株式会社資さん 代表取締役会長 崎田晴義

「トライアンドエラーを繰り返し成功をつかむ」限界を決めない思考法とは

株式会社資さん 代表取締役会長 崎田晴義 (さきたはるよし)

■プロフィール
1966年生まれ、福岡県出身。1985年九州産業大学付属九州産業高等学校を卒業。1999年フォー・ユー入社後、トマトアンドアソシエイツ社長、すかいらーく執行役員等を歴任。同社にて営業本部、マーケティング本部、建設本部、商品開発本部のマネージングディレクターを務め、店舗運営、商品開発、複数の新規ブランドを企画開発、立地開発等の多岐にわたるジャンルの責任者を歴任。2024年に資さん代表取締役会長に就任。2026年4月より現職。グループのシナジーを活かし、全国展開を加速させ、次なる成長を牽引している。

北九州発のソウルフード「資さんうどん」。全国へと出店を広げる旗振り役を務めるのが崎田晴義さんだ。学生時代のアルバイト経験を原点に、現在までその経営力を築き上げてきた。近年では100店舗を超え、出店を加速させる中でも「らしさ」を追求し続けている経営の考え方について話を伺った。

私は学生時代、父が事業を営んでいたこともあり、幼い頃から会社を継ぐのだと思いながら育ちました。
しかし、中学2年生のとき、父が事故で亡くなり、生活が一変しました。収入が途絶え、母が働きに出るようになり、これまで当たり前だった日常が大きく変わりました。自分の中で非常に大きい出来事で、心の中にぽっかりと穴を開けてしまったまま、何をして過ごしていたのかも思い出せないような時間が続きました。
高校に進学してからは、学費や生活費を賄うためにアルバイトを始めました。ジャンル問わずできる仕事に熱中するなかで、、少しずつ将来を描くことができるようになっていました。そこで決めた目標が「30歳までに社長になる」。父のように事業をしたいという思いが、私の中に残っていたのだと思います。

■利益を生み出す答えの見つけ方

様々なアルバイトを経験しましたが、中でも「八百屋」での経験は今の自分の考え方の土台になっています。仕入れた商品を時間内に売り切り、どれだけ利益を出せるかを考えながら販売していました。売れる時間帯を見極め、価格を調整し、最終的にロスを出さないようにする。そこには利益を最大化するための考え方が詰まっていました。
当時は、経営を意識していたわけではありません。ただ「どうすればもっと良くなるか」を考え、徹底的にお客さまの行動パターンを調べ続けていただけです。この姿勢は今も変わっていません。私は最初から答えを知っているわけではありませんが、「答えの見つけ方」は知っています。
多くの人は、できない理由を探し、自分で限界を決めつけがちです。しかし、マイナスを並べても何も変わりません。その間に「どうすればできるか」を考えて、人よりも一歩先に進むことが大切です。
そのためには、「なぜ」を繰り返す姿勢が重要です。わからないことを知ったかぶりするのではなく、素直に聞くことで、知識が確実に自分のものになります。それらを、必要な場面で組み合わせていくことが答えを見つける力に繋がっています。「トライアンドエラーをスピーディに繰り返し、利益を最大化させる方法を見つけていく」ことが、結果として大きな成果になると考えています。

■「資さんらしさ」と広がり続ける理由

現在、当社では、店舗数を大きく伸ばしながら全国展開を進めています。しかし、ただ広がれば良いとは考えていません。大切にしているのは創業時より大切に継承してきた「資さんらしさ」をどう守るかです。
資さんうどんは、150種類以上のメニューと手ごろな価格帯、営業時間も長くどの時間帯でもお客様のニーズに応えられるいわば「うどん食堂」です。それに加え、「ほっと安らげる接客」「従業員さんからの心地よい挨拶」など「人の温かみ」も資さんらしさであり、強味の1つだと考えています。
飲食業界全体がDXによる無人化・セルフ化へ進むなか、効率化を突き詰めれば、最後には「味と価格」という数字だけの比較に陥ります。
「お腹を満たすためだけに食事する。」私は外食がそうであって欲しくない思っています。無人化が主流になった未来に、資さんうどんに行くと、人の声と笑顔で迎えてもらえる、うどん一杯を丁寧に配膳してくれる、そんな「人の温かみ」を感じられる店であれば、それが最大の差別化になるのではないでしょうか。

もちろんDXを否定するわけではありません。変化の激しい現代においてDXは必要不可欠ですし、「資さんうどん」でも数年前から自動案内の仕組みを取り入れています。お客様が入店してからお席に着くまで、すべて機械の案内で完結するという仕組みでしたが、最近ではあえて、席へのご案内は従業員が行う手法へと戻しています。
一部 機械に任せられる部分はDX化をし、そこで生まれたリソースをお客様との接点にあてる。それが資さんのDXの考え方です。
もちろんコストもかかりますし、非効率に見えるかもしれませんが、お客様に来ていただけるのであれば問題ありません。大切なのは、短期的な効率ではなく、長く選ばれ続ける価値を作ることです。

■人の成長が会社の未来をつくる

企業が成長し続けるために欠かせないのが人材の育成です。人の時間は有限だからこそ、自分が持っているノウハウを1人でも多くの人に伝え、次の世代に引き継いでいく必要があると考えます。未来永劫、資さんうどんが成長し続けるために、多くの従業員がチャレンジし、経験を積んでいってほしいと思っています。小さな失敗は何度しても良いのです。大事なのはその後に「じゃあ、次どうする?」と考え、実行に移すこと。また失敗したら、また次の打ち手を考える。その繰り返しです。店舗が増えることで新たなポジションが生まれ、社員が成長する機会も広がります。そうした人材がやがて会社を支え、新たな価値を生み出していくと信じています。
さらに、資さんうどんは今年で創業50年を迎えます。50年続くというのは、決して当たり前のことではありません。地域の方々に愛されてきたからこそ、今があります。
だからこそ、私たちがやるべきことは、この50年で築かれてきた価値を守りながら、全国に広げていくことです。資さんは特別な存在でありたいわけではありません。むしろ「資さんでも行く?」と日常の中に溶け込む存在でありたいです。お客様の人生の中に当たり前のようにあり続ける、そんなお店を一店舗ずつ積み重ねていきたいと思っています。

■大学生へのメッセージ

みなさんに伝えたいのは「人の成長は無限である」ということです。
社会人としてスタートを切ったあとも、学ぶことをやめない姿勢は、必ず自身の成長に繋がります。私自身も社会に出てから月に3冊のビジネス書を読み続け、知識を積み重ねてきました。その積み重ねが、いざという時の判断につながっています。
できない理由を探して限界を作るのではなく、「どうすればできるのか」を考え続けてください。小さな挑戦を繰り返すことがきっと皆さんの未来を大きく変えてくれるはずです。

学生新聞オンライン2026年4月10日取材 武蔵野大学4年 吉松明優奈

早稲田大学3年 中澤京平/武蔵野大学4年 吉松明優奈/津田塾大学4年 石松果林

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