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森永製菓株式会社 マーケティング本部 食品マーケティング部 吉成健二

森永製菓株式会社 マーケティング本部 食品マーケティング部 吉成健二(よしなりけんじ)

■プロフィール
2013年関西学院大学(経済学部)を卒業し、森永製菓に入社。
四国エリアでの営業職からキャリアをスタート。その後、新領域創造事業部、営業戦略部、冷菓マーケティング部を経て、2024年より現職。現在は、「ミルクココア」や「純ココア」など、ココアカテゴリー全般の戦略立案や商品開発業務などを担当。

日本のお菓子業界をけん引する存在として知られる森永製菓。なかでもココアは、1919年に国産初の飲料用ココア「ミルクココア」を発売して以来、長い歴史を持っている。時代のニーズを意識し、多彩な商品展開を行う同社のマーケティング部で、現在ココアカテゴリー全般の戦略立案や商品開発業務を担当する吉成健二さんに、その魅力や商品作りの工夫、マーケティングなどを伺った。

■森永製菓に入社した理由を教えてください

食に関わる仕事がしたいという想いが強くありました。きっかけは、学生時代の飲食店でのアルバイト経験です。食は嬉しい時や辛い時など、どんな時でも欠かせないものですし、人を笑顔にしてくれるものだというのが印象に残っていて、そこに魅力を感じました。また、就職活動の際は、食品業界でも自分が特に好きなブランド・商品がある会社かどうかを重視していました。自分が好きだからこそ、人に良さを伝えることができると思いましたし、仕事で辛いことがあったとしても頑張って乗り越えることができると思ったからです。そういう意味では、森永は昔から馴染みがありましたね。特に「ポテロング」という商品は父親がよく食べていましたし、私もバイト終わりなどによく食べていたので、おいしさだけでなくて思い出にも残っています。あとは学生時代に留学した際、お菓子なら年齢や宗教・国籍などを超えて多くの人が楽しむことができて、自然とみんなが、笑顔になれるのもいいなと思いました。そのような理由から、森永製菓で働いてみたいと考えて、応募をしました。

■入社後の経歴を教えてください

今年で入社して13年目 になります。入社後は4年間香川県で営業として従事しました。主な仕事は地域のスーパーマーケットに森永製菓商品の価値を伝え提案し、店頭に展開頂いたり、チラシ掲載をいただく活動です。その後は新規事業を担う部署で3年間、森永製菓が立ち上げたコーポレートベンチャーで働きました。そこでは大豆ミートや植物性のチーズなど、プラントベース食品事業の立ち上げに携わりました(販路開拓やプロモーションなど)。 また、別プロジェクトとして、ベンチャー企業との協業事業も経験しました。その後は営業戦略を企画立案する部署に1年半、その後マーケティング部に異動しアイスカテゴリーを担当し「パリパリサンド」やコンビニエンスストア向けの専用商品を担当しました。そして、現在はココアの担当をしています。

■今の仕事で意識していることや魅力・面白さを教えてください

お菓子や食品は売り場で「おいしそう」などと思って購入する非計画購買が多いので、瞬間的にパッケージを見た時に商品特徴やおいしさが伝わるように意識をしています。また、店頭でのコミュニケーションだけでなくSNSなど、店頭外でのコミュニケーション・接点も重視をしています。例えば、YouTubeでターゲティング広告を実施するなど、商品ごとの購買層に合わせたプロモーションを行います。森永製品の商品は、小売業様での取り扱いが高い商品も多いので、自分の担当商品がたくさんの人の目に触れることは大きなやりがいですね。例えば、スーパーで見ず知らずのお客様が商品をかごに入れてくれているのを見かけたり、SNSで商品を喜んでくれているコメントを見たりすると嬉しいです。

■商品作りで工夫していることやマーケティングについて教えてください

森永製菓のココアには様々な商品がありますが、そのような商品を生み出したり、改良したりするために、まずは市場・顧客分析が欠かせません。自社商品や競合商品の売れ行きなどデータ分析し、チャンスや課題を探します。市場全体のトレンドにも注目をしています。例えば、希釈飲料の人気が高まっていることから、ココアでも同様のニーズがあるのではないかと考え、希釈タイプのココアが生まれました。
また、市場データだけでは読み取れないこともあるため、お客様への調査も実施したりします。アイデアが生まれて製品化するまでは、早ければ半年、長いものだと1年から2年かかることもあります。味にもこだわりがあり、研究所のメンバーと協力しながら、日々改良を検討しています。例えば「ミルクココア」だと、「味わいの流れ」を大切にしています。
飲む前の香り、口に入った時のまろやかさ・コク、飲んだ後の香り・満足感。最初から最後までおいしく飲んで頂くために、時代の変化に合わせながら、改良を積み重ねています。
また、味だけでなく、体験価値も重視します。ミルクココアのメイン購買層は、子育てをされている女性のお客様も多いので、子どもや家族と一緒に過ごす時間や、子どもとのコミュニケーションの手段として、ミルクココアに価値を感じていただけるようなコミュニケーションを意識したりしています。味のおいしさだけでなく、思い出や体験価値も提供できてこそ、選ばれる商品になるのかなと思っているからです。こうしたイメージは、競合他社との差別化にもつながるものだと感じます。森永製菓は日本で最も古くからココアを販売してきた歴史と伝統があり、世代を超えて、子どもから大人まで、多くのお客様に認知され、親しまれているブランドなので、その強みを最大限に活かせるブランディングを心がけていますね。

■大学生へのメッセージをお願いします 

半歩踏み出す勇気を持って、様々なことにチャレンジし、たくさんの体験や経験をしてほしいと思います。一歩は大変でも、半歩なら気軽に踏み出せる。例えば、ちょっと気になる映画を見てみたり、興味のあるアルバイトに挑戦してみたり。あとは旅行に行ったりするなど、どんな些細なことでも良いので、人から聞く話やネットから得られる情報だけを信じるのではなく、自分の目で実際に見て、体験することが大切ではないでしょうか。
大学生は、社会人に比べ、自由な時間がたっぷりある方も多いと思うので、ぜひその時間を有効活用してほしいと思いますし、さまざまな経験がきっと新たな自己発見や自己成長にもつながると思います。私自身も、学生時代のアルバイトや留学の経験が、新たな趣味や自己成長にも繋がりましたし、今でも小さなチャレンジの積み重ねが仕事やプライベートの充実に繋がっていると感じています。
みなさんも少し勇気を出して、積極的にさまざまなチャレンジをすることが、これからの人生をより楽しく豊かにしてくれるきっかけになるかもしれません。

学生新聞オンライン取材2025年8月28日 法政大学3年 島田尚和

法政大学3年 島田尚和/情報経営イノベーション専門職大学1年  襟川歩希/国際基督教大学3年 渡邊和花/昭和女子大学2年 阿部瑠璃香/東京家政大学2年 篠田陽菜乃

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