サミット株式会社 代表取締役社長 服部哲也
目の前の仕事が、いつしか天職に

サミット株式会社 代表取締役社長 服部哲也 (はっとりてつや)
■プロフィール
1964年生まれ、明治大学商学部卒。1987年に入社後、総菜部マネジャー、営業企画部マネジャー、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て、2020年4月、代表取締役社長に就任。
首都圏を中心に食品スーパーマーケットを展開するサミット株式会社。サミットでのアルバイトをきっかけに入社し、現在は代表取締役社長を務める服部哲也氏に、与えられた役割に誠実に向き合う中で育まれた経営観や、「店そのもの」を価値として届ける地域密着の店づくりについてお話を伺った。
学生時代はサミットでアルバイトをしながら、バンドの練習やライブに打ち込む日々を過ごしていました。小学校、中学校、高校と、同じような環境で育った人たちと過ごすことが多い中、音楽を通じて、それまでの生活では出会わなかった人たちと関わり、多様な価値観や生き方に触れることができました。
当時は、大学を卒業し、会社に入り、働いていくことに対して、どこか不安も抱いていたように思います。会社に入ることで、社会の歯車の一部になり、自分の人生が単調なものになってしまうのではないかと感じていました。しかし、仕事をするようになって、その考えは大きく変わりました。仕事は、自分を社会の歯車にするものではなく、いろいろな人との出会いや考え方に触れ、人生を広げてくれるものだったと気づいたからです。一日の多くの時間を費やすものだからこそ、一生懸命向き合えば、自然と道が開け、自分自身を成長させてくれると実感しています。
サミットとの出会いは、家から近いという理由で選んだ店舗でのアルバイトでした。最初からスーパーマーケットの仕事を強く志していたわけではありません。ただ、5年半ほど働く中で、職場の雰囲気が温かく「サミットという会社は良い会社だな」と思えたことが、入社につながりました。
入社後は、店舗勤務を経て、加工食品のバイヤー、総菜部、営業企画部マネジャーなど、さまざまな役割を経験しました。実は、自分から「この仕事がしたい」と言って歩んできたタイプではありません。それでも、目の前の仕事から逃げずに向き合ううちに面白さが見えてきて、異動が決まる頃には、その仕事を「天職」だと感じるようになっていました。
社長になった日の晩、最初に頭に浮かんだのは、約1万8000人の全社員と、その家族や大切な人たちに対する責任でした。業績を上げるだけでなく、働く人が心身ともに健康で、自分らしく仕事に向き合える環境をつくることも、社長としての大切な責任だと感じています。
■“店そのもの”を選ばれる存在に
現在、サミットは一都三県で125店舗を展開しています。直近決算では、売上高366,558百万円、経常利益9,585百万円となり、売上高・経常利益ともに前年を上回るなど、地域に根差した店舗づくりが着実に成果へつながっています。
私たちが大切にしているのは、単に商品を売ることではありません。接客、サービス、売り場の雰囲気まで含めて、「店自体が商品」なのです。お客様が商品を買うだけでなく、「この店で買いたい」「この店が好きだ」と感じてくださることが、サミットらしさにつながっています。
その象徴が、日々売場の案内やお客様とのコミュニケーションを主に担う「案内係」や、気になる商品を試せる「おためし下さい」、そして「向き合う接客」です。機械的に「いらっしゃいませ」を繰り返すのではなく、お客様の目を見て「こんにちは」「ありがとうございます」と挨拶を交わすことで、お客様との距離はぐっと縮まります。
案内係から毎日届くレポートには、お客様の人生に触れるような出来事が数多く書かれています。亡くなる前に「案内係の方にお礼を伝えてほしい」とご家族に託されたお客様の話もありました。単なるスーパーマーケットではなく、地域で暮らす方々の生活や人生に関わる場所になっている。そのことを知るたびに、私たちの仕事には大きな意味があると感じます。
サミットが目指しているのは、「生きる糧を分かち合うお店」です。“生きる糧”とは、単に食品を届けることだけでなく、人が元気になったり、喜びを感じたりすることも含んでいます。お客様の暮らしに寄り添いながら商品やサービスをお届けし、その反応や感謝の言葉をいただくことで、働く社員も元気ややりがいを得る。そうしたお客様と社員の間に生まれる良い循環こそが、サミットの強みだと思っています。
■地域に根を張る、サミットという大きな木へ
私は、サミットの店舗を一本の大きな木にたとえています。根は社員、幹は売場、枝は部門、葉は商品やサービスです。地域社会という大地に根を張り、お客様や地域のお困りごとを受け止め、商品やサービスという酸素を届けていく。そして、お客様からの喜びや満足が地面に染み込み、根である社員を育て、また木が大きく茂っていきます。
樹木は、一度その場所に根を下ろすと、長くそこにあり続けます。お店も同じです。良い店であれば、10年20年と長く地域に必要とされ続ける存在になれるはずです。だからこそ、サミットでは各店舗がそれぞれの地域との関係性を大切にしています。
今後は、この「生きる糧を分かち合うお店」という考え方をさらに深めていきたいです。社員の想いがお客様に伝わり、その反応がまた社員の力になる、そうした良い循環を実感しながら働ける会社にしていきたいです。一見すると同じスーパーに見えるかもしれません。しかし、お客様に「なぜかサミットに行きたくなる」と感じていただけるような、得体の知れない強さを磨いていきたいと思います。
■大学生へのメッセージ
学生時代に、興味のあることを一生懸命やり尽くしてほしいと思います。勉強でも、趣味でも、活動でも、本気で取り組んだ経験は、必ずどこかで自分の力になります。
社会に出たら、今度は自分にできることを考えながら、目の前の仕事一つひとつに向き合ってみてください。仕事は一生懸命やれば、必ず自分の糧になり、自分を成長させてくれます。思い描いた通りの道にならないこともあるでしょう。けれど、思い通りにならなかった道の方が、案外楽しかったり、結果的に素敵な人生につながったりすることもあるのです。
学生新聞オンライン2026年5月8日取材 津田塾大学4年 石松果林

津田塾大学4年 山下さくら/京都芸術大学1年 猪本玲菜/津田塾大学4年 石松果林/東京女子大学3年 浮田梨紗


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