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上戸彩 今を大事に生きる、経験はやがて宝物になる

上戸 彩(うえと あや)

■プロフィール
1985年9月14日生まれ。1997年「第7回全日本国民的美少女コンテスト」をきっかけに芸能界入り。ドラマ『3年B組 金八先生』『半沢直樹』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』など多数の作品に出演。映画『シャイロックの子供たち』で第47回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した。9月26日公開の映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』に出演。

女優デビュー25周年を迎えた上戸彩さん。10代の頃から第一線で活躍し、結婚・出産を経た今も輝き続けている。そこには華やかでありながら何事にも自然体で丁寧に仕事に取り組む姿がある。そんな上戸さんに仕事との向き合い方や人生の中で転機になったこと、15年ぶりに出すメモリアルな写真集の見どころなどを伺った。

■目の前の仕事に必死だった10代のころ

「全日本国民的美少女コンテスト」をきっかけに芸能界に入り、最初は4人組のアイドルグループとしてデビューしました。デビュー当時は仕事というよりも友達と一緒に遊んでいるような感覚だったと思います。グループを離れて一人で仕事をするようになると状況は一変しました。
『3年B組金八先生』に出演してからは忙しくなり、気持ちもいっぱいいっぱいで急に孤独感を感じるようになりました。人前に立つときはにこにこしていましたが、家に帰るとそのギャップが辛くて泣きながら過ごすこともありました。逃げ出したいと思うときもありましたが、逃げた方がもっとつらくなると思い、目の前のことを一つひとつクリアしながら乗り越えました。
仕事がどんどん忙しくなって行く中で、高校との両立は難しくなってきました。事務所からは3年先のスケジュールまでぎっしり埋まっていると言われていましたので、高校を辞める決心をしました。
学校に行っておけばよかったと後悔したこともありましたが、あのころの経験は今では自分の宝物です。学生時代にできた友達は今でも仲が良く、旅行に行ったり、休みを一緒に過ごす存在です。

■どんな人にもお仕事にも丁寧に向き合う

25歳になったときに、『流れ星』という竹之内豊さん主演のドラマで風俗嬢役を演じたことがあります。この役が私にとって大きな転機となりました。これまでは与えられた役をこなすだけだったのですが、このときは会社から「この役どう?」と聞かれたのです。私は竹之内さんと共演したいという思いもあって「ぜひやりたいです」と即答しました。
それまでは視聴率やドラマを見た人の感想はあまり気にしてこなかったのですが、自分が選んだ作品だったことで視聴率や見てくれた方の「良かったよ」という言葉が今まで以上に自分に響くようになりました。また、ドラマの企画書を初めて見せてもらい作品を作る過程を知れたこと、自分で出演作を選ぶことができるようになったことにより、いっそう責任感や楽しさが生まれ、仕事に対する意識がガラッと変わりました。
お仕事をする上で私の軸になっているのは、誰に対しても誠実でありたいということです。どんな人にも丁寧でいたいし、どんなお仕事にも一生懸命でいたい、そこだけはずっと変わらず大切にしている部分です。
また、結婚するときも出産するときも、仕事が続けられなくなるかもしれないという気持ちでいました。今は育児中心ながらもお仕事をさせていただけることに感謝でいっぱいです。私は役に引きずられるタイプなので、重い役をやるとそれを家に持って帰ってしまうのではないかという不安で以前のようには受けられなかったのですが、最近は今までお受けしなかったような役にチャレンジしたくなってきました。子どもたちが自分の手を離れたときに、どっぷりと仕事に使える時間が増えるのも楽しみですし、そのとき自分の居場所が少しでも残っているように普段から心がけてお仕事をしていきたいです。

■今の自分が詰まった15年ぶりの写真集

写真集のお話をいただいたときは、不安と自信のなさの方が大きかったです。しかし、女優デビュー25周年という節目の年に出していただけるのはありがたいですし、チャンスだという思いもあり、挑戦することにしました。
写真集のタイトル『Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』は、真昼の夢想という意味があります。子どもが3人いるので一日中家を開けることが難しい中で、家族の協力を得て日本から少し離れた台湾という地で撮影を行い、タイトル通り、私にとってすごく楽しい夢のような数日でした。巨大台風が来るということで急遽一日短縮して撮影を行いましたが、「今できるものをやろう」というみんなの意志が強く、結果としてプラスに作用したと思っています。
お気に入りなのは、台南で撮った海の写真です。雨の中、台北から台南へ移動していましたが、到着したら晴れていて夕日の写真も撮ることができました。寝起きショットは、メイクもせず自分の部屋で撮った本当に寝起きの写真です。
移動中も撮影していたのでドキュメント写真集だなと思っています。最近は夜に仕事をする機会がなかったので、台湾の夜市での撮影は少しそわそわして夜更かししている子どもみたいに嬉しかったです。
カッコいい、キレイな自分を見せるという写真集にはしたくありませんでしたので、「今の私はこんな感じです」というようなメモリアルなものになったと思います。いろいろな写真、さまざまな自分が入っている自己紹介本のような写真集です。ぜひ手に取ってみてください。
私は学生時代のほとんどの時間を仕事に使ってしまったけれど、今があるからあの当時の自分も幸せだと思えます。
今苦しい人たちも何年後かにはそんな自分を笑えるようになっているはずですから、皆さんも今を大事に生きてほしいです。

学生新聞別冊AI特集2025年10月号 東洋大学3年 越山凛乃

■INFORMATION

15年ぶりの写真集『 Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』

幻想的な台湾の夜市を楽しむ姿やビーチでのあどけないピュアな表情、自然の中に佇む美しいカット、透明感あふれる寝起き姿など、多彩な魅力が満載。
写真集公式X @Ayaueto_MR
https://tkj.jp/book/?cd=TD058447         
(撮影:川島小鳥)

東京薬科大学3年 庄司春菜/東洋大学4年 太田楓華/東洋大学3年 越山凛乃/法政大学1年 渡辺碧羽

衣装クレジット:ブラウス93,500円、スカート99,000円(2点、サカイ)

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