株式会社ダスキン 代表取締役 社長執行役員 大久保裕行

すべての事業を通じてお客様に豊かな時間を提供する

株式会社ダスキン 代表取締役 社長執行役員 大久保裕行(おおくぼ ひろゆき)

■プロフィール

1985年、ダスキン入社。主力のクリーン・ケア事業部門で商品開発、マーケティング等に従事。その後、経営企画部等を経て、2020年取締役、2022年代表取締役 社長執行役員に就任。現在、長期戦略「ONEDUSKIN」の最終第3フェーズ「中期経営方針2022」を推進中。その他、障がい者の自立と社会との共生を願う「公益財団法人ダスキン愛の輪基金」理事長、「日本ダストコントロール協会」副理事を務める。

掃除用品のレンタル・販売やプロのお掃除サービス、家事代行サービスなどで知られるダスキン。ダスキンは「掃除のプロ集団」といったイメージが強いが、ミスタードーナツの運営も手掛け、日本初の複合フランチャイズ企業として成功している。同社の大久保社長にご自身の軌跡や事業拡大の秘訣を伺った。

小学校から高校までバレーボールをしており、大学では日本拳法部に入って日々部活に邁進していました。今思えば、学生時代はスポーツに専念して過ごしていましたね。ダスキンに入社したのは、ダスキン創業者の本を知人から薦められて読んだことがきっかけです。経営理念に興味を持つと同時に、その当時では珍しかった成果報酬制度や週休二日制など、メリハリのある社風に惹かれ、ダスキンで働きたいと思ったのです。入社後は、資材の物流・購買や商品開発のほか、経営企画部などに配属され、中長期戦略の策定やM&Aなどに携わってきました。ダスキンの魅力は、誰もがチャレンジできる風土だと思います。ダスキンは今まで100以上の事業やプロジェクトを行ってきましたが、たとえ事業に失敗しても次のチャレンジができる機会が与えられるのです。そして失敗から成長が生まれる土壌があるのも魅力といえます。また、ユニークな企業風土もあります。たとえば、ダスキンでは従業員のことを「働きさん」と呼んでいます。これは、働くことで「はた(傍)の人をらく(楽)にする」という想いが込められています。自分のことを省みずに他人のために一生懸命働くと、その人に喜ばれ感謝される。結果、自分のやりがいや生きがいにつながるのです。また、「上司が部下の話をしっかり聞く」ことも強みですね。一般の企業では管理職と呼ばれている役職は、ダスキンでは「責任を担う」という意味で、「責任職」と呼んでいます。「責任職」の大切な仕事は、部下の意見を丁寧に聞くことです。それこそが会社の風土の醸成や成長につながります。

■お客様に豊かな時間を提供するために

ダスキンはさまざまな事業を行っていますが、どの事業にも共通するのは「時間価値の提供」です。たとえば、ミスタードーナツなら「家族や友人とおいしいドーナツを食べる幸せな時間や楽しい時間の提供」が目的です。モップのレンタルは、便利なしくみと機能的な商品でお客様のお掃除にかける時間を軽減します。家事代行サービスも家事にかける時間を削減できます。どの事業においても、お客様ご自身の時間を有効に使っていただくことで豊かな時間をお届けします。ダスキンといえば清掃事業とドーナツ事業のイメージが強いのですが、合わせて16の事業を行っています。意外だと感じられる事業では、イベントの企画運営でしょうか。コロナ禍では全国で約1500拠点のワクチン接種会場を運営しました。弊社が行う清掃衛生サービスと連携することで、ただ会場を設営するだけではなく、衛生管理の面でも安心できる会場としての付加価値を提供できたと思います。このように、さまざまな事業を行っているからこそ複合的な展開ができるのもダスキンの強みです。

■フランチャイズでの展開が強み

多くの事業をフランチャイズで展開していることも強みの一つです。フランチャイズは、その地域で生まれ育った方々が運営をすることで、土地の風土にあったお店やサービスを展開できることが魅力です。また、ダスキンには創業者の想いや大切にすべき価値観を表した「経営理念」があります。フランチャイジー(加盟店)にはこの経営理念に賛同していただくことにより、強いつながりができています。なかでも創業時から弊社が大切にしていることは、「喜びのタネをまこう」というスローガンです。これは社会からお預かりする資本を有効に活用し、商品やサービスを通して多くの喜びのタネをまき、社会にお返しするという考え方です。フランチャイジーとは、ビジネス上の付き合いだけではなく、こうした理念の共有も大切にしています。現在、力を入れている海外進出においても、この理念やコミュニケーションは大切にしていきたいと思っています。

■循環型社会への取り組み

創業当時より行っている循環型レンタルシステムでは、お客様にご利用いただき、汚れて回収されたモップやマットなど、レンタル商品の97パーセントは再び商品化しています。残り3パーセントは、産業用の商品へ再利用しています。そのほか、モップやマットを洗う際に出てきたほこり・砂などはセメントの原料に利用しています。ミスタードーナツでも大切な資源は繰り返し使おうとの想いから、古くなったドーナツ調理オイルは工業用の原料となります。ショップで使用する液体洗剤のリサイクルや残ったドーナツを飼料として利用するなど有効活用しています。

■大学生へのメッセージ

「将来、こうなりたい」という想いは、ぜひ大切にしてほしいです。「こんなサービスを提供したい」「こんな商品を開発したい」などの想いをもって働いてほしいと思います。想いが全ての行動の源です。想いを持って行動することが皆さんの人生をより豊かなものにしていきます。

学生新聞2024年4月1日発刊号 法政大学3年 島田大輝

國學院大學1年 寺西詩音/専修大学4年 竹村結/津田塾大学4年 大川知/慶應義塾大学2年 松坂侑咲/日本大学1年 大森雨音/上智大学短期大学部2年 大野詩織/法政大学3年 島田大輝

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