綾瀬市長 橘川佳彦
適度な都会、適度な田舎。綾瀬らしい暮らしを目指して
橘川佳彦市長の写真-scaled.jpg)
綾瀬市長 橘川佳彦 (きつかわよしひこ)
■プロフィール
1970年 綾瀬市寺尾生まれ
1977年 綾瀬幼稚園卒園
1983年 綾瀬市立天台小学校卒業
1986年 綾瀬市立綾北中学校卒業
1989年 神奈川県立綾瀬高等学校卒業
1994年 国士舘大学卒業
2011年 綾瀬市議会議員(初当選)
2015年 綾瀬市議会議員(2期目当選)
2019年 綾瀬市議会議員(3期目当選)、副議長
2021年 議長、神奈川県市議会議長会会長
2024年 第5代綾瀬市長就任
温かい人が多く、横浜や東京にもアクセスしやすい一方で、畑や緑が広がる落ち着いた環境もある神奈川県綾瀬市。しかし、人口減少や交通課題、子育て支援など、さまざまな課題にも直面している。そうした中で、地域の魅力を活かした住みやすい街づくりを目指す橘川佳彦市長に、綾瀬市の現状やこれからについて話を聞いた。
学生時代はアルバイトに励んでいたのですが、ある日ドライブ先で偶然目にしたF3レースをきっかけに車のレースに挑戦したいと思うようになりました。その夢を叶えるため、大工や足場工事、コンビニ店員などさまざまな仕事を経験しました。そこで、普段は出会えないような多くの人々と関わることができたのは、自分にとって大きな財産になっています。現在の仕事においても、さまざまな職業に携わる方々を表面的ではなく、少しでも深く理解できることにつながっていると感じています。大学卒業後は、百科事典「ブリタニカ」の営業職をはじめ、トラック運転手、キッチンの取り付けを行う設備業、さらにシステム開発会社でプログラマーとして働くなど、幅広い仕事を経験してきました。
■まず行動してみようと決断した政治への道
システム開発の仕事をしていた際、綾瀬にある家へは寝るために帰ってきているだけでした。しかし、自治会の役員に急遽選出され、地域のことに目を向けるようになりました。そのタイミングが子どもの小学校入学の時期とも重なり、それまで見えていなかった地域の課題や不満を実感するようになりました。そうしたときに、ただ文句を言うのではなく、自分で挑戦してみようと思い、市議会議員に立候補し、13年間勤めました。実は市長になったきっかけも、市議会議員になった時とほとんど同じです。市議会議員でできないことや、納得できないことがあるのであれば自ら市長になって改善しようという思いがありました。市長になれたのは、多くの方の協力やタイミングといった要素もあったと思います。600人を超える市役所の職員さんがいるなか、市長はそのトップとなる存在です。その選挙に対して、地域の皆さんが応援してくれたのは立候補への大きな力になりました。
任期の4年間で、まずはできることを行い、綾瀬の良いところを伸ばしていきたいと考えています。綾瀬は、人の温かさが大きな魅力の街です。一方で、住環境はまだ改善できる部分もあるため、交通や生活環境などを一つずつ整えていくことが必要だと考えています。何か1つだけではなく、暮らし全体をより良くしていくことで、「綾瀬に住みたい」と思ってくださる方を増やしていきたいと思っています。
■住みやすい街づくりのために
綾瀬市は令和2年をピークに人口減少へ転じています。これまでの人口増加や経済成長が前提だった時代から、大きな転換期に入っています。民間企業は変化に対応しようと努力していますが、行政にはまだ危機感が十分に浸透していない部分もあります。まずはその点を変えていくことが、綾瀬市がこれからも生き残るために必要だと考えています。近年、人口が増えている地域を見ると、駅を中心に開発が進められている場所が多くあります。しかし綾瀬市には駅がなく、厚木基地があるために、建てられる建物の高さにも制限があります。そんななかで多くの人に住んでもらうために大切なのは、「適度な田舎感」と「適度な都会感」の両方を持つことだと感じます。さらに、重要視しているのが、子育てしやすい環境づくりです。移動のための公共交通が整い、安心・安全に暮らせるよう医療機関や警察署があり、さらに働く場所として企業も充実している。そうした暮らし全体を整えることで、綾瀬市をさらに発展させていきたいと思っています。現在の綾瀬市の交通手段としては、路線バスやコミュニティバスに加え、シェアサイクルやデマンド型交通の実証実験も進めています。将来的には、Zipparなどの次世代交通も検討しています。また、働く場所の確保としては、工業系の都市開発を進め、新たな企業誘致にも取り組んでいます。
特に力を入れているのが、子育て支援です。今年度から既存の公立保育園2園で受け入れできるよう整備し、子ども誰でも通園を始めています。さらに、保育園や幼稚園、小学校入学前の時期は、母親同士のつながりができにくく、孤立してしまうケースもあります。そうした課題に向き合うため、子育てサロンも開くことで、情報交換ができる場づくりにも力を入れています。そのほか、子どもの非認知能力を育てる講習も行っています。不登校や引きこもりの子どもたちに向けては、「あやぴぃす」という愛称の居場所を今年開設し、子どもたちが悩みを相談できる環境や、安心して過ごせる場所づくりを進めています。また、前市長から引き継ぐ形で進学の選択肢を広げるためにひとり親家庭等の高校生に対して通学費補助も続けています。 一方で、子どもが小さい頃は保護者や施設を通じた支援ができますが、中学生以上になると支援が難しくなることが課題でした。そこで今年度から、中学校の生徒会へ補助金を出す取り組みを始めます。これは、生徒会に立候補する際、自分たちの政策の中に10万円の予算を組み込めるという取り組みです。さらに今後は、高校生には市のイベントに運営する側として関わってもらいたいと考えています。子どもたちには、ただイベントに来るだけではなく、自分たちで一緒につくり上げる経験もしてほしいですね。
■大学生へのメッセージ
夢や希望は、ぜひみなさんに持ってもらいたいです。しかし、夢や希望を持つ段階はもちろん、叶える過程にもさまざまな壁があると思います。それでも、まずは行動してみてほしいです。失敗しても何度でもやり直せますし、失敗を経験した人ほど強くなれます。だから夢や目標に恐れず向かって走ってもらいたいです。さらに時間はみんな当たり前に持っているものですが、逆に言えばどんな立場の人にも平等に与えられているものでもあります。「何をしようかな」と迷っている時間はもったいないと感じます。時間は買えないものなので、有効に使って、ご自身の夢や希望を叶えるためのチャレンジをしてみてくださいね。
学生新聞オンライン2026年5月14日取材 津田塾大学4年 山下さくら

法政大学4年 島田尚和/津田塾大学4年 山下さくら


この記事へのコメントはありません。