インディアンス なんとなくの出会いから唯一無二の最強コンビへ
芸人 インディアンス 田渕章裕 (たぶちあきひろ) / きむ
■プロフィール
2010年結成。NSC大阪校で出会った田渕章裕ときむによるお笑いコンビ。
2012年「上方漫才大賞」新人賞受賞、「M-1グランプリ」では2019年から3年連続決勝進出。
現在は舞台・テレビ・ラジオで活躍し、3月22日には昨年の単独ライブを収録したインディアンス初となるDVDを発売。
M1グランプリ3年連続ファイナリストであり、多くのテレビ番組出演も果たす人気お笑いコンビ「インディアンス」。そんなインディアンスの“今”がぎっしりと詰まった初のDVDが3月22日に発売となる。今回はその見どころに加え、お二人のこれまでの軌跡や今後の展望など、お話を伺った。
■染み付いた関西のお笑い魂。気付くと芸人を目指すように
田渕:学生時代はずっとふざけてましたね。特に高校生のときは酷かったです。周りの受験生の邪魔になるからと授業で回答を飛ばされていました。母いわく中学生の頃から「芸人になる」と言っていたらしいです。
きむ:僕も学生時代はバンドを組んだり応援団に入ったり目立とうとしていました。ちょっといじられて返すみたいな感じが多かったですね。本当はいじられるのは好きじゃないんですけど(笑)
芸人をめざしたきっかけは、大阪というお笑いが溢れる地域で育ったことが、根本にあると思います。その後、2003年のアンタッチャブルの漫才を見て、「こんな漫才やりたい」と火が着きました。でもNSCに一緒に行ってくれる人がいなくて、「一人で行くのはないな」とビビって大学へ。でも、そこで出会ったお笑いの授業が面白くて、NSCへ行くことを決めました。
田渕:NSCはかなり過酷でした。夏休みにはメンバーが半分になっているくらいに、どんどん人がやめていく。ネタ見せの授業は先生にボロクソいわれるので、そこでメンタルは鍛えられましたね。面白さでクラス分けがあるんですが、僕は万年Bクラスでした。
きむ:僕は入ってすぐコンビを組んでいてAクラスでしたね。僕がネタを書いていたんですが、変なスイッチが入って「このツッコミは0.5秒で返せ」とかストイックに詰めすぎたことが原因で、解散しました。
田渕:0.5秒のツッコミとか、普通やってくれないけどね。(笑)今の僕達はネタのテーマは二人で相談して、ボケは僕、ツッコミはきむというようにそれぞれ考える形です。「どこまでが台本か分からない」とよく言われますが、かなり台本通りにプラスしてアドリブがある感じです。飽きちゃうから増やしちゃうんですよ。きむがツッコミせず笑ってることもありますね(笑)。
■お試しスタートから熱烈なラブコールを経て
きむ:たぶっちゃんとコンビを組んだのは、卒業してからです。同期の紹介がきっかけでした。「Bクラスの奴か」と思って試しに漫才してみたらめっちゃ楽しくて! そのとき、NSC時代、「相方を面白い」と思ったことがなかったことに気が付いたんです。
田渕:逆に僕は「Aクラスなのにこんなおもんないんか」って思いましたね(笑)。ただ、何人か声かけてくれた中では一番まともかなと思い、お試しで組んでみました。きむは今はだいぶ丸くなったけど、当時は嫌われてたので「なんできむと組んでんの?」と100回ぐらい聞かれました(笑)。実は、俺もしんどくなって1回解散してるんですよ。
ミキの昴生さんと組んでいたんですけど、きむから毎日のように連絡がきて。それも、本当に猟奇的で…。
きむ:僕は「昴生さんにたぶっちゃんを取られた!」という想いでしたから。「もう一度戻ろう」と書いたネタを送ったり、舞台を観に行ったり、たぶっちゃんについて研究してました。
田渕:ただ、「これだけ言ってくれるならもう一回やってみるか」と、昴生さんに頭を下げてインディアンスに戻りました。それから何となく十数年経ったという感じですね。不思議です、自分でも。
きむ:今も「たぶっちゃんと組みたい」という強い想いは変わっていませんね。僕が冷めていたり、こいつは違うと思ってたりしたら、ここまでやってないだろうと思いますね。
■劇場での反応を糧に進み続け、M-1を獲りにいく
田渕:一番のやりがいは、劇場での反応です。毎回新ネタをやるときはドキドキします。2人で壁に向かって何度も練習したものをやっと舞台で披露する。その反応がいいとモチベーションになりますね。それが、結果的には賞レースにも繋がりますし。2019年と2021年の春に、「今年のM-1これでいけるかもしれない」と思っていたネタを初披露して、それが確信に変わったときはめっちゃ嬉しかったなぁ。
きむ:やっぱりM1の優勝に憧れます。人気者になりたい、ウケたいというのが、僕らの根底にありますからね。ちなみに、2019年のM-1で披露した『おっさん女子』はもともとアドリブから生まれたネタなんです。
田渕:めっちゃ考えて練ったネタよりもアドリブがウケたりするんですよね。考えすぎたらあかん……難しいんですよねぇ。 僕はずっと、“思いついたこと全部言っていこうキャンペーン”をやっていて、自分が面白いと思ったら後悔しないようにすべて言うということを心がけています。
きむ:ゆるく楽しくということを心掛けています。緊張しちゃうので、必死に自分を洗脳していますね。
田渕:お互い緊張しいだから、M-1の時も舞台袖で話してそのまま出ていく感じです。アイドリングが大事ですね。
■3/22(水)発売 インディアンス初DVD『インディアンス全国ツアー2022 おでこ全開ツアー~おでこパワーでご飯おかわり!~』の見どころ
田渕:これ見ていただいたら、一旦僕らのこと大体分かるDVDになっているので、是非見ていただきたいです。ツアー千秋楽であり初のNGKでの単独というこの上ない状況で、内容もお気に入りのネタでパンパンになっています。
きむ:毎日ネタ以外でも意見のすり合わせをしているので、やるネタはズレなく決まりました。
田渕:二人とも頑固なので、意見が割れたらどっちかの意見で決めます。折衷案にはならないですね。
きむ:割れたら1回やってみようとたぶっちゃんが提案してくれたので、まずはやってみるようにしています。
■様々な場所、様々な形で輝ける芸人に
きむ:テレビの出演数を増やして認知度を上げて、いずれは冠番組ができたら嬉しいなと思います。音楽とか違うジャンルと掛け合わさると面白そうだなとも思います。あとはツッコミとしてひとりで呼ばれたりも憧れますね。緊張するけどクリアしていかないと……。
田渕:入れ替わりが激しいので、1回M-1の決勝にでていないと過去の人になるんですよね。M-1に挑戦するなら優勝を目指していかないとと思っているので、仕事選びとネタ作りの時間の確保を真剣に考えていかないといけないなと思っています。
M-1を卒業しても芸人人生は続いていくので、このままと同じような過ごし方ではいけないと考え始めました。一番いいバランスを模索中です。
■大学生へのメッセージ
きむ:自分の誇れるところは行動力なんですが、皆さんも好き嫌いせずにいろいろとやってみると有意義な学生生活になるのではと思います。
田渕:社会に出る前の莫大な自由時間、自分でメリハリをつけて過ごしてほしいです。何をしてもいいと思いますが、何となく過ごすのではなく、とにかく集中してやる。よく分からない授業でも聞いてみる、よくわからない人でも話してみる、ということも大事だと思います。僕は授業なくても毎日学校へ行っていました。メリハリをつけつつ、いろんなことをやってみるというのがいいと思います。
学生新聞オンライン2023年3月8日取材 上智大学 4年 八木彩花
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