株式会社ドミノ・ピザ ジャパン CEO マーティン・スティーンクス

ドミノで挑み続けた27年、進化するピザ戦略

株式会社ドミノ・ピザ ジャパン CEO マーティン・スティーンクス

■プロフィール
オランダ出身。学生時代にドライバーとしてドミノ・ピザ オランダに入社、入社後まもなく店長として「ルーキー・マネージャー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。その後、マネージャー、 エリアマネージャーを経て、2011年にはフランチャイズオーナーとなり、店舗を8店舗まで拡大。2021年9月 ドミノ・ピザ 台湾 CEOに就任、2022年7月 ドミノ・ピザ ジャパン CEOに就任して現在に至る。

宅配ピザのパイオニアとして、国内No.1店舗数を誇り、今や日本国民にとって身近な存在となっているドミノ・ピザ 。16歳でドミノ・ピザ のドライバーとして始まり、現在ドミノ・ピザ ジャパン の代表として活躍しているマーティン氏に、自身がこれまで成長のために行ってきたことや、クルーへの想い、今後の展望について伺った。

■ドミノ・ピザ との出会いは16歳のとき

小さい頃から、「自分に何が出来るか」を考えることが好きで、疑問があるとすぐに先生に聞きにいくような子どもでした。ドミノ・ピザ との出会いは、「16歳までに何かをやれ」と両親に言われるなか、近くにドミノ・ピザ が出来たと友達から聞きつけ、アルバイトに応募したのがきっかけでした。最初はドライバーとして入り、ピザの配達をしていました。当時、まだネット注文は存在しておらず、電話予約か店頭注文 がほとんどでした。そのため、お客様と顔を合わせる機会が今よりも多く、お客様との会話やホスピタリティをとても意識していたのが印象的でした。その時の経験から、ドライバーは企業の顔としてとても大切な存在だと考えているため、今でもクルーの研修に力を入れています。

■大切なのは、誰と働くか

18歳になり、その後の進路をどうしようかと考えました。当時、私の周囲の友人はタクシードライバーになる人が多く、窓を開けて顔を覗かせる感じに憧れて、自分もタクシードライバーになろうと思っていました。しかし、当時のドミノ・ピザ のFCオーナーに声をかけてもらったことがきっかけで、店舗運営に携わることになりました。そこから店舗数が8店舗まで増え、独立して社長として20店舗ほど管理するようになりました。2019年に、全ての店舗を売却し、今までのスキルを活かして、本社、もしくは本部の仕事に就きました。そこでの実力が認められ、台湾のドミノ・ピザ CEOを経て、2022年からは日本のCEOを努めています。自分でもかなり早くキャリアアップしたと思っています。
ここまで来るために意識していたことは、誰と働くか、ということです。
もともと人と働くことは好きでしたが、それ以上に優秀な人と一緒に働きたいという想いがありました。自分が得意な分野は限られています。それ以外の分野で優秀な人と沢山関わり、一緒に働くことによって、自分も能動的に成長できたと思っています。
これまで27年間、ドミノ一筋で働いてきました。ここまで続けることができた秘訣は、「仕事ととらえないようにする」ということです。妻にも「仕事だと思ったら辞める」と伝えているくらいです。「好きなことをしにいく」という感覚で働くことで「こうしよう!」という改善点を自分から見つけられる事が出来るし、モチベーションも自然と上がり、楽しく働くことが出来るのです。

■自ら動ける人が成長する

私達の利益を生み出せるのは、本社ではなく各店舗の存在があるからです。だからこそ、働くクルーメンバーのことをとても大切にしています。正社員625名、アルバイト 23,000名(FC店含む、2024年1月現在)が一定のクオリティのサービスを提供できるよう、対面・オンラインでそれぞれトレーニングを行っています。取り組みの一つとして、3ヶ月に一度、サービスレベルを競う社内コンテストが行われます。全国のドミノ・ピザの中から、No.1に輝いた店舗のクルー全員が、特別有給休暇をもらうことができ、その休暇の日は代わりに役員が店舗に出て、店舗を通常通りに運営します。
働いていて「いいな」と思う人は、正しいマインドセットをもっている人です。自ら前に進んでいける人はとても魅力的だと思います。また、アイデアを考えるだけではなく、行動に移せる人もとても魅力的だと思います。実際、「チーズボルケーノ」という商品も、最初は実現不可能だと思われていましたが、苦労の末、一年かけて商品化に成功しました。そこに居るだけではなく、自ら袖をまくって働く人が本当に活躍できるのだと思います。

■「素早く、美味しく」の実現

ドミノ・ピザ の一番の強みは、他の競合他社よりも速く、お客様に届けられることです。迅速かつ安全な 配達が可能なのは、システム開発にとても力を入れ、最も効率よくお客様に提供できるよう日々研究を重ねているからです。新しく出す店舗も、事前に分析をかけ、 そのエリアの人口密度、人口の増減、年齢層など様々な指標から判断しています。
もう一つの強みは、お客様の声をよく聞いているという特徴です。ドミノが日本に初上陸した39年前は、まだチーズの消費量も少なく、苦労しました。そこから、お客様の声を聞き、「炭火焼チキテリ 」など日本独自の味が誕生し、今では国内No.1店舗数を展開するまでに成長しました。
現在、定期的に消費者調査を行い、リアルなお客様の思いを 調査し、結果をみて改善していくことで、お客様が何を求めているのかを深く調査し、より良い商品を提供できるようにしています。

■需要に合わせ、変化していく

私達は、日本の皆さんにピザを届けたい、ワクワクする商品を届けたい、という思いで、時代の変化に合わせて、様々なことに挑戦してきました。
たとえば、コロナを経て、私たちのライフスタイルは大きく変化しましたよね。その際はパーティー用の大量オーダーは減りましたが、代わりにお一人様需要が増加しました。そこで、「ピザBENTO 」という商品を開発し、手に取ってもらいやすい価格で提供しています。
これからも、ライフスタイルに合わせ、将来的には、朝食や24時間営業などの検討も視野に、様々な可能性を探していきたいです。また、今後も人口減少は進み、ますますドライバー不足が深刻になっていくでしょう。海外ではすでにロボットによる配達も検討されています。今後も、日本の社会変化にあわせ、より速く、安全に、 美味しいピザを届けられるよう努力していきます。

■大学生へのメッセージ

学生の皆さんは、これから沢山悩んで、選択しなければならない瞬間があるでしょう。そんなときには、ただ自分の心を信じてください。大切なのは、自分のモチベーションが湧くことに取り組むことです。私も自分の心を信じてここまで頑張ることができました。皆さんも、自分が好きだと思うことを信じて頑張ってください。

学生新聞オンライン2024年10月22日取材 立教大学4年 緒方成菜 

武蔵野大学4年 西山流生 / 津田塾大学2年 石松果林 / 上智大学3年 吉川みなみ / 上智大学3年 白坂日葵 / 国際基督教大学2年 若生真衣 / 立教大学4年 緒方成菜/ 法政大学4年 鈴木悠介

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