「学生新聞」とは、学生の、学生による、学生のための新聞です。

熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025

多和田任益さん・嘉島 陸さん・鳥越裕貴さん・木﨑ゆりあさんが再集結!

撮影:サギサカユウマ

2025年12月18日から東京・紀伊國屋ホールにて『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025』が開幕しました。
2020年に開幕し、観客にセンセーションを巻き起こした「モンテカルロ・イリュージョン」。しかし、感染症の影響により、公演は中止を余儀なくされました。その後、2024年には紀伊國屋ホール60周年記念公演として新たなキャストを迎え、満席のスタンディングオベーションに包まれながら千穐楽を迎え、多くの再演希望の声が寄せられました。
そして2025年12月、再び「モンテカルロ・イリュージョン」が満を持して紀伊國屋ホールに帰ってきます!
主演・木村伝兵衛部⻑刑事は、妖麗で狂気的な演技で観客を圧倒し続ける多和田任益さん。 水野朋子婦人警官役には、2024年に引き続き木﨑ゆりあさんが、その切なくも力強い姿を演じます。同じく2024年より続投で、速水健作刑事役を務めるのはドラマから映画まで幅広い活躍が目覚ましい嘉島陸さん。容疑者・大山金太郎には、数多くの舞台経験に裏打ちされた風格で、作品や座組の根幹を担ってきた鳥越裕貴さんが登場します。演出は、異端な戯曲を見事に昇華させた中屋敷法仁さんが再び担当。そして振付を演劇的な世界観をダンスとJ-POPで創り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の野田裕貴さんが担当します。新たな魅力をまとった「モンテカルロ・イリュージョン」に、ぜひご期待ください。
今回は、開幕に先駆けて2025年12月17日に行われた、シーン公開・開幕直前舞台挨拶・通し稽古を取材させていただきました。

「ただの再演では終わらせない」1週間の稽古で再確認した絆 〜開幕直前舞台挨拶〜

■多和田任益さん
木村伝兵衛部⻑刑事役を演じさせていただきます。多和田任益です。この『モンテカルロ・イリュージョン』は昨年の2024年に、4年越しに千秋楽まで完走することができた作品で僕たちにとっても、とても思い入れのある作品になっています。
昨年の大千秋楽では「本当にオリンピックを行っているのではないか」と思ってしまうような皆様の熱量を感じました。このような舞台に出会えたのは、役者としてもとてもありがたいなと思っています。そして、この『モンテカルロ・イリュージョン』は、長い間阿部寛さんもやられていた作品なので、ぜひその阿部さんのモンテを見た方にも、今のモンテを見ていただきたいと思っています。ぜひ劇場にいらしてください。よろしくお願いします。

■嘉島陸さん
速水健作刑事役を演じています。嘉島陸です。僕は『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』に去年初めて出会わせてもらって、この作品がとても大好きになりました。キャストそれぞれからも「この作品が大好きだ」という気持ちを稽古のときから感じています。またこうして去年と同じ座組でここに立てていることがとても幸せですし、去年よりもさらにパワーアップして、再び皆さんにお届けできることがとても楽しみでワクワクしています。
ぜひその作品愛を見に来てくれた方にも受け取っていただいて、モンテ愛を広めていってくれたら嬉しいなと思っています。よろしくお願いします。

■木﨑ゆりあさん
水野朋子婦人警官を演じます。木﨑ゆりあです。大好きなつか作品を演じられることもとても嬉しいのですが、去年と同じメンバーで上演できるということで去年よりも少しお遊びを多めに…!?楽しく賑やかなモンテをお届けしたいと思いますので、劇場に足を運んでくださったら嬉しいなと思います。よろしくお願いします。

■鳥越裕貴さん
大山金太郎役の鳥越裕貴です。このメンバーとともに大好きなモンテに帰ってこられたこと、そしてこの年末にこのような”愛の物語”を上演できることを本当に嬉しく思ってます。
そして、12月23日、24日、25日の席が薄いということなのですが「ここに来てくだされば愛が育まれるぞ」ということが巷で噂になっているので!ぜひ皆さん見に行っていただければ嬉しいなと思います。

Q.昨年に引き続き再演ということになりますが、チーム内でどのような変化や絆が生まれたましたか?

多和田:今回実は稽古期間が1週間しかなく、とんでもない期間での創り上げでした。ただ、不思議なことに稽古が始まっても誰も心配そうにしていなかったんです。そこに「このメンバーだったらいける」というお互いの信頼感が出ていて、このモンテのチームは絆がしっかり仕上がっているということを稽古初日に感じましたね。」

嘉島:僕は必死についていく…

鳥越:必死と言いつつも、一年経って陸が何か変わったというか…

嘉島:僕自身チャレンジ精神を去年より出していこうと思っているのですが、それがいい方向に行っているかというと…脱線を始めてしまっていることもあるので、そこは先輩方に違うぞと引き戻してもらいながらパワーアップしていきたいです。

Q.稽古中の忘れられない瞬間はありますか?

木﨑:稽古一日目から通し稽古をしたことが痺れましたね。

鳥越:みんな信頼しているからバトンを渡しながら通し稽古ができて、絆を改めて感じました。

多和田:今回稽古が短かったのですが、逆を言うと、梅棒の先輩の野田裕貴さんに来てもらって振り付けのブラッシュアップをする時間が多かったんです。モンテは踊りの要素も一つ大切な世界観の作りになっているので、そこをみんなで改めて突き詰めたり、バージョンアップしたり、みんなでしっかり作ることができた時間がとても楽しかったです。

鳥越:「ただの再演では終わらせない」という気持ちをみんなが共通して持っていました。

Q.ご来場の皆様にメッセージをお願いします。

多和田:この『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』という作品は、昭和から上演されてきた演劇ということもあり、「難しい題材なのかな」という印象を持つ方ももちろんいらっしゃると思います。僕も実際最初はそうでした。
でも『熱海殺人事件』の中でも特にこのモンテは先ほどにもあった通り、歌やダンスなどのエンターテイメントの要素もたくさんあり、演劇の入り口としても入りやすい作品になっていますし、僕らも演じていて、感じるものがたくさんあります。
この劇場に来て、この世界観を僕らの熱量を通して浴びることによって、つかさんの書いている美しい言葉や、高揚感を感じていただける作品になっていると思いますので、是非劇場に足を運んでいただきたいです。そして皆様が「モンテっておもしろい!」と思っていただけたら『熱海殺人事件』もさらに広がっていくと思います。
僕たちも責任を持ってこの『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』という作品を届けていきますので、ぜひこれからもこの作品がたくさんの方に広まっていくように、皆さんにお力添えいただければ嬉しいなと思っております。よろしくお願いします。

撮影:サギサカユウマ

体当たりの言葉が照らし出す、人の弱さと強さ 〜学生の観劇レポート〜

言葉と感情が真正面からぶつかる作品でした。
スピード感のあるセリフが次々と降り注ぎ、思わず笑ってしまう場面がある一方で、人の弱さや歪みを容赦なく突きつけられます。
強く見える人ほど実は誰にも見せていない脆さを抱えているのかもしれないと思わされます。感情を隠さず、むき出しのまま、ど直球でぶつかりあう登場人物たちの姿は、観ている人の心に大きく揺さぶりかけてきます。頭で考えるよりも感情で受け取ることで、自分自身の内側とも向き合う時間になりました。観劇後は感情に素直にスッと心を軽くしてくれる作品だと思います。
武蔵野大学3年 吉松明優奈

ひとつひとつのセリフが説明としてではなく、観客目掛けて体当たりしてくるような感覚でした。
だから理解が難しい、といったことはなく、歌やダンスなどがあることでとても楽しく観劇することができました。
オープニングが特に印象的で、照明、音楽、ダンスが一体となった演出は、つかこうへいさんの演出へのリスペクトをしっかりと感じさせながらも、今作ならではのアレンジがされていてとても新鮮で格好良かったです!一気に作品の世界へ引き込まれ「これから何が始まるのだろう」とワクワクしました!
稽古期間が1週間だったとは思えないくらいに、同じ座組で積み重ねてきた時間があるからこそ生まれる結束感や信頼関係が舞台全体から伝わってきました。
言葉の力、身体表現の力、座組の結束力が重なり合うことで生まれた、『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025』。とても強いエネルギーを受け取ったような、余韻が心に残る作品でした。
城西国際大学2年 渡部優理絵

公演概要

【タイトル】 熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025

【作】 つかこうへい

【演出】 中屋敷法仁

【振付】 野田裕貴(梅棒)

【出演】
木村伝兵衛部⻑刑事:多和田任益
速水健作刑事:嘉島 陸
犯人大山金太郎:鳥越裕貴
水野朋子婦人警官:木﨑ゆりあ

【公演日程】 2025年12月18日(木)〜28日(日) 全11公演
【会場】 紀伊國屋ホール( 〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目17­7 紀伊國屋書店新宿本店 4F)
【チケット料金】 8,500円 (全席指定・税込)【チケット好評発売中】
【協力】 つかこうへい事務所
【提携】 紀伊國屋書店
【制作】 アール・ユー・ピー/ゴーチ・ブラザーズ
【主催】 熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025製作委員会
【お問い合わせ】 Mitt 03-6265-3201(平日12:00〜17:00)
【HP】http://www.rup.co.jp/stage/atami_2025.html

学生新聞オンライン2025年12月17日取材 武蔵野大学3年 吉松明優奈/城西国際大学2年 渡部優理絵

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。