俳優 山谷花純 【写真集 「遠距離、現在此。」】
飾らない私を、20代最後に残したかった

俳優 山谷花純(やまやかすみ)
■プロフィール
1996年12月26日生まれ、宮城県出身。2008年にドラマ「CHANGE」(フジテレビ系)で俳優デビュー。映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』では、役作りのために丸刈りで末期がん患者の難役を演じきり、その圧倒的な演技力が大きな話題を呼んだ。主演映画『フェイクプラスティックプラネット』で2019マドリード国際映画祭最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。近年は連続テレビ小説「らんまん」、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」「豊臣兄弟!」(いずれもNHK総合ほか)、ドラマ「親友は悪女」(BSテレ東)などの話題作への出演が続いており、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍する。
20代最後の節目に写真集「遠距離、現在此。」を発売する山谷花純さん。撮影地に選んだのは、自身が初めて親元を離れてドラマ撮影に参加した香川県・小豆島でした。18年ぶりに訪れた“原点”の地で見つめ直した今の自分とは。写真集に込めた思いや18年間の俳優人生を振り返りながら、仕事への向き合い方や大学生へのメッセージを伺った。
■20代最後に訪れた「原点」
写真集の撮影地は香川県・小豆島です。私が初めて親元を離れてドラマ撮影に参加した場所で、俳優人生の原点とも言える特別な場所なんです。今年30歳を迎える節目の年を前に、「もう一度原点に帰ってみたい」という思いがあって撮影地に選びました。
18年ぶりに訪れた撮影場所では、当時使っていた机や椅子がとても小さく見えて、「自分はこんなにも大きくなったんだな」とこれまでの自身の成長を実感しました。
また、当時の記憶も鮮明によみがえりました。撮影そのものよりも、駄菓子屋さんへ行ったことやエンジェルロードで遊んだことなど、オフの時間の思い出が色濃く残っています。
今回改めて訪れたことで、小豆島の食文化や風景の魅力にも触れることができました。今回の写真集には、小豆島の自然や街並みとともに、今の私だからこそ見せられる表情がたくさん収められています。18年前にこの場所で夢中になっていた少女と、20代最後を迎えた今の自分。その両方が重なるような一冊になったと思っています。
撮影は4月だったのですが、想像以上に寒くて海辺での撮影はなかなか大変でした(笑)。それでも自然豊かな景色の中で過ごした時間は本当に特別でしたし、20代最後の自分を残す場所として小豆島を選んで良かったと思っています
■人との出会いが育ててくれた18年間
私が芸能界に入ったのは小学校5年生の時です。学校で将来の夢について話した時に、「テレビの中に入ってみたい」と言ったことを担任の先生が覚えていてくださって、エイベックスの全国オーディションを紹介してくれました。当時は芸能界に強い憧れがあったわけではなくて、「テレビの中ってどうなっているんだろう」という好奇心の方が大きかったと思います。その小さな興味から受けたオーディションが、気付けば18年間続く俳優人生の始まりになりました。
高校生の頃は宮城と東京を往復する生活を送っていました。同世代に同じ環境の人が少なかったこともあって、人との距離感に悩んだ時期もあります。でも、その分たくさんの現場で多くの出会いに恵まれました。特に大きな転機になったのが映画『告白』への出演です。作品づくりに本気で向き合う大人たちの姿を見て、「私もこの世界で生きていきたい」と思うようになりました。作品が多くの人に届き、評価されていく様子を見た時、「もっとたくさんの人に見てもらえる作品に関わりたい」と感じたことを今でも覚えています。


■自由に表現するために必要なこと
俳優という仕事は、一人では成り立ちません。監督やスタッフの皆さん、共演者の皆さんなど、多くの人に支えられて作品は完成します。そのため私が仕事をする上で大切にしているのは、「相手の立場に立って考えること」です。
その考え方を学んだきっかけの一つが、小栗旬さんとの共演でした。以前、小栗旬さんと初めてご一緒した時に「誕生日が一緒だね」と声をかけていただいたことがありました。その一言で緊張がほぐれて現場に入りやすくなったんです。それ以来、私も初めてご一緒する方のことを事前に調べたり、相手を知ろうとすることを大切にしています。
この仕事のやりがいは、作品を通して誰かの人生に少しでも影響を与えられることだと思っています。作品を見て元気をもらったり、何かを考えるきっかけになったりしたらうれしいです。特に社会派の作品に関わる時は責任を感じます。ニュースでは伝わりきらない現実を、物語だからこそ届けられることもあると思うからです。
また、俳優の魅力は、自分では経験できない人生を体験できることです。役を通してさまざまな価値観や生き方に触れ、そのたびに自分自身の世界も広がっていきます。もちろん思うようにいかず悩むこともありますが、それを乗り越えた時に成長を実感できるのも、この仕事の面白さです。尊敬する吉田鋼太郎さんからいただいた「自由に芝居したいなら努力しろ」という言葉を胸に、これからも挑戦を続けていきたいと思っています。
■飾らない自分を残したかった
今回の写真集で大切にしたのは、「自然体の自分」を残すことでした。普段のお仕事では役を通して表現することがほとんどですが、写真集は自分自身が被写体になります。だから今回は、お芝居をすることを意識的に手放し、できるだけ素の自分でカメラの前に立とうと思いました。メイクも極力控え、ほぼすっぴんに近い状態で撮影に臨んでいます。
実は私は、役の力を借りずにカメラの前へ立つことが少し苦手なんです。普段は役柄が自分を支えてくれていますが、写真集では自分自身しかいません。だからこそ今回は、自分と向き合う機会にしたいと思いました。
20代最後の今だからこそ感じるのは、「大人になろうと無理をしなくてもいい」ということです。小学生の頃と比べれば経験は増えましたが、本質的な部分はそれほど変わっていない気がしています。10代の頃は与えられた環境の中で必死に走っていました。でも今は、自分で考え、自分の意思を持って作品づくりに向き合えるようになりました。今回の写真集は、そんな今の自分を最も素直に表現できた一冊になったと感じています。
■大学生へのメッセージ
学生の皆さんに伝えたいのは、「考えるより先に行動してほしい」ということです。年齢を重ねると、失敗への不安から行動する前に考え込んでしまうことが増えていきます。でも若いうちは、その一歩を踏み出せること自体が大きな強みだと思います。私自身も、「テレビの中に入ってみたい」という好奇心からオーディションを受けたことが、今の仕事につながりました。失敗したとしても、その経験が無駄になることはありません。全てが自分の財産になります。だからこそ、やってみたいと思ったことにはぜひ挑戦してほしいです。私自身も、小さな好奇心から始まった挑戦が、気付けば18年間の俳優人生につながっていました。皆さんにも、自分の可能性を信じて一歩を踏み出してほしいと思います。
学生新聞オンライン2026年6月5日取材 法政大学1年 山田賢彦
■山谷花純写真集 遠距離、現在此。
著者:山谷花純
撮影:西村康
発売日:2026年6月26日
定価:3,850円(税込)
仕様:A4判
ISBN:978-4-04-811839-2
発行:株式会社KADOKAWA
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322510001231/



法政大学3年 佐藤海都/京都芸術大学1年 猪本玲菜/早稲田大学3年 中澤京平/法政大学1年 山田賢彦


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