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Archive for 運営スタッフ

吉松明優奈

株式会社リップス 代表取締役 的場隆光

信じた道に妥協のないカッコいい可能性を創り続ける 株式会社リップス 代表取締役 的場隆光(まとばたかみつ) プロフィール1989年に株式会社フェイズに入社。スタイリストとしての基礎を学んだのち、1999年4月に東京・原宿にヘアサロン「LIPPS(現「LIPPS hair」)」を開業。2000年5月に株式会社リップス(現「株式会社リップスヘアー」)を設立。2008年4月に、メンズコスメ商品の企画・販売、ヘアサロンFC事業を営む株式会社レスプリ(現「株式会社リップス」)を設立し、代表取締役を務める。 「Boys, Be Beautiful!」という経営理念のもと、男性の”カッコいい”を創造し続けてきたリップス。お客様や現場の声を丁寧に拾い、既成概念を覆すヘアスタイルや商品を次々と生み出し、ヘアサロン、コスメブランド、アイブロウサロンを展開。上場を果たしたリップスを支える的場社長の熱い想いを伺いました。 岡山の田舎で育った私は、小さい頃から東京に強い憧れがありました。テレビで見た東京の人のファッションや流行っていたヘアスタイルを目にし、高校2年生で美容師を目指し始めました。高校卒業後、東京の美容専門学校へ進学。卒業後は確かな技術を身につけたカッコいい美容師になりたい一心で、当時多くの雑誌に掲載されていた師匠の店で働くことを志願し、修行の機会を得ることができました。それが契機となり、10年間美容師としての修行を積みました。何をしても続かなかった私ですが、美容師の仕事だけは違いました。ヘアスタイルやトレンドは変化し、お客様も毎日違います。終わりのない仕事だからこそ「もっともっと」と探究心に駆られ、趣味が仕事だと言えるほど10年の修行も楽しく続けることができました。修行後は、原宿に一号店をオープンし、美容師としてのキャリアを本格的にスタートさせました。 ■メンズヘアサロンとしての確立 長年「ファンが多く、必要とされ選ばれる美容師になりたい」という想いを胸にお客様と向き合っていました。そんな中で、2000年ごろから男性誌のヘア特集が増え、掲載するヘアスタイルを担当してほしいという依頼がたくさん舞い込んできました。当時の美容業界では、お客様の大半が女性であるヘアサロンが多くを占めていました。男性がヘアサロンで髪を切ることは、まだ一般的とは言えない時代だったため、男性誌のヘア特集の依頼を断るヘアサロンも少なくありませんでした。私自身も初めは、女性のお客様を中心に担当していましたが、「これからメンズヘアの時代が必ずやってくる」と確信し、時代に先駆けてメンズヘアの研究や作品制作を積極的に始めました。当時、男性のヘアスタイルは、男らしさを全面に出したものが主流でした。そんな中、リップスはミディアムくらいの髪の長さで、どこか女性的な柔らかさやオーラを纏った新しいスタイルを打ち出しました。これが大きな反響を呼び、雑誌を見た男性のお客様が来店されるようになり、徐々に男性比率が高まっていったのです。その後も、中性的なスタイルのニーズを掴み、積極的に打ち出し始めたのですが、ある問題に直面しました。 女性のヘアスタイルとは違い、男性のヘアスタイルを立体的に見せるスタイリング剤がなかったのです。 同時に、技術マニュアルも必要となり、研究と開発を重ねました。 新しいスタイリング剤ができるとカットの技術も上がっていく。 こうしてメンズ中心のヘアサロンとして確立していきました。 やがて、スタッフや店舗が増えていく中で、自然と現場に立つことが難しくなり、気づけば経営へとシフトしていました ■現場から生まれる商品開発の舞台裏 現在は、男性向けの化粧品企画販売とヘアサロンのフランチャイズ運営を行っています。リップスの強みはヘアサロンを基盤としている点にあります。ヘアサロンを運営しているからこそ、私たちは日々お客様と触れ合い、また現場で働く美容師たちの生の声を聞くことができます。ライフスタイルに合わせたヘアスタイルがある中で、劇的な変化ではなく日々少しずつ変化するニーズやトレンドを美容師たちへのヒアリングを重ね、リアルタイムで掴んでいく仕組みが生きています。例えば、ヘアワックス。これは元々業務用として作っていたものをお客様からの「譲って欲しい」という声から始まりました。「プロの人が使いやすいものはお客様も使いやすいはずだ」と業務用と一般販売用の品質を変えず、ヘアワックスの既成概念を壊すべく「持ち歩きたい、愛される、ライフスタイルをくずさないデザイン」をコンセプトに商品開発を進めてきました。自分の信じたことを疑わずにやりたい。世の中にあるものは誰かが作ったもので、それが本当に正しいのかは、自分が試してみないとわからない、と常に考えています。その背景には、どうカットするか、どんなスタイリング剤を使うのか、当社に必要なものは何なのか、という問いかけの地道な積み重ねがありました。 ■男性の“カッコいい”を応援するブランドへ リップスは、男性の“カッコいい”を応援するブランドになることが目標です。商品を提供するだけではなく「これを使えばカッコよくなれる」と信じてもらえる商品を届けたいです。しかし、ヘアサロンだけでは限界があります。私たちはヘアスタイルを作り、そのヘアスタイルが顔を引き立て、雰囲気全体を作っています。そこで、近年力をいれてきたのが、コスメなどの商品の開発です。さらに、「もっとヘアサロンの可能性を世の中に認めてもらいたい」という想いから、上場を目指してきました。雲を掴むような想いで努力を重ねた末、2025年6月にようやく上場を果たしました。一緒に働く仲間に共通して求めるのは、「美容が好き」「おしゃれが好き」というシンプルな気持ちに尽きます。また、ヘアサロンで働く美容師には「自己プロデュース力」や「美容師としてのプロ意識の高さ」を求めています。これらを大切にしている人は、自然と立ち振る舞いが美しく、良い印象を与えます。そして、その姿は自分の立場だけではなく相手を尊重して物事を考えられている証拠であり、そこに美の始まりがあると感じています。専門的な技術や知識はもちろん大切ですが、本気でこの仕事がしたいと思っている人は、理屈ではなく感覚として伝わってきます。美容師は、お客様の大切な髪をお任せいただく仕事です。だからこそ、ヘアサロンが起源である私たちは、自分たちに厳しくあるべきだと考えています。 ■学生へのメッセージ 今の学生さんは考える力や行動力があり、素晴らしいと心から思います。だからこそ、自分に自信を持ってのびのびと突き進むというのが一番良いのではないでしょうか。山のようにある選択肢の中から、「自分はこれだ!」というものを見つけて信じ、ぜひ挑戦し続けてください。応援しています。  学生新聞オンライン2025年7月29日取材 武蔵野大学3年 吉松明優奈 東洋大学3年 越山凛乃/國學院大學3年 寺西詩音/武蔵野大学3年 吉松明優奈

太田楓華

映画『雪風 YUKIKAZE』奥平大兼・當真あみ

映画『雪風 YUKIKAZE』を通して、心で受け継いだ戦争の記憶 ■俳優 奥平大兼 (おくだいらだいけん)  2003年9月20日、東京都生まれ。映画「MOTHERマザー」(20)で俳優デビューし、第44回日本アカデミー賞新人賞などを受賞。近年の出演作に映画「か「」く「」し「」ご「」と「」(25)日曜劇場「御上先生」NHK夜ドラ「いつか、無重力の宙(そら)で」などがある。 ■女優 當真あみ (とうまあみ) 2006年11月2日生まれ、沖縄県出身。2021年にCMでデビュー。翌年「妻、小学生になる」でドラマ初出演。アサヒ飲料「カルピスウォーター」の14代目のテレビCMキャラクターなどで注目を集める。他の出演作に「どうする家康」、「ケの日のケケケ」、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」。2025年7月期日テレ系新水曜連続ドラマ「ちはやふるーめぐりー」で連続ドラマ初主演中。長編映画初主演となる「ストロベリームーン」が10月17日に公開を控える。 2025年8月15日公開の映画『雪風 YUKIKAZE』に出演している奥平大兼さんと當真あみさん。今、最も注目される若手実力派のお二人に、俳優という仕事の魅力から、作品に込めた想い、戦時中の人を演じるにあたって工夫したこと、そして映画『雪風 YUKIKAZE』の見どころまで、余すところなくお話を伺いました。 ■歴史と向き合う決意 奥平:戦争をテーマにした作品に出演するのは初めてだったので、まずは“挑戦したい”という気持ちが強くありました。その後、監督や脚本家、プロデューサーと最初にお話しした時、その熱量に圧倒されて、“このチームでやりたい”と強く感じたのを覚えています。作品の背景にも惹かれましたし、自分自身が何を感じ、どう伝えられるかを見つめ直す絶好の機会になるんじゃないかとも思いました。 當真:最初に出演のお話をいただいたとき、「雪風」という艦のことを全く知らなかったんです。だから、まずは“知る”ところから始めました。戦時中に生きる人を演じるのは初めてで、怖さもありましたが、学びながら演じるという意識を持って、前向きに向き合えたと思います。 ■経験していない時代を演じるということ 奥平:僕が演じた井上壮太は、お客さんと目線が近いキャラクターでした。だからこそ“自分だったらどう感じるか”という視点は持ち続けようと意識しました。台本を読み込んだうえで、実際に広島・江田島の旧海軍兵学校を訪れて、当時の訓練の様子や記録に触れたんです。言葉で学ぶのと“肌で感じる”のとでは全く違いました。あの場所に立ったことで、ようやく“本当にあったこと”として実感できた。その実感を軸にして、役と向き合うことができました。 當真:私は兄を戦地へと送り出す妹役でした。駆逐艦「雪風」には乗らない役柄だったのですが、戦場の空気感を想像するため、撮影では事前にいただいた映像資料を見たり、当時の手紙や家族の証言、戦争体験者の記録をたくさん読んだりしました。そんな風に“想像と記録”の間で、自分の役を育てていけたと思います。声を当てるシーンでも、映像と気持ちを丁寧に重ねながら臨んでいきました。 ■映画が与えた変化と、伝えることの意味 奥平:正直、昔は歴史は“テストのために暗記するもの”くらいにしか思っていなかったんです。でも今回、作品を通じて当時の背景や人の思いを知っていく中で、“これは伝えていかなきゃいけないことなんだ”と強く感じました。戦争体験者が減っていく中で、自分たちがどう受け継ぐのか。若い世代としての責任もあるなと思いました。 當真:私は沖縄出身なので、沖縄戦などについて学ぶ機会は多かったです。でも「雪風」については知らなかったし、全国にはまだまだ知られていない歴史があるのだと痛感しました。学ぶ機会を“待つ”だけじゃなく、自分から知りに行くことが大切。そう思えるようになったのも、この作品に出会えたからだと感じています。 ■作品の見どころについて 奥平:文字で学ぶ歴史はどうしても頭に入りにくいけど、映像として見ると違う角度から理解できる。『雪風 YUKIKAZE』はまさにそういう作品です。当時の人々の息遣いや葛藤が映像を通して伝わってくるから、今を生きる自分として“じゃあ自分ならどう感じるか”を考えるきっかけになる。戦争を知らない世代こそ、映像を通して知る意味があると思います。 當真:戦争映画と言われると、“ずっと張り詰めた空気が漂うもの”というイメージがあるかもしれませんが、この作品にはそうじゃない瞬間もあります。家族で過ごす時間や、ふと笑いがこぼれるような場面もある。その振れ幅があることで、より人間らしさが伝わるし、だからこそ身近に感じられる。“戦争を知る”って構えなくてもいい。あの時代を生きた人たちの姿を知ってもらえたら、それだけでも意味があると思います。 ■俳優業の魅力とは 奥平:俳優という仕事はいろんな人の人生を体験できる仕事だと思っています。だから面白いし、学びがある。今回も普通に生きていたら絶対に知ることのなかった「雪風」のことを知ることができました。出会わなかったはずの世界に触れられるのが、この仕事の魅力だと思います。 當真:私は、もともと人前で話すのがすごく苦手で、取材などでも最初は全部答えを準備しないと話せないタイプでした。でも、この仕事をする中で、人と出会ったり、自分とは違う価値観に触れたりすることで、自分の中の変化を感じられるようになりました。“演じる”ことを通して、自分自身も成長していける。それがこの仕事の醍醐味だなと思います。 ■大学生へのメッセージ 奥平:僕と同世代の大学4年生は、将来のことを真剣に考える時期だと思います。でも、“仕事だけが人生じゃない”ということも伝えたい。家庭を持つことや、友達との時間、小さな幸せの積み重ねも大事だと思う。就活のことばかりに縛られすぎず、肩の力を抜いて、自分らしい人生を選んでほしいです。 當真:私は大学1年生と同じくらいの年齢なので、新しい環境に戸惑う気持ちはよくわかります。でも、大学は“やりたいことにどんどん挑戦できる場所”だと思うので、不安があっても、一歩踏み出してみてほしいです。好きなことや支えになるものがきっと見つかるはずなので、焦らず、でも自分の心に素直に、いろんな出会いを大切にしていってください。 学生新聞オンライン取材2025年6月21日取材 東洋大学4年 太田楓華 映画『雪風 YUKIKAZE』 8月15日全国公開中 出演:竹野内豊 玉木宏 奥平大兼 當真あみ藤本隆宏 三浦誠己 山内圭哉 川口貴弘 中林大樹 田中美央田中麗奈 益岡徹 石丸幹二 中井貴一脚本:長谷川康夫 撮影監督:柴主高秀 VFX監督:オダイッセイ 音楽:岩代太郎 監督:山田敏久主題歌:「手紙」Uru(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス©2025 Yukikaze Partners. 昭和女子大学2年 阿部瑠璃香/東洋大学4年 太田楓華/城西国際大学2年 渡部優理絵/青山学院大学1年 松山絢美/中央大学1年 加藤眞優花

人事

パナソニック株式会社 取締役 常務執行役員 チーフヒューマンリソース...

「企業の差は人の差」。チームとしての魅力を最大化する パナソニック株式会社 取締役 常務執行役員 チーフヒューマンリソースオフィサー 加藤直浩(かとうなおひろ) ■プロフィール慶應義塾大学卒業、1990年パナソニック入社、一貫して人事畑を歩む。事業部門を長く経験し、現場のカルチャーやモチベーションを重視しつつ前例に捉われない変革をモットーとする。多くの経営者とともに組織変革、タレントマネジメント仕組み構築、報酬制度改革、拠点改革などを担当。99年に欧州勤務を経験、2010年にオートモーティブ事業部門の人事部長。2013年に北米本社の人事担当役員として世界最大級の車載電池工場の立ち上げを担当。2017年インダストリー事業部門HRヘッド、2019年オートモーティブ事業部門HRヘッドを経て、2022年4月よりパナソニックのCHRO。 かの有名な松下幸之助が創業し、今では我々の暮らしの中に当たり前に存在するパナソニック。家電から住宅設備、食品流通、空調分野まで、生活のあらゆる場面でその名を目にする企業だ。そんな企業で、最高人事責任者として人的資本経営の中枢を担う加藤直浩さんに、これまでの歩みと現在の想いを伺った。 私は高校卒業まで名古屋で過ごし、やりたいことを見つけたいという思いから周囲の反対を押し切って大学で上京。生活費を賄うために複数のアルバイトを経験し、そこでさまざまな人とのつながりを実感した。また、交換留学で日本に来た留学生の学生生活の立ち上げのお手伝いや学校の案内、日常生活などの支援等も経験。当時はスマホやPC等もなく、アルバイト以外は勉強か部活中心で、まだ日本の大企業が今より元気な時代でもあり、大学を卒業したらそのような会社に就職するのが当たり前の世界。ただ一方で、「将来自分が本当に何をしたいのか」がクリアではなく、ジレンマも感じていた。そのため、何の確信もないまま日本より発展しているアメリカに行けば何か見つかるはずと信じ、大学三年生の時に一ヶ月間アメリカを旅し、自分の将来を真剣に見つめ直す時間を取った。なんの計画も立てず、宿も取らずに行ったためたくさんの苦労もあったが、素晴らしい経験の数々が今でも心に残っている。 ■入社の原点は、世界を相手に勝負したいという想い 旅先で日本製品が世界でも浸透していることに誇りを感じ、帰国時にはグローバル製品を作る会社で働こうと志していた。「モノを通じて世界に自分たちが役に立っているという実感が欲しい」と強く思ったため。そして、当時、海外に進出している駐在員の数がトップだった企業がパナソニックだったため、パナソニックへの入社を決める。本音を言えば海外営業を希望していたが、配属は人事部。若い頃は人事にやりがいを感じられなくて、毎年営業への異動を希望したが叶えてもらえなかったため、とにかく海外で働きたいという希望だけは叶えてもらい、海外に渡った。現地スタッフはみな明るく、前向きな姿勢が印象的で、日々の仕事が楽しかったのを覚えている。異文化の中で「人」に向き合う仕事の奥深さを感じたことが、人事という職への視点を変えるきっかけになった。 ■人事の仕事は「人の可能性を引き出す」こと 人事の仕事とは、採用や評価だけでなく、マネジメントや人材育成を通じて「人の可能性を最大限に引き出す」こと。パナソニックでは、個々人の強みを尊重しつつ、チーム全体としての魅力をどう高めるかに力を入れている。それが、文化的にも企業理念としても生き続けていることが強みだと思う。私は「企業の差は人の差」だと考えている。企業としての実態というものはなく、どの会社もそこに集う人々が全てつくりあげている。生産設備や商品などはもちろんあるが、元を辿ればそれすら全て人が作り上げている。結局は人の知恵や創意工夫が価値を生み出している。創業者・松下幸之助の企業理念として「人づくり」の重要性が語り継がれており、その精神は今も文化として生き続けていると思う。 ■能力を引き出すには「恐れを与えない」こと 人には場面によって引き出せる能力の幅が違うという特徴がある。これをいかに最大限引き出すマネジメントをするかが、チームとして考えるべきこと。人事の仕事とは、まさに人の能力を最大限引き出す環境作りにあると考えている。ハーバード大学でリーダシップ論を研究するジョン・P・コッター教授によると、人間には「生存チャネル」と「繁栄チャネル」という2つのチャネルがある。生存チャネルは恐怖や不安があると作動し、その対処に一気に集中し他の思考が遮断されてしまうという特徴がある。生命の危機の場合にも作動するので、これが人類を絶滅から救った大きな要因とも言われている。一方で、繁栄チャネルは創造力や挑戦心と結びつき、アイデアを生み出す源泉になる。ただし、生存チャネルが強いと繁栄チャネルが機能しないという特徴がある。私たちが引き出したいのは、もちろん後者であり、そのためには、上司からの過度なプレッシャーや将来への不安など「心理的な恐れ」を極力与えないマネジメントが重要。一方で、個々人の繁栄チャネルを引き出して、成果を上げたらそれにしっかり報いるということも重要。いわゆる報酬や評価が個人の能力を最大限引き出すことにつながる一助になるということであり、そういった仕組みづくりに力を入れている。 ■Will・EQ・Integrityを重視した採用 共に働きたいのは、Will(意志)、EQ(心の知能指数)、Integrity(誠実さ)の3つを有する人。「何をやりたいか(Will)」は社会課題やお客様課題などを解決する出発点。ただし、やりたいことがあっても一人だけで実行するのは困難。そのため、チームで動く中でそのチームのアウトプットを最大化できるための他者とのコミュニケーション力(EQ)が大事になる。また、「誰かのために」動ける人が必要。出世すれば私利私欲に目が眩むこともある。でも、それを自覚したうえで「大義」を持ち他者のために行動できる(Integrity)人を、私たちは歓迎したいと思っている。 ■大学生へのメッセージ 学生時代は、人間関係や将来への不安など、さまざまな悩みがあるかもしれない。そんなときは、あえて苦手でもその相手に話を聞きに行ってほしい。人は話を聞かれると心を開くもの。結果会話してみることで、自然と気持ちも軽くなっていくはず。大学時代は、自分の時間を自分でどう使うかを決められるこの上ない貴重な時期。「私は何者か」「何がしたいのか」という本質的な問いに、真正面から向き合ってほしい。何より行動することが大切。動かなければ扉は開かない。自分の強みや興味を活かせることができたら、仕事は楽しいと思う。ぜひそういうことを見つける時間にしてほしいと思っている。 学生新聞オンライン2025年6月16日取材 情報経営イノベーション専門職大学1年 徳原拳聖 情報経営イノベーション専門職大学1年 白石侑生/情報経営イノベーション専門職大学1年 徳原拳聖学習院大学2年 鈴木裕大/法政大学1年 渡辺碧羽/昭和女子大学2年 阿部瑠璃香国際基督教大学3年 丸山実友

イベント・企業紹介

一般社団法人日本気候リーダーズ・パートナーシップ 新記念日制定メディ...

脱炭素社会の実現に向けて活動する企業団体「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」は、2025年8月8日(金)、LINEヤフー株式会社本社内「LODGE」(千代田区)にて、8月8日を『暑すぎる夏を終わらせる日』として日本記念日協会に登録されたことを発表しました。この記念日がなくなるよう、気候変動対策を啓発して温暖化を止めることを目指しています。 ◾️新記念日「暑すぎる夏を終わらせる日」について JCLPは、気候変動への健全な危機感を共有し、脱炭素を新たな成長の機会と捉える、約230社の企業集団です。私たちが抱く危機感は環境問題にとどまらず、物価高や労働環境の悪化、健康被害など、国民生活のさまざまな面を脅かすものです。世界では脱炭素が成長市場として拡大し、ビジネスチャンスも増えていますが、日本では「コストや手間がかかる」という固定観念が根強く、企業努力が十分に報われる市場がまだ整っていません。そのため、個人や企業の意識や努力だけでは限界があり、社会全体のシステム転換や政策改革が不可欠です。そして、その改革を後押しするには、国民一人ひとりの関心と世論が必要です。私たちは、国民の皆さんが気候変動を最も実感しやすい「暑さ」に注目し、1年で最も暑いと感じる8月8日を記念日に制定しました。この日を通じて、気候変動を「遠い問題」ではなく「自分ごと化」として考えるきっかけを広げていきたいと考えています。 ◾️JCLP代表理事 山下良則(株式会社リコー 代表取締役会長) アメリカ先住民の言葉に「地球は先祖から譲り受けたものではない。未来の子どもたちから借りているものだ」というものがあります。もし地球が「借り物」だとすれば、借りたときよりもきれいにして返すのが礼儀だと私は思います。私たちが記念日を制定した理由は、8月8日という日本で最も暑さを感じる日に、気候変動を遠い話ではなく「自分のこと」として考えるきっかけにしたかったからです。そして、この記念日は将来的には「なくしていく」べきものだと考えています。この日が、気候変動と真剣に向き合うための第一歩になることを願っています。 ◾️JCLP理事 宮地信幸(株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員) 近年、反ESGや反DEIといったサステナビリティに関する逆風を感じています。しかし、気候変動は世界共通の課題であり、無関心な人がいても無関係な人はいません。この記念日を通じて、課題への理解と関心を深め、当事者意識で日々の行動変容につなげたいと考えております。その積み重ねが、社会システムの変革を促し、ポジティブなティッピングポイント(転換点)となるよう、JCLP一丸で取り組んで参ります。 ◾️新記念日制定メディア説明会に出席しての感想 私は、これまで気候変動をどこか遠いものだと感じていましたが、近年の記録的な猛暑や物価高騰といった私たちの身近な問題にまで気候変動が及んでいることを実感しました。脱炭素に取り組む企業の市場を広げ、社会システムの変革をするためにも、この8月8日という記念日をきっかけに、一人でも多くの人が気候変動を自分のこととして捉え、関心を持ってくれることを願っています。 学生新聞オンライン2025年8月8日取材 法政大学1年 渡辺碧羽 <主催団体>一般社団法人 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP) 脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち積極的な行動を開始すべきであるという認識の下、2009年に発足した企業団体。幅広い業界から230社超が加盟(2025年8月時点)。加盟企業の売上合計は約160兆円、総電力消費量は約80TWh(概算値)。2017年より国際非営利組織The Climate Groupの公式地域パートナーとして、日本におけるRE100、EV100、EP100の窓口・運用も担う。 <共催団体>・一般社団法人 日本ご当地キャラクター協会地域の魅力を発信し、地域活性化を推進することを目的に、ご当地キャラクターのネットワーク構築や活動支援、情報発信を行う。 ・一般社団法人 ジャパンサステナブルファッションアライアンスファッション産業の持続可能な未来を目指し、サプライチェーン全体にわたる企業・団体が連携して課題解決と情報発信を行う企業連携プラットフォーム。 ・NPO法人 気象キャスターネットワーク 気象予報士やキャスターが中心となり、気象や気候変動に関する正確な情報を社会に届けることを目的に、啓発活動や防災・環境教育を行う団体。 <賛同団体>(賛同順)・一般社団法人 Protect Our Winters Japan (POW)・台湾気候連盟(TCP: Taiwan Climate Partnership)・チームWFCC(Weather Forecasters against the Climate Crisis)・一般社団法人 日本若者協議会・一般社団法人 日本ゼロカーボン・ウェルフェア協議会・公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 法政大学 1年 渡辺碧羽 / 津田塾大学 3年 石松果林 / 城西国際大学 2年 渡部優理絵

学生新聞インターン

「プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち」シーズン3

バチバチの女たちが再び!『プロ彼女の条件』シーズン3出演者が語る作品の魅力 SNSで話題沸騰のショートドラマ『プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち』。待望のシーズン3の配信が8月6日から始まった。志田こはくさん、桜井玲香さん、小宮璃央さんの3人に、出演が決まった時の心境や役作りの工夫、作品の見どころについて伺った。 Q  出演が決まった時のお気持ちを教えてください。 志田さん:TikTokやYouTubeのおすすめで話題になっていたことは知っていたのですが、シーズン3の出演が決まってから、シリーズ1,2を拝見しました。楽しみではありながらも、周りにマウントを取っていく役は初めてだったので、とてもドキドキしました。 桜井さん: 私もSNSで流れてくる映像を見て、人気がある作品だということを知っていました。出演のお話をいただいてとても楽しみでしたが、私たち女優や俳優の立場からするとプロ彼女の存在は少し怖くもあり、「どんなふうに演じればいいのだろう」という不安も感じましたね。 小宮さん:私も作品の存在を知っていたので、シーズン3でお話をいただいてとても嬉しかったです。前作に出ていた内藤秀一郎さんと面識があったので、今回ここでご一緒できるという嬉しさを噛みしめながら楽しく撮影をしました。 Q 役作りで意識したことは? 志田さん:私が演じる波間祐希は、マジメな新人ADだったものの、現場で一緒になった俳優さんに恋心を抱いて、彼を手に入れるために、とんでもない行動をしてしまう……という役柄です。祐希の本性はモノローグの部分に出てくるので、モノローグ部分は少し声をオーバーにするようにしました。表向きの立ち振る舞いとモノローグの違いにぜひ注目して見ていただきたいです。 桜井さん:私の演じた琴音は主人公の祐希をガンガン陥れていく役どころです。良い人ではないですが、人によって捉え方が変わる役柄かなと思っています。祐希自身もかなりパンチのあるキャラクターだったので、そのキャラクターの更に上をいくキャラクター作りとして私の中のトゲを乗せてお芝居にぶつけました。この作品のファンの方が欲しているであろう“バチバチバトル”みたいなものは、前作に引き続きしっかり作れたかなと思います。 小宮さん:僕は志田さん演じる波間祐希に恋心を抱かれるという役柄です。自分と同じ俳優役だったこともあり、あまり役作りはせず普段の自分を投影しました。設定としては刑事ドラマの撮影中の休憩シーンで祐希との会話が多かったので、「自分が実際にドラマの現場でどのように振る舞っているのか」を思い返しながら、キャストさんやスタッフさんとの普段通りのコミュニケーションを意識して演じました。 Q ドラマ『プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち』シーズン3の見どころを教えてください。 志田さん:先ほど桜井さんも仰っていましたが、シーズン1,2に引き続き、バチバチと火花が飛び散るシーンがあります。1,2でも登場した玲奈さんと和沙さんも出てくるので、作品のファンの方には今回もとても楽しんでいただけると思います。 桜井さん:シーズン1,2通して、妙なリアル感を感じるような取材力がすごい作品だと思っています。私もイチ視聴者として港区女子の世界が気になっていたので、そこを覗いて追体験できて面白いと思っています。今回は撮影現場が舞台なのですが、「そんなことないだろう!」というようなこともあったりします。というより、「ないだろう!」と思いたいですが(笑)。でも、現場の雰囲気など「わかるな〜」というところがたくさんあったので、そのリアル感をぜひ楽しんで見てもらいたいです。 小宮さん:ショートドラマの撮影ということもありタイトなスケジュールだったのですが、「いいものを作ろう」とみんなの気持ちが同じ方向に向いていたからこそ、良い作品が生まれたのだと思っています。桜井さんが仰ってくれましたが、ドラマの現場が舞台になっているので、芸能界にいる僕たちには「あー、確かにな」と思うこともたくさんありますし、視聴者の方にとっては「こういう世界なんだ」という発見もあると思うので、『プロ彼女の条件』という作品の面白い世界をフィクションとして楽しんでいただきたいのと、シーズン1.2を見てない人は、ぜひ最初から見ていただけたらなと思います。 Q 学生へのメッセージをお願いします。 志田さん:今、私は好きなこと、楽しいことができていると日々実感しています。夢に向かって頑張っている方、夢を探している方、いろんな方がいると思いますが自分の好きなことをして前向きに生きることが大事だなと思います。できるだけネガティブにならずにポジティブ人間になり今しかできないこと、沢山の経験をして夢を叶えてください。応援しています。 桜井さん:大人になって、お仕事をする時間が増えると、楽しむことや、自分の好きなことがわからなくなる瞬間があります。意外にお仕事で自己紹介をする機会が多いと感じているのですが、私はもう早くからお仕事を始めてしまっていて、部活も特にやっていないので、共通の話題がなくて困ることが多いです。でも、学生のみなさんは、たくさん時間もあるしどこでも行けるし、何にでも触れられます。みなさんそれぞれやってきたことがあると思いますが、遊びも含めて何一つ無駄なことはなく、社会に出ると必ず全て自分の武器になると思います。自分の好きなもの、思いを信じて、遊ぶなら遊ぶ。スポーツならスポーツをする。好きなことをめいっぱいやってほしいなと思います。 小宮さん:怒ってくれる人を大事にしてください。相手に対して何も思ってなかったら怒らない。これ以上、失敗をさせたくない、成長してほしいと応援しているからこそ、怒るんです。それはその人なりの思いやりだと思います。だからこそ、怒ってくれることはすごく大事なことなんだと、気づいてほしいです。僕は17歳からこの仕事を始めて、20歳くらいまで共演者や監督などによく怒られていたのですが、素直に受け止められていない時がありました。今になって、怒ってくれていることがこんなにも自分のためになっていたのだと気づきました。今は、怒られるたびに、もしかしたら「うるさいな」「何でこんなに怒っているの?」と思うかもしれないですが、後々自分にとってすごく大事なことに繋がっているので、怒ってくれる人を大切にしてください。 学生新聞オンライン2025年7月17日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵 ショートドラマアプリBUMP史上最大ヒット作!Z世代を中心に支持されているドラマ「プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち」シーズン3 ドラマ「プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち」とは?芸能人やスポーツ選手とばかり付き合う一般女性、いわゆる「プロ彼女」をテーマにしたショートドラマですコミカルかつスピーディーな展開の中に現代社会が持つ闇も描き出し、そのリアルさと先の読めないストーリーに、続きを見ずにはいられない中毒性を秘めています。「パパ活女子」より健気で「港区女子」よりしたたかなシンデレラたちの物語です。シーズン3では原作でも屈指の人気を誇る「芸能界編」となります!ドラマ制作の現場を舞台に、マジメな新人ADのヒロインがイケメン俳優に本気の恋をし、とあるプロ彼女との出会いをきっかけに自身もプロ彼女への道を歩んでいきます。待っていたのは予想外の落とし穴で…!女性たちの熾烈なマウント合戦とZ世代に刺さる痛いほど図星なセリフの数々が散りばめられています。 女優 志田こはく(しだこはく)2004年、埼玉県出身。 2022年に俳優デビューし、現在、東海テレビで放送の土曜ドラマ「浅草ラスボスおばあちゃん」に出演中。 日本テレビ「なんで私が神説教」、EX「伝説の頭翔」、EX「暴太郎戦隊 ドンブラザーズ」などテレビドラマを中心に、舞台や映画でも活躍する注目の若手俳優。 女優 桜井玲香(さくらいれいか)1994年、神奈川県出身。乃木坂46の1期生で初代キャプテン。卒業後は女優として、MBS/TBSドラマイズム「灰色の乙女」でW主演を務めるなどドラマ・映画・舞台と多岐にわたり活躍。2026年1月に松尾スズキ作・演出「クワイエットルームにようこそ The Musical」公演が控えている。 俳優 小宮璃央(こみやりお)2002年11月19日生まれ。福岡県出身。『男子高生ミスターコン2018』で準グランプリを受賞したことをきっかけに芸能活動スタート。最近では『霧尾ファンクラブ』(中京テレビ)、『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ)に出演。

イベント・企業紹介

事故物件調査イベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」(昼開催)

映画「事故物件ゾク 恐い間取り」の公開を記念し開催されている事故物件調査イベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」は、参加者自身が”調査員”となり、物件に隠された秘密を解き明かす、かつてない体験型イベントです。調査の舞台は、渋谷にひっそりと佇む築100年近い日本家屋。“調査員”の方は物件の中を巡りながら過去の住民の痕跡を辿っていきます。調査の手掛かりは、ヘッドホンを通じて聴こえてくる不思議な物音や、どこからか聴こえてくる声。 そして住民が遺していった残置物―。人の気配が感じられない日本家屋の中、五感と考察力をつかって、この物件で起きた出来事、そしてこれまで誰にも知られることのなかった【秘密】に迫ります。昼はクスっと「笑える」、夜はゾクっと「笑えない」体験ができます。この夏、みなさんもゾクっとする”恐楽(こわたの)しい”体験をしてみませんか? 今回、学生新聞インターン生が「笑える事故物件」 (昼開催)調査に行ってきました! ■「笑える事故物件」 (昼開催)を調査した感想 「笑える事故物件」昼の部に参加しました。 イヤホンから流れるガイド音声に導かれながら館内を調査していくこの体験は、まるで自分が“物語の一員”になったような感覚に包まれました。 一瞬ドキッとするのに、思わず笑ってしまう。 そんな“怖さ”と“面白さ”が絶妙に交差する、まさに「怖楽しい」ひとときでした。私が体験した昼の部は、ホラー初心者でも安心して楽しめる優しい仕掛けが多く、「怖いのは苦手…」という方にもおすすめです。 気軽に“事故物件気分”を味わってみたい人にはぴったりだと感じました。この体験を通じて、もっと物語の背景を知りたくなり、その日のうちに映画『事故物件ゾク 恐い間取り』を鑑賞。 映画を観終えるころには、「次は夜の部にも挑戦してみたい」と自然に思えるほど、体験と作品が見事につながっていたと感じました。暑さが続くこの季節にこそ、“ゾクッと涼しい”刺激を求めて。今だからこそ味わえる、夏の体験です。 津田塾大学3年 石松果林 いつでも人が多く訪れ、賑わう都会、渋谷駅。その中のひっそりとした路地を入ると、見つけられるのが、今回取材した事故物件だ。賑わう渋谷駅とは対照的に、静かでひっそりとしている古い日本家屋、近所のおばあちゃん家に来たような感覚だ。しかし、入口を入ると一転、暗く冷たい雰囲気を感じた。古い日本家屋の雰囲気はそのまま、暗さと冷たさが体験者の恐怖心を駆り立てる。体験内容は、事故物件を調査し、失踪した浅井三次郎さんの音声データを聴きながら、事故物件に隠された秘密を解きつつ、霊の実態を探るというもの。室内を巡りながら音声データをもとに、霊を探る過程は、恐怖心と好奇心がともに煽られ、調査員として暴く体験は非常に面白いものであった。ヘッドホン越しの音声は、臨場感たっぷり。ホラーや恐怖心が苦手な方は昼の部で、事故物件調査を楽しむと、ちょっとしたドキドキとワクワクが味わえると思う。 専修大学2年 星萌果 「渋谷の日本家屋」というだけで少し不気味さを感じていましたが、調査員として中に入ると、空間全体にただよう静けさと古びた木の匂いに一気に引き込まれました。音声に導かれるまま各部屋を巡り、書物を読んだり儀式のような行為を行ったりするうちに、ただ「怖い」だけではなく、「知りたい」「解き明かしたい」という探究心がどんどん湧いてきました。昼の部ということもあり、ところどころクスッと笑える演出があり、緊張感の中にも楽しさが感じられたのが印象的でした。残された痕跡や少しずつ見えてくる住人の背景に想像を巡らせながら進むのが面白く、仲間とあれこれ考察を交わしながら楽しむことができました。最終的に私たちは謎を解き明かすことはできませんでしたが、この家に秘められた物語の一部を垣間見たような感覚があり、不思議で記憶に残る時間になりました。 法政大学1年 渡辺碧羽 建物の中に入ると、日常とはちがう空気が広がっていて、少しドキドキしながらのスタートでした。中を進んでいくと、不思議な音や空間が次々に現れ、「これは何だろう?」と想像をふくらませるのが楽しかったです。怖すぎる演出はなく、思わずクスッと笑ってしまうような仕掛けもあり、安心して楽しめました。途中で見たものや聞こえた音に「意味があるのかな?」と考えながら進むことで、調査をしている気分にもなれました。全体を通して、ただ見るだけではなく、感じながら楽しめるように作られていて、細かいところまで工夫がされているのが印象的でした。夏の思い出としてぴったりの、ちょっと変わった体験ができるイベントでした。 情報経営イノベーション専門職大学1年 襟川歩希 ■事故物件調査イベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」開催概要 会場:東京都渋谷区東1丁目26-32(渋谷駅より徒歩約12分)開催期間:2025年7月26日(土)〜2025年9月7日(日)開催時間:「笑える事故物件」 (昼開催):各日 初回10:30開始~最終17:15開始回「笑えない事故物件」(夜開催):各日 初回18:30開始~最終20:45開始回所要時間:いずれも各回60分間(説明~解散まで)※各回定員4名まで※集合は体験開始の5分前チケット: この学生新聞オンラインの記事をご覧の皆様へ!「笑える事故物件」”夏割”販売決定!10:30~14:15開始回を2000円でお得にお申込みいただけます【夏割 専用ページ】https://eplus.jp/jikobukken-event2025-summer/「笑える事故物件」 平日:3,500円、土日祝:4,000円(税込)「笑えない事故物件」平日:3,700円、土日祝:4,200円(税込)※ご購入前に必ず公式サイトの注意事項をご一読下さい 公式サイト:https://plan.shochiku.co.jp/jikobukken-event2025/ 公式SNS:https://x.com/jikobukkenEVENT/ 主催・製作:松竹株式会社 学生新聞オンライン2025年8月2日・3日取材情報経営イノベーション専門職大学1年 襟川歩希/専修大学2年 星萌果/津田塾大学3年 石松果林/国際基督教大学3年 渡邊和花/法政大学1年 渡辺碧羽

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事故物件調査イベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」(夜開催)

映画「事故物件ゾク 恐い間取り」の公開を記念し開催されている事故物件調査イベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」は、参加者自身が”調査員”となり、物件に隠された秘密を解き明かす、かつてない体験型イベントです。調査の舞台は、渋谷にひっそりと佇む築100年近い日本家屋。“調査員”の方は物件の中を巡りながら過去の住民の痕跡を辿っていきます。調査の手掛かりは、ヘッドホンを通じて聴こえてくる不思議な物音や、どこからか聴こえてくる声。 そして住民が遺していった残置物―。人の気配が感じられない日本家屋の中、五感と考察力をつかって、この物件で起きた出来事、そしてこれまで誰にも知られることのなかった【秘密】に迫ります。昼はクスっと「笑える」、夜はゾクっと「笑えない」体験ができます。この夏、みなさんもゾクっとする”恐楽(こわたの)しい”体験をしてみませんか? 今回、学生新聞インターン生が「笑えない事故物件」 (夜開催)調査に行ってきました! ■「笑えない事故物件」 (夜開催)を調査した感想 今回調査したのは渋谷にある日本家屋で、事故物件調査を体験してきました。「家」という日常的な空間であるはずなのに、部屋の薄暗さや物音などによって非日常的で不穏な雰囲気を強く感じましたね。そのような場所で、五感を研ぎ澄ましながら様々なアクティビティを行っていく中で、言葉にならない恐怖を体験することができました。該当物件が「事故物件」になった理由や隠された背景事実を解き明かすために、他の調査員と道具を用いて儀式を行ったり、ある書物を仲間と共に調査したりしました。実際に、詳細不明な道具や書物を用いて該当物件の調査を行うのは「この後に何かが起こってしまうかもしれない」と不安が尽きず、とても怖かったですね。また、残された音声データをもとに自分自身の手を動かし、思考したからこそ緊張感や臨場感がより高まったのではないかと感じています。 国際基督教大学3年 渡邊和花 玄関前から既にほの暗い雰囲気があり、早速世界観に引き込まれました。その後に他の参加者たちとのアクティビティを通じ調査していき、物件の謎について想いを馳せるなかで没入感は増していき、クライマックスでは物件の謎と自らに降りかかる因縁に恐怖を感じました。全編を通してジャンプスケア的な要素はなく、しかしながら徐々に謎が解けていく感覚と過去からの因縁を感じられるシナリオに、背筋がゾッとするような恐怖を感じることができました。 国際基督教大学4年 S.S ■事故物件調査イベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」開催概要 会場:東京都渋谷区東1丁目26-32(渋谷駅より徒歩約12分) 開催期間:2025年7月26日(土)〜2025年9月7日(日) 開催時間:「笑える事故物件」 (昼開催):各日 初回10:30開始~最終17:15開始回「笑えない事故物件」(夜開催):各日 初回18:30開始~最終20:45開始回 所要時間:いずれも各回60分間(説明~解散まで) ※各回定員4名まで※集合は体験開始の5分前 この学生新聞オンラインの記事をご覧の皆様へ!「笑える事故物件」”夏割”販売決定!10:30~14:15開始回を2000円でお得にお申込みいただけます【夏割 専用ページ】https://eplus.jp/jikobukken-event2025-summer/「笑える事故物件」 平日:3,500円、土日祝:4,000円(税込)「笑えない事故物件」平日:3,700円、土日祝:4,200円(税込)※ご購入前に必ず公式サイトの注意事項をご一読下さい 公式サイト:https://plan.shochiku.co.jp/jikobukken-event2025/公式SNS:https://x.com/jikobukkenEVENT/主催・製作:松竹株式会社 学生新聞オンライン2025年8月3日取材 国際基督教大学3年 渡邊和花

コラム

テリー伊藤 コラムVol.60 お宝1974年式VWワーゲンカブリオレ1303Sを購入

まさに奇跡の車。ワンオーナー、走行距離6,800km、世田谷二桁ナンバープレート。外装、内装、走りのコンデションも最高。運転席、助手席のシートだけはヘタリがあるので交換しようと考えている。VWビートル系は日本でも大人気なので古いパーツでも入手し易い。何と言っても嬉しいのは、前オーナーが私と同じ歳。しかも女性。1974年24歳の時にこの車を手にしたと聞く。大卒の初任給が7万円の時代、当時の経済環境を考えるとVWを販売していた正規代理店YANASEでのビートルカブリオレ車両価格は100万円位、だとすると現在の感覚では500万円位で販売されていたこの車を、24歳の女の子がマイカーとして所有するとはどれだけお嬢様なのか。更に凄いのは、当時の記録簿が全て綺麗に残っていること。整備は毎回販売店のYANASEで行われている。分厚い整備メモを見ていると何故か涙がでてくる。どれだけ育ちのいい車なのか。おそらく前オーナーは高齢にともない免許返上し売却することに。青春時代を過ごした車との別れの日「次に乗ってくれる方は大切にして欲しい。」と。そのお言葉しっかりと受け止めました。 興奮が収まった翌日、私、チョット悩んでいます。冷静に車を見ると、長年車庫に保管されていたので、ボディーやホイルにへこみや錆が出ていて車全体が色褪せている。お金を掛けてレストアすれば新車のようになるが、そんな厚化粧をしてしまえば別な車になってしまう。それでは前オーナーと街で出会った時に、以前自分が乗っていた車と分からないじゃないか。手も振ってくれない。失礼過ぎる。とは言っても錆は何とかしないと。その兼ね合いを思案中。恐らく今のイメージを壊さない手法で行く。実はこの期間が一番楽しい。 レストア完成後、最初にドライブに行く所はもう決まっている。車屋さんに紹介してもらった前オーナーが住むご自宅に挨拶に行きたい。「長年大切にしていたビートルカブリオレを譲っていただき感謝しています。」と伝えたい。私は半年も乗ると他の車に興味を示すダメ男だが、今回は違う、一生モノになる事間違いなし。この車を邪険に払ったら車の神様の罰が当たる。 横須賀に車、数十台置ける秘密基地を完成させて保管する事も出来るが、沢山乗ってあげたい。50年間ずっと車庫に居た箱入り娘。恐らく海も山も、高層ビルがそびえ立つ都会の変貌振りにもびっくりするだろう。車と話しかながらドライブを楽しみたい。タイムカプセルから飛び出してきたVWビートルカブリオレ。この車は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアン号なのだ。 ■インフォメーション2025年7月からで新番組開始「心配喫茶カノン」FMヨコハマ毎週日曜18:00~18:15 テリー伊藤(演出家) 1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」LALALA USAでコラム連載中https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

学生新聞インターン

TUBE 前田亘輝

いつかどうせ負ける。だからこそ負けに向き合い続ける。 TUBE 前田亘輝(まえだのぶてる) ■プロフィール1985年6月にTUBEのボーカルとしてデビュー。3rdシングル「シーズン・イン・ザ・サン」が大ヒット。 その後も「あー夏休み」「夏を抱きしめて」など、夏をテーマにした楽曲を中心に数多くの楽曲をヒットチャートに送り出し、”夏=TUBE”というイメージを広く世間一般にも定着させる。 35年以上継続して開催している毎夏恒例の横浜スタジアムでのライブは、夏の風物詩となっている。 今年、2025年の6月にはデビュー40周年を迎えた。 日本の夏を代表するロックバンドTUBE。数々のヒット曲を生み出してきたが、そこまでには数多の苦難もあった。長い歴史をもつアーティスト人生のなかで、貫いてきた信念や考え方は何だったのだろうか。今年デビュー40周年を迎え、記念コラボレーション・アルバム「TUBE ×」(チューブ・カケル)が8月6日に発売された。新たな挑戦を続けるTUBEのボーカル前田氏にお話を伺った。 音楽に惹かれたのは中学生の頃です。 先輩が洋楽を勧めてくれたことをきっかけに、70年代ぐらいのアメリカンロックを知りました。 TUBEのサウンドにも、そのアメリカンロックテイストはセンセーショナルに影響を受けています。 中学3年の時に文化祭でエアバンドを経験して「ステージに立つって気持ちいいな」と思うようになりました。 そして、高校2年生で初めて100人くらいのステージで歌った時、「これで一生食べていきたい」と思いましたね。18歳くらいからデビューに向けて準備をしていたのですが、苦難の連続でした。ほとんど学校にも行っておらず、毎日練習の日々だったので、お金も無い。学校も行かずに練習している僕に対して、「いつまで夢見ているんだよ」と、周りからは冷ややかに見られていたと思います。その当時交流のあった音楽仲間は何百人もいて、自分たちと同じように音楽を目指していた仲間もいましたが、次第にどんどん少なくなってしまいました。結局残ったのは4人。今のTUBEのメンバーです。 ■40年間続けてくることが出来た考え方とは? 作詞作曲する中で貫いてきたことは、背中をさするような曲作りをすることです。「こうあるべきだ」とか「負けるんじゃねえ」など、説教じみたことを言っている曲も過去にはありましたが、反省して、「負けてもいいんだよ」と背中を押すような歌詞になるよう心がけています。僕たちの世代だったら「一緒に行こうぜ!」とできるけれど、僕たちのファンも家族をもったりお子さんが独り立ちをしたりした人もいるので、そこは世代を意識しながら作っています。あのおじさんたち楽しそう!って見えると思いますが……(笑)。TUBEと言ったら夏というイメージがあって、「スイカ作ってるのか!」みたいに言われた時期もあり、それが本当に悔しくて、夏よりも冬に多くライブを行ったりもしていました。しかし、30歳過ぎた頃から世間からの圧力に抵抗していた時期のことを、「ああ、一番やっちゃいけないことやっていたな」と思うようになりましたね。TUBEの楽曲で「そんなもんさ」という曲があります。冷ややかな目で見られたり、辛いことがあったりしても、「負けるやつがいるから世の中成り立っているんだ」という変な理屈で自分達を鼓舞していました。勝つためにやっているのではなく、いつか必ず負けてしまうのだから、負けても続けようぜと思うようにしていました。これが40年間続けてくることが出来た考え方ですかね。 ■デビュー40周年記念コラボレーション・アルバム「TUBE ×」(チューブ・カケル)について 40周年となると、トリビュートアルバムや色々な若い方がカバーをしてくれるのが主流ですが、僕たちはオリジナルを作りたかったので、自分達とは遠いスタイルのアーティスト8組とのコラボを企画しました。一番初めにGACKTさんに声をかけてみたのですが、戸惑いもあったものの、納得してくれてコラボが実現しました。全音転調していく曲なのですが、「ここで転調するんだ!」というところや、イメージだとすごくロックな人だけれども、実に繊細で、一緒に音楽を作ってみないと分からない発見がありましたね。若い世代ですと、FRUITS ZIPPERさんともコラボしました。「ファミリー・サマー・バケーション」という楽曲で、音楽番組ではお父さん役で登場し、一緒にダンスもしました。初めて挑戦するダンスのスタイルで、今までの人生で練習したことのないくらい練習することになりました(笑)。アイドルの皆さんは楽しそうにステージに立っているように見えますが、やはり水面下で努力しなきゃいけないんだなということを改めて実感しましたね。どのコラボでも、楽曲の骨組みの作り方やレコーディングも、全てやり方が違ったので苦労もありました。普段TUBEでボーカルを録る際はセルフでやっていたので自分達の判断で進めていたのですが、歌入れの立ち会いをお願いした曲もあって、作り手サイドが重きを置く場所の違いを感じる部分も多かったです。普通に作るよりも、かなり時間も要しましたね。普段は1曲あたり、70時間くらいでなんとなくミックスまでいくけれど、100時間は越えたんじゃないでしょうか。それでもコラボレーションは良い勉強になりますね。自分とは違うコミュニティの方々と一緒にやると、世界が広がります。それを吸収しようとする貪欲さは幾つになってもあっていいのかなと思いました。 ■今後の展望 TUBEの楽曲がありがたいことにアジアの国でリテイクされているので、色々な言語で録り直してみたいなと思います。今も中国語と韓国語を勉強していますよ。まだ発音の違いなど全然分からないけど、頑張っています。みんな還暦を迎えるようなおじさんたちだから1日でも長く音楽を続けていければなと思います。 ■大学生へのメッセージ 自分が学生の頃「若い頃の苦労は買ってでもしろ」と先生によく言われましたが、それが自分のためならやっぱり努力はしておいた方がいいなと思います。人生の中で恐らく3回ほどチャンスが来るはずです。僕たちにもチャンスがあって、自分たちなりに努力していたからこそ今ここにいることができています。オーディションは何回も落ちましたし、全然ダメだと思っても練習だけはしていました。恵まれてないなと思っていても絶対にチャンスは来ます。ぼーっとしているとチャンスをチャンスだと気づけなくなってしまうので、常に努力して見逃さないようにしてください。 学生新聞オンライン2025年7月9日取材 慶應義塾大学4年 松坂侑咲 ■TUBE デビュー40周年記念コラボレーション・アルバム「TUBE×」(チューブ・カケル) TUBEデビュー40周年を記念したコラボレーション・アルバム「TUBE×」(チューブ・カケル)が8月6日(水)に発売世代やジャンルを超えた全8組のアーティストとの共作で完成した意欲作。TUBEのサウンドとそれぞれのゲストアーティストの個性が融合した豪華なコラボレーション・アルバムとなっている。 ■デビュー40周年を迎えた TUBE 初の All Singles ベストアルバムも発売中All Singles TUBEst -Whiteー【初回生産限定盤】All Singles TUBEst -Blue-【通常盤】 情報経営イノベーション専門職大学 1 年 徳原拳聖/慶應義塾大学 4 年 松坂侑咲/昭和女子大学 2 年 阿部瑠璃香

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秩父短編文学賞 授賞式・梅津瑞樹氏朗読会

秩父文学祭実行委員会は、秩父文学祭(6月7日~29日)において、6月22日に『秩父短編文学賞 授賞式』を開催しました。本文学祭は、秩父市、西武鉄道株式会社、株式会社西武不動産、そして日本大学芸術学部が共同で開催するイベントとして「何度も秩父に訪れていただきたい」という思いのもと、秩父に新たな魅力を創出するべく、秩父のレトロな街並みと四季を堪能できる自然や景色など、魅力的な観光資源と「文学」という文化的要素を掛け合わせた地域と文学が融合した新しい形の祭典です。『秩父短編文学賞 授賞式』は西武鉄道の特急ラビューで池袋駅から西武秩父駅まで最速77分という運行時間にちなみ、「77分で読める短編小説」をテーマに作品を募集し、430編の応募がありました。授賞式では、お客さまや関係者など約400人が見守る中、審査員長の林 真理子氏をはじめ、梅津 瑞樹氏、額賀 澪氏、市川真意氏ら審査員による最終審査により決定した、大賞1名、審査員特別賞3名の計4名の方が表彰されました。また、表彰後には梅津 瑞樹氏による秩父短編文学賞大賞受賞作品の朗読会が開催されました。その他にも前夜祭として行われた秩父古民家再生事業の一環として開発された宿泊施設「NIPPONIA 秩父 門前町」でのトークイベントや、会場となった秩父宮記念市民会館の周辺において、秩父グルメフェスタなどさまざまなイベントも開催されました。 ■秩父文学祭実行委員会会長 秩父市長 清野和彦 挨拶秩父市は観光文化都市として、豊かな自然、歴史と伝統文化を感じる街並みがあり、近年では、アニメやお酒での町おこしなどの取り組みを日々進めております。秩父短編文学賞では、令和の文豪を発掘することを目標に、”文学”という今までにないコンテンツから新たな交流を生み、この秩父文学祭から秩父市が更に魅力あるまちへと発展していくことを期待しております。 ■株式会社西武不動産 代表取締役社長 齊藤朝秀 挨拶西武鉄道池袋線・秩父線の終着点である秩父で、秩父市様からもご協力をいただき、古民家再編事業の一環として古民家宿泊施設「NIPPONIA 秩父 門前町」を運営しております。この素敵なエリアで何かできないかと、日本大学芸術学部の皆さんと意見交換をしたところ、今回のイベントに繋がるご提案をいただきました。秩父市様にも非常に前向きにお力添えをいただき、本日を迎えることができましたことを感謝申し上げます。このイベントをきっかけに、今後さらに、秩父の魅力や文学というものが良い形で、様々な人に浸透していくことを願っております。 ■審査委員長 林真理子 総評このような素晴らしい機会を設けてくださった皆様に心より感謝するとともに、母校である芸術学部文芸学科がこの催しに参加できたことを日本大学の理事長として大変嬉しく思います。今回選考させていただくにあたり、短編小説というのは起承転結と、淡々と、という兼ね合いが難しく、作家の力量が試されるものだと思っておりましたが、非常にレベルが高く、驚きました。作品のどれもがバラエティに富んでおり、非常に尖った作品があったかと思うと、じんわりと暖かくなるような小説もありました。この秩父短編文学賞において、1回目から素晴らしい作品が出たことをとても嬉しく思っています。皆様、本当におめでとうございました。 ■第1回 秩父短編文学賞 大賞 『風船人間』伊藤日々 大賞受賞コメント 「風船頭の人間」そんなイメージが浮かんできたのは、この文学賞の締め切りの2週間前でございました。このイメージが浮かんでからは、これを形にしたいという強い衝動が収まらず、書き始めました。自身の枠組みについて、人との枠組みについて、もっと自由であれたらいいなというふうに思いながら書きました。これまで小説というものを書いたことがなかったのですが、風船頭の話を書きたい、形にしたいというような衝動をそのままに生かすことができたのは、この文学祭と文学賞が背中を押してくれたからだと思っております。真っさらな状態の、この文学祭の文学賞に、お名前を記していただけたこと、身に余る光栄でございます。どうもありがとうございます。 ■審査委員/朗読会 俳優 梅津瑞樹 単独インタビュー ◇良い文学について何でも”最初のつかみが肝心”と言ったりしますが、受賞した作品の多くが、最初の数行でもっと読みたいと思わせる”吸引力”があったと思います。そして今回審査委員をやってみて、タイトルも大事だと思いました。僕が今回審査員特別賞に推させていただいた、えきすときおさんの『破壊姉と復活妹』はまさにその権化のような作品だと思いました。 ◇朗読と舞台演劇の違い朗読は、小説を原文のまま読むことが多いので、普段僕がやっている、セリフだけを言う演劇と違って、俯瞰で自分を見ているというところを更に表現できるものだと思います。 ◇学生へのメッセージこの文学祭は、日本大学芸術学部の4年生の学生さんと一緒に運営していました。彼らと話をしているとき、とてもキラキラしていて、未来には楽しいことしか待っていないんだよと学生を終えた身としては思うのですが、当人たちとしては、一寸先は闇と思ってしまっている人もいると思います。信念さえあれば、何事も失敗しても成功しても、どう転んでもいいと思える人生が先に待っていると思うので、そこは自分を信じて頑張ってほしいです。 ■取材の感想◇授賞式について文字を通して表現をする方々が紡ぐ言葉の素晴らしさを改めて感じた一日でした。特に、林さん、市川さんの審査員特別賞をダブル受賞した「束の間の呼吸」の著者、三枝美穏子さんの受賞コメントの「今までやってきたことは間違ってなかったんだ。書き続けていいんだ。と背中を押してもらえたような、そんな気持ちになりました。」という言葉が私の中で響き、目頭が熱くなりました。どのようなことでも、どのような状況になっても、何歳になっても、好きなことを一所懸命に続ける姿は美しいと感じました。受賞された皆様のこれからのご活躍を祈念すると共に、この素晴らしい文学祭が末永く続くよう祈っています。 ◇朗読会について大賞に選ばれた作品が朗読される珍しさはもちろんですが、作家・俳優としてもご活躍されている梅津さんが審査員としてこの作品に関わってきたからこそ、その世界を深く理解しながら朗読をされていたように思います。女性と男性の演じ分けも素晴らしかったことに加えて、淡々とした語り口調から日常が過ぎ行く中、自分だけが取り残されているような感覚が強く伝わってきました。その落ち着いた導入があったからこそ、後半にかけての感情の変化、状況の変化がより際立ち、惹き込まれていきました。風船が揺れる描写と連動した舞台演出、風船に当たるスポットライトなどが、『風船人間』という話の世界観をさらに引き立てていたように思いました。もう一度見たい!もう一度聴きたい!と思わずにはいられませんでした。 学生新聞オンライン2025年6月22日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵

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ミュージカル『コレット』開幕直前取材&公開ゲネプロレポート 実力派キ...

明日海りおさん主演ミュージカル『コレット』が、8月6日(水)東京・日本青年館ホールにて開幕しました。20世紀初頭のパリが舞台。フランスの文学界で最も高名な女性作家の一人、自著『ジジ』を舞台化する際に当時無名のオードリー・ヘプバーンを主役に抜擢し一躍スターにした立役者のシドニー=ガブリエル・コレットの物語。その波乱に満ちた人生をオリジナル・ミュージカルとして、2025年8月、東京・日本青年館ホール、大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演します。コレットを演じるのは、同じくミュージカル界で道を切り開き、輝き続ける明日海りおさん。そのほか、様々な作品で存在感を放つ今井朋彦さん(ウィリー役)、舞台・映像で活躍し透明感で魅了するCLASS SEVENの大東立樹さん(ベルトラン役)、宝塚歌劇団宙組・星組男役スターとして活躍後、舞台や音楽活動で活躍する七海ひろきさん(ミッシー役)、数々のミュージカルで作品を高みに作り上げる吉野圭吾さん(アンリ役)、元宝塚歌劇団花組トップ娘役で、現在は舞台・テレビを中心に女優として活躍する花乃まりあさん(メグ役)、そして、映画・TVに多数出演し第一線で活躍し続ける前田美波里さん(シド役)という、豪華面々が名を連ねます。G2さんがオリジナル脚本・作詞・演出を手掛け、互いに信頼を寄せる荻野清子さんによる音楽で物語を紡ぎます。今回は、開幕に先駆け2025年8月5日に行われた開幕直前取材、公開ゲネプロを取材させていただきました。 素敵なカンパニーと共に創り上げる個性豊かなキャラクターたちに注目!~開幕直前取材~ ■明日海りおさんやはり、新作のオリジナル・ミュージカルということで、いただいた楽曲や動き、ダンスナンバーなどを自分たちの世界観にどう落とし込み、どう広げていくか。一つひとつ作り上げてきたものが、ようやく皆様にご覧いただける段階になり、とても楽しみにしています。まずは安全確認しながら、自分のやりたいことを舞台の上で的確に表現できるよう、頑張りたいと思います。今回のミュージカルは、ほぼ実話をもとにしています。私が演じるコレットも、まさに「そんなこと本当に起こるの?」と思ってしまうような信じられない出来事の連続で、その半生を2時間半にぎゅっと凝縮して描いています。そのため展開がとても早く、いつもの感覚では全くついていけません。舞台に立つときは、普段の3倍くらいの気持ちで向かわないといけないところが苦労しています。コレットはとても個性的な人物ですが、周囲のキャラクターたちもまたエネルギッシュで個性豊か。だからこそ、コレットが“普通”に見えてしまわないように、今まさに努力しているところです。 ■今井朋彦さんもう楽しみしかありません!作品を良くするためにどうすればいいか、自分には何ができるのかということを、全員が常に考えていました。プリンシパルもアンサンブルも関係なく、自分の意見を稽古場に持ち寄って、もっとこうしたほうがいい、ああした方がいいんじゃないかということをみんなで言い合える稽古期間を過ごしてきました。みんなで意見を出し合って創り上げたこの作品の成果が本番で現れてくると信じています。自分もその中にいられることをとても楽しみにしています。僕は、コレットの夫のウィリーという役をやるのですが、人にちょっと厳しく接したり、辛く当たったりするのは、ほぼ地なので何の苦労もありませんでした!冗談なんですけど(笑)僕が舞台上で関わる方と、共同で役を作る、場を作る、シーンを作る、というつもりでやってきましたので、逆にどういうふうに僕の役が見えるのかなという感想を聞くのが、今は楽しみなところです。 ■前田美波里さん「ここはフランス?いえ、日本で観ているんです」と感じていただけるくらい、観る方が自然と物語に入り込める作品に仕上がっていると思います。もしコレットが今の時代に生きていたら、どれほど多くの方々に“救い”をもたらしていたのだろうと考えてしまいます。女性にも興味を持ち、男性にも興味を持つ。どちらにも関心を抱く。それが当たり前とされる現代において、この作品は“最先端”を描いているのではないかなと思います。 ■大東立樹さん(CLASS SEVEN)本当にスタッフさんもキャストの皆さんも素敵な方々ばかりで、身を委ねて頑張りたい一心でした。お芝居については、今井さんが全部教えてくださいました!隙あらば“今イズム”が入っています!今回は三役を演じさせていただくのですが、それぞれキャラクターが濃いので、「あれ?同じ人?」と思われないように、演じ分けられていたらはいいなと思います。“語り部”というと、淡々と話すイメージがあったのですが、脚本・作詞・演出のG2さんに「ベルトランは、語っている最中の感情を全て持ち合わせて言葉を発するんだよ」と教えていただき、たくさん学ばせていただきました。三役の中のひとつで、“ピエール”という役が一瞬登場するのですが、そこで物語の流れを少し変えて、新しい風を吹かせないといけないので、今でも少しドキドキしながら演じています。 ■七海ひろきさん「早く皆さんにお届けしたい!」という気持ちでいっぱいです。今回のミュージカルは、フランスらしいとてもオシャレな雰囲気が楽曲の中に表現されていると思います。そして、コレットの絶妙な心境の変化にあわせて、みんな心を動かしていく様子も表現されているので、ぜひ、お芝居の部分も、ミュージカルの部分も楽しんでいただけたら嬉しいです。私が演じるミッシーという役は、コレットを支えて、愛している人物です。コレットを演じる明日海さんとは、宝塚歌劇団時代の同期でもあり、普段はほわほわとゆっくりとした時間を流してしまうので、その雰囲気が舞台に出ないようにしたいです。演じることの喜びはもちろん、一緒に舞台に立てることの幸せを感じながら、コレット、そして、明日海りおさんという素敵な俳優さんを、尊敬し、愛し続けていく舞台にしたいなと思っています。 ©ミュージカル「コレット」製作委員会/岡本隆史 自分らしく生きることを教えてくれる舞台 ~学生の観劇レポート~ まるで、フランスにいるような世界観に圧倒されました!音楽、ダンス、衣装、全てが繊細で美しかったです。明日海さんが演じるコレットが自分らしく生きるために自分の道を切り開いていく姿に目が離せませんでした。コレットと同じような悩みを抱えている大学生も多いと思います。私自身、自分がやりたいこと、進路を迷っている悩みと重なり、コレットから沢山の勇気を頂きました。また、大東さんが演じた物語のキーパーソンとなっている三役にも注目です!大東さんのような、同世代の方が、舞台で輝いている姿にも感銘を受けました。私はミュージカル『コレット』から沢山の勇気を頂きました!大学生の皆さんも、観たら勇気をもらえる作品だと思います。是非、劇場で作品を見て頂きたいです!昭和女子大学2年 阿部瑠璃香 私は12年前、人生で初めて観た舞台に明日海さんが出演されていました。その作品との出会いがきっかけで、舞台演劇を観ることが大好きになりました。今回また、新たな明日海さんの表情やお芝居に触れることができて、本当に感慨深かったです。明日海りおさん演じるコレットは、自由奔放で我儘にも見えるキャラクターですが、明日海さんが演じるからこそ、その姿が嫌味にならず、観ていると思わず、応援したい!と思ってしまうような魅力に溢れていました。「コレット」という役は演じる上で、お芝居によっては、掴みどころのない、信念のないようにも捉えられてしまわれかねない難しい役どころかと思うのですが、明日海さんのコレットは、信念のある、美しい「コレット」として生きていて、やはりコレットに命を吹き込めるのは明日海さんしかいない!と改めて感じました。七海ひろきさんは、明日海さんと宝塚時代の同期ということもあり、舞台上でのコンビネーションが抜群で、お二人の関係性だからこそできるお芝居にとても惹き込まれました。七海さんのお芝居の素晴らしさで特筆したいのは、照明が当たっていない場面でも、表情や仕草の一つひとつに心を動かされることです。お座席の位置によっては見えにくいこともあるかもしれませんが、ぜひ照明が当たっていない時の細やかな演技にも注目していただきたいです。そして、大東立樹さんは、今回、年齢も性格も異なる3人の人物を演じ分けているのですが、三役演じる理由が最後に理解できます!なぜ大東さんがこの三つの役を演じるのか、その三役に共通するものは何なのか、その答えを、ぜひ劇場で確かめてほしいです!誰一人欠けることなく千秋楽を迎えられるよう、心から願っています!城西国際大学2年 渡部優理絵 <公演概要>ミュージカル『コレット』【開催日程・会場】 2025年8月6日(水)~ 8月17日(日) 東京・日本青年館ホール・チケット料金(税込):S席 14,500円/A席 9,500円 ※未就学児入場不可・問い合わせ先: 公演事務局 https://supportform.jp/event(平日10:00~17:00)  2025年8月21日(木) ~ 8月24日(日) 大阪・梅田芸術劇場メインホール・チケット料金(税込):S席 14,500円/ A席 10,500円/B席 6,500円 ※未就学児入場不可・問い合わせ先: キョードーインフォメーション 0570-200-888 (12:00~17:00 ※土日祝休み) 【脚本・作詞・演出】 G2【音楽】 荻野清子【出演者】 明日海りお今井朋彦 大東立樹 (CLASS SEVEN) 七海ひろき吉野圭吾 花乃まりあ前田美波里大月さゆ 可知寛子 中西勝之辰巳智秋 小林遼介 コイタ奈央美 りんたろう 伊宮理恵 ユーリック武蔵 蛭薙ありさ 公式HP: https://musical-collet.com/公式X:@musical_collet 学生新聞オンライン2025年8月5日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵/昭和女子大学2年 阿部瑠璃香

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株式会社獺祭 代表取締役社長 桜井一宏

お酒の魅力を、世界と宇宙に届けたい 株式会社獺祭 代表取締役社長 桜井一宏(さくらいかずひろ) ■プロフィール1976年生まれ、山口県周東町(現岩国市)出身。早稲田大学卒業後、酒造とは関係のない東京のメーカーに就職。東京の居酒屋で「獺祭」のおいしさに気づき、2006年実家に戻る形で旭酒造に入社。その後ニューヨークに赴任し海外進出の礎を築き、常務取締役となる。2010年より取締役副社長として海外マーケティングを担当。2016年9月代表取締役社長に就任、四代目蔵元となる。 地酒「獺祭」を世界へ広げるため、酒蔵の息子として海外販路を切り拓き、伝統を守りながらもデータを駆使した酒造りに挑むのが、株式会社獺祭の桜井一宏社長。ご自身のこれまでの経歴や、現在挑戦中の宇宙での発酵実験や月面酒蔵構想まで、幅広いお話をお伺いしました。 学生時代は様々なことをしていました。だから、「どんなことに力を入れていたのか?」と聞かれると難しいのですが、とにかく忙しかったですね。古着屋やドーナツ屋でアルバイトをする一方で、無人島に行く旅行サークルや、ファッションショーなどのイベントを主催するサークルに所属していたので、時間がどんどん過ぎていきました。 ■家業継承を再考させた、一杯の出会い 実家が山口県にある酒蔵だったので、「魚屋さんの息子は魚屋さん、八百屋さんの息子は八百屋さんになる」という感覚で、「いずれは自分が家は継ぐものだ」と自然に思っていました。しかし、東京の大学に進学した後は、その気持ちが少し薄らいでいきました。実家から物理的に距離が離れたことによる心情的な部分もあったのでしょうし、酒蔵の経営は斜陽なのではないかとも感じたので、大学卒業後は家業を継がずにメーカーに就職しました。その会社は本社が群馬にあったのですが、ヘッドオフィスをできたばかりの六本木ヒルズに作るという話が出て、六本木行きのチームの(下っ端として)一員にしてもらいました。そのときに訪れた六本木の居酒屋さんで見つけたのが、実家のお酒です。親からはお酒を送ってもらったり、帰省した際に実家で飲んだりするのですが、自分でお金を払って飲んだことがなかったので、実家のお酒を買っていただいているお客様の気持ちを想像できない部分がありました。しかし、いざ自腹で様々なお酒を飲んだら、自分の家のお酒が一番美味しいと感じ、そのときから、改めて家の酒蔵の魅力を考えるようになりました。当時、この会社は今の二十分の一以下の規模だったので、正直、不安がなかったと言えば嘘になります。ただ、規模というより家業自体が意味があると感じたため、メーカーを辞めて実家に戻るという決断をしました。 ■輸出ゼロから海外展開へ。足で築いたグローバル市場 私がこの会社に入った頃には、東京では獺祭に関する認知がある程度広がり始めていて「知る人ぞ知る、お酒に詳しい人はご存知のお酒」になっていました。ただ、海外については、私がこの会社に入る1年ほど前にようやく輸出が始まったばかりで、まだ何も整っておらず、もちろん国内もまだまだ道半ばという、市場を作っていくのに手を変え品を変えしていかなければならない状態でした。入社直後は、製造現場で下働きをしながら仕事を理解しました。加えて、百貨店や酒屋さんでの試飲販売にも出ていました。年末やお中元の時期には、百貨店でお酒の試飲販売もしていました。そのあと最初にニューヨークの担当になり、その後次第に、進出が始まりつつあった香港、イギリスなどの担当もするようになり、最終的に海外全体の担当になりました。実はニューヨーク進出を決めたのは父でしたし、私自身は「外国人に日本酒が理解されるわけがない」と思っていたので、海外担当になったことは、あまり乗り気ではありませんでした。実際に現地に行っても、山口県のお酒を誰も知らず、また英語も全然出来なかったこともあり、全然うまくいきませんでした。けれどもありがたいことに、いくつかのお店でお酒を扱ってもらえたことで、スタッフやお客様へのアプローチを重ねていきました。そういった店のお客さんが口コミで市場を作っていただく形ができ、次第に海外認知度も高まっていったのです。当時はあまり意識していませんでしたが、今振り返ってみると、自分が海外で実践していたことは、山口から東京で広げるために父がやってきたことと同じだったように思います。海外と国内で、言語や商習慣の違いはありますが、本質的な部分は共通していたと思います。味に関しても、現地に合わせて変えることは基本的にはしていません。それでも受け入れてもらえたのは、「英語が喋れないのに一生懸命来た」という姿勢を応援してもらえたのに加えて、また、美味しいものは人を幸せにする力があるし、その部分を追求しているからこその結果だと考えています。味を変えないというのも、より良い美味しさを追求する努力を分散させないためという事を理解していただけているのだと思います。 ■3000回の仕込みとデータ活用で実現する品質管理 獺祭の魅力は、「とにかくうまい酒をつくる」ことに真剣な点です。年間の仕込み回数は約3000回です。それだけ多く仕込んでいれば、仮に1回失敗しても残りの2999回でフォローが利きます。だからこそ、新しいことにも挑戦しやすいnのです。伝統とは過去の形を守ることではなく、良質な酒を継続して生むための“積み重ね”だと考えています。データなど利用できるものは利用し、手作りと両立してこそが、今の革新だと言えます。さらに、若いメンバーに、二人一組で一から十まで酒造りを経験してもらうような酒が存在したり、全体を理解する人材育成にも力を入れています。 ■月面酒蔵構想と宇宙発酵実験 今後も海外展開は更に伸ばしていきたいです。今は売上が国内と海外で半々くらいですが、将来的には海外を9割にすることが目標です。日本酒市場はさらに世界中の人が注目する市場になると予測しています。一方で、世界にきちんと出ていくためには、日本の市場は大事なショーケースになります。日本の国内のお客様にちゃんと愛してもらえる状態をつくることも、大事にしていきたいです。そして、現在の夢は「月に酒蔵を作りたい」というもの。2040年、2050年くらいから、数千人規模で街が月面にできて、人が住めるようになるとも言われています。もし実現したら、そこに酒蔵を作りたい。私たちが美味しい酒というもので人の幸せに貢献することを目指す以上、お酒を飲む楽しさを月にも届けることを追求したいのです。実際、何社からか「宇宙で何か一緒にしないか」という話をいただいており、「月で酒を作る」という夢に少し近づいています。まずは、国際宇宙ステーションでお酒を発酵させるため、今年の秋頃に打ち上げを目指すロケットにお酒を乗せて、宇宙ステーションに送り込むことを目指しています。もちろん「月でお酒を作りたい」とは言っても、月の六分の一の重力でどう発酵するか、そもそもアルコールが生まれるかもわかりません。だからこそ、まずは「やってみよう」と思っています。 ■大学生へのメッセージ 私は、学生時代にアルバイトなど色々やりましたが、海外には行かなかったなという後悔もあります。社会人になれば時間も機会も限られ、挑戦できる選択肢の幅は圧倒的に狭まります。学生のうちに失敗を恐れず、様々な経験をしてほしいです。失敗してそこから学んで前に進む姿勢こそが、社会で自分を成長させる力になると思います。 学生新聞オンライン2025年7月18日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵 法政大学4年 島田大輝 / 城西国際大学2年 渡部優理絵

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東京海上ホールディングス株式会社 専務執行役員グループCDO 生田目雅史

金融×テクノロジーで未来を拓く、異色の挑戦者。 東京海上ホールディングス株式会社 専務執行役員グループCDO 生田目雅史(なまため まさし) ■プロフィール 37年以上にわたり、金融とテクノロジーの最前線で活躍してきた東京海上ホールディングスのCDO(Chief Digital Officer/最高デジタル責任者)である生田目雅史氏。日本長期信用銀行、金融庁、外資系投資銀行、VISA、ブラックロックという華々しい経歴を経て、現在東京海上グループで新たな挑戦に挑む生田目さんが語る、学生時代に学んだ「信頼の大切さ」とは。また、「デジタル技術×保険」の舞台裏も探ります。 学生時代に力を入れていたのはマジック 大学時代は東京大学法学部に在籍し、司法試験に挑戦しましたが、失敗。ここから早く社会に出て、自分の力で稼ぎたいという思いが生まれ、就職活動をすることになりました。勉強以外で特に熱中していたのはマジックです。ステージマジックを披露するサークルで会長を務めましたが、メンバーが少なかったので、募集や宣伝に力を入れて、30人だったメンバーを150人規模まで増やしました。規模が大きくなると皆からの会費などをもとに大きなスケールのステージができるようになり、成長することの大切さに気づきました。また、人体切断のマジックやイリュージョンを成功させるには、3分のステージに対して、300時間もの練習量が必要です。途中でめげてしまわないように、お互いを励ましあうことが大事ですし、信頼は助け合いから生まれることを学びました。そして、仲間は自身の発言や行動を見ているので、信頼を失わないためにも「嘘をつかないこと」が大切だなと痛感しました。支え合い、舞台も成功させる中で、今の仕事にも通じるリーダーシップと責任感が育まれていったように思います。 ■数多の金融機関で、多様な経験を積む 大学を卒業した1988年に、日本長期信用銀行に就職しました。主に金融工学やデリバティブを担当し、留学の機会にも恵まれました。しかし、経営悪化を機に「このままでは世の中の役に立てない」と感じ、入社10年で退職を決断しました。転職後は、金融庁の外部職員として2年間勤務し、日本の金融行政の一端を担いました。その後は、ドイツ銀行やモルガンスタンレー証券などで13年間、金融機関チームと民営化チームの責任者として投資銀行業務に携わります。東京海上グループは当時の顧客の一つで、海外M&Aをサポートした経験もあります。さらに、VISAでは日本の経営陣として決済の分野に関わり、資産運用世界最大手ブラックロックでは日本法人の取締役を歴任しました。東京海上への転職を意識したのは、外資系金融機関で働くうちに東京海上グループが主に海外での成長のために積極的な投資を行うのを見て、今までの外資系投資銀行での仕事の経験を活かしてより大きな仕事に携わることができるのではないかと思ったからです。また、銀行の経営危機があった若手時代には果たせなかった、日本の金融機関の一員として、世界の多くのお客様の役に立つ仕事がしたいという気持ちもありました。 ■保険とは、社会の発展や挑戦を後押しする仕事 東京海上グループは、保険を中心とした事業を国内外で展開しています。保険とは、万一の事故や災害から人々の生活を守るだけでなく、社会の発展や挑戦を後押しする仕組みです。保険は事故や災害の「補償」だけではなく、その保険の枠組みがあることによって社会全体の安全と安心を支えるインフラとしての役割を果たしています。たとえば、いまでは当たり前となったクレジットカードや自動車にしても、保険による補償がなかったら、ここまで普及しなかったかもしれません。保険があるからこそ、新しい技術や文化を社会が受け入れることができるのだと感じます。 ■災害リスクの予測などにも使われる保険業界のデジタル技術 保険業とは、様々なデータを活用する、デジタル技術との親和性が極めて高い産業です。保険料の算出の際も、どれほどの確率で該当する事故が起こり得るのか、という統計的なデータが必要です。一例ですが人工衛星やドライブレコーダーなどから収集される膨大なデータを活用・分析し、災害リスクの予測や事故原因の分析を行っています。人工衛星からミリ波レーダーで撮る画像は、雲を突き抜けて地上も撮影することができます。写真の解像度も極めて高く、台風時でも港や道路、工場の様子をリアルタイムで把握できます。2024年の能登半島大震災の際には、車の通行量が極端に減っていた道路の情報をもとに、どこで土砂崩れが起きているかを迅速に分析・察知し、自治体と連携して対応を進めました。また、保険契約に付帯する当社独自のドライブレコーダー搭載の車は全国で100万台を超え、加速度データと映像をもとに事故の状況を正確に再現できるようになっています。最近では台風や水害で土砂崩れが起きそうな地形をセンサーとレーダーで把握する会社を買収、提携し、災害への備えも踏まえたデータ収集も行っています。このように先進的なデジタル技術は、保険制度だけでなく人々の安全を守る社会基盤の構築体制にも貢献しています。 ■大学生へのメッセージ 就職活動では、期待と不安が入り混じると思います。私自身、業界を金融のみに絞らず一業種一社受けるようにしましたし、一時はアナウンサーすら考えていました。その中で、ある銀行の方から「金融は未来の社会を創る存在だ」と聞いた時、働く意味が一気に広がったのを覚えています。仕事にはそれぞれやりがいがあります。特に、「苦手なものに挑戦する」「無理かもと思った仕事に立ち向かう」その一歩こそが、本当のやりがいや成長を生みます。私は転職などで様々な仕事を経験しましたし、苦労もしましたが、やりがいのある仕事を見つけることができました。皆さんも社会の中で皆さんそれぞれの人生の目標が見つかるはずです。ぜひ、みなさんのエネルギーを積極性と挑戦する力に向けていただきたいです。そして、不安な時にこそ、自分を信じ、自分の可能性に制限をかけてしまうことなく、どんなことでも行動して良い結果を出そうと努力し、結果を積み重ねていけば、視野はどんどん広がりますよ。 学生新聞オンライン2025年6月30日取材 東京理科大学1年 金丸颯人 情報経営イノベーション専門職大学​1年 ​徳原拳聖 / 東京理科大学​1年 ​金丸颯人津田塾大学3年 ​石松果林 / 駒澤大学​2年 ​前田康介

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「Multi-Unit Apartment」ゲネプロレポート ~『自分を見失う。それが恋...

「Multi-Unit Apartment」(マルチユニットアパートメント)」が2025年8月1日に品川プリンスホテル クラブeXにて開幕しました。本作は、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンや“Pretty Guardian Sailor Moon” The Super Liveなど大人気タイトルの舞台化で脚本や演出を担当し、独自の世界観でファンを魅了し続けてきた三浦香さんが、3年の構想を経て企画し、満を持して上演される舞台です。三浦さんご自身が脚本・作詞・演出を務め、ガールズ、レディたちの奮闘物語を、自身が愛してやまないショーステージでお届けします。作品を彩る音楽を手掛けるのは、ミュージカル「東京リベンジャーズ」など数多くの作品を担当しているTAKAさんと、自身も俳優として活動しながら、舞台『ハンドレッドノート〜暗闇に消えた月〜』などの作品の楽曲を担当している⻘海伶さんが務めます。振付は、Experimental Theater「結合男子」や数々のアーティストの振り付けを手掛けるREX(福澤侑さん、Daikiさん、皇希さん)が務め、圧倒的な表現力で作品の世界に引き込みます。 本作は、誰もが夢見るセレブな街の少し外れ・リトルラブリータウンにある「Multi-Unit Apartment」を舞台に、8人の女たちが繰り広げる“恋あり秘密あり復讐あり!? ”の奮闘物語です。彼女たちは失恋した時に本当の力を発揮し、恋した男よりも美しい男へ変装を遂げ魅惑の復讐ショーを繰り広げる!主人公のココを演じるのは、舞台「東京リベンジャーズ」シリーズで主演を務め、人気作に多数出演し活躍している木津つばささん。そして、ココのルームメイトたちには、2.5次元作品をはじめ数々の舞台で活躍中の持田悠生さん、SHINさん、前田隆太朗さん、皇希さん、原貴和さん、福島海太さん、加藤良輔さんが出演。さらに彼女たちを虜にするオスカーを井阪郁⺒さんが演じます。※木津さんとSHINさんは、本作で三浦さんと初共演。 今回は開幕に先駆けて2025年7月31日に行われたゲネプロを取材させていただきました。 撮影:小境勝巳©「Multi-Unit Apartment」製作委員会 ■“自分の価値は自分で決める!” 〜学生の観劇レポート〜 三浦さんが3年かけて構想を練ったという今作は、思わず「これぞ三浦さん演出!」と言いたくなってしまう要素がたっぷり詰まっていて、三浦さんの世界観が溢れています!木津さんは今回が三浦さん作品に初参加とのことだそうですが、作品の空気に溶け込み、強い存在感を放っていたのが印象的でした。そして、誰一人として被っていない、キャラクターの個性豊かさが魅力です!観たらきっと好きなキャラクターが見つかるはずです!楽曲は、ガールズの個性が感じられるものばかり!もちろん、ストーリーは、テンポよく展開していき、観客をぐいぐい引き込んでいきます!舞台上でヘアメイクをしながらガールズトークをするシーンも注目です!「私もこのキャラクターたちのように、ひとつのことに全力に生きていきたい!」と思わせてくれる、パワー溢れる舞台でした。彼女たちは一体どんな秘密を隠しているのか…観劇後も「もっとガールズを観たい!」と思わずにはいられません!誰一人欠けることなく千秋楽を迎えられるよう、心から願っています! 学生新聞オンライン2025年7月31日 城西国際大学2年 渡部優理絵 撮影:小境勝巳©「Multi-Unit Apartment」製作委員会 「Multi-Unit Apartment 」 【公演⽇程】2025年8⽉1⽇(⾦)〜8⽉11⽇(⽉・祝)【劇場】品川プリンスホテル クラブeX【企画・脚本・作詞・演出】三浦⾹【⾳楽】TAKA ⻘海伶【振付】REX【出演】ココ:⽊津つばさ ビビ:持⽥悠⽣ エンジェル:SHIN アヴァ:前⽥隆太朗 ハンナ:皇希 リリアン:原貴和 ゾーイ:福島海太 イザベラ:加藤良輔 オスカー:井阪郁⺒<Cupidʼs>三瓶賢⼈(DIAMOND☆DOGS Team Novel) Shunta Tanase Daicho ToLa 内藤将⼤ 橋本有⼀郎 藤村リュウト Ryoma【チケット料金】<全席指定>S席:13,500円(税込)※最前2列確約A席:9,800円(税込)※1~2階席※未就学児入場不可※当日の座席の変更・返金対応などー切行えません。予めご了承いただいたお客様のみご購入ください。【チケット一般発売(先着)】・ローソンチケット ※PC/スマートフォン共通https://l-tike.com/multi-unit-apartment/ Lコード: 34011【公演・チケットに関するお問い合わせ】Mitt:03-6265-3201(平日12:00~17:00)【Official Web Site】https://multi-unit-apartment.com【Official X】 @MU_Apartment (https://x.com/MU_Apartment)【ビビのInstagram】 @vivi_multi_ua (https://www.instagram.com/vivi_multi_ua/)【Hashtag】 #マルアパ【主催】「Multi-Unit Apartment」製作委員会

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舞台『怪人21面相』ゲネプロレポート ~一瞬たりとも目が離せない、息を...

2025年7月31日(木)より新宿シアターモリエールにて、舞台『怪人21面相』が開幕しました。 舞台『怪人21面相』は昭和の犯罪史に残る「グリコ・森永事件」を題材に、劇作家・野木萌葱さんが書き下ろしたオリジナル作品です。初演は2006年、同氏主宰の劇団「パラドックス定数」版です。その後 2017年に和田憲明氏演出によるウォーキング・スタッフプロデュース版にて第25回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞し、多くの注目を集めた作品。 今回、この骨太な演劇の力に向き合うべく集まったのは、演出:古谷大和と河合龍之介、章平、定本楓馬、輝馬の5人です。古谷大和さんは今作にて初めて本格的なストレートプレイの演出に挑戦、俳優陣は、2.5次元作品からグランドミュージカルまで幅広い作品で活躍し続ける実力派ばかりです。 今回は開幕に先駆けて2025年7月31日に行われたゲネプロを取材させていただきました。 撮影:大塚浩史(ダブルスクイーズ)©Nelke Planning co.,ltd. ■小劇場で触れた、生の緊張感 〜学生の観劇レポート〜 様々な舞台でご活躍されている実力派の役者さんたちのマイクなしのお芝居かつ小劇場だからこその距離感で、観劇していて緊張感がありました。舞台転換なしで劇場全体を持て余すことなく使う演出もとても素晴らしく、足音一つひとつがお芝居の一部となっていて、その音からも登場人物の感情が伝わってきました。大きな劇場では中々意識することのない足音すらも表現の一つとなっていたところがとても印象的でした。そして、新宿の街中に位置するシアターモリエールから見える景色さえもセットの一部となっており、「新宿シアターモリエール」という場所で上演したからこそ実現した舞台だったと思います。私が観劇した日は晴れていましたが、曇りの日、雨の日はまた違った表情を見せてくれるのではないかと、何度も通いたいと思いました。今作は実際に起きた事件を題材にしていますが、現代に蘇っているかのように感じられて、観ていて何度も苦しい瞬間がありました。4人の”人”としての思いをぶつけ続けられているような、目まぐるしい2時間でした。誰一人欠けることなく千秋楽を迎えられるよう、心から願っています。 学生新聞オンライン2025年7月31日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵 舞台『怪人21 面相』 【期間】2025年7月31日(木)~8月10日(日) 【劇場】新宿シアターモリエール【脚本】野木萌葱【演出】古谷大和【出演者】白砂駿嗣役:河合龍之介幸村統夷役:章平鳥羽山基役:定本楓馬蓮見雅尚役:輝馬【主催・制作】ネルケプランニング【チケット取り扱い】ローソンチケット【チケット料金】通常席:7,800円(全席指定/税込)ベンチシート:6,800円(全席指定/税込)※ベンチシートは、最後列に位置する背もたれのない席です。【公演に関するお問い合わせ】ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/contact/【公式サイト】https://21mensou-stage.com【公式X】@butai_K_21 (https://x.com/butai_K_21)

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株式会社インターネットイニシアティブ 取締役 副社長執行役員 村林聡

日本初の商用インターネットを支えた技術と志で、「データ駆動社会」の実現に挑む 株式会社インターネットイニシアティブ 取締役 副社長執行役員 村林聡(むらばやし さとし) プロフィール1958年生まれ。81年名古屋大学経済学部卒業、株式会社三和銀行(現 株式会社三菱UFJ銀行)に入行。国内支店やシステム部門の業務に従事し、株式会社三菱東京UFJ銀行 執行役員 システム部長や同専務取締役コーポレートサービス長兼CIO等を歴任。2017年三菱UFJリサーチ&コンサルティング代表取締役社長。21年にIIJに入社し、取締役 副社長執行役員として現在、管理本部、リスクマネジメント本部を所管する。趣味は読書、ゴルフ。 1992年に日本で最初の国内インターネット接続事業者として創業して以来、30年以上インターネット業界をリードし続けてきた株式会社インターネットイニシアティブ(以下IIJ)。現在も、インターネットインフラの構築・運用から、クラウドサービス、セキュリティ対策、システム構築など企業のITニーズに幅広く対応し、新たな技術革新を追求し続けている。変化の激しいインターネット業界で、第一線を走り続けるIIJの副社長・村林聡さんに、銀行時代のシステム部での経験、IIJの強みについて伺った。 学生時代は、体育会のゴルフ部に入り、部活動に力を注いでいました。大学がゴルフ場と提携していたため、ゴルフ場で平日は練習し、土日はキャディとして働いていました。他にも、家庭教師や個別指導の塾講師のアルバイトもしていましたね。勉学の面では、経済学部だったので、金融論のゼミに入り、単位習得が難しい授業には必死に取り組んで勉強していました。 就職活動では、当時「体育会採用」という慣行があり、部活やゼミの先輩方が金融機関で多く働いていたため、自分も誘われていました。また、高校は理数科だったので、数学は得意でしたが、物理が苦手で文転しました。数学受験が可能な経済学部を志望していたこともあり、就職先としても理系が中心に就職する企業よりも、文系的な仕事ができる会社に就職したいと考えていました。そこで、銀行を選び、実際に働く人たちと話していくうちに、自由があって官僚的ではない社風が自分の性に合っていると感じ、旧三和銀行(現 三菱UFJ銀行)に入社しました。 ■プロジェクトマネジメントの基礎が作られた、銀行のシステム部での経験  入社後は、支店勤務で窓口業務などを担当していましたが、1974年に銀行業務の第二次オンライン化がスタートし、次の第3次に向け全国から人を集めていました。その最中、ある日突然私もシステム部への転勤を命じられました。最初は、文系的な仕事がしたくて銀行に入ったので、理系的な仕事を任されてしまい、正直あまり乗り気ではありませんでした。しかし、若いころは銀行業務に携わってもあまり大きな融資はできず、企業の育成など責任が重い業務は任されることがありません。その一方で、システム部の仕事は、一人一人、自分の任された役割に責任感があり、非常にやりがいを感じることができました。転勤後は、元居た部署に戻る人が多い中、自分は一生この部署にいてもよいと思えるほど、システム部が性に合っていると感じていました。さらに、この転勤を機に仕事への熱も一層高まったおかげで、さまざまなプロジェクトを任されるようになりました。なかでも印象に残っているのが、30歳のころに担当した副元帳システムのプロジェクトリーダーとしての経験です。これは、災害や地震によるシステムダウン時に、瞬時に別の場所でシステムを稼働させるという、当時としては画期的な仕組みでした。チームのみんなの協力もあり、このシステムは国際特許を取得し、その後、このシステムは他の金融機関でも採用されるほど広く普及しました。その後、旧三和銀行と旧東海銀行が合併してUFJ銀行となる段階で、システム統合を経験し、統合後システム企画部長に就任しました。この経験を通じて、プロジェクトマネジメントやリスク管理の基礎が築かれたと感じています。 ■銀行時代に培った経験を活かし、IIJの副社長へ 銀行時代にはネットワーク分野における専門知識とスキルを有しており、「ネットワークスペシャリスト」の資格も保有していました。ITに関する素養に加え、プロジェクトマネジメントの実務経験もあったことから、専務CIOを経て、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの代表取締役社長に就任しました。ちょうどその頃、取引先であったIIJから、仮想通貨交換業を行う株式会社ディーカレットを立ち上げるにあたり、「一緒にやらないか」と誘いを受けましたが、そのときは一度お断りしました。しかし、四年後にその職を退任する際、再びお声がけをいただき、現職を引き受けました。IIJはテクノロジーカンパニーであり、技術者たちがソフトウェアを組み合わせてサービスを開発しています。私自身はその技術力の部分に直接貢献することはできませんが、どのような対象物であっても、リスクを管理し、マネジメントすることには自信がありました。実際にIIJに入社した直後、トラブルが発生し、監督官庁である総務省から行政指導を受ける事態となりました。その際、銀行時代に培ったリスク管理や内部統制のノウハウを活かし、データガバナンス会議の議長として再発防止にあたりました。 ■他社にはないIIJの強み IIJの強みは、高い技術力と、それを支える優れた社員たちにあります。新しい技術を積極的に取り入れ、次々とサービスを展開できる背景には、フラットな組織体制が存在します。技術者が自ら開発した技術を、そのままサービスづくりに反映できる環境が整っており、個人の力量を発揮しやすい自由な風土が根付いています。IIJは、インターネットの歴史において世界で2番目に古い企業であり、皆さんが日常的に利用するインターネットサービスの裏側にある、複雑なネットワークやシステムの設計・運用管理を得意としています。まだインターネットがほとんど知られていなかった時代から、この分野を切り開き、数多くの技術を創出してきました。その豊富な経験と知見が、技術力の研鑽や新技術の開発・普及に活かされています。だからこそ、自ら課題を見つけ、解決策を考え、社会に貢献できるサービスやプロダクトを生み出す、そんなチャレンジ精神あふれる学生の皆さんに、ぜひIIJの仲間として参加してほしいですね。 ■学生へのメッセージ 私は、三つの「し」を大切にしています。一つは、“志”で「志本主義」とも呼んでいます。そう思わせてくれたきっかけが、司馬遼太郎の『世に棲む日日』という本です。幕末の時代に倒幕に挑んだ志士・高杉晋作の姿から、志を持って行動することの大切さを学びました。50年後の未来ではなく、数年後の近い将来に向けた短期的な目標でよいので、常に志を持っていてほしいです。付け加えると、私の今の志は、「ITで日本を豊かにする」ことです。IIJが様々なデータを安全に流通させ、組織や産業の領域横断的な活用により、より高度で広範な社会課題を解決できる、「データ駆動社会」の実現を目指していきます。二つ目は、“師”です。先生や先輩などの目上の方を大切にすることは、成長するうえで欠かせません。私にとっての「師」は高杉晋作です。彼の行動力と信念から、多くのことを学びました。三つ目は、“詩”です。本を読むことが私の人生を大きく変えてくれたきっかけでもあります。そのため、皆さんもたくさんの本に出会い、自身の感性を磨き続けてください。 学生新聞オンライン2025年7月8日取材 法政大学1年 渡辺碧羽

学生新聞インターン

女優 浅川梨奈

カメレオンのように色を変え、役を生きる 女優 浅川梨奈 (あさかわなな) プロフィール1999年4月3日生まれ、埼玉県出身。代表作に映画「人狼ゲーム マッドランド」(長編映画初主演)、映画「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」、CX「親愛なる僕へ殺意をこめて」、NTV「大病院占拠」、映画「おとななじみ」、ytv「帰ってきたらいっぱいして。」など。24年7月期NTV「どうか私より不幸でいて下さい」ではW主演を務め、本年3月に公演された舞台『きたやじ オン・ザ・ロード〜いざ、出立!!篇〜』ではヒロインを務める。また、6月に公開となった映画「フェイクアウト!」ではヒロインを務め、主演映画「49日の真実」が本年7月に公開された。 中学時代に芸能界に入り、ドラマ、映画など幅広く活躍してきた浅川梨奈さん。主演作『49日の真実』では、長回しの演技やワンシチュエーションでの表現に挑んだ。「応援される仕事だからこそ頑張れる」と語る浅川さんに、仕事への向き合い方や今後の展望、大学生へのメッセージを伺った。 中学生の頃、私はAKB48が大好きで、何度かオーディションに応募していたのですが、すべて書類で落ちていました。そんな時にSUPER☆GiRLSに夢中になり、今の事務所のオーディションに応募したのが、芸能界入りのきっかけです。まさか本当に受かるとは思っていなかったので、二次審査の際も、母と原宿でクレープを食べたりアクセサリーを見たり、幼かったこともあり完全に旅行気分のままで臨みました。いざ合格したときは、「どうしよう」という戸惑いの方が大きかったです。もともと芸能界に強い憧れがあったわけではありませんし、明確にやりたいことも決まっていませんでした。合格発表の後に母へ「受かっちゃった」とメールした時も、親子そろって「これからどうする?」という雰囲気でした。本格的に「仕事」として意識し始めたのは、初めてドラマのヒロインとして出演させていただいた現場からです。それまではグループ活動やグラビアなど、知っているスタッフの方が多い環境での仕事が中心でしたが、初めて会う人ばかりの現場にひとりで入ったとき、右も左もわからない感覚に陥りました。特に男性の多い現場に緊張してしまって、「これが社会に出るということなのか」と強く感じました。主演映画の現場では、同世代の俳優たちが真剣に芝居に向き合う姿に衝撃を受けました。「このままの気持ちで現場にいては失礼だ」と感じ、自分の意識も大きく変わったのを覚えています。 ■「応援」の力に支えられて 私にとって、この仕事の一番のやりがいは「応援されること」だと感じています。普通に生活していたら、誰かから応援されることなんて、なかなかないですよね。でも、イベントに出ると、「初めて来ました」「ずっと応援しています」と涙ながらに伝えてくださる方がいて、そのたびに「この仕事をしていて良かった」と心から思います。長年応援してくださっている方が結婚してお子さんを連れてきてくれたり、コロナ禍でのオンラインイベントではペットや自宅の様子を見せてくださったり。ファンの方と一緒に、人生の時間を共有できることが本当に嬉しいです。つらいことや大変なことももちろんありますが、私は寝たら忘れてしまう性格なので、基本的には前向きにいられます。マネージャーさんや業界で出会ったスタッフの方々、友人たちにもたくさん支えられてきました。私の仕事をよく理解してくれている存在に話を聞いてもらえることが、大きな支えになっています。 ■映画『49日の真実』がくれた緊張と一体感 主演を務めた映画『49日の真実』は、ワンシチュエーションで展開されるヒューマンサスペンスで、長回しのシーンに挑戦しました。27ページにもおよぶ台本を通しで演じる場面では、セリフだけでなく、動きや物音、タイミング、照明の変化まで全員が完璧に合わせなければなりません。現場は少人数でしたが、その分、キャストもスタッフも一丸となっていて、本当に“奇跡を作っている”ような感覚でした。カメラマンさんが腕を回しながら30分以上撮影に集中している姿を見て、「自分も甘えていられない、次で決めよう」と思い直しました。全員の集中力と熱量が詰まった作品になったと思います。今回の役は、冷静でリーダーシップのある人物。私は普段、誰かの後ろをついていく“ふわふわタイプ”なので、まったくの真逆でした。ただ、小学生の頃はもう少しリーダー気質だったので、そういった昔の自分と重なる部分もあったのかもしれません。今回のようにオリジナル脚本でキャラクターが濃い人たちに囲まれている場合、自分は“普通”でいることが求められます。だからこそ、自然体で、ナチュラルな演技を心がけました。 ■変幻自在な女優に これまで、比較的“王道ではない”役どころを演じてきたので、今後は真っ直ぐな恋愛ものにも挑戦してみたいという気持ちがあります。10代の頃は“人を殺す役”を多くいただいていて(笑)、最近は“殺される側”や“どこか影のある人物”の役にも興味があります。特に不倫ものは以前“する側”を経験しましたが、年齢を重ねた今、“される側”としての感情にも向き合ってみたいです。その立場だからこそ見える世界や、湧いてくる感情を深く掘り下げてみたいと思っています。私は「どんな役を演じても顔が変わる」と言ってもらえることが多いのですが、それがすごく嬉しくて。特徴が強い顔立ちではないからこそ、メイクや表情、声の出し方ひとつで役に染まっていける。そんな「変幻自在」な女優を目指して、これからも幅広い役に挑戦していきたいです。 ■大学生へのメッセージ 私は大学に通っていないので、大学生の皆さんのことを本当に尊敬しています。中学生の頃から芸能活動をしていたこともあり、学業と向き合う時間はほとんどありませんでした。だからこそ、受験を経て、大学でしっかり学んでいる皆さんは、本当に努力できる人たちだと感じています。努力って、私は才能だと思うんです。大学生活は、自由で楽しい時間でもありますよね。ちょうどお酒が飲めるようになったり、自分でいろんな選択をできるようになったり。だからこそ、羽目を外しすぎない程度に、好きなことを思いっきり楽しんで、たくさんの経験をして、自分の人生を豊かにしてほしいです。きっとそれぞれに目標があって、日々を頑張っていると思います。その目標がいつか実を結ぶよう、心から応援しています。 学生新聞オンライン2025年7月11日取材 津田塾大学 3年 石松果林 映画『49日の真実』出演:浅川梨奈 田辺桃子星野奈緒 冨手麻妙 君島光輝 高田里穂佐野岳 高橋健介鈴木秀人 青羽里奈 小野春花 本多正憲 河本準一船ヶ山哲 原田龍二監督・脚本:中前勇児配給:エムエフピクチャーズ https://49nichinoshinjitsu.com/ © ケイアンドエヌ 津田塾大学 3 年 石松果林 / 城西国際大学 2 年 渡部優理絵

丸山実友

株式会社メガスポーツ 代表取締役社長 三浦隆司

全ての原点は、人を大切にするという文化 株式会社メガスポーツ 代表取締役社長 三浦隆司(みうらたかし) ■プロフィール1985年ジャスコ㈱(現イオン㈱)入社、タルボットジャパン㈱専務取締役、広東ジャスコ社長、イオンリテール㈱執行役員商品本部長、トップバリュコレクション㈱社長を経て。2023年イオン㈱専門店事業の責任者に就任、2024年からは㈱メガスポーツの代表取締役社長も兼ねる。 イオングループのスポーツ専門小売企業として誕生したメガスポーツ。多くの店舗がショッピングモール内に出店し、商品を通してお客さまにスポーツの魅力を届けています。今回はメガスポーツの代表取締役社長である三浦氏に社長に就任するまでのご経験、メガスポーツの魅力、学生へのメッセージについてお話を伺いました。 就活を始めた当時はホテル業界に興味がありました。私が就活を始めた80年代中頃は、世間では「余暇」という言葉が使われ始め、これからは働くだけの生活から家庭や趣味など自分の時間を大切にする時代へ変化すると考え、レジャーや旅行に関連する業界に将来性を感じていました。就職活動を進めていくなか、大学に企業のリクルーターが集まるイベントがあり、そこで出会ったのが小売業界でした。今まで小売業界に接する機会はありませんでしたが、その仕事内容がとても面白く感じました。特に魅力を感じたのが衣食住を取り扱う総合小売業です、お客さまのニーズを汲み取って商品を仕入れ、自分が要望した商品が売り場にならび、お客さまに喜んでもらえるという小売業ならではのプロセスに魅力を感じました。そこで、数ある小売業のなかでも人事制度や教育制度が充実しており、人を大事にしている印象をもったジャスコ(当時)に入社を決めました。 ■一つ一つの経験が今に繋がっている 入社後は様々な会社で多くの経験を積ませていただきました。最初の10年間は、ジャスコ(当時)でアパレルの売場を担当しました。初めての仕事だったため、わからないことがあれば自ら上司に質問をし、自ら学んでいく姿勢を大切にしました。その後アメリカに本社をかまえるアパレル専門店に10年間所属、その後自ら志願し中国へも赴任しGMSを運営する現地法人の社長となる、その後はイオンリテール(株)の衣料品責任者、2019年アパレル専門店社長、2023年イオン(株)専門店事業責任者、2024年春にはメガスポーツ社長を兼務。これまで様々な業務や役職を経験してきましたが、それぞれの経験から得た学びは大きなものであり、特に中国で社長を務めた際は、文化や価値観、言語の壁に直面し、コミュニケーションの重要性を実感しました。この経験は帰国後も役立っていると思います。やはり会社の場所や規模、自身の立場が変われば求められる視点や学びも変わってきます。そうした一つ一つの経験が今の自分を支えていると感じます。現在メガスポーツの社長として特に意識していることは従業員との会話です。日頃から実際に店舗に足を運び、現場の従業員と直接話をするように心掛けています。積極的なコミュニケーションを通して、現場で起こっている課題を把握しよりよい店舗作りに繋げています。 ■接客による差別化 メガスポーツの大きな特徴は、イオンモールを中心に出店している点です。つまり私たちのお客さまはスポーツ関連目的だけではなく、ファッションやウェルネスに興味をお持ちのお客さまなど、モール全体を楽しみに来館されるお客さまを対象にしています。そのためアパレルやスニーカーなどを目につきやすい場所に配置し、幅広い層のお客さまに手に取っていただけるような工夫をしています。しかし、スポーツ業界はナショナルブランドの商品を扱うことが多く、商品による差別化が難しいです。そこで私たちはお客さまのニーズに合わせた接客で差別化をはかっています。これはイオンに受け継がれるDNAの一つだと言えます。入社後のお客さまに対する接客マナー教育は、圧倒的に他社と比べて時間をかけていると思います。特に大事にしていることは、お客さまの声に真摯に耳を傾け的確なアドバイスをすること。もちろん商品知識は大切です。しかし現在はお客さま自身がインターネットで商品情報を知ることもできます。だからこそメガスポーツではお客さまとの対話する姿勢を大事にしています。 ■地域にとけ込んだ存在でありたい 人気のスポーツ種目は、地域によって大きく異なります。私自身も九州の店舗に行った際に、バレーボール用品の売上が最も高いと知り驚きました。他にも、卓球が人気のエリアもあります。メガスポーツは、こうした地域ごとの特性を大事にし、各エリアで人気のスポーツに合わせた売場構成を行っています。特定の競技に強いニーズがあれば、該当売場面積を拡大するなど、地域のお客さまの声に答える形で店舗運営を行っています。また、地域との繋がりを深めるために学校や地域のクラブと連携し、講習会を開催するなど地域に根ざした活動も積極的に行っています。こうした取り組みを通して、地域に溶け込んだ存在になれたらという思いがあります。メガスポーツは、スポーツを扱う企業であるため、やはりスポーツ好きな方と働きたいです。競技としてのスポーツに限らず、スポーツファッションが好きな方やスポーツに熱意を持つ方にもぜひ仲間に加わっていただきたいです。そうした方々の力が、これからのメガスポーツを盛り上げてくれると信じています。今後は、ショッピングモール内の店舗展開に加え、新たな専門店業態を立ち上げる計画も進んでいます。私たちはすでにスポーツを軸にしたライフスタイルショップを展開しているため、それらを進化させた形で、専門店業態を展開し、店舗数と売上の拡大を目指していきます。 ■学生へのメッセージ 学生の皆さんには、アクティブに世界を見て欲しいです。日々の勉強に加え世界を知ることも一つのチャレンジであり、かけがえのない経験になるはずです。これからの日本を支え、明るい未来を作っていくのは学生の皆さんです。ぜひ積極的に世界に飛び出し沢山のことを学び、未来の日本をより一層輝かせてください。 2025年5月29日取材 国際基督教大学3年 丸山実友 法政大学4年 島田大輝 / 法政大学4年 佐伯桜優 / 国際基督教大学3年 丸山実友

佐伯桜優

イオンペット株式会社 代表取締役社長 米津一郎

挫折と挑戦の先に「社長」があった イオンペット株式会社 代表取締役社長 米津一郎(よねづ いちろう) ■プロフィールペットのトータルケアをサポートする多角的な事業を展開するイオンペット株式会社の代表取締役社長。1968年11月生まれ。東京都出身。2015年、イオンペットに執行役員として就任。トリミング・ホテル事業チーム責任者 兼 トリミング・ホテル事業グループリーダー、営業最高責任者などを経て、2020年より現職。 学生時代から明確な夢があったわけではなく、趣味やアルバイトに費やしていたという米津一郎社長。バブル期真っ只中に社会へ足を踏み出していったが、仕事との出会い、そして退職・転職と、さまざまな経験を通して成長を重ねてきた。現在はイオンペットの社長として、動物医療、小売、ペットサロン、保護活動の現場を率い、「ペットは家族」という理念のもと動物と人間の共生社会の実現に本気で向き合っている。そんな米津社長の話を伺った。 ■学生時代は悶々とした日々。社会に出て初めて気づいたこと 正直に言うと、学生時代は遊んでいることも多かったです。バブルの空気に乗っていましたね。学生時代から明確な目標があったわけではなく、アルバイトをしながら、日々を過ごしていました。私の就職活動期は、売り手市場で、最初に内定をいただいた製菓メーカーに就職を決めました。東京出身の私が配属されたのは神戸支店。最初は正直、戸惑いました。でも実際に働いてみると、いろんな人との出会いがあって、仕事って案外面白いなって思えるようになりました。この時期に「自分で会社の経営をしたい」という夢を持ち始めました。ずっと営業をしていたのですが、企画職を希望して、本社のブランドマネージャーとして働くようになりました。ですが、マーケティングの知識も損益計算書の読み方も何もわかりませんでした。それを見た会社が、私をビジネススクールに通わせてくれました。夜はメールでケーススタディを議論して、昼間は仕事。本当にあの時期が人生で一番勉強をしましたし、成長を感じられました。 ■ベンチャーに飛び込んで社長へ。退職・転職を経てたどり着いた今 製菓メーカーを辞めたあと、1年間だけコンサルの経験を積みました。経営者になるなら、新たな視点で企業を見ることも必要だと思ったからです。その後、エンターテインメント企業に転職して、5年間勤めました。さらに新たな世界で挑戦をしたいと思い、今度はベンチャーの世界に飛び込みました。その後はベンチャー企業2社で、社長を経験しました。でも、そのうちの一社では、1年半で退職することに。その後、4か月間は転職活動。49歳での転職活動は正直きつかったです。あまりにきつくて、その時は長年の夢だった社長業を諦めかけたほどです。そんなときに声をかけてくれたのが、今のイオンペットでした。最初は執行役員で入社させていただきました。以前社長業で思うような成果を発揮できなかったこともあり、社長になるつもりは全くありませんでした。私の前任の社長が本当に尊敬できる方で、この社長の元で勉強したいと思うようになりました。その方の行動一つ一つが勉強になり、以前、私が社長で思うようにできなかった理由もわかってきました。その数か月後、「次はあなたが社長をやってくれ」と言われたときは、本当に驚きました。でも、腹をくくって引き受けました。 ■ペットと人間が共生できる社会へ。イオンペットが大切にする“優しさと本気” イオンペットの強みは、何より「ペットが好きな人」が集まっていることです。これは本当に大きな要素だと思います。社員の専門性も高く、獣医師は200名以上在籍していますし、看護師やグルーマーなどの専門職も数多くいます。単に仕事としてではなく、「この子の命を守りたい」「幸せにしたい」という思いを持った人たちが集まっているのです。例えば、動物病院の事業では、予防から診療まで広く対応しています。さらに夜間救急や高度医療まで対応している動物病院チェーンは非常に少ないと思います。最近では相模原に大型の動物医療センターも開設しました。グルーミング事業でも「ワンちゃんにやさしい施術」を徹底しています。ワンちゃんに負担のかかる施術をせず、その子が一番快適に過ごせるように、短時間で丁寧に仕上げるスタイルです。社内教育制度も充実しており、イオンペットでは新入社員も早い人では2か月ほどでカットデビューできる仕組みも整えています。また、保護動物の譲渡活動にも力を入れていて、行政や地域のステークホルダーの皆さまと連携しながら活動しています。将来的には、お迎えするご家族の方も安心してペットを迎え入れられるような仕組みを作りたいと思っています。さらに、小売部門ではイオングループのスケールメリットを活かし、多彩な商品ラインナップとともに店舗を運営しています。アパレルやフード、ケア用品に至るまで、すべて“ペットの暮らし目線”で展開されているのが特徴です。動物医療から日用品、サロン、譲渡活動まで、一気通貫でカバーできる企業は、国内でも非常に限られています。「ペットは家族」。これは当社がずっと大切にしている価値観です。売上や数字だけではなく、その命にどれだけ本気で向き合えるか。それが私たちの差別化の核心だと感じています。 ■学生へのメッセージ 私は採用面接のときにいつも見ているポイントがあります。それは、「人の力を引き出せる人かどうか」です。自分ばかりが目立ちたいタイプではなく、人に敬意を払い、相手の能力を活かせる人が、これからの時代に求められるリーダーだと思っています。学生のみなさんに伝えたいのは、「やりたいことはどんどんやってください」ということです。今は年功序列も終身雇用も崩れて、人材が流動化しています。そのため、失敗しても、やり直しは何度でもできます。もし今、何をしていいかわからず悶々としているなら、まずは目の前のことに全力で取り組んでみてください。それを突き詰める中で、きっと何かが見えてくると思います。本を読むことも、人と語ることも、全部が次の自分をつくる材料になります。 私自身、学生時代は明確な将来のビジョンはありませんでした。でも、だからこそ言えます。人生はいつからでも変えられますし、どんな道にも可能性があります。今この瞬間から、何かを始めても遅くはありません。 学生新聞オンライン2025年5月29日取材 法政大学4年 佐伯桜優 法政大学4年 佐伯桜優 / 法政大学4年 島田大輝

コラム

テリー伊藤 コラムVol.59 プロ野球から隠し玉が消えた

元読売ジャイアンツのヘッドコーチだった元木大介さんが自分のYouTubeで「最近のプロ野球は”隠し玉”が減った」と語っている。隠し玉とは、例えばランナーがセカンドに居て、今まさにピッチャーが投げようとしている時、セカンドランナーがサードベースを狙うべくベースを離れリードをした瞬間、走者の背後から二塁手が隠し玉でタッチするプレー。言われてみると、最近のプロ野球では殆ど見た事がない。プロ野球ニュースの珍プレー好プレーでもお目にかかれない。 元木さんは隠し玉が減った訳を解説している。近年は選手が防具をいっぱい付けていて、その防具をボールボーイが取りに来るためにタイムがかかる。今まではタイムがかからなかったので隠し玉がやりやすかったが、タイムがかかった時点でボールデットになり、ボールはピッチャーに戻されてしまう。更には、ボールがチョットでも地面につくと直ぐに交換しニューボールになる。一度グランドに着いたボールをピッチャーに戻すことはまずない。今のピッチャーは、投げたボールがフライになってアウトになると、審判にニューボールを貰う事になり、ここでも隠し玉はますます難しくなる。プレーがかかって野手がボールを貰いに行くのは、あの大観衆の中では相当難しい。そんな訳もあって隠し玉が減ったのではと。納得。 確かに隠し玉プレーはカッコイイものでは無いかも知れないが、見てみたい。以前こんなプレーを見た覚えが。二塁ランナーが塁から離れ、ピッチャーが牽制球を投げ、ヘッドスライディングで戻りセーフ。ランナーが土の着いたユニフォームを払っている時、ピッチャーが返球したように見せかけ、プレーは再開。しかしランナーが再び塁から離れた所をタッチしてアウト。このプレーに場内騒然となった。情けない表情でベンチに戻る選手が印象的だった。これはベンチにも責任はある。しっかり野手の動きを見てアドバイス出来たはず。 それにしても今の時代、姑息なプレーと思われる隠し玉は、成功してもネットで叩かれ、相手チームのファンからも文句を言われる。5万人もの大観衆を騙すプレーになるわけだから覚悟もいる。実は元木さん1999年4月3日の対阪神タイガース戦で隠し玉を試みたが、桑田真澄投手がボークをとられた苦い経験がある。桑田投手は左足が投手板をまたいでいるように見えたと審判員から通告されたと語っている。草野球では時々見ることが出来る珍プレー、今こそプロ野球で見てみたい。ジャイアンツ吉川、門脇辺りがやってくれると、面白いのだが。失敗しても阿部監督怒らないでください。 テリー伊藤(演出家) 1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」LALALA USAでコラム連載中https://lalalausa.com/archives/category/column/terry