ネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー事業本部 インツーホーム マーケティング部 ブランドマネージャー 佐藤由樹

キットカットで届けるエール。愛されるブランドを守り抜く

ネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー事業本部 インツーホーム マーケティング部 ブランドマネージャー 佐藤由樹(さとうゆき)

■プロフィール
2021年7月にネスレ日本株式会社に入社。2024年から「キットカット」の主力製品担当として「キットカット オトナの甘さ」リニューアルや、受験生応援キャンペーンを担当。週末はフラッグフットボールの日本代表候補としても活動中。

受験生のお守りとしても定着している「キットカット」。そのパッケージや個包装のメッセージには、夢や目標に向かって取り組む人を応援したいという作り手の強い信念が込められている。商品開発の舞台裏や、SNS時代の流行を取り入れながらブランドの価値を守り抜く戦略について、ブランドマネージャー佐藤由樹さんに伺った。

■「お菓子が好き」という想いと情熱を仕事に

私は現在、「キットカット」のマーケティングを担当していますが、実は、最初からネスレにいたわけではありません。転職で入社する前は、新卒で別のお菓子メーカーで勤務をしていました。
学生時代の就職活動では、マーケティングを学んでいたこともあり、新しい製品やサービスを作りたいという思いが強くありました。それも、ただ作るのではなく、自分が心から好きだと思えるものに携わりたかったのです。自分の身近にあってワクワクするものを扱う企業を見ていく中で、ご縁があってお菓子メーカーでのキャリアをスタートさせました。
ネスレへの転職を決めたのも、やはり「お菓子が好き」という気持ちと、マーケティングへの情熱があったからです。私自身、受験生の時やスポーツの大会前など、人生の節目節目で「キットカット」をもらい、励まされてきました。そんな思い入れのあるブランドに携わり、関西でお菓子のマーケティングができる環境に惹かれ、今のチームに加わりました。

■身近な「おいしい」が届く喜びとやりがい

マーケティングの仕事には様々な領域がありますが、お菓子のマーケティングならではの面白さは、圧倒的な身近さにあると思います。友人から「お店で見たよ」「あれ、美味しかったね」といった言葉をもらったり、SNSで自分の担当した商品を検索して「今までで一番おいしい!」という書き込みを見つけたりした時は、本当に嬉しいです。
また、毎年実施している受験生応援キャンペーンのように、社内だけでなく、社外のたくさんの方とひとつのチームになってプロジェクトを進めることもあります。多くの人が関わり、準備を重ねた企画が世の中に出て成功した時の達成感は大きいです。

■「黒いパッケージは苦い?」思い込みを打破したリニューアル

お菓子業界は変化が激しく、毎週のように新商品が登場します。常に新しいことを考え続けなければならない大変さがあります。その中で特に印象深いのが「キットカット オトナの甘さ」のリニューアルです。
以前の黒いパッケージは10年以上続く定番でしたが、売上が伸び悩んでいました。調査の結果、お客様が黒=苦いというイメージを持ち、購入を控えていたことが判明しました。
そこで私たちは大きな決断をしました。デザイナーさんと共に約50案ものデザインを検討し、さらに定番の赤い「キットカット」と食べ比べてもらうキャンペーンも実施しました。実際に体験していただくことで、程よい甘さという魅力が正しく伝わり、売上は回復しました。固定観念にとらわれず、常に商品をアップデートし続ける重要性を学んだ経験です。

■流行を予測しながら新商品を

「キットカット」では定番の赤を始めとして、オトナの甘さなどを軸にしながら季節に合わせた限定商品を展開しています。冬から春にかけては受験生応援の桜味、夏ならサーティワン アイスクリーム様とのコラボなど、その時期にお客様が欲しいと思う商品を届けています。
実は、一つの商品を発売するまでには約1年の準備期間が必要です。つまり、私たちは常に1年後に何が流行っているのかを予測しながら企画を立てなければなりません。今の流行が1年後も続いているとは限りません。常にアンテナを張り、若者のトレンドやSNSの動向をキャッチアップし続けることが大切だと思います。
またネスレには素晴らしい技術を持った味作りの開発チームがいます。チームからの提案を含め、膨大なトライアンドエラーを繰り返して、一つの商品が生まれています。

■ブランドの信頼を守りながらエールを送る

新しい挑戦をする一方で、絶対に守らなければならないこともあります。それは「キットカットはおいしい」というお客様からの信頼を裏切らないことです。話題作りのために奇抜な味を出すのではなく、パッケージを見ただけで「これは絶対においしいはずだ」と想像でき、食べて納得していただける品質を追求しています。
また、パッケージをプラスチックから紙素材に変更した際も大きな挑戦でした。工場の機械で紙を扱うのは難しく、最初はうまくいきませんでした。それでも、環境への配慮と品質維持を両立させるために、何度もテストと調整を繰り返し、実現にこぎつけました。
そして何より、「キットカット」は「きっと勝つ」という願いで誰かを応援するブランドです。個包装のメッセージ一つをとっても、誰かを傷つける言葉が含まれていないか、受け取った人が前向きになれるか、細心の注意を払って選んでいます。

■大学生へのメッセージ

社会に出ると、異なる世代や価値観を持つ人と働く難しさに直面します。ですので、学生のうちにインターンシップなどを通じて社会の空気に触れておくことは、良いことだと思います。また就活では自分の強みを探すのに必死になりがちですが、仕事の適性は実際にやってみて初めてわかることも多いです。こだわりすぎずにもっと気楽に構えてみてほしいです。それよりも時間のある学生時代に、好きなことに没頭してほしいと思います。私自身、スポーツに打ち込んだ経験や当時の仲間が、今も人生の財産になっています。何かに夢中になった経験は、必ず将来の自分を支えてくれます。ぜひ、今しかできないことに全力で取り組んでください。

学生新聞オンライン取材2026年1月26日取材 東京家政大学2年 篠田陽菜乃

東京家政大学2年 篠田陽菜乃/獨協大学3年 深山琴美/杏林大学1年 中島心彩

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