株式会社ホリプロ 代表取締役社長 菅井敦

「文化をプロモートする」基礎はマネジメント力にあり。

株式会社ホリプロ 代表取締役社長 菅井敦(すがいあつし)

■プロフィール

生年月日  1961年12月7日
学  歴  1984年3月  明治大学 商学部 卒業
職  歴  1984年4月  株式会社ホリプロダクション(現・株式会社ホリプロ) 入社
1995年4月  プロダクション本部 プロダクション一部 課長
2000年6月  マネージメント事業部 プロダクション一部 部長
2003年4月  メディア事業部執行役員
2010年6月  取締役 映像事業部執行役員
2013年6月  取締役 マネージメント第一事業部執行役員
2016年6月  常務取締役 マネージメント第一事業部執行役員 就任
2022年6月  代表取締役社長 就任

これまで数多くの人気タレントを輩出してきた大手芸能プロダクション、ホリプロ。名実ともに、日本のエンターテインメント業界を牽引する企業の一つだ。そして本日お話を伺ったのは、大学卒業後に新卒でホリプロへ入社し、昨年6月に晴れて社長就任となった菅井氏。今回は菅井氏のこれまでのキャリア、そしてホリプロの強みや魅力について詳しく語っていただいた。

大学時代は、どこにでもいるごく普通の学生でしたね。キャンパス近くで一人暮らしをしていて、学校にはほぼ毎日行っていましたが、仲間を見つけては授業をサボって麻雀に行ったりして。それでも要領良く立ち振る舞って成績は悪くありませんでした。実は、私が大学1年生の時に松田聖子がデビューしたんですね。私が通っていた明治大学は大半の学部の1、2年生が和泉キャンパスで過ごすのですが、なんと私が1年生の年の和泉祭に、松田聖子がステージ出演していたんです。当時は一般的な大学生らしくアイドルが好きだったので、とても印象に残っています。また、私が大学生だった当時は、バブルが膨らむ前でわりと景気が良かったんですね。大学生に人気な業界は商社や金融などで、私も周りと同じようにそれらの業界を受けていました。結果、山一證券という会社に内定をいただいたんです。しかしある日、学校の掲示板を通りかかると、採用情報の書かれた1枚のビラが目に止まったんです。なんだか私を呼んでいるような、そんな気がしました。それが、何を隠そうホリプロの募集要項だったんです(笑)。青春の記念にでも受けてみようかと、選考を受けてみたところ、なんとトントン拍子で最終面接まで進んでしまって。その時、仮に自分がホリプロを選んだ場合の未来を想像してみたんです。「想像もできない人生になるんじゃないか」と、一気にワクワクが止まらなくなりました。このことがきっかけで、山一證券はお断りして、新卒でホリプロへ入社することを決めました。

■1年目は「できない社員」だった

入社してすぐ、若い女性タレントのマネージャーを担当することになりました。とはいえ、新卒の学生がすぐに1人のタレントをマネジメントできないため、先輩の担当マネージャーの下で勉強しながら、サブマネージャーという立ち位置で仕事をしていました。そんなマネージャー業ですが、当時はかなり苦戦したんです。担当していたのは、芸能界に入ったばかりの10代半ばの女の子。しかし芸能界では花が咲かないまま、彼女は3年後に事務所を去ることになりました。マネージャーとしても、コミュニケーションが全然上手く取れず、結局お互い最後まで心を開いて対話をすることができませんでした。私自身、当時はかなり落ち込みましたね。しかし当社の創業者であり、私が入社した当時の代表だった堀さんが、そんな時声をかけてくれて。「タレントが売れないからって暗くなるな。お前のせいな訳ない。そんなにお前は偉いのか」という言葉でした。この言葉を聞いたとき、スッと気持ちが楽になったんですね。それと同時に、仕事に対してより前向きになれたんです。その日からマネージャー業の捉え方や、仕事へのマインドセットが変わっていき、任せてもらえる仕事の幅も次第に広がっていきました。転機となったのは、数ある事業部の中でプロダクション1部という主に俳優をマネジメントする部署の部長を務めたこと。ホリプロという会社は、元々音楽事業に強い芸能プロダクションだったのですが、私が責任者になってから、ドラマや映画に力を入れるようになり、いまではホリプロといえば、ドラマ・映画の主演俳優たちがたくさんいるプロダクションへと成長しました。昨年代表取締役社長への就任が決まったのは、この点が評価されたのかなと思います。

■芸能界だからと言って、特別なことはない

当社は「文化をプロモートする人間産業」という企業理念を掲げる中、数多くのタレントを輩出し、映像・音楽・舞台など様々なコンテンツを生み出してきました。生み出す力を最大化できるのは、当社がマネジメント力を基礎としているからだと思います。創業以来、蓄積してきたノウハウを、新しく入社してくれた社員はもちろん、所属する全タレントへも浸透させています。
また多くの芸能プロダクションが存在する中で、当社の魅力は組織のクリーンさにあると考えています。学生さんはともかくその親御さんの中には、昨今のニュースなどを通じて、芸能界にマイナスイメージを持っている方もいると思います。しかし、当社はこれまで一度も信頼を削ぐような問題は起こしていません。これは創業者の堀威夫が語ってきた「社会人としてあるべき姿」が、長く受け継がれているからに他なりません。道に反したことは、芸能界だからといって許されることではありません。今後も多くの方から信頼されるホワイトな会社であり続けたいですね。

■マネジメント力はすべての基礎

精神的にも肉体的にもタフであることは、当社で活躍するために第一に必要です。私たちの仕事は、タレントをマネジメントすることが基礎となるため、ここに辛さを感じてしまう人は向かないかもしれません。マネージャーとして求められるのは、客観的かつ長期的にタレントの才能を見いだし、伸ばしていくことです。タレントの才能は千差万別でマネージャーの仕事にはマニュアルがなく、向き合い方はタレントによって変わってきます。こういった点を面白がって仕事する学生さんに、ぜひ私達の仲間になってほしいですね。

■大学生へのメッセージ

最近は転職サービスのCMなどを目にすることも増えましたが、現代社会はどこか「リセットボタンを押して何度もやり直せる」と思っている人が多いように感じます。ですが、最初は上手くいかないことがたくさんあって当たり前なんですよね。私も新卒で当社に入社したときは、1番できない社員だったのでよくわかります(笑)。だからこそ、学生の皆さんにはリセットボタンを押したくなった一歩手前で、「もう少し頑張ってみよう」と踏みとどまってほしいです。継続が新たな可能性を生み出すことも大いにありますよ。

学生新聞オンライン2023年10月5日取材 慶應義塾大学4年 伊東美優

慶應義塾大学4年 伊東美優 / お茶の水女子大学3年 内田美羽 / 日本大学4年 石田耕司 / 国立音楽大学3年 岡部満里阿 / 上智大学2年 白坂日葵 / 上智大学2年 池濱百花  / 立教大学4年 須藤覚斗

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