テリー伊藤 コラムVol.72 大阪で無茶苦茶おもろい番組見つけた

大阪朝日放送テレビの番組、ちょいバラ『濱田祐太郎のブラリモウドク』が面白い。私は日本民間放送連盟賞の審査員をしているため、この時期全国のテレビ局の優秀作品をたくさん見る。各局自慢の番組だらけで力作ばかりなのだが、その中でも抜きんでてこの番組が面白いと感じた。メインの濱田は盲目のお笑い芸人(自称“お笑い座頭市”)、一緒に街を歩き回る相棒は藤崎。一見よくあるぶらり街歩き番組だが、目の不自由な濱田に藤崎が色々挑戦させる企画になっている。

先ずは射的体験。アドバイスを聞きながら放った銃で濱田は見事に商品を獲得する。「お前、目見えとるやろ!」と藤崎に突っ込まれると、すぐさま濱田が「見えてへんわ!こんなことやらせて何の意味があるんじゃ!」と返す。この2人のやり取りが最高に面白い。こんな笑えるやり取りの中、ブロック積み、木登り、絶壁ロッククライミングと濱田の挑戦は続く。その度に濱田が大声で「こんなことやらして意味あるんんかい!」と叫ぶ。その声もいい、人柄もいい、目元の優しさがさらにいい。番組が進むに連れ彼が好きになってゆく。東京発の番組だとコンプライアンスを気にして障がいのある方には優しく接するのが普通なのだが、さすが大阪のお笑い芸人とあってキレやツッコミのある会話が心地良い。

私は2020東京パラリンピックの応援大使を担当していた関係で多くの選手と触れ合う機会があった。公式な席ではともかくプライベートでは本音を話してくれた。「テリーさん聞いて下さいよ、周りの皆さんは私達を真面目で良い人のキャラに決めつけていませんか。本当は不真面目で遊びたいのに。」とよく言われた。パラアスリート、イコール努力家、品行方正、これが凄く重荷だと。その通り。恋もしたいし時には羽目も外したい。「障がい者に対する固定観念を何とか変えないと」と長年思っていたので、この番組は衝撃的だった。

更に街を歩く濱田。点字ブロックは歩行の際に物凄く必要なのに途中で無くなっていることを指摘したり、健常者より匂いに敏感なのか「このあたり犬のおしっこ臭がきつい」とか、「改めて目が不自由だと歩きづらい」「日本には車道と歩道の区別がない道が沢山あってとてもじゃないが一人で旅行に行けそうもない」と持ち前の人柄の良さが光る濱田が楽しく話す。今年見たテレビ番組で断トツ楽しく、為になった。残念ながら番組は3回で終了となった。復活を願う。そして濱田が全国区の人気者になって障がい者の本音をどんどん話して欲しいし、皆さんに知って欲しい。

私のデビュー本『お笑い北朝鮮』みたいに『お笑い座頭市街に行く』を出版して欲しい!

テリー伊藤(演出家)

1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

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