株式会社ビタブリッドジャパン 代表取締役社長CEO 大塚博史
自分が本当に求める理想を追求してこそ、熱量を持ったモノ作りができる

株式会社ビタブリッドジャパン 代表取締役社長CEO 大塚博史(おおつかひろし)
■プロフィール
広告会社の株式会社大広において大手健康食品通販事業(現サントリーウエルネス株式会社)の初期から携わり(2002年~)、アカウントエグゼクティブとして数百億円規模になるまでダイレクトマーケティング全般を担当し事業成長に貢献。2011年5月に㈱大広資本の中国子会社の立ち上げ、中国市場の通販事業コンサル・プロデュースを手がける。2014年4月に株式会社ビタブリッドジャパン設立及び立上げし、2026年4月には東京証券取引所グロース市場に上場させる。2026年2月期の売上高は152億円。主力商品「ターミナリアファースト」は後発ながら国内ダイエット総市場3年連続売上高№1となる。
ヘルスケアやスキンケア商品を中心とする株式会社ビタブリッドジャパン代表取締役社長CEOの大塚博史氏。D2Cビジネスを始めるきっかけは、当初希望せぬ通販事業部への配属であったが、費用対効果が明瞭で、数字がすべてのフェアな世界に魅了され、自分の強みに変えた。ビタブリッドジャパンにおいてもD2Cビジネスで設立から12年間で年間売上高152億円規模まで成長させる。市場動向に流されず、プレミアム価格帯で理想のこれまでにない商品を追求する、独自の経営哲学と熱量に迫る。
大学時代はテニスや旅行、アルバイトなどをして過ごしていました。法学部だったこともあり、大学3年生までは世の中にどんな職業があるのかも知らず、ただ弁護士になるべきなのかなくらいに思っていました。就職活動を始めた頃、とにかく様々な業界本を読み漁りました。その中で広告代理店という分野があることを知り、非常に面白そうだと感じたのです。自分が考えたクリエイティブなアイデアで人の心を動かせるという点が、すべて自分次第で実力勝負ができる環境だと思い強く惹かれました。
■通信販売は、フェアで実力主義な世界
新卒では広告会社の株式会社大広に入社しましたが、希望の華やかなTVCM等のマスコミビジネスとは異なり、当時は新聞や折込チラシがメインの通信販売の部署に配属されました。広告代理店の仕事といえば華やかなCM制作などの仕事を想像していたため、ハガキ作りばかりの毎日に「こんなことをするために入社したわけではない」と、当初は嫌でたまりませんでした。しかし、今となっては通信販売の部署・ダイレクトマーケティング領域で良かったと感じています。なぜなら、広告費に対して何人のお客様が購入してくださったのか、すべてのデータが可視化されるからです。感覚的な良さではなく、いくら売れたかという数字で評価される、非常にフェアで実力主義な世界だと分かりました。自分の頭と体一つで勝負できるこのダイレクトマーケティング領域が自分に向いていると気づいてからは、充実した気持ちで長く担当させていただきました。
その後、クライアントはヘルスケア通販NO.1にまで成長。自分自身もさらなる成長のために中国でダイレクトマーケティング事業コンサルを行うなど、挑戦の幅を広げました。しかし東日本大震災の影響で日本の食品類が輸入停止となりクライアントがそもそもいなくなってしまったことをきっかけに、立ち位置に限界を感じたのです。結局は誰かのビジネスに乗っているだけで、自ら社会へ価値を生み出すことはできないと痛感したからです。そこで、帰国して起業を決意しました。しかし、私の構想するスピード感のある事業モデルでは、初期に3億円ほどの赤字を覚悟する必要がありました。当然手元にそれほどの資金はありません。そんな時に出会ったのが、PR会社の「株式会社ベクトル」です。物販事業の責任者を探していた彼らと、通販事業を立ち上げたいが資金がない私の状況が見事に合致し、そこで新たな事業をスタートすることにしました。
■不確実性を回避するビジネスモデル
当社は、ヘルスケアやスキンケアを中心とするD2C企業です。D2Cとは、消費者の元へ直接商品をお届けする通信販売事業のことです。商品作りにおいて、当社は「プレミアム定番化」というキーワードをよく用いています。また、当社のビジョンは、最大よりも、最適®を追求し続けることです。単に一番多く売れることよりも、お客様と深くマッチングしていることを重視しています。100人全員に売れなくても、20人に確実に届き、その20人にとって「色々な会社を試したけれど、この商品が一番自分に合っている」と思っていただけるような商品を作りたい。そのため、価格は少し高めのプレミアム帯ですが、業界でも高い効果を実感できる点が大きな優位性となっています。
また、通販事業を展開する上で必要なノウハウや、予測データが集約された独自のD2Cシステムを保有しています。このシステムがあるからこそ、新商品を立ち上げる際に新規のお客様の予測を立てることができ、成功の確率を高められるわけです。データは年々蓄積され、AIを活用することで予測精度も向上し続けているため、極めて高度なシステムが整っている点も当社の大きな強みです。
商品開発では、市場規模や動向よりも、自分たちの強い悩みや課題を解決できるかを重視しています。自分が本当に求める理想を追求してこそ、熱量を持ったモノ作りができるからです。現在当社で最も売れている「ターミナルファースト プロフェッショナル」も、私自身の体験から生まれました。糖質制限によって好きなものが食べられない苦痛を経験したことから、心豊かに食べながらも糖質コントロールができるものという理想を自ら形にしたのが、この商品です。
当社が大きく成長した理由は、大規模な広告宣伝投資が成功したからではありません。通信販売において重要なのは、客観的な数字を見ることです。10個の仮説があれば、テスト費用程度の少額で10個すべてを実行に移します。その結果、最も良い数字が出たものに対して集中的に投資を行うのです。不確実性を回避するこのビジネスモデルこそが本質です。ギャンブルや何か秘策があるとかではない、ダイレクトマーケティングですべきことをしっかり数多く検証し続けた結果として、着実に階段を上るように成長を遂げてきました。
■あり続けたい姿を永遠に追求する
当社は、社員が自ら考えて行動する自律的な組織であり、採用においても「これをやりたい」という強い意志を重視しています。また、「明日の可能性を広げる®」というミッションのもと、健康や美容の枠を超え、循環経済や災害対策など、人々の豊かな生き方に繋がる幅広い社会課題に挑戦していきます。理想の姿を常に追求し、製品やサービスの価値を通じて社会に貢献し続けることこそが、私たちの使命です。
■若者へのメッセージ
社会人になると自由な時間が限られますので、学生のうちに遠い所への旅行など多様性を存分に経験いただくのが良いのかなとは思います。
そして、自分にとっての「好き」や「得意」の分野を理解していくのは大切ですね。
当社の研修では映画『きっと、うまくいく(3 Idiots)』を観ていただきますが、そこには数字の成功ではなく、純粋に優秀さを突き詰める姿勢が描かれています。人は本当に好きなことなら時間を忘れて没頭し、結果として誰よりも深い知識を得て大いに頼られる存在になります。これは論語にも通じる教えです。皆さんの日常でも、無心になれたり、いつの間にか時間が経っていたりする瞬間があるはずです。その夢中になれるものこそが、あなたの本当に好きなことなのではないでしょうか。
学生新聞オンライン2026年6月16日取材 東京都立大学4年 坂倉彩月

東京都立大学4年 坂倉彩月/京都芸術大学1年 猪本玲菜/法政大学1年 山田賢彦


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