アシックスジャパン株式会社 ブランドマーケティングチームマネジャー 桂 政昭
全社員がアンバサダーとして語る、アシックスの真価

アシックスジャパン株式会社 ブランドマーケティングチームマネジャー 桂 政昭(かつら まさあき)
■プロフィール
2007年株式会社アシックス入社。バッグ、アクセサリーのデザイン・開発からキャリアをスタート。その後、東京2020オリンピック・パラリンピック室でユニホーム制作の推進業務に従事。2021年よりアシックスジャパン株式会社に転籍し、シューズのMD(マーチャンダイジング)業務を担い、2024年よりブランドマーケティングを担当。
競技用シューズやスポーツウェア等の商品で世界的に知られているアシックス。同社は、機能性の高さだけではなく、身体を動かすことで心まで前向きになる」という理念を大切にしているスポーツブランドだ。今回は日本国内におけるブランドマーケティングを担当している桂さんにブランド作りへの想いやアシックスの魅力を伺った。
私は現在、アシックスジャパンでブランドマーケティングを担当しています。主な仕事は、ブランドの魅力を社内外に伝え、より多くの人にアシックスを好きになってもらうことでを推進しています。具体的には、社員へのブランド理解の促進や、お客様にブランドの価値を届けるためのコミュニケーション施策などに取り組んでいます。
私がアシックスに入社したきっかけは、学生時代にサッカーをしていたことでした。高校時代、チームメイトの多くがアシックスのスパイクを履いており、「履きやすい」と評価が非常に高かったことが印象に残っています。なぜこのブランドが支持されているのかを調べていくうちに、同社の企業としての理念やものづくりの姿勢に魅力を感じるようになりました。そして高校生の頃から「将来はアシックスで働きたい」と思うようになり、進学先もその思いを意識して選びました。
入社後は企画開発の部門に配属され、アクセサリーやバッグのデザインを担当しました。その後、東京2020オリンピック・パラリンピック関連の業務に携わり、ユニホーム制作の推進や、スポーツイベントを通じたブランド発信の経験を積みました。さらにシューズ企画の業務なども経験し、現在はブランドマーケティングの立場で活動しています。
■創業哲学がブランドの核
アシックスのブランドの根底には、「健全な身体に健全な精神があれかし」という創業哲学があります。身体を動かすことで、身体だけでなく心も豊かになるという考え方です。
スポーツブランドの多くは、競技での勝利やパフォーマンスの向上に焦点を当てることが多いと思います。しかし、アシックスはそれだけではなく、スポーツを通じて人生そのものを豊かにすることを大切にしています。私自身、学生時代にこの考え方を知ったときにスポーツブランドとして非常に魅力的な価値観だと感じました。
現在の仕事でもこの創業哲学をどのようにお客様に伝えていくかを常に考えています。商品を使うことで、お客様がどのような体験をし、その体験によってどのような気持ちになるのかまで想像することがブランドづくりにおいて重要だと思っています。
■人間中心の科学に支えられた商品づくり
アシックスの強みの一つは、神戸にあるスポーツ工学研究所です。ここではスポーツの動作や身体の動きに関する研究が行われており、そのデータが商品開発に活かされています。例えば、シューズのクッション性やフィット感などは、科学的な研究結果をもとに設計されています。こうした研究の積み重ねによって、非常に高い機能性を持つ商品が生まれています。
ですが、私たちが大切にしているのは機能性だけではありません。商品を通してお客様がどのような体験をし、その体験がどのように人生を豊かにするかを考えることが、ブランドとして重要だと思っています。
■ブランド価値を広げる体験型イベント
現在私たちが力を入れている取り組みの一つが「15:09(イチゴーゼロキュー)プロジェクト」です。アシックスのグローバル調査の結果から、1日あたり約15分9秒身体を動かすことで精神状態にポジティブな影響を与える可能性があることが判明しています。このプロジェクトでは「15分9秒」という時間に着目し、身近で気軽に身体を動かすことを推進しています。
日本ではアシックスに対して「競技者向けのブランド」というイメージを持つ方も多いのですが、私たちはもっと多くの人に身体を動かす楽しさを伝えたいと考えています。そのため、運動が得意な人だけでなく、普段あまり身体を動かさない人でも参加できる体験型イベントを開催しています。例えば、昨年9月14日から16日には、東京・丸の内の街中に陸上トラックを設置し、子どもから大人まで自由に身体を動かせるイベントを実施しました。このイベントには約4000人が参加し、多くの人が身体を動かす楽しさを体験しました。
参加者からは「走ると気分が前向きになる」「身体を動かす楽しさを改めて感じた」といった声が寄せられました。こうした体験を通して、アシックスが大切にしている価値をより多くの人に伝えていきたいと考えています。ブランドづくりはすぐに結果が見えるものではありません。試行錯誤をしながら一つひとつの取り組みを積み重ねていくことで、少しずつブランドの価値が広がっていくものだと思っています。
■社員全員でつくるブランド
ブランドはマーケティング部門だけがつくるものではありません。営業や店頭スタッフ、バックオフィスで働く社員など、社員一人ひとりの行動がブランドの印象を形づくります。
そのため社内では、ブランド理念を共有するためのワークショップや研修を行っています。社員が同じ価値観を理解し、お客様に自信を持って伝えられる環境をつくることが、ブランドの成長につながると考えています。
私の役割は、社員がブランドを語れるようになるための後押しをすることです。社員一人ひとりがアシックスのアンバサダーとして行動できる状態をつくることが、今後の目標の一つです。
■大学生へのメッセージ
多様な価値観を持つ人と出会い、話をする経験を大切にしてほしいです。
社会に出ると、さまざまな文化や考え方を持つ人と一緒に働くことになります。学生のうちに多くの人と交流し、異なる価値観に触れることは、将来大きな財産になると思います。
また就職活動では、企業の知名度や条件だけでなく、その会社の理念や文化が自分に合うかどうかも意識してみてください。働く時間は人生の中でとても長いです。自分が共感できる価値観を持つ仲間と働くことができれば、きっと充実した時間になるはずです。
学生新聞オンライン2026年3月10日取材 京都芸術大学1年 猪本玲菜

京都芸術大学1年 猪本玲菜/国際基督教大学3年 渡邊和花/武蔵野美術大学1年 石井生成/東京都立大学3年 坂倉彩月/城西国際大学2年 渡部優理絵


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