フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長 志水 雄一郎

誰でもマーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクになれる

フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長 志水 雄一郎(しみずゆういちろう)

■プロフィール
株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)にて転職サイト『doda』立ち上げなどを経て、2016年に成長産業支援事業を推進する株式会社ネットジンザイバンク(現フォースタートアップス株式会社)を創業、代表取締役社長に就任。
2016年『Japan Headhunter Awards』にて 国内初『殿堂』入りHeadhunter認定。2019年より日本ベンチャーキャピタル協会ベンチャーエコシステム委員会委員、2020年より経団連スタートアップ委員会企画部会/スタートアップ政策タスクフォース委員に就任。2021年に公益社団法人経済同友会入会。2022年に一般社団法人関西経済同友会入会。

国内最大規模のスタートアップ支援会社・フォースタートアップス株式会社の代表取締役社長である志水雄一郎氏。かつて転職サイト「doda」の立ち上げを経験され、「Headhunter of The Year」で国内初となる殿堂入りを果たされた志水氏に、現在の日本においての新産業の重要性と私たち学生の可能性について伺った。

■アートとダンスに夢中だった学生時代

元々美術が大好きで、MITのメディアラボでメディアアートを学びたかったのですが、学力が足りずに国内で学べるところを探しました。その結果入ったのが、慶應義塾大学のSFCです。私はアーティスト活動に興味があり、テクノロジーアート作品を約30年前に作っていました。人よりも多くの色を認識する才能があったようで、大学在学中は研究員として大企業と色の研究をご一緒にしてこともあります。ダンスもスクールに通ったり、週に1回以上はクラブに行ってました。将来もクリエイターとして食べていこうと思っていたのですが、それは無理でしたね(笑)。

■衝撃を受けたある人からのメッセージ

就職浪人して5年通うほど、就職活動に関しては立派に助言ができるような人ではないです(笑)。拾ってもらった会社は、株式会社インテリジェンス(現パーソルホールディングス株式会社)。きっかけは、自分の元に届いた一通のダイレクトメールハガキでした。
当時の就職活動は、企業から学生に郵便でダイレクトメールが届き、学生が企業に連絡をするという仕組みでした。そこには「電通とリクルートを超える」というメッセージと、裏面には「インテリジェンス」という会社名だけが書かれていました。
何故か興味を持ってしまって、会社説明会に訪問した際に当時30歳だった代表の宇野康秀さんと出会いました。彼が話す学生へのメッセージとその様子が、あまりにもかっこよくて衝撃を受けましたね。そして宇野さんと共に時代を作りたいと思い、入社したのが株式会社インテリジェンスでした。
そこで、私は新卒採用のコンサルティングや人材紹介の営業などをして、最終的に「doda」という転職サイトを立ち上げました。

■自分が知らなかった日本の実態

40歳の時に、気がついたことがあります。日本ではエリートと呼ばれる人々は、年収1000万円から2000万円前後ですが、この年収はシリコンバレーの新卒初任給に過ぎないということです。
さらに、日本の平均給与は韓国よりも低く、スペインやリトアニアとほぼ同じなのです。つまり、日本は自分が思っているより貧乏だったのです。
それまでの私は「自分の事業を伸ばせば、社会で前向きな未来を作れる」と思っていました。
よく「働きすぎだ」と言われる日本人ですが、実は東京よりロンドンやニューヨークの人はもっと働きます。中国のアリババやテンセントはアメリカに勝つために日本人の2倍働き、イーロン・マスクは人類にイノベーションを起こすためにさらに働いています。
人間には動物にはない学や書があるからこそ、未来、社会、次世代のために生きられる。でもそれは学校では教えられません。
例えば、学校や家で「あなたは優秀でリーダーシップがあるからアマゾンやアップルを作れる。そんなあなたを全面的に応援するから一緒に頑張ろうね」と言われ続けたら、挑戦する人も出てくるでしょう。
しかし親から毎日「安定した仕事をしなさい。大企業や公務員になりなさい。」と言われ続けたらそっちに向かってしまいますよね。そんなコミュニケーションが、当たり前のことのようになされてきたからこそ、いまの結果があるのです。

■挑戦は誰でも平等にできる

「挑戦はアンチエイジング」だと私は思っています。強い意志を持って社会を変えようと思うと、素晴らしい情報と人に触れるようになります。その体験と刺激によって、人は長生きできるのだと思います。日本では大人がいい顔をして生きていないせいで、若者が未来に希望を感じていません。人は誰しも社会や未来を変える権利を平等に持っているのに、それに気づいていせん。では、どうしたら人は変われるのか。
それは、自分が生きている社会を物差し化し、環境、経験、情報の3つを高めることです。たとえ社会のなかで自分がちっぽけな存在であることに気がついたとしても、目指す未来との余白を可能性と捉えるのか、到達できない未来と捉えるかが重大な分かれ目になります。この余白に対して、モチベーション高く取り組み、目の前の課題を解決しようと成長していく。それをやり続けたのが、マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクたちだと思うのです。

■新産業でかつての日本をもう一度作る

世界では新産業が成長した国が富を得るし、競争力を持つようになります。そして富を得た人たちは、子供に良い生活水準と教育を与えて未来に繋げます。昔の日本は戦争に負けた時、ソニーやトヨタなどに人が集い、国を強くし、世界を席巻しました。いま日本がビジネスの戦争で負けている中で、誰かがリーダーとなってイノベーションを起こせば、かつての経済大国としての日本をもう一度再現できるはずです。
日本の未来は新産業で変えられる。私はそれに気がついてから、メルカリやスマートニュースなどのさまざまなスタートアップの支援を行ってきました。ただ、1社、2社では意味がなく、数百、数千社は生まれないと日本は変わらないという現実を突きつけられました。私だけでは足りない。そこで、私と同じ想いを持った人を集めて作ったチームが「フォースタートアップス株式会社」です。ここでは日本を代表する起業家や投資家、エコシステムビルダーや政治家と毎日会い、日本の再成長のために行動しています。インターン生たちも、今世界を動かしている人たちを直近で見て、私たちの未来がどうなるのか知り、その未来を変えるために参加してくれています。

■大学生へのメッセージ

「思いっきり挑戦せよ」と伝えたいです。学生のみなさんにはチャンスと希望しかありません。思いっきり挑戦して、リーダーとして自らが立てる経験と素養をどこかのタイミングで得られたら勝負をしてください。
あなたならマーク・ザッカーバーグにでもイーロン・マスクにでもなれる。自分がリーダーとして未来を変えるチームを組成してください。それはきっとあなたにとって、生きていて良かったと思える人生になるはずです。

学生新聞オンライン2023年6月30日取材 国際基督教大学1年 若生真衣

国際基督教大学1年 若生真衣 / 明治大学大学院1年 酒井躍 / 立教大学4年 須藤覚斗

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