衆議院議員 本田太郎
政治を意識せずに済む日常こそ、実は豊かな社会

衆議院議員 本田太郎(ほんだたろう)
■プロフィール
平成10年 3月 東京大学法学部 卒業
平成12年 3月 東京大学大学院法学政治学研究科 修了
平成12年 4月 現・シティグループ証券入社
平成13年10月 マネックス証券入社
平成19年 3月 早稲田大学大学院法務研究科 修了
平成20年12月 弁護士登録(渥美坂井法律事務所)
平成27年 4月 京都府議会議員選挙にて初当選
平成29年10月 第48回衆議院議員総選挙にて初当選
令和 3年10月 外務大臣政務官(第1・2次岸田内閣)
令和 6年11月 防衛副大臣兼内閣府副大臣(第2次石破内閣)
令和 7年10月 国防部会長就任
政治を身近に感じずに済むのは、実は幸せなことかもしれない。自民党で防衛政策の責任者を務める本田太郎議員から語られたのは、そんな逆説だった。弁護士から政治家へ転身した経緯や、防衛・外交にかける思い、地方が抱える課題、そして学生へのメッセージを聞いた。
学生時代は、ごく一般的な大学生活を送っていました。WEEKENDというテニスサークルに所属しながら、夏休みにはバックパックで海外旅行にもよく行っていました。中でもニュージーランドでの旅は印象に残っています。北島と南島を、乗り放題のバスで二週間ほど回りました。英語もできない中、B&Bやホステルの相部屋に泊まりながら、バスで一緒になった欧米のバックパッカーたちと出会っては別れる旅でした。こうした経験は今の仕事にも活きています。いろいろな国の人の価値観に触れてきたので、外交を担当していた時期は、どんな話に対しても抵抗がありませんでした。
■政治を志した原点
政治に興味を持ったのは2009年です。当時は証券会社への就職を経て、弁護士をしていましたが、法律は決まった枠に従う仕事で、自分でそれを作ることはできません。おかしいと思う法律にも従わざるを得ない矛盾を抱えていました。自分が正しいと思う法律を作る側に行きたいと思っていたところに、東日本大震災が起きました。多くの日本人が亡くなる中での民主党政権の対応を見て強い憤りを感じ、災害や危機の時に国民を救える仕事をしたいと、政治の世界を志しました。
金融業界での就職経験も今に生きています。例えば、消費税の増減が為替や金利、財政にどう影響するのかを実感を持って理解できることは、財政・経済政策を進める上での基礎になっています。政治家には金融に強い人がそこまで多くなく、そこは自分の武器だと感じています。
■「誤解」が攻撃を招く現実
直近で最も大きな仕事は、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画からなる「戦略三文書」の見直しです。防衛の責任者として党内の意見を取りまとめ、提言として総理に提出しました。防衛装備品(武器)の輸出解禁にも取り組みました。
防衛に関わるなかで常に悩むのが、国民との情報格差についてです。防衛や外交は、相手国との関係上、戦略や交渉の中身をすべて明かすことができません。それでも、言える範囲で根本の考え方を伝えることを心掛けています。防衛力を強化しているのは戦争をしたいからではなく、「弱いと誤解されたら攻められる」という厳しい現実があるからです。侵略できるとの誤解を生まないことが、結果的に平和を守ることにつながると考えています。
そのため、随時、発信の難しさも感じています。講演などでこうした話をする機会はありますが、メディアでは時間の制約から、話の全体を伝えることは難しいのが実情です。だからこそ、こうした取材の機会も大切な発信の場だと捉えています。
また、力を入れているのが、退役自衛官とその家族への支援です。今まさに制度設計を進めているのですが、防衛省の下に新しい庁を設立し、負傷した自衛官への経済的・精神的なサポートや、任務中に行き先や帰還時期を知らされない家族同士のコミュニティづくりを、来年度予算に向けて防衛省とともに進めています。
■地方の課題と政治のあり方
選挙区である京都北部に限らず、日本の地方が抱える最大の課題は人口減少と高齢化です。人が減れば商売が成り立たなくなり、店がなくなればさらに住みにくくなるという悪循環が起きています。東京一極集中をある程度是正することと、道路や鉄道、病院といったインフラを整備し、故郷に戻りたい人が安心して戻れる土台をつくることが、政治の仕事だと考えています。
やりがいを感じるのは、自分が正しいと思う政策が実現した時と、地元の方々の生活が実際に良くなった時です。防衛装備品の移転が可能になったことは、同盟国・同志国と装備を融通し合える体制づくりにつながり、大きな満足感がありました。また、地元・由良川の氾濫対策など、地域の生活に直結するインフラ整備が実を結んだ時、涙を流して喜んでくれる方もいて、それが何よりのやりがいです。
一方で、与党の中でも意見が一致しないことや、良いと思う政策が実現しないもどかしさもあります。ただ、防衛政策については近年、野党の多くも反対しない傾向にあります。命があってこそ生活が成り立つという現実を、世界情勢を見て多くの人が実感するようになったからだと思います。
政治で大切にしているのは、人間は誰しも間違えるという前提のもとで、時間をかけて議論することです。多数決だけで押し切るのではなく、少数意見にも耳を傾けるプロセスこそが、より良い政策につながり、後々の理解にもつながると考えています。
■学生へのメッセージ
政治は、どの世代にとっても生活に直結しています。消費税や災害対策、防衛や外交がうまくいかなければ生活の根本に関わってきます。ただ、政治を身近に感じずに済むということは、それだけ平和な証でもあります。もし関わらざるを得ない時が来たら、自分や家族、仲間の生活のために、一生懸命向き合ってほしいと思います。
個人としては、やりたいことを一生懸命やってほしいと伝えたいです。途中で興味が変わってもかまいません。多くの人は「一生これをやりたい」と思えるものに簡単には出会えないものですが、もし本当に好きなことに巡り合えたら、それは幸せなことです。私自身、弁護士の仕事にもやりがいを感じていましたが、法律の枠の中で仕事をする矛盾を抱えていました。東日本大震災をきっかけに政治の世界に飛び込み、今はやりがいと出会えたと実感しています。やりたいことがあれば、臆せず挑戦してほしいと思います。
学生新聞オンライン2026年8月19日取材 早稲田大学3年 伊藤健太

日本大学2年 原田達司/城西国際大学3年 渡部優理絵/情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/京都芸術大学1年 猪本玲菜/早稲田大学3年 伊藤健太


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