株式会社スプリックス 代表取締役社長 常石 博之

個別指導塾ナンバー1の強さと信頼の秘訣とは!

株式会社スプリックス 代表取締役社長
常石 博之(つねいし ひろゆき)

広島県出身。慶応大学経済学部卒業。1994年4月、株式会社三菱銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。2004年3月、株式会社スプリックス取締役就任。2007年12月、株式会社スプリックス取締役副社長就任。2018年12月、株式会社スプリックス代表取締役社長就任(現任)。座右の銘は「仁義」「武士道」。

個別指導塾業界トップの森塾を経営するスプリックスの常石社長にお話を伺った。意外にも特にやりたい仕事もなかったという常石社長だが、人との出会いを通じて向かうべき仕事の方向性を見つけ、いかにして業界No.1の企業のトップになったかを語っていただいた。

はじめに私のパーソナリティについて話しをしますと、実はもともとコミュニケーションが苦手で、劣等感が強かったのです。ただ、その反動でしょうか、人に嫌われたくないとか、誰かの期待に応えたいという気持ちが強かったので、無理してリーダッシップがあるように振る舞っていた学生時代でした。中学で慶應に行くと、経済的な劣等感も加わって、相当無理をしてかっこつけようとして、その結果、文武両道を目指していました。

もともと得意だった勉強だけを前面に出しても好かれないだろうと思ったので、当時花形だったラグビー部に入り、高校、大学ではアメフトに転向し、相応の成績は収めましたが、かなり無理をしていましたね。就職するときは、お恥ずかしい話なのですが、なんとなくかっこいいとか、両親が喜ぶだろうとかいった理由で、当時、就活ランキングでトップだった三菱銀行に入りました。

ビジネススクールでの運命の出会い

銀行員時代、あるビジネススクールで、私は森塾の創業者である平石さんと出会いました。当時は、新潟県で塾をやっている、中小企業の社長という感じの方でした。「生徒の成績が上がらなかったら、授業料返したほうがいいよね?」というようなことを言うピュアな方でしたね。そんな平石さんが、私に、向かうべき目標を示してくれたのです。

当時の私はビジネスを通じて何かを成し遂げようというようなリーダーシップはなくて、銀行で周囲との競争に勝つことしか頭にない人間でした。何かに向かって行くという思いはなかったのですが、平石さんがピュアな「べき論」を語っているのを聞いて、目標を持って、それに向かってやるのはいいなと共感して、ジョイントさせてもらいました。

ただ、残念ながら、塾は優秀な学生が第一志望にする業界ではありません。しかし、教育は素晴らしい仕事なので、鉄鋼や自動車、ITなども大事ですが、教育こそが国家の根幹だと思いますので、優秀な人こそが目指して欲しい業界です。今後は、ビジネスモデルをさらに磨き上げて、働いている人のお給料も十分なものにし、海外にも進出していきます。海外でも、“I Know SPRIX”と言われるような会社にしたいと思っています。

差別化はシンプルに ニーズを追求すること

他塾との差別化については、まずはシンプルにお客様のニーズを追求していくことですね。塾にお子様を通わせる保護者の方のニーズは、「成績を上げてほしい」「楽しく通わせてほしい」の2つです。これがトップだということは、データによって明確にわかっています。

他の塾では、思考力・判断力・表現力の養成といった、お客様の直接的なニーズではない要素に注力するケースもあるのですが、私たちは顕在化している顧客のニーズの「ど真ん中」をシンプルに追求しています。その結果、森塾では一教室平均で300人以上の生徒さんがいます。これは、他の塾の教室の数倍の規模になります。また、顧客のニーズに応えるために、森塾では指導について、教え方の統一が徹底されていて、どこの教室のどの先生でも同じ指導を再現できるようになっています。具体的にはオペレーション・コントロールという手法になります。これにより、マニュアル化せずに、人の動きをコントロールすることができるようになりました。

経営では当事者が本当にそのビジネスが好きであることを大事にしています。ターゲティングや計画がどれだけしっかりしていても、自分たちの「思い」がないと細かい部分で難しくなってきます。そのため、スプリックスでは新規事業すべてについて、その分野でナンバー1にならなければ撤退するという条件があるのですが、たとえいくら儲かるビジネスであっても、「教育」という分野から外れた事業には今後も絶対に参入することはありません。

大学生へのメッセージ

すべての学生さんに、「どんまい!!」って言いたいです。今は、学生のうちにやりたいことがないとダメみたいに言われています。教育の世界でも、まず目標を定めて、それに向けてマイルストーンを定めていく、という考え方がありますが、私は、全部がそういった考え方が前提でなくてもよいのかなと思います。もし、私のようにやりたいことが見つかれば、ラッキーだと思うくらいでいいと思っています。

学生新聞2019年10月31日(東京大学3年 三木智弘)

東京大学3年 三木智弘/日本大学4 年 山下充良太/専修大学3
年 山崎蓮

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