株式会社マルハン 代表取締役 東日本カンパニー社長 韓裕

業界の未来を描く力が、会社を進化させる

株式会社マルハン 代表取締役 東日本カンパニー社長 韓裕 (はんゆう)

■プロフィール
1963年生まれ、京都府出身。1990年マルハン入社。1990年代当時サービスの概念が無かったパチンコ業界に危機感を抱き、「業界を変える」と決意。業界初の新卒採用、モデル店のオープン、マルハンイズム策定と人材育成と組織改革に注力し、会社の発展に寄与。2021年にマルハン東日本カンパニー社長に就任。パチンコをエンターテイメントに昇華させるブランド構築と新規事業にも積極的に取り組む。

『人生にヨロコビを』を企業のブランドメッセージに掲げ、全国にパチンコ店舗を展開するマルハン。パチンコ業界では、近年店舗数が減少、また企業の独自性を出しにくいとされる中で、なぜマルハンは存在感を高め続けることができるのか。常に時代の一歩先を見据えるマルハン東日本カンパニーの韓裕社長に話を伺った。

■野球漬けの日々から経営者へ

大学時代は野球部に所属し、毎日野球一色の生活を送っていました。高校時代からプロ野球選手になりたいという夢があり、甲子園にも出場し準優勝を果たした経験があります。一生懸命野球に費やす高校時代を送った後、今度は六大学で野球をしたいと法政大学に進み、そこでもひたすら野球に打ち込みました。
高校・大学と野球をやりきったので、就職を機に野球はきっぱりやめようと、そして将来的には父が創業したマルハンに入ろうと決めていました。当時のマルハンはパチンコ事業以外にも、ボーリング場やゲームセンターなども事業展開していました。将来的にはゴルフ場やリゾートホテルも展開したいと父から聞いていました。そのため、私が入社した後には、新たに始まる可能性があるホテルやゴルフ事業の勉強をしようと考えていたのです。

1店舗から理想を実現する

しかし、マルハンに入社してすぐに「あ、ここは私が思い描いていた会社じゃない」と思いました。当時、マルハンはパチンコ業界ではすでにトップ5に入っていました。しかし業界全体の雰囲気は、お客様に視点が向いていない違和感がありました。「お客様がお金を使っていただいている」「時間を使っていただいている」という価値観が存在せず、入社した頃は、その価値観をどのように作っていくのかを考えました。

そこで私は、当時35店舗全店を変えるという考えを止めて父に直談判し、1店舗だけ実験的店舗として自分が理想とする店舗作りを試みました。『100匹目の猿』という話をご存じでしょうか?ひとつの集団において、特定の考えや行動をとる個体が一定数を超えると、接触のない同類の仲間にもその思考や行動が伝播するという現象です。この話を聞いた時、「だったら同じように私が理想とする店舗やスタッフが増えれば、全体が変わるのではないか」と考えました。 そして、組織の体質や世の中を変えるには若い力が必要です。そこで、「私はこういう会社を作りたい」「パチンコ業界にはこんな可能性がある。ここは変えないといけない」という考えを若い人たちに伝え、共感してくれる人たちと共に、業界の未来の姿を描いて行こうと決め、翌年から新卒採用を始めました。若い人たちの未来を描く力と情熱が、少しずつ会社を変える力になったと思っています。

マルハンイズムの力

マルハンでは、経営理念・ビジョン・提供価値・企業姿勢・組織理念・社訓・行動指針を掲げた「マルハンイズム」を大切にしています。これらは社員全員で意見を出し合って形となった会社の在り方です。マルハンイズムがなかったらどうなっていたのだろうと不安になるほどこの考え方に支えられています。社会に対してどのような姿勢で向き合うのか、従業員に対して会社はどのように考えるのか全部示されていています。マルハンイズムは企業としての軸であり、我々の強みです。
パチンコ業界は、特色を出すのが難しいビジネスです。店舗規模、設置台数の違いはあるものの機械や景品に大きな差はありません。マルハンの個性を挙げるならば、やはり「人」です。店舗には1日に何百人から千人を超えるお客様が来店してくださいます。お客様にご挨拶する、お名前を呼ぶ、お声がけすることから、お客様の反応をよく見て、次の行動を考えるきっかけにします。マニュアルや私たちの価値観だけを軸にして行動するのではなく、お客様が今この瞬間何を必要とされているのか考え、思いやりと感謝の気持ちをもっておもてなしすること。マルハンイズムが土台となった従業員一人ひとりがマルハンの存在感を高めている理由だと思います。

■パチンコを通して世の中を元気に

パチンコに対する考え方は人それぞれですが、我々はパチンコをする時間は「自分を表現し楽しく過ごす大切な時間」だと考えています。この考えを世の中の当たり前にすることが重要だと思っています。遊びやエンターテイメントは、自分を表現できる、楽しい時間を過ごすことができる、そのような自分の好きな時間は心を豊かにワクワクさせてくれます。我々はパチンコを通して世の中を明るく元気にしたいと思います。

■ホテル事業を第二の柱へ

今後ホテル事業は成長産業だと考えています。多くの観光客が東京や大阪、京都を訪れますが、地方にはまだ注目すべき魅力がたくさんあると思っています。地方にはホテルが少ないのです。日本は安全で清潔、人も親切で、魅了するところが満載なのだけど、都市部に比べて地方には旅行者を魅了できる宿泊施設が少ないのは勿体無いと感じています。我々はマルハンイズムで培ったの人財力を活かして、本気で今度はホテル業界を変えようと東日本カンパニーでは思っています。

■大学生へのメッセージ

皆さんには自分にしかない個性があり、魅力があります。自分にしかない個性や良さを見つけて、磨いて、社会の中での自分の存在意義を自ら作っていって欲しいです。自分の強みがわかれば、自然と自己肯定感が高まります。自分自身の力を信じて社会に挑んでいってください。

学生新聞オンライン2024年9月17日取材 東洋大学3年 橋本千咲

東洋大学3年 橋本千咲/城西国際大学1 年 渡部優理絵/大妻中野高等学校3 年 加藤眞優花/東洋大学2 年 越山凛乃/国際基督教大学2 年 若生真衣/東京大学4 年 吉田昂史

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