ヤマハ株式会社 代表執行役社長 中田卓也

世界中の人々のこころ豊かなくらしを実現する

ヤマハ株式会社 代表執行役社長 中田卓也 (なかたたくや)

■プロフィール
1958(昭和33)年、岐阜県生まれ。慶応大学法学部卒業後、1981年に日本楽器製造株式会社(現 ヤマハ株式会社)入社。PA・DMI事業部長、取締役執行役員、アメリカ現地法人社長などを経て、2013年に代表取締役社長に就任。2017年から取締役代表執行役社長。

楽器といえば、ヤマハと言われるほど世界中の音楽プレイヤーから愛されているヤマハ株式会社。そんなヤマハを入社当初から支えてこられた代表執行役社長の中田卓也氏に、ヤマハの魅力やお客様に対する想いなどを伺った。

学生時代は、音楽に夢中でしたね。高校ではバンド。大学生になってからは、シンセサイザーを使って音楽を自分で作っていました。バンドを続けても良かったのですが、冨田勲さんの演奏に大きな衝撃を受けまして。自分も音楽を作ってみたいと思ったことが、シンセサイザーを始めたきっかけでした。

 幼少期から物作りが好きだったのでメーカーに就職しようと思い、就活を進めていました。自分の好きなことを仕事にしたいというよりは、自分が興味のあることに関係した仕事の方が人生が面白くなるのではないかと思い、数ある企業の中からヤマハを選んだことを今でも覚えています。音楽が好きでヤマハに入社しましたが、20代の私はコンピューターやクレジットカードなどの新規事業に携わりました。新しいことにチャレンジすると、その分野の第一人者になることができます。大変なこともありましたが、新規事業に携われてよかったと感じています。

アメリカで販売会社の社長をする機会もありました。日本でもアメリカでも仕事は本質的に同じなのですが、現地の人々の文化やバックグラウンドが自分たちと異なるので、少し苦戦したことを覚えています。また、現地に行って初めてわかることもあれば、理解したくても出来ないこともたくさんありました。だからこそ、大変に感じることも多かったのですが、今、社長として会社を経営する上で、アメリカでの経験は、業務に活きていると感じています。

■ヤマハの技術で、時代を繋ぐ

当社は、技術力に富んだ会社だと思います。一般的な楽器メーカーは、一つの種類の楽器を専門的に作る専業メーカーが多いです。ですが、ヤマハは専業ではなく、色々な楽器を幅広く製造しています。創業当時のヤマハはオルガンを中心に作っていましたが、ピアノや管楽器、ギターとどんどん範囲を広げていきました。

また、当社は創業当時からサステナビリティを大切にする会社でもあり、現在は“サステナブルキーボード”というヤマハの技術や想いが沢山詰まった新しい楽器の試作などにも取り組んでいます。楽器にはさまざまな木材が使われています。木材という資源は、有限のものです。持続可能な形で木材を使うために私たちにできることを考える中で試作されたのがこのサステナブルキーボードです。これは、さまざまな楽器づくりで発生した未利用材を使用して試作しました。技術力を活かし、木材を無駄にせずに製品を生み出す。このようなことはとても価値のあるものだと考えています。

■世界中の子どもたちに音楽・楽器の楽しさを

世界中のより多くの子どもたちに、楽器・音楽の楽しさを経験してもらうために、“スクールプロジェクト”という取り組みを行っています。この取り組みでは、新興国の学校・教育機関と提携し、キーボードやリコーダーなどの楽器を体験できる環境を整えています。私自身、インドネシアの学校に視察に行った際に、楽しんでいる子どもたちの様子や嬉しそうな表情の保護者の皆さんを見て、このプロジェクトの意義を強く感じました。2023年3月末時点で、既に7カ国で200万人超える子どもたちがこの機会に触れました。この取り組みで今すぐに収益が上がるわけではありませんが、10年後・20年後に繋がる取り組みですし、子どもたちの笑顔を見ることができるのがとても嬉しく励みになっていますね。

■ありがたい仕事をするために必要な“志”

ヤマハの事業は、仕事をすればするほど、人々の笑顔を増やすことができるというとてもありがたいものだと感じています。世界中の人々がこころ豊かなくらしをおくれるよう、今後も“音”や“音楽”を原点に培ってきた技術と感性をもとに、事業を展開していきたいです。私たちの事業は、人々の幸せに通じます。私はこれは本当に有難いことだと思っています。

また、このように価値のある仕事をする中で、ヤマハグループで働く仲間が大切にしている5つのキーワード(ヤマハウェイ)があります。それは、「志、誠実、自発、挑戦、執着」です。この5つの中でも、特に働く上で大切なのが、“志”というキーワードです。仕事をする中で、困難や壁に衝突することもあるでしょう。そういった時に、「働きたい、こうしたい」という強い想いを抱くほどに、その想いが原動力となって乗り越えることができると思うのです。だからこそ、こういった想いをヤマハグループで働く仲間は大切にしていますし、今後もそんな仲間たちと働いていきたいと思いますね。

■学生へのメッセージ

自分自身の好奇心を大切にして、色々なものに興味を持って欲しいですね。そして、興味を持ったら即行動。必ずしも成功するとは限らないでしょう。ですが、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」という言葉があるように、行動しない限り成功することはないのです。また、挑戦してみることで自分に合うものに出会えるきっかけになるかもしれません。そして、前向きでいることも同じくらい大切です。苦しい時こそ、口角を上げてたくさんのことに挑戦していってほしいですね。

補足:

■試作中のサステナブルキーボードは期間限定でヤマハ銀座店に展示中
企画展示『「楽器の木」展』 第2弾をヤマハ銀座店にて開催 「サステナブルキーボード」2種を展示
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2023/23053101/

■スクールプロジェクトについてはこちら
https://www.yamaha.com/ja/about/initiatives/school_project/

学生新聞オンライン2023年8月24日取材 国際基督教大学1年 渡邊和花

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