株式会社コメ兵ホールディングス 代表取締役社長 石原卓児
豊富な品揃えと丁寧な接客で「中古品」に対する抵抗感をなくしたい
株式会社コメ兵ホールディングス 代表取締役社長 石原卓児(いしはらたくじ)
■プロフィール
1972年名古屋市生まれ。
英国暁星国際大学卒業後、大手家電量販会社を経て、1998年株式会社コメ兵に入社。 有楽町店・新宿店店長、営業企画、WEB事業、店舗開発、販売促進、マーケティング業務等に従事。2013年6月に代表取締役社長に就任。2020年10月ホールディングス体制への移行と同時に、株式会社コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員も兼任。
元々名古屋の地で始まった株式会社コメ兵ホールディングス。2003年に上場企業となり様々な中古ブランド品を扱っている。二次流通市場で成長し続ける理由について、代表取締役社長である石原卓児さんに聞いてみた。
■アルバイトでお金を貯めて、イギリスの大学へ留学
大学は日本の学校ではなく、イギリスの大学に通っていました。中学から始めたラグビーにのめり込んでいた私は、ラグビー発祥の地であるイギリスに行って、新しいラグビーメンバーと一緒にプレーをしてみたいという思いから現地の大学に行くことを決めました。留学するために親からお金を全て出してもらうのは嫌だったので、名古屋にある花の市場で朝5時から12時までアルバイトで働き、昼過ぎからは英会話スクールに通い、15時から中学生のラグビーコーチをするという生活を高校卒業後の1年間していました。私が小さい頃からコメ兵のCMが流れていた影響もあり、「コメ兵の息子」と言われてきたので、自分の名前で活躍していける海外で、様々なことをチャレンジできたのはとてもいい経験でした。
■新卒でヨドバシカメラに入社。突然の父の他界でコメ兵へ
小さい頃から会社の跡継ぎだというプレッシャーがあり、「自分はそうなるしかない、その他の選択肢はない」と思っていました。そうは言っても私は接客の経験をしてみたかったので、まずは接客ができるお店で働きたいと思い、仕事選びをしました。就職期間は3年と決め、有限であるその時間をいかに濃く有意義に過ごせるかを考え、株式会社ヨドバシカメラに就職しました。時期的に就職活動は世間では終わっていましたが、自分からその会社に電話をかけて人事の方に直接お話して、入社することになりました。
入社後は学びの毎日でしたが、父が病で他界したことがきっかけで「3年間就労する」という期限の前に、ヨドバシカメラを退社することになりました。その後は、父の後を追ってコメ兵で働くことを決めました。副社長であった叔父(父の弟)から、生前の父が常々「いつか戻ることがあった時には社内の人間関係を作らないと裸の王様になってしまう。1年くらいを目安に色んな業務を転々とさせ、下積みも含めて社内の人間関係を作らせたい」と言っていたと聞きました。ヨドバシカメラで学んだことを活かすためにも、カメラ売り場から働き、現場で様々なことを吸収しました。その後、コメ兵は2003年に上場し、名古屋だけでなく全国に店舗を持つことができました。そして、私は2013年に社長に就任しました。
■商品を最高の品質にして丁寧な接客を
コメ兵が注力してきたのは、品質向上、豊富な品揃え、丁寧な接客です。どれだけ豊富な品揃えにできるかは、接客の上手い下手の前に大切だと思っています。5坪の古着屋から始まったコメ兵は、広告宣伝費がなくても「高く買えばものが集まり、安く売れば人が集まる」という創業精神をもってやってきました。だからこそ、品揃えには自信があります。
幅広い品揃えのお店での丁寧な接客を通じて、「中古品を選ぶことは、恥ずかしいことではないのだ」と体験して頂き、お客様の抵抗感を下げていくことでリピーターが増えていることを実感しています。また、コメ兵は中古品を扱う会社ですが「買取りをして販売する」だけではなく、買い取った商品を愛知県の商品センターで一度全て集め、そこでルーペや顕微鏡を使い真贋判定をかけて、メンテナンスの必要なものは外注で直し、価値を高めて店舗に並べています。
■一緒に働きたいと思う人は、チームで働くことができる人
接客は周りの人たちと協調・共生を持ってチームで動けることが大切だと考えています。店舗ごとの目標に向けて、力を合わせて様々な企画を立てたり、プロジェクトを組んだりして、チームで協力しながら仕事をする人と一緒に働きたいですね。変化の激しい社会の中で、個人の能力に頼るよりも、チームで目標に向かっていく方が高いパフォーマンスを発揮できると考えています。また、コメ兵の「中古品の価値を高めて販売する」というリレーユースの仕組みをしっかりと理解し、お客様に喜んでお届けする接客を大切にできる人を求めています。
■大学生へのメッセージ
遊びでも、アルバイトでも、学生という「今」だから味わえる感度や使える時間を、仲間たちと後悔なく楽しんでほしいと思います。そして、貴重で有限である学生という時間は、それを支えてくれている人がいることを忘れず、感謝の気持ちを持ち続けてください。コロナ禍により今の世の中は苦しいこともありますが、限られた環境の中で最高の思い出を作ってもらえたらと思います。
学生新聞オンライン2022年12月1日取材 日本大学3年 和田真帆
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