株式会社ゴルフパートナー 代表取締役社長 石田純哉

業界構造を捉え、他社との差別化を図ることで“世界一”に

株式会社ゴルフパートナー 代表取締役社長 石田純哉(いしだじゅんや)

■プロフィール

法政大学 経営学部卒業後、マルマン、日本スリーエス、ベンチャー・リンクなどを経て2003年に株式会社ゴルフパートナー代表取締役社長に就任。現在はゼビオのグループ企業としてゼビオホールディングス執行役員兼ゴルフパートナー代表取締役社長を務める。

学生時代から社長を目指し、多彩な経験をもとにゴルフパートナーの社長に就任した石田純哉氏。今回は個性的なアルバイトを続けていた学生時代にはじまり、ゴルフパートナーが世界一になれた軌跡について伺った。

■多彩なアルバイトに挑戦した学生時代

高校時代はキャディのアルバイト、大学時代には銀座のプールで水泳の先生や海浜公園での救助員、毛皮販売の補助、家庭教師など様々なアルバイトをやっていました。ちなみに家庭教師では親御さんに対して「お子さんは頑張れば志望校に行けます!」などと夢を語らず、現実的な指導方針を伝えていたらすぐにクビになってしまいました(笑)。ですが、これらの経験から効率よく稼ぐ方法や様々な仕事のノウハウを吸収できたと思っています。

■学生時代から“夢“は社長

学生時代から、社長になりたいという夢を持っていました。しかし、当時は友達との飲み会でその話をする度に「社長になんてなれるわけない」とバカにされていました。バカにされても私が社長になりたかった理由は、金銭面で苦労している親の姿を見ていたからです。元々両親は駅前でコンビニサイズのスーパーを運営していました。ですが、カスミなどの郊外型スーパーの登場によって駅前が廃れていき、父親が40歳からサラリーマンに転身し、非常に苦労をする姿を目にしていました。そこでお金に困らない生活をするためにも、社長になろうと考えるようになりました。

■元気よくハキハキしていれば成功すると思っていた新社会人時代

 最初の会社であるマルマンに入社した際は、「東京で働きたい」と思っていましたが、残念ながら仙台支店に配属になりました。最初は仙台で頑張ろうとしていましたが、東京にいないと遅れてしまうのではないかという恐怖心や新幹線での移動が多くて時間がかかることから退職し、東京に帰って来てしまいました。

 2社目は相続税に強みのある日本スリーエスに入社し、弁護士や会計士と仕事をする機会を持ちました。ただ、ここでは営業マンとしてハキハキしているだけでは足りず、専門分野を勉強することが重要だと気づきます。そこで簿記の3級と2級を取得し、自身の専門性を高めながら、2年ほど修業させてもらいました。

 3社目は牛角やガリバー、タリーズなどを大きくしていったベンチャー・リンクに入社しました。当時のベンチャー・リンクは地銀へのコンサル・ビジネスマッチング事業とベンチャー企業、フランチャイズ会社の営業部隊を代行する事業があり、私は営業代行の事業に配属され、中古車のガリバーの担当になりました。最初は加入者を集める仕事をしていましたが、後にフランチャイズを立ち上げる仕事も代行することになり、どっぷりガリバーにハマっていたので、段々とガリバーで独立したいと思うようになりました。

■独立の相談をした結果、社長に

 ベンチャー・リンク創業者の小林さんに独立の相談をしにいったところ、「やめたほうがいい」と反対されました。大きなポイントは、独立資金が4000万円かかるのに1店舗当たり2000万円しか儲からないことでした。また、店舗数を増やすまでに非常に時間がかかるのもデメリットでした。

 実は当時ガリバーとは別に、中古ゴルフクラブという新しいマーケットを開拓する総合ゴルフショップ「ゴルフパートナー」を立ち上げたいという強い想いを持っていました。そこで、小林さんは私のために子会社を作ってくれた上、ガリバーの10店舗の経営を任せてくれました。以来、ガリバーとゴルフパートナー両方の運営をしていましたが、ゴルフパートナーに課題があることを伝え続けた結果、ガリバーなどの他のフランチャイズはほかの人に任せて、私自身はゴルフパートナーの社長に専念させてもらうことができました。

■業界の構造を理解したことでゴルフパートナーを伸ばした

 社長になってから力を入れたのは、直営店の店舗数強化です。直営店の強化に踏み切った理由は、自信があるフランチャイズなら自社で伸ばしていくべきだと思ったからです。結果として、就任2年目で黒字化、銀行からの借入が可能になりました。  

ゴルフ業界の魅力は、市場の大きさに加えて、ゴルフクラブの製品力の伸びがあることだと思っています。まず市場規模としては大体3000億円ほどあると言われ、スポーツ業界の中では断トツの存在です。別業界の話になりますが、ガリバーなどの中古車業界が伸びた理由の一つに、製品の寿命が延びたことが挙げられます。これはゴルフクラブでも同様のことが言えます。壊れやすいことで対応回数の増加や世代交代のスパンが早くなってしまうのですが、技術進歩で壊れにくくなったことが業界の伸びに繋がっていきました。

 ゴルフパートナーが中古クラブにおいて6割のシェアを取ることが出来た要因は、リスクを取って店舗数を増やしたこともありますが、店舗の在庫システム・査定システムに投資したことが大きいと思っています。査定システムは他社が半年に1回くらい値段を変えるところを週に1回くらいの頻度で変更できる仕組みを整えていました。これらのように業界の構造を理解し、他社との差別化を図ることがシェアを伸ばせた要因だと思います。

■個性的な人と働きたい

 私は採用の時、個性的な人が自分の成功パターンを見つけて欲しいと伝えています。ゴルフパートナーで活躍している店長には明るい店長もいますし、そうでない店長もいて、成功要因は様々です。そのため、この特徴があれば必ず成功するという要素は無いと思っています。自分の個性を活かして仕事ができる人と働きたいと思います。

■大学生へのメッセージ

 昔と比べると、今はグローバルになってきていて、自信を持って日本を先進国だと言いにくくなっていると思います。ちなみにゴルフクラブが世界で一番安いのは日本です。世界でも微妙な立ち位置になっている日本の現状を跳ね返して欲しいです。また、ゴルフパートナーは中古ゴルフクラブの販売本数の多さでギネス世界記録にに認定されたことがありますが、このようなビジネスやまだ広まっていないけれども世界一を取れる可能性のあるビジネスモデルをもっと世の中に広めて、世界で日本の地位を逆転させて欲しいです。

学生新聞オンライン2022年11月7日取材 中央学院大学 4年 田根颯人

國學院大學3年 島田大輝 / 中央学院大学4年 田根颯人 / 立教大学4年 須藤覚斗 / 成蹊大学2年 角田迅斗

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。