あづま食品株式会社 商品開発部 課長 牛久吉弘
豆にもタレにもこだわる。お客様に味わってもらうために

あづま食品株式会社 商品開発部 課長 牛久吉弘(うしくよしひろ)
■プロフィール
2000年 あづま食品(株)に入社。品質管理課に所属し品質改善の業務を担当。
2005年~現在 商品開発部 納豆の開発から容器や添付品の開発等を一連の業務に携わった。現在、同部内にて技術開発を担当。
納豆づくりを専業として、その親しみやすい味わいや、豊富な種類のタレで、北関東の地域をはじめとして多くのお客様に愛されているあづま食品株式会社。今回は、商品開発を担っている商品開発部、課長の牛久さんに、納豆づくりの魅力や、より納豆の美味しさを追求する商品開発の裏側などを伺った。
■納豆として美味しかったから
私の出身は茨城の北の方で、小さい頃から納豆と親しみが深かったです。中学から高校へと歳を重ねていく中で、おぼろげながらも、ものづくりをしたいという思いが芽生えるようになりました。その中でも食品は我々に身近な存在であり、影響力も大きいです。さらに、健康面でも人々に貢献できるということから、納豆メーカーを志望しました。もちろん、茨城にも素敵な納豆メーカーはありました。しかし、自分自身で全国の納豆を買ってきて、それぞれ商品名を伏せて食べ比べてみたところ、タレをかければ美味しいと思える納豆はいくつかありましたが、納豆本来の味として1番美味しかったのがあづま食品さんの納豆でした。今後納豆というものは、健康面を含めいろいろな側面で広まっていくだろうとも感じていたので、納豆自身の味が気に入ったあづま食品に入社することを決めました。
■納豆をより美味しくするという仕事
入社してからは、品質管理部門に配属されました。そこでは、工場で作っている納豆の美味しさに大きなブレが生じることを減らしつつ、データを活用しながら製品としてのクオリティの底上げする施策に取り組んでいました。この仕事を通して、大豆を水に浸すところ、蒸しあげて納豆菌を混ぜるところ、そして発酵するところまでの一連の流れにおいて、どの工程でどのようなことが納豆の美味しさに関係するのかに、強い興味を持つようになりました。その後は開発部門に移り、納豆の豆だけでなく、タレや他の要素についても広く取り扱うようになりました。現在は、技術開発の仕事をしていて、今よりも美味しい納豆を作るにはどうすればいいかを日々考えながら仕事をしています。ここでは、少し改良を加えることで以前よりも美味しくなった時や、その気持ちを一緒に仕事する仲間たちと共有できる時に大きな魅力を感じます。
■商品開発について
納豆の商品開発にあたって、私たちは1日に約5〜7種類程の納豆を試食します。納豆は豆の産地が違うと味や食感も大きく異なります。なので、それだけの種類を食べ比べることで、私たちの考えている理想の納豆像をブラッシュアップすることができるのです。また、商品開発において、基本的には自分の中で「こうすれば美味しくなるのではないか」という仮説を立てます。もちろん自身の仮説が正しければそれはそれで嬉しいのですが、立てた仮説とは違った発見が得られた時は非常にワクワクした気持ちになり、これまでとは違った方向性で商品開発をするきっかけにも繋がってきます。
私たちの納豆製品の魅力は、原料となる豆へのこだわりと、多彩なタレの開発にあります。豆でいえば、全国の様々な地域から仕入れた豆を個性の異なる大豆を通じて、品質を高めているところが魅力です。こうして生み出される納豆をより多くのお客様に親しんでいただくために、タレの開発にも注力しております。あづま食品の納豆には、大根おろし入りやしそかつお味をはじめとして、非常に豊富な種類のタレがあります。これらのタレを作るためのアイデアは、「お客様が普段納豆に何を入れて食べているのか」ということを基本にして考えられています。私たちが開発してきたタレは、どれもお客様が実際に納豆の上に乗せていた食材であり、そのデータをもとにして、より「美味しい」と思っていただけるようなタレ作りに励んでいます。これらのタレは、味だけでなく、匂いにも重要な役割を果たします。タレには、タレ自体がもつ風味によって美味しさを引き出しつつ、納豆の独特な「匂い」を中和させ、食べやすくする役目もあります。このように開発の際には、納豆を苦手とする方にも、納豆の美味しさに気づくきっかけになってほしいという思いも強く込めるようにしています。
ここまでお話してきた納豆開発は、他社と比べても長い時をかけています。しかし、あづま食品は日本有数の「納豆を専業とする会社」であるため、1つの商品を作るための手間を惜しむことなくかけることができます。この点は他の納豆を提供している会社とは違った、私たちの持つ強みなのではないかと考えています。
■広告は出さないこだわり
私たちあづま食品は、大規模なコマーシャル活動などを通じて自社製品をPRするといったことを基本的にはしていません。そのため、実際に売り場に出されてからどれだけ多くのお客様に手に取って貰えるかが勝負になります。広告活動をしないということはそれだけ、私たちの納豆が広まるには時間がかかるという苦労もあります。しかし、私たちが大切にしているのは、お客様に弊社の納豆を実際に味わって感じてもらうことです。言い換えると、「1度食べたら、他の会社の納豆ではなく、あづま食品の納豆をまた食べたいな」と思ってもらえる状態を目指して日々商品開発に取り組んでいます。このようにして私たちの納豆は徐々にお客様の中に浸透していって貰えると何よりも嬉しいと考えます。
■学生へのメッセージ
私は納豆が好きだったから、自分であらゆる種類の納豆を買い漁り、手探りでそれぞれの納豆の違いなどを発見してきました。義務感でやっていたというよりは、遊びみたいな感覚で楽しみながらやっていました。もし、現時点で自分が何をやりたいのかあまり分からないと思っているのであれば、学校以外でしかできないことに楽しみながら挑戦してみると、思わぬ所で自分の将来に関するヒントが見つかりやすいのかなと思います。
学生新聞オンライン2026年5月13日取材 早稲田大学3年 中澤京平/東京女子大学3年 浮田梨紗

早稲田大学3年 中澤京平/上智大学2年 石川仁菜/東京女子大学3年 浮田梨紗/京都芸術大学1年 猪本玲菜


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