長妻怜央 “ゴール”が無い世界を、全力で走り続ける

スタイリスト:カワセ136
ヘアメイク:伊藤里香

俳優 長妻怜央 (ながつま れお)

■プロフィール
1998年、茨城県生まれ。男性グループ「7ORDER」の副リーダー。2019年より「7ORDER project」を始動。2021年にメジャーデビューを果たし、オリコンランキング2位を獲得する。俳優として舞台出演多数。映画の出演は『漆黒天 -終の物語-』(22年)、『ラストサマーウォーズ』(22年)などがある。

興味の無かった芸能界に10代で飛び込み、今日まで全力で走り続けるのが、人気グループ「7ORDER」のメンバーである長妻怜央さんだ。ゴールが無い芸能界の中で、限界を決めずに挑戦を続けた結果、『犬、回転して、逃げる』で映画初主演を掴んでいる。そんな長妻さんに、今回は映画の話や自身の仕事への向き合い方について伺った。

■大切にしていたのは、己と向き合う探求心

僕は小学生の時に芸能界へ足を踏み入れました。元々、この業界に興味があった訳ではなく、僕のお母さんが勝手に履歴書を送ったんです。僕は小さい頃から恥ずかしがり屋で、みんなの前で話す事も苦手な子供だったのですが、「お小遣いあげるからオーディションに行ってみなさい。」という言葉につられてオーディションを受け、芸能界に入りました。
最初はそんなきっかけでしたが、気が付くとこの仕事にどんどんひかれていきました。その理由は“ゴール”が無い点だと思います。例えばダンスや演技には正解がありませんし、これが出来るようになったら終わりという目安もありません。そして「ダンスや演技が上手いこと=人気がある、仕事がある状態」ではない世界です。この無限に探求できる環境、全てにおいてゴールがない点にハマっていったのだと思います。お芝居で言うと、声のトーンや顔の向き、まばたきの回数など、色々な表現で役を演じることが出来る点はもちろんですが、演出家の視点で見たり、物事を全体で見たときにどう演じられているのか、などの選択の連続だったりします。これが非常に難しいですが、俳優の魅力です。

■自然体で演じること

ここ数年では「自分流の演じ方」について深く考えるようになりました。そんな中で、「自分の考え」「演出家の考え」物語全体を見た時の「どう演じるべきか」という様々な方向から考えて選択をすることがとても難しいです。また、一番演技で大切にしているのは、自然体で演じることです。お芝居なのか、自分の素の姿なのかわからないくらい入り込んで演じることが一番の理想です。現場がどんなに非現実的だったとしても、カメラやお客さんが見えなくなるいくらい集中する。そして、自分一人の空間になるときが、一番「お芝居ってたのしい!」と感じる瞬間ですね。いずれは、必要なところにしか力を入れないのに、あっさりと強敵を倒す「仙人」のような俳優になることが目標です。(笑)

■映画『犬、回転して、逃げる』について

本作は、泥棒の青年と婦人警官の周りで起こる数々の事件を犬の視点でとらえるというサスペンスコメディです。主演のオファーを頂いた時に浮かんだのは、正直、「僕にできるのかな?」という感情でした。でも、ここでやらなければ一生このような機会はありませんし、自分がどれくらいできないのかを知ろうという想いで今回の作品に挑みました。この映画は独特な世界観が特徴的ですが、あの世界観を自分が作り出せていたかというとまだまだだなとも思います。なので今回はとにかく求められたことに全力で取り組みました。「全力で上げたものを下げることは簡単だが、上がり切っていないものをマックスまで上げることは難しい」という言葉を昔言われたことがあります。だから僕はまず自分の中でできる120%のことをやり、「少し抑えて」といわれたら少し下げるように心掛けています。「もう少しこうして欲しいのにな」と思われるより、少しやりすぎなくらいの方がプラスの働きが生じると思うんですよね。これは自分の中でのポリシーでもあります。 
主人公が最後に女性と話すシーンでは、長妻怜央としてどう演じるのか、キャラクターとしてどういう風に演じるべきかをかなり試行錯誤しました。演じ方の方向性によって映画の印象がガラッと変わる場面だったのでとても難しかったです。演じ方による作品の印象の変化は、演じる側や受け取る側のそれぞれ異なる感性によっても変わるので、改めて「お芝居はゴールがないな」と感じますね。

■「日常の小さな幸せ」を見つけるきっかけに

この映画は、基本的に日常を描いている作品なので、皆さんの日常に当てはまる部分もあるのではないかと思います。皆さんの明日を生きる意味として、何か一つでも普段の小さな幸せを探すきっかけになれば嬉しいです。
また、今回は主題歌の作詞・作曲・プロデュースも手掛けさせていただきました。この作品は「日常」がコンセプトになっているので、曲での表現を意識したり、映画の中でパッヘルベルのカノンが何回か出てくるため、それを取り入れてみるなど様々な工夫を凝らしました。かなり文字数の多いギュっとした歌詞になっているので、そこにも注目して聴いてみて頂きたいです。

■大学生へのメッセージ

大学は必ず行かなければいけない場所ではなく、行きたい人が行く場所なので、好きなことをする場所と言い換えられると思います。好きなことが出来ることは誇らしいことです。また、今の環境は当たり前じゃないことも理解してほしいと思います。この場に居られることは素晴らしい、進路に迷ったとしてもプラスである、と考えられると可能性が無限に広がると思います。ただ、すべてにおいて食事や運動は大切だと思いますので、これらの基礎も大切にしてください。

学生新聞オンライン2022年12月6日取材 中央学院大学4年 田根颯人 / 東海大学4年 大塚美咲 / 国立音楽大学2年 岡部満里阿

映画『犬、回転して、逃げる』

長妻怜央(7ORDER) 宮澤佐江
なだぎ武 中村歌昇 三戸杏琉
小坂涼太郎 ワタリ119 仁科亜季子/登坂淳一

脚本・監督:西垣匡基
配給宣伝:アイエス・フィールド
企画・製作:TUFF STUFF

2023年3月17日(金)シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開

2022年/日本/カラー/82分/ビスタサイズ/5.1ch/G

Ⓒ2023映画「犬、回転して、逃げる」製作委員会

公式WEBサイト http://is-field.com/inukaiten_movie/
公式Twitter @inukaiten_m

中央学院大学4年 田根颯人 / 東海大学4年 大塚美咲 / 国立音楽大学2年 岡部満里阿

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