作業を行います。他社の大手音楽会社さんですと、売れてきそうなアーティストと契約し、売れ行きが低迷してきたらまた新しい売れそうな人と契約するといった循環になることが通例だったりします。しかし当社は作品ありきの事業ですので、作品を広めることと同時進行で音楽事業を行います。そしてブシロードグループでは、アニメを作り、アプリゲームやグッズを作り、音楽も制作するところまで一気通貫で行うことができます。そこに当社の音楽事業の強みがあると思っています。

また自社でIPを持つことの最大のメリットとしては、とにかく意思決定が早いという点が挙げられます。他社が原作を保持している場合に生じる、何度も確認をしなければならないといったボトルネックが生じることはありません。しかしこういった利点がある一方で、広告宣伝まで自社で担うリスクもあります。特に、最近の宣伝は非常に難しいです。宣伝の手法としてはCMや交通広告など色々ありますが、近年では口コミの宣伝効果が最も大きいとされています。だからこそ、とにかく良いものを作ってお客様に満足してもらうことを大切にしています。またインフルエンサーの影響力がとても大きくなっている時代ですので、いかに彼らを巻き込んでいけるかも鍵になっています。

■珠玉のラインナップで常に驚きと感動を追求

ブシロードミュージックの特徴の一つとして、大手レーベルと比べてラインナップが少ないことが挙げられます。その分、しっかりと一つ一つのコンテンツに時間をかけて展開しています。例えば「BanG Dream!(バンドリ!)」というコンテンツを例に挙げると、声優一人一人に楽器の個人レッスンをしていただき全員の楽器演奏を仕上げるということは、少ないラインナップを丁寧に仕上げている当社だからこそ実現可能なものです。このように高いクオリティを追求することにはかなりこだわっています。

■コロナ禍に苦しんだライブ事業

コロナ禍では、ライブ事業が特に苦しかったですね。もともと当社のコンテンツはゲームやアニメを通じて普段から作品に触れて頂くだけでなく、ライブなどのオフラインイベントでリアルならではの感動を体験していただくことで、さらにコンテンツに対する愛着を深めてもらうことを大切にしていました。ところがオフラインイベントはコロナの流行ですべて封じられてしまったため、その打撃は大きかったですね。しかし最終的には、ライブができないことでファンが離れてしまう可能性を考えて、赤字覚悟で続けるという選択に行きつきました。とは言え一人でもコロナ陽性者が出ると全員が濃厚接触者となるので、その時点で公演は中止です。このような油断できない状況で、役者やスタッフの方々にはかなりのプレッシャーやストレスがのしかかっていたと思います。その一方、「こんな中でもライブを開催してくれるんだ」と応援して下さるお客様もとても多く、それが我々の励みになっていました。そしてリアルイベントだけでなく、同時に動画配信にも力を入れました。コロナの流行は確かに大打撃でしたが、結果的に配信のシステムやサービスが一気に普及していったことはとても良かったと感じます。

■自分のキャリアのために働けば、会社のためになる。失敗さえも成長の糧に!

僕はこの会社に7年いますが、新卒で入社した頃は「自分のキャリアのためにこの会社で頑張ろう」というマインドで働いていました。ところが入社1年目でアメリカへ半年間の長期出張になった時は、日本にいた時よりも仕事が少なくなってしまいました。頑張ろうにもそもそも仕事のボリュームが少ないので、とにかく自分にできることを探し続けるしかありませんでした。新卒の同期は日本でバリバリ働いているのに、アメリカにいる自分には仕事がないという状況にかなり焦りました。そんな時期を経て、2年目では突然アニメのプロデューサーを担当することになり「とにかく経験し、実績を積まなければ」というモチベーションで仕事と向き合いました。この経験からわかったことは「自分のキャリアのために働いていれば、結果的に会社のためになる」ということです。なので、無理に「会社に貢献しなければ」と思い詰めず、まずは自分のための経験だと思って何でも挑戦してみて下さい。会社に入社すると、希望する部署に行けないことは多々あります。しかし自分が向いていると思っていることの多くは大概向いていないんです。大切なのは、とにかく目の前の与えられた仕事と真摯に向き合うこと。仕事において何が一番楽しいかというと、自分のやりたい仕事ができることではなく、結果を残せることだと僕は思います。色々な経験をして、「これが一番結果を残せる」と思う仕事をぜひ見つけてください。

 また、失敗は一番の経験になります。僕は誰よりも失敗している人間です。失敗するとリスクヘッジを図る能力が磨かれるので、部下ができた時に失敗を恐れずに挑戦させたうえで、万が一に備えたフォローもできる人間になるのです。

東海大学 4年 大塚美咲

中央学院大学4年 田根颯人/東海大学4年 大塚美咲/津田塾大学4年 大川知/中央大学3年 矢部有紗/慶応義塾大学3年 伊東美優

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