株式会社東洋堂 代表取締役社長 松森武夫

日本のはんこを世界の文化へ 攻める姿勢が道を開く

株式会社東洋堂 代表取締役社長 松森武夫(まつもりたけお)

■プロフィール
出身地:長崎市 東洋大学経営学部中退 趣味:旅行・釣り・読書
経歴:株式会社サンポール入社、株式会社日拓観光入社、25歳独立自営。30歳株式会社東洋堂設立。職域、社内販売で官庁大企業を開拓して販路を広げて代理店を募集しFCのきっかけをつかんだ!
48歳に店舗、はんこ広場をスタート55歳でFC店舗100店達成、目標は世界にはんこ文化を広げて<はんこを世界の文化にする>そしてサインとはんこの二本立てで自分を証明するのが当たり前の世界にしたい‼️

■プロフィール
出身地:長崎市 東洋大学経営学部中退 趣味:旅行・釣り・読書 経歴:株式会社サンポール入社、株式会社日拓観光入社、25歳独立自営。30歳株式会社東洋堂設立。職域、社内販売で官庁大企業を開拓して販路を広げて代理店を募集しFCのきっかけをつかんだ! 48歳に店舗、はんこ広場をスタート55歳でFC店舗100店達成、目標は世界にはんこ文化を広げて<はんこを世界の文化にする>そしてサインとはんこの二本立てで自分を証明するのが当たり前の世界にしたい‼️

はんこ専門店「はんこ広場」を全国100店舗以上に展開する東洋堂。はんこを取り扱うだけでなく、デジタルサービスの提供や各官庁や大企業の指定業者になるなど、唯一無二のビジネスモデルを確立している。創業者の松森武夫さんに、事業展開のための着眼点や営業に対する姿勢を語っていただいた。

学生時代ははんこ屋のアルバイトに時間を使っていました。大学進学と同時に上京したので、生活に余裕がなく、自分でお金を稼がなければと思っていたからです。なぜはんこ屋だったのかと言うと、売上の7割が利益になるほど粗利益が高かったことと、はんこ屋といえば高齢者が経営している印象が強かったため、若者がやればもっとうまくいくのではないかと単純に興味を持ったからです。アルバイトながら営業に注力していて、沖縄返還の時に「アメリカから日本になるということは、サインからはんこが必要になる」とにらんで、沖縄ではんこのチラシをばら撒きました。すると1週間で約1億円を稼ぐことができ、見立ては大成功。この経験がきっかけで、はんこビジネスの可能性とお金を稼ぐことの面白さに気づきました。

■攻めの営業スタイルの確立

アルバイトを辞めて独立したのは25歳頃です。沖縄返還の時に成功した資金も、遊び歩いたせいですぐに使い切ってしまい、「このままではいけない」と思ったんです。初めは中小企業に飛び込み営業をしていたのですが、それだけでは徐々に限界を感じました。そこで、大企業の食堂や売店ではんこの社内販売をやってやろうと考えたんです。まず、企業の電話番号が載っている本を買ってきて、一社一社に電話をかけました。「はんこの売上の5%は、御社の福利厚生に使っていただいて構いませんので」とメリットも説明して、企業と組合の両方を渡り合って関係を築いていきました。度胸を武器に積極的に交渉した結果、当時の大企業のほとんどと契約できましたね。

また、自分の身一つで営業をするよりも、店を持っている方が信頼性は高く、お客様の安心感に繋げられることにも気づきました。そこで46歳頃に店を持ち、はんこ屋には珍しいフランチャイズの展開を進めていきました。現在は、直営店とフランチャイズ店を合わせて100店舗以上あるので、当時から考えるととても大きく広げられたと思いますね。

■はんこをベースに、はんこだけではないビジネスを

東洋堂のベースは、はんこの収益の安定性です。買い物をする時は好き嫌いで判断することが多いと思うのですが、日本では契約や資料作成の時に必ずはんこが必要になりますよね。好き嫌いは関係ない絶対的なものとして、はんこは日本人にとって重要なんです。

また、時代の変化に合わせて、はんこだけでなくデジタルやITも取り入れていることがもう一つの特徴です。フランチャイズを始めた時、名刺・印刷・鍵などの商品も同時に扱うことで、ビジネスで必要なものが全てそろう「ビジネスコンビニ」を目指しました。このはんこを入口にする考え方を応用し、現在は企業のホームページ作成も受注しています。起業をきっかけに会社の印鑑を作るお客様を見て、同時に会社のホームページや社名の看板のニーズもあるだろうと思いついたんです。これから会社を経営していく上で必要なものはたくさんありますからね。はんこを作りに来て下さるお客様は、見込み客でもある。その気づきが新たなビジネスチャンスを生み、成功しました。時代の変化を捉えて、アナログとデジタルの両方を揃えることが、現在もはんこ屋として存続していられる理由だと思います。

■はんこを世界の文化にしたい

夢は、はんこの未来を広げることです。DX化が進み、はんこを使う場面は少ないと感じる人もいるかもしれません。しかし私は、電子印鑑の新たな分野での活用や、はんこの文化の世界展開を目指しています。実際に、2年前から「世界はんこ登録センター」という海外の人が登録できる印鑑証明のサービスを始めました。周りには「はんこは日本の文化だから世界展開なんてやめておけ」と反対されましたが、現在は欧州の芸術家やアーティストの方を中心に支持をいただき、利益を出すことができています。絵画や作品にサインと同時にはんこを押すことで、二重の信頼が生まれることに興味を持っていただけたからです。また、日本ならではの漢字も魅力的なようで、当て字で名前を彫る方も多いです。レアルマドリードのベッカム選手にも「別花夢」というはんこを作ったこともあるんですよ(笑)。

この流れを応用して、海外の契約に「サイン+印鑑」を定着させたいと思っています。例えば、日本の友好国に印鑑登録制度を取り入れてもらうこと。印鑑の登録料や証明書の発行料は国の大きな収入源の一つなので、そのメリットを説明することで、財源としても興味を持ってもらえるのではと期待しています。

■ピンチはアイデアの元。野心を持って挑戦せよ

会社を経営する上で大事にしているのは「独立心」です。これまで、お金を稼ぐ必要性に迫られた学生時代や、資金が尽きそうになった独立時代など、いろいろなピンチがありました。しかし、私はそれをマイナスには捉えず、「今こそ知恵を出せ」と言われているととらえていました。実際、順風満帆でないからこそ生まれたアイデアが東洋堂を広げてくれました。原体験があるので、社員にも「独立心を持て。でないとアイデアは生まれない」と話しています。真面目に働くことはもちろん重要ですが、「勤め人」という感覚だけでは仕事が作業的になってしまうと思うんです。役所と違って、民間企業は絶えず挑戦していかなければいけないので、野心や意欲を持って過ごしてほしいですね。9割失敗しても、1割成功すればいい。そんな独立心がある人と一緒に働きたいです。

■大学生へのメッセージ

独立心と意欲を持って日々を過ごしてほしいです。幸せな時は緩慢になり、ピンチはアイデアを思いつくチャンスです。積極的な姿勢を持っていると、きっと仕事でも成長すると思うので、頑張ってほしいですね。

学生新聞オンライン2025年5月31日取材 上智大学4年 吉川みなみ

城西国際大学2年 渡部優理絵/上智大学4年 吉川みなみ/国際基督教大学3年 丸山実友

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