参議院議員 辻元清美
平和・ジェンダー・交通の三本柱で社会を動かす

参議院議員 辻元清美 (つじもときよみ)
■プロフィール
参議院議員(全国比例代表)。1960年奈良県生まれ、大阪育ち。早稲田大学教育学部卒業。学生時代にNGOピースボートを創設、冷戦下の世界60カ国と民間外交。阪神淡路大震災では支援物資を船で運ぶ。エイボン女性大賞教育賞受賞、ダボス会議「明日の世界のリーダー100 人」に選出される。1996年、衆議院選挙にて初当選。NPO法を議員立法で成立させ、被災者生活再建支援法、情報公開法、男女共同参画社会基本法、児童買春・ポルノ禁止法などの成立に尽力する。衆議院議員(7期)。2009年 国土交通副大臣(運輸・交通・観光・危機管理担当)、2011年 災害ボランティア担当の内閣総理大臣補佐官。2017 年立憲民主党を立上げ、女性初の国対委員長(野党第一党)を2年間務める。立憲民主党代表代行、衆議院予算委員会野党筆頭理事、憲法審査会野党筆頭幹事、経済産業委員、平和安全法制特別委員、国土審議会委員などを務める。2022 年から参議院議員。
学生時代に立ち上げたNGO団体「ピースボート」での経験を活かして、平和問題や、ジェンダー平等など、多方面にて尽力している参議院議員・辻元清美さん。5年前にも本媒体で取材させていただいたが、今回はこの5年間での政治の変容や、今後成し遂げていきたい政策について、辻元さんに再び伺った。
■貧しかった子どもの頃の経験から繋がった政治への道
子どもの頃は、家が貧しく、経済的に苦しい生活を強いられました。しかしある時、「大学に行けばお金持ちになれる」という話が耳に入り、私は苦しい生活から抜け出すために必死に勉強をしました。大学では、子どもの頃の経験から、貧困を無くすことや平和を希求することに興味を持ち、社会科を専攻しました。在学中の1980年に韓国では、当時の韓国民主化運動における転換点となった光州事件が起こり、私はボランティアとして、民主化に関する会議にも参加しました。そこで様々な人々と知り合い、これが一つのきっかけとなって、大学の友人4人で、平和・民主主義・人権問題など様々な社会問題をテーマに、各国の現地で国際交流をするNGO団体「ピースボート」を立ち上げました。ピースボートの活動では、非常に多くの国と地域へ出向き、国際交流を盛んに行いました。そんな中1995年には、阪神・淡路大震災が起こります。私たちもピースボートとして、ボランティア活動をしていましたが、私たちのような民間の力が社会的に認められるようになりたいという思い、そして当時日本初の女性衆議院議長となった土井たか子さんからの指名もあって、政治家の道を志すこととなりました。
■当初は苦労したがやりがいもあった
衆議院議員として当選してからは、私は世襲議員でもない庶民代表として政治家になったため、充分な資金もなくて、選挙に落選した人が廃棄したコピー機や冷蔵庫などを再利用してまでやりくりをしていました。また、当時は女性だというだけで、男性政治家の秘書と間違えられる程、扱いは決して良いとは言えない状況でした。現に、私は今年で議員活動30周年を迎えますが、25年以上議員活動を続けている女性議員はわずか19人しかいないのです。それほど多くの苦労をし、時に悔しい思いもしましたが、政治活動の中で、自分が社会を変えることに携わることができた時はやりがいを感じました。例えば、与野党や市民団体をつないで実現させたNPO法を成立させたのは、一年生議員としては「田中角栄以来」と驚かれ、社会貢献活動を精力的に行える市民団体の数を増やすことができました。当事者といっしょにつくり、新しい立法のモデルと評された被災者生活再建支援法のおかげで、東日本大震災の際にも、災害で住宅が被害を受けた人々にきちんとお金が届くようになったわけです。ピースボート、阪神・淡路大震災でのボランティア経験を政治家として活かし、大きく社会を変えることに寄与できたことは、自分自身の大きな励みになりました。
■政治家・辻元清美を構成する三つの柱
私は、政治活動の中でも主に、三つの方面で精力的に活動しております。
一つ目は、「平和問題」です。日本は憲法第九条により、(他国から攻撃された場合を除いて)二度と戦争行為をしないということになっています。そのため、国際的に日本は平和国家としての信頼を築くことが出来ています。そうした中で私は、日本が「世界の赤十字」になるべきだと考えます。そのためには人道支援や、中立的な立場での戦争の仲介などを通して、より日本が平和な国家であることを発信することが肝要です。また、若い皆さんには実際に国際交流の経験をしていただきたいです。第二次世界大戦の時は、「鬼畜米英」といった考えが当たり前のように信じ込まれていました。ですが今や実際に会って交流をしてみればそんなことは全くないことが簡単に分かります。国際交流により、国籍や文化の違う方々の価値観を理解しあうことが、より平和や安全保障の強化に繋がるのだと思っています。
続いては、「ジェンダー問題」です。前回の取材からおよそ5年が経ちましたが、同性婚問題については裁判でも複数件違憲判決が下され、次の最高裁で違憲判決となれば、とうとう同性婚が認められるところまできました。これは、当事者があげた声に対して、我々立法府が耳を傾け一緒に進んできたことの証だと考えます。そういう意味では同性婚に関する議論は前進してきました。しかし一方で、選択的夫婦別姓の問題に関しては議論が続いています。私は自分の姓は自分自身で決めて良いものと考えておりますが、反対派の意見も一定数いらっしゃり、これから先より慎重に議論を進めていく必要がある問題の一つです。また、女性天皇についても同様の議論がなされており、世論に沿った皇室典範改正を実現できるように頑張っていきたいです。
そして、三つ目は「交通改革」です。私は、国土交通副大臣や委員長の経験もあり、バスや電車の利用を通した地域活性化に取り組んでいます。このような取り組みの一例として、私の住んでいる大阪府高槻市のバス運営が挙げられます。高槻市では、高齢者はバスに無料で乗ることができます。そうすることで、多くの高齢者が頻繁にバスを利用して出かけるようになります。バス運賃無償化にはもちろん税金が使われますが、これにより高齢者は健康になるため、医療・介護にかかる費用が抑えられる上、商店街を潤すこともできます。さらに、バスや電車での輸送は、車に比べて二酸化炭素の排出も少なくすることができ、いわゆる「クロスセクター効果」を生み出すことができるのです。私はこのような効果を日本中に広めて、地方もより活発にしていきたいと思います。
■学生へのメッセージ
私の学生時代に比べ、社会が不寛容になり、失敗が許されない風潮があります。そのせいか、最近の若い方は、自分たちの頃よりも臆病になりがちな傾向があるように見えます。でも、若いうちは、失敗したっていくらでもカバーすることができます。だからこそ失敗を恐れないことが大切だと思います。ぜひ様々なことに好奇心を持って取り組んでいって欲しいです。私たち今の大人も、みなさんがのびのびチャレンジできるような社会をつくるため力をつくします。また、何でもかんでもSNSを信じ込まないことも大事です。百聞は一見に如かずというように、リアルで、自分自身で物事を確かめることで、新たな発見を得ることができるでしょう。
学生新聞オンライン2026年4月24日取材 早稲田大学3年 中澤京平

東京女子大学3年 浮田梨紗/城西国際大学3年 渡部優理絵/早稲田大学3年 中澤京平/法政大学4年島田尚和/京都芸術大学1年 猪本玲菜


この記事へのコメントはありません。